「OP案その3」(2010/12/10 (金) 19:14:20) の最新版変更点
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**OP案その3 ◆L62I.UGyuw
「レディース・アーン・ジェントルメーン!! ようこそ、楽しいゲームへ!」
音割れを起こした調子っ外れの大声が響き、同時に大画面の液晶モニターが点灯した。
モニターには野球帽を目深に被った小太りの男が映っている。見るからに意地の悪そうな人相だ。
暗闇に包まれた広いホールを、モニターの光だけが照らしていた。
ホールには大勢の影が見えるが、姿形を判別するには光が弱過ぎる。
それでも明らかに当惑していると判る影の群れに向かって、歓迎するよプレイヤー諸君、とモニターの男は言った。
僅かな間を置いて、誰だお前は何処だここはどういうことだといった声が方々から上がった。
「まあまあ、おれが誰かなんて、そんなことはどうでもいいじゃないか。
ここにいるキミたちは、ゲームのプレイヤーとして選ばれたんだよ。
そのことさえ呑み込んでくれればそれでいい」
モニターの男がにたり、と粘着質の笑みを浮かべる。
「そう、ゲームだ。キミたちにとっては馴染み深いルールのね。
察しのいい人は勘付いたかな? つまり――殺し合いだ。
ゲームの勝利条件は他のプレイヤー全てを殺すこと。手段は問わない。これが基本だよ」
ざわめきの波紋が闇に広がった。
「ただし、細かいルールはキミたちの知るものとは違うから注意して説明を聞いてね。一度しか説明しないから。
まず、地図や食料などのサバイバルに必要な最低限の道具はゲーム開始時に支給するから、ゲームが始まったら各自確認するように。
戦いに使えるかもしれないアイテムも一緒に入れておくけど、これは各々別物だから、開けてみてのお楽しみってことで。
ああ、プレイヤーリストも入ってるよ。名前が載ってるだけだけど、失くしたりすると困るだろうから大事にね。
それとゲームが面白くなるように、キミたちの一部の能力には少し制約を課させて貰った。
余裕があるなら最初に確認しておくべきかもしれないね」
帽子のつばを軽く弄りながら、にやにやと嘲う。
「ゲーム中は六時間毎に全プレイヤーに向けてこちらから放送を行う。最初の放送はゲーム開始から六時間後だ。
これは重要な情報をキミたちに伝えるためのものだからちゃんと聞いておくように。ま、まずは六時間生き残らないと意味ないけど。
放送の具体的な内容は――」
「いけません。おおいけません。こんなことは、神が許されない」
ほとんど悲鳴に近い、嗄れた声が響いた。
一つの影が、頼りない足取りでモニターの前に走り寄る。
一見して神父と判る服装のでっぷりと肥えた老人が、モニターの光に照らし出された。
銀縁の眼鏡がずり落ち掛けている。
彼は泣き出しそうな様子でモニターに向かって訴えた。
「よ、よろしいですか。今すぐ考え直すのです。こんなことをしてはなりません。
罪もない善良な市民の命を弄んでいい道理はありません。理由はありません。
よしんば、り、理由があったとしても、神の使徒であるわたしをこ、殺すなど、そんな暴挙は許されないのです。
しかるに。わ、わ、わたしは、このわたしだけは、無事に帰すべきなのであります。分かりますね? わたしは――」
御老体、と後ろから低い声が掛かった。
いつの間にか、ゆったりとした青い服を纏った長身の男が一人、音もなくモニターの前に進み出ていた。
ほはあ、と間抜けな声を上げて、老神父が振り向く。
「囀るな」
次の瞬間、神父の頭が粉々に吹っ飛んだ。
赤と白と黄の混ぜ物が瞬時に闇色の空間に消えて、びちゃびちゃと嫌な音を立てた。
悲鳴とどよめきが上がった。
青服の男の裏拳が神父の横っ面に叩き込まれたのだと理解出来た者は果たして何人いるのか。
断続的に血を吹き上げながら崩れ落ちる首なし死体を一瞥して、モニターの男が顔を顰めた。
「ちょっとちょっと、困るよキミ。まだゲームは始まってないんだから」
「敏なれば則ち功有り。要するに、だ。こいつらを鏖殺すればいいのだろう?」
服の裾を翻し、男は大勢の影が蠢く暗闇に向き直った。
にぃ、と口の端を歪ませ、両の拳を脇に構える。
空気が一変した。
鉛にも似た重圧が青服の男から発せられ、恐ろしい勢いで膨れ上がる。
圧を受けたある者は大蛇に睨まれた蛙の如く硬直し、ある者は負けじと身構え、ある者は涼しげに受け流す。
一触即発。
「おーい、待った。もっと面白い戦いの場を用意してあげるからさ、少し我慢してってば」
置いてけぼりを食いかけたモニターの男が、気の抜けた調子で言葉を投げた。
あまりの緊張感のなさに、一瞬空気が緩む。その隙に、モニターの男は指を鳴らした。
途端、首を失った神父の死体に黒い霧のようなものが纏わり付く。
数秒と掛からず霧は死体を覆い尽くし、そして跡形もなく消し去った。
再びどよめきが上がる。
「これは――『闇』か」
死体の消える様を最も間近で眺めていた青服の男が呟く。
「他の人たちも、こうなりたくなかったら少し静かにしててね。
じゃ、説明を続けるよ。……えーっと、どこまで説明したっけ?
