慣れない家屋。
尿意を催した朧はカントリーマンの案内で厠へと案内されていた。
厠にある便器は見慣れたものとはまったく違う形状をしていたが
カントリーマンが丁寧に説明してくれたのが朧にはありがたかった。
尿意を催した朧はカントリーマンの案内で厠へと案内されていた。
厠にある便器は見慣れたものとはまったく違う形状をしていたが
カントリーマンが丁寧に説明してくれたのが朧にはありがたかった。
尻にあたる便座かばぁというものが粗末な布地でもたしかな心地良さを味わわせてくれ、
人心地ついた朧はゆっくりと息をついた。
人心地ついた朧はゆっくりと息をついた。
心身がようやく落ち着くと朧の心に想い人の姿が浮かぶ。
(弦之助様…………)
「ここがバトルロワイアルの世界かい」
もの思いに沈んでいた朧は誰もいないと思っていたはずの場から声が聞こえたことに
ギョッとして身を強ばらせる。
ギョッとして身を強ばらせる。
カントリーマンも城戸真司の看病をしながらとはいえ周囲の警戒を怠ってはいないはず。
それを潜りぬけてここまで来たということはかなりの手練であろうことは間違いない。
それを潜りぬけてここまで来たということはかなりの手練であろうことは間違いない。
忍びの素質にはとことん恵まれていない朧にもハッキリと分かる異常事態だった。
朧の眼前の空間が捩れたように歪む。
その中から出たのは白い奇妙な形をした小動物らしき何か。
その中から出たのは白い奇妙な形をした小動物らしき何か。
「やあ。ボク、キュウベイ。君たちは願いのために殺し合いをしているんだよね?
なら、ボクに任せてよ」
なら、ボクに任せてよ」
9 名前:April Fool (四月馬鹿)[sage] 投稿日:2011/04/01(金) 16:40:48 ID:ccZy1tl6 [2/2]
事態が掴めず呆然とする朧にキュウベイと名乗った獣はそう告げた。
外見は可愛らしいが
白い体毛に覆われた獣の眼は淡い赤色であり。
その両目は人形とはまた違う、だが獣とはかけ離れた生気のない無感情さを窺せた。
外見は可愛らしいが
白い体毛に覆われた獣の眼は淡い赤色であり。
その両目は人形とはまた違う、だが獣とはかけ離れた生気のない無感情さを窺せた。
「ボクと契約して、魔法少女になってよ」
キュウベイはガラス玉のような眼を細めて朧にそう告げた。
その言葉をどう受け取れば良いのかわからず、
そもそもここは厠だということすら忘れかけていた朧はただ”眼”を見開くことしかできない。
そもそもここは厠だということすら忘れかけていた朧はただ”眼”を見開くことしかできない。
そう。朧にはただ見ていることしかできなかった。
見ていただけなのにキュウベイは突然破裂した。
「やれやれ。いきなりダイレクトな魔法干渉とは……招かれざる客ってわけかい?」
目の前のまったく脈絡の無い出来事に呆気にとられている朧の前に
新たなキュウベイが狭い厠の中だというのにどこからともなくやって来た。
新たなキュウベイが狭い厠の中だというのにどこからともなくやって来た。
また破裂した。
「普通は二つ返事で契約するのになあ」
また出てきた。
破裂した。
破裂した。
「話だけは聞いてもいいんじゃないかな?」
出てきた。
破裂した。
破裂した。
「これが最後のチャンスだよ? 願いを叶えたかったらボクとけいやry」
破裂。
「そうかい。わかったよ。なら仕方ないね。でも契約したくなったらいつでも――」
破裂破裂破裂破裂。
ただ繰り返されるだけのスプラッタな光景を朧は泣きそうな顔で見るしかできなかったが、
数時間経つとキュウベイは現れなくなった。
ただ繰り返されるだけのスプラッタな光景を朧は泣きそうな顔で見るしかできなかったが、
数時間経つとキュウベイは現れなくなった。
「まったく、わけがわからぬ」
疲れたような顔と口調で朧は厠のドアを開け、真司達のもとへ戻った。
殺し合いは平常運転である。
殺し合いは平常運転である。