君に触れて未来が変わる ◆CFbjQX2oDg
燃え盛る遊園地をウマゴンは走り続ける。
つい先程、首輪から放送が流れて来た。
しかし、炎により倒壊していくアトラクションに巻き込まれて危険な目にあっているかもしれない大切な仲間がいるのだ。
崩れゆく音に紛れてはっきりと聞こえないが、放送を気にかけている暇はないとばかりに搜索を続ける。
つい先程、首輪から放送が流れて来た。
しかし、炎により倒壊していくアトラクションに巻き込まれて危険な目にあっているかもしれない大切な仲間がいるのだ。
崩れゆく音に紛れてはっきりと聞こえないが、放送を気にかけている暇はないとばかりに搜索を続ける。
既に自分のコントロールを離れて、自然現象として発生している炎だ。
できる限りは避けて進まなければいけない。
こうなる前にガッシュや雛苺と乗りたいねと話していた観覧車は先程盛大な音を立てて崩れた。
だけど、その時の崩れ方に気になる点があった。
倒れてから崩壊する音が響くまでに時間差があったことだ。
もしかしたらガッシュがあそこにいて何かしたのかもしれない。
そう思って観覧車があった所まで向かっているところだ。
できる限りは避けて進まなければいけない。
こうなる前にガッシュや雛苺と乗りたいねと話していた観覧車は先程盛大な音を立てて崩れた。
だけど、その時の崩れ方に気になる点があった。
倒れてから崩壊する音が響くまでに時間差があったことだ。
もしかしたらガッシュがあそこにいて何かしたのかもしれない。
そう思って観覧車があった所まで向かっているところだ。
「ウマゴン! やっと見つけた!」
観覧車までもう少しといったところで
今、一番聞きたくない声に呼び止められた。
今、一番聞きたくない声に呼び止められた。
ウマゴンは気力を振り絞ってシュドルクを発動させる。
もうシン・シュドルクを使うだけの心の力は無い。
こいつとあの女が自分たちをここまで追い込んだんだ
もうシン・シュドルクを使うだけの心の力は無い。
こいつとあの女が自分たちをここまで追い込んだんだ
「ははは……そうだよね。今更僕なんかを信用してくれるわけないよね……」
てっきり、出会い頭に殺しに来るものだと思っていた。
なのに何故、雪輝はここまで哀しそうな表情を浮かべているのだろう。
はち切れそうな程に膨らんでいたウマゴンの感情に小さな穴があき、隙間が生まれる。
まるで魔界に送還されたときのパートナーのように、哀しい目をしている。
なのに何故、雪輝はここまで哀しそうな表情を浮かべているのだろう。
はち切れそうな程に膨らんでいたウマゴンの感情に小さな穴があき、隙間が生まれる。
まるで魔界に送還されたときのパートナーのように、哀しい目をしている。
送還?
そうだ。
ガッシュは一体どこにいる。
雪輝と一緒にいたんじゃないのか。
疑問が浮かぶとほとんど同時にウマゴンは雪輝の肩に羽織られている見覚えのある黒いマントに気づく。
そうだ。
ガッシュは一体どこにいる。
雪輝と一緒にいたんじゃないのか。
疑問が浮かぶとほとんど同時にウマゴンは雪輝の肩に羽織られている見覚えのある黒いマントに気づく。
「ガッシュは……死んだよ。僕を助けようとして」
死……んだ?