そうそう、放送についてだけど、これはキミたちに二種類の情報を与えるためのものだ。
一つは死亡者の名前、もう一つは進入禁止エリアについて。
死亡者の名前はそのまんま、その放送までの六時間で死亡したプレイヤーの名前を読み上げる。ま、これは解り易いよね。
進入禁止エリアのことなんだけど、これは一ヶ所にずっと隠れ続けるといったつまらない作戦を禁止するルールだと思って欲しい。
後で地図を見て貰えれば判るけど、ゲーム会場は正方形の『エリア』に分かれているんだ。
そしてエリアは放送の度に三つずつ『闇』に呑まれて消滅して行く。『闇』ってのは今見せたヤツね。
時間の猶予は与えるから、指定されたエリアには入らないように。自殺したいなら別だけど。
優勝者が決まる前に全部のエリアが『闇』に呑まれたらゲームオーバーだから、そこは気を付けて欲しい。
ああ、会場の外に出ようとはしないように。そうした場合も『闇』に呑まれるからね。
最後に――優勝賞品について。優勝したら、そのプレイヤーの願いを一つだけ叶えてあげるよ。
大金が欲しい、でもいいし、過去の失敗をなかったことにしたい、でもいいし、誰かを蘇らせたい、でも何でもいい。
どうだい? 太っ腹だろう。やる気になったかい?」
モニターの男が言葉を切った。ホールは水を打ったように静まり返った。
青服の凶人は興味があるのかないのか、仁王のように無言で辺りを睥睨している。
「さあて、そろそろいい時間だ。それじゃあ――」
ゲーム・スタート。
&color(red){【牧野伸学@銀齢の果て 死亡】}
&color(cyan){【進行役:ティラノスジャパンのプランナー@BTOOOM!】}
&color(cyan){【ロワイアル×ロワイアル 開幕】}
**OP案その3 ◆L62I.UGyuw
「レディース・アーン・ジェントルメーン!! ようこそ、楽しいゲームへ!」
音割れを起こした調子っ外れの大声が響き、同時に大画面の液晶モニターが点灯した。
モニターには野球帽を目深に被った小太りの男が映っている。見るからに意地の悪そうな人相だ。
暗闇に包まれた広いホールを、モニターの光だけが照らしていた。
ホールには大勢の影が見えるが、姿形を判別するには光が弱過ぎる。
それでも明らかに当惑していると判る影の群れに向かって、歓迎するよプレイヤー諸君、とモニターの男は言った。
僅かな間を置いて、誰だお前は何処だここはどういうことだといった声が方々から上がった。
「まあまあ、おれが誰かなんて、そんなことはどうでもいいじゃないか。
ここにいるキミたちは、ゲームのプレイヤーとして選ばれたんだよ。
そのことさえ呑み込んでくれればそれでいい」
モニターの男がにたり、と粘着質の笑みを浮かべる。
「そう、ゲームだ。キミたちにとっては馴染み深いルールのね。
察しのいい人は勘付いたかな? つまり――殺し合いだ。
ゲームの勝利条件は他のプレイヤー全てを殺すこと。手段は問わない。これが基本だよ」
ざわめきの波紋が闇に広がった。
「ただし、細かいルールはキミたちの知るものとは違うから注意して説明を聞いてね。一度しか説明しないから。
まず、地図や食料などのサバイバルに必要な最低限の道具はゲーム開始時に支給するから、ゲームが始まったら各自確認するように。
戦いに使えるかもしれないアイテムも一緒に入れておくけど、これは各々別物だから、開けてみてのお楽しみってことで。
ああ、プレイヤーリストも入ってるよ。名前が載ってるだけだけど、失くしたりすると困るだろうから大事にね。
それとゲームが面白くなるように、キミたちの一部の能力には少し制約を課させて貰った。
余裕があるなら最初に確認しておくべきかもしれないね」
帽子のつばを軽く弄りながら、にやにやと嘲う。
「ゲーム中は六時間毎に全プレイヤーに向けてこちらから放送を行う。最初の放送はゲーム開始から六時間後だ。
これは重要な情報をキミたちに伝えるためのものだからちゃんと聞いておくように。ま、まずは六時間生き残らないと意味ないけど。
放送の具体的な内容は――」
「いけません。おおいけません。こんなことは、神が許されない」
ほとんど悲鳴に近い、嗄れた声が響いた。
一つの影が、頼りない足取りでモニターの前に走り寄る。