何を言っているのかわからない。
雪輝は肩にある自分が見慣れた黒いマントを握り締めている。
何を言っているのかわからない。
雪輝は肩にある自分が見慣れた黒いマントを握り締めている。
「ガッシュはあんな馬鹿なことをした僕を信じてくれたんだ。倒壊した観覧車に押しつぶされそうになった僕を庇って、そして……」
涙を流しながらも、歯を食いしばって必死に説明しようとする雪輝を見て悟った。
ガッシュはこの少年を許したのだ。
自分たちを裏切り、追い詰め、殺そうとしたこの少年を。
ガッシュはこの少年を許したのだ。
自分たちを裏切り、追い詰め、殺そうとしたこの少年を。
「僕はウマゴンたちに許されないことをした。でも、ガッシュのおかげで僕が間違っていたことに気づいたんだ」
思い返せばガッシュはどの闘いでもそうだった。
パムーン、パティ、ピョンコ、ゼオン、バリー、その他にも数多くの最初は敵対していた魔物も
ガッシュとの闘いを経て、ガッシュの王としての器に触れて、
今では掛け替えのない大切な仲間となった。
皆が皆、最初から友好的な間柄だったわけではない。
パティやゼオンが当時したことを今でもしていたらもちろん許せない。
だが、彼らはガッシュをきっかけに変わったでは無いか。
過去の過ちに気づき、それから目を背けずに前を見て進み、
そして、背中を預けられる仲間に。
パムーン、パティ、ピョンコ、ゼオン、バリー、その他にも数多くの最初は敵対していた魔物も
ガッシュとの闘いを経て、ガッシュの王としての器に触れて、
今では掛け替えのない大切な仲間となった。
皆が皆、最初から友好的な間柄だったわけではない。
パティやゼオンが当時したことを今でもしていたらもちろん許せない。
だが、彼らはガッシュをきっかけに変わったでは無いか。
過去の過ちに気づき、それから目を背けずに前を見て進み、
そして、背中を預けられる仲間に。
「自分勝手に聞こえるかもしれない。でも、僕はこのガッシュのマントに誓うよ! もう二度とあんな馬鹿なことをしない!」
まだ見えている片目を閉じると浮かんでくる。
ガッシュの最後の姿が。
きっとガッシュは最後の瞬間まで金色の太陽の輝きを放っていたのだろう。
その光でこの少年の心の暗い部分を全て照らしたのだろう。
ガッシュの最後の姿が。
きっとガッシュは最後の瞬間まで金色の太陽の輝きを放っていたのだろう。
その光でこの少年の心の暗い部分を全て照らしたのだろう。
――唯一今までと違うのは、もうガッシュの輝きは二度と拝めることは無いということ。
「だから、僕と協力してくれ。もう一度僕と仲間になってくれないか、ウマゴン」
ガッシュが死んだのなら、ガッシュがいなくなってしまったのなら
ガッシュが信じたものを代わりに清磨たちの所に届けてあげよう。
ガッシュの代わりに、ガッシュの『願い』を背に乗せて駆け抜けよう。
それが、騎馬である自分の宿命だ。
本音を言うとこの雪輝はまだ完全には信用できない。
自分が信じているのはあくまで、雪輝を信じたという“ガッシュ”だ。
だから、今回は先程の雪輝の過ちを水に流すとしよう。
ガッシュが信じたものを代わりに清磨たちの所に届けてあげよう。
ガッシュの代わりに、ガッシュの『願い』を背に乗せて駆け抜けよう。
それが、騎馬である自分の宿命だ。
本音を言うとこの雪輝はまだ完全には信用できない。
自分が信じているのはあくまで、雪輝を信じたという“ガッシュ”だ。
だから、今回は先程の雪輝の過ちを水に流すとしよう。
「メルメルッ」
ウマゴンは術を解いて、いつもの姿に戻る。
その懺悔を受け入れた。
その懺悔を受け入れた。
その時の雪輝の哀しそうな表情は、炎による屈折のせいなのだろうか
少し歪んで見えたことに、片目を失明したウマゴンは気付かなかった。
少し歪んで見えたことに、片目を失明したウマゴンは気付かなかった。
「さぁ、行こう。ウマゴン。
ガッシュの王様としての意思を、思いを、願いを僕たちが未来に運ぶんだ」
ガッシュの王様としての意思を、思いを、願いを僕たちが未来に運ぶんだ」
◇ ◆ ◇
二人は比較的火の手の少ない地域まで移動して、そこで偶々発見した医務室らしき場所でウマゴンの応急処置を行っている。
応急処置といっても、医療知識が特にあるわけではない只の中学生の雪輝に出来るのは
精々飲み水を用いて体中の傷を洗浄し、擦り傷ようの消毒液をガーゼに染込ませて当てることくらいだ。
特に酷い目を洗浄するときはウマゴンが暴れたが、処置しないで放置するわけにもいかず苦労しながらもどうにか終えた。
部屋に備え付けられていた眼帯と包帯を身につけ、栄養補給のために簡単な食事を取ったあと、ウマゴンをベッドに横にさせる。
ウマみたいな外見なのにベッドで寝る姿が割りと様になっているな、と雪輝は思った。
応急処置といっても、医療知識が特にあるわけではない只の中学生の雪輝に出来るのは
精々飲み水を用いて体中の傷を洗浄し、擦り傷ようの消毒液をガーゼに染込ませて当てることくらいだ。
特に酷い目を洗浄するときはウマゴンが暴れたが、処置しないで放置するわけにもいかず苦労しながらもどうにか終えた。
部屋に備え付けられていた眼帯と包帯を身につけ、栄養補給のために簡単な食事を取ったあと、ウマゴンをベッドに横にさせる。
ウマみたいな外見なのにベッドで寝る姿が割りと様になっているな、と雪輝は思った。
横になるとすぐにウマゴンの寝息が聞こえてくる。
体に負荷が大きい『シン』の術を酷使し、さらに酸素の薄い遊園地内を片目を失った状態で走り回ったのだ。
これで疲れるなという方が無理である。
体に負荷が大きい『シン』の術を酷使し、さらに酸素の薄い遊園地内を片目を失った状態で走り回ったのだ。
これで疲れるなという方が無理である。
雪輝も部屋に備えられていた椅子に腰掛け、パンを口にした後に水を一口飲む。
(ふぅ、何とか上手くいったぞ)
“もし”あの時ガッシュの思いが通じた僕が考えそうなことウマゴンに話せば
ガッシュが言った甘い甘い、夢と友情と希望に満ちた闘いを経てきたウマゴンなら騙せると踏んで正解だったようだ。
ガッシュが言った甘い甘い、夢と友情と希望に満ちた闘いを経てきたウマゴンなら騙せると踏んで正解だったようだ。
(それにしても演技で涙を流せるとは僕も中々やるなあ。そっちの才能もあるのかな)
そんなことを考えながら名簿を取り出して、放送で呼ばれた死者の確認をする。
支給された赤ペンで死者の名前に線を入れていく。
支給された赤ペンで死者の名前に線を入れていく。
『我妻由乃』
バオウ・ザケルガにより死体の確認はできなかったが、確かに死んだみたいだ。
由乃は僕を一番大事だと言いながらも、暴走することが多かった。
正直早めにいなくなってくれて助かった。
父さんや母さんと同じく僕がデウスの後を継いで神様になったら生き返らせてあげるからまっててね。
由乃は僕を一番大事だと言いながらも、暴走することが多かった。
正直早めにいなくなってくれて助かった。
父さんや母さんと同じく僕がデウスの後を継いで神様になったら生き返らせてあげるからまっててね。
『ガッシュ・ベル』
馬鹿なやつ。最後まで僕を信じて、あっさりと騙されて、僕に殺された。
濁った瞳で名簿のガッシュの欄を他の人よりも色濃く赤で染め上げる。
何度もなぞった赤いラインが不意に滲んで他の名前へと侵食を始めた。
一箇所、二箇所と滲みは増えていく。
その正体は無意識に雪輝の瞳から流れ出た液体だった。
濁った瞳で名簿のガッシュの欄を他の人よりも色濃く赤で染め上げる。
何度もなぞった赤いラインが不意に滲んで他の名前へと侵食を始めた。
一箇所、二箇所と滲みは増えていく。
その正体は無意識に雪輝の瞳から流れ出た液体だった。
(あれ? おかしいな。ウマゴンはもう寝ているっていうのに