一見して神父と判る服装のでっぷりと肥えた老人が、モニターの光に照らし出された。
銀縁の眼鏡がずり落ち掛けている。
彼は泣き出しそうな様子でモニターに向かって訴えた。
「よ、よろしいですか。今すぐ考え直すのです。こんなことをしてはなりません。
罪もない善良な市民の命を弄んでいい道理はありません。理由はありません。
よしんば、り、理由があったとしても、神の使徒であるわたしをこ、殺すなど、そんな暴挙は許されないのです。
しかるに。わ、わ、わたしは、このわたしだけは、無事に帰すべきなのであります。分かりますね? わたしは――」
御老体、と後ろから低い声が掛かった。
いつの間にか、ゆったりとした青い服を纏った長身の男が一人、音もなくモニターの前に進み出ていた。
ほはあ、と間抜けな声を上げて、老神父が振り向く。
「囀るな」
次の瞬間、神父の頭が粉々に吹っ飛んだ。
赤と白と黄の混ぜ物が瞬時に闇色の空間に消えて、びちゃびちゃと嫌な音を立てた。
悲鳴とどよめきが上がった。
青服の男の裏拳が神父の横っ面に叩き込まれたのだと理解出来た者は果たして何人いるのか。
断続的に血を吹き上げながら崩れ落ちる首なし死体を一瞥して、モニターの男が顔を顰めた。
「ちょっとちょっと、困るよキミ。まだゲームは始まってないんだから」
「敏なれば則ち功有り。要するに、だ。こいつらを鏖殺すればいいのだろう?」
服の裾を翻し、男は大勢の影が蠢く暗闇に向き直った。
にぃ、と口の端を歪ませ、両の拳を脇に構える。
空気が一変した。
鉛にも似た重圧が青服の男から発せられ、恐ろしい勢いで膨れ上がる。
圧を受けたある者は大蛇に睨まれた蛙の如く硬直し、ある者は負けじと身構え、ある者は涼しげに受け流す。
一触即発。
「おーい、待った。もっと面白い戦いの場を用意してあげるからさ、少し我慢してってば」
置いてけぼりを食いかけたモニターの男が、気の抜けた調子で言葉を投げた。
あまりの緊張感のなさに、一瞬空気が緩む。その隙に、モニターの男は指を鳴らした。
途端、首を失った神父の死体に黒い霧のようなものが纏わり付く。
数秒と掛からず霧は死体を覆い尽くし、そして跡形もなく消し去った。
再びどよめきが上がる。
「これは――『闇』か」
死体の消える様を最も間近で眺めていた青服の男が呟く。
「他の人たちも、こうなりたくなかったら少し静かにしててね。
じゃ、説明を続けるよ。……えーっと、どこまで説明したっけ?
そうそう、放送についてだけど、これはキミたちに二種類の情報を与えるためのものだ。
一つは死亡者の名前、もう一つは進入禁止エリアについて。
死亡者の名前はそのまんま、その放送までの六時間で死亡したプレイヤーの名前を読み上げる。ま、これは解り易いよね。
進入禁止エリアのことなんだけど、これは一ヶ所にずっと隠れ続けるといったつまらない作戦を禁止するルールだと思って欲しい。
後で地図を見て貰えれば判るけど、ゲーム会場は正方形の『エリア』に分かれているんだ。
そしてエリアは放送の度に三つずつ『闇』に呑まれて消滅して行く。『闇』ってのは今見せたヤツね。
時間の猶予は与えるから、指定されたエリアには入らないように。自殺したいなら別だけど。
優勝者が決まる前に全部のエリアが『闇』に呑まれたらゲームオーバーだから、そこは気を付けて欲しい。
ああ、会場の外に出ようとはしないように。そうした場合も『闇』に呑まれるからね。
最後に――優勝賞品について。優勝したら、そのプレイヤーの願いを一つだけ叶えてあげるよ。
大金が欲しい、でもいいし、過去の失敗をなかったことにしたい、でもいいし、誰かを蘇らせたい、でも何でもいい。
どうだい? 太っ腹だろう。やる気になったかい?」
モニターの男が言葉を切った。ホールは水を打ったように静まり返った。
青服の凶人は興味があるのかないのか、仁王のように無言で辺りを睥睨している。
「さあて、そろそろいい時間だ。それじゃあ――」
ゲーム・スタート。
&color(red){【牧野伸学@銀齢の果て 死亡】}
&color(cyan){【進行役:ティラノスジャパンのプランナー@BTOOOM!】}
&color(cyan){【ロワイアル×ロワイアル 開幕】}
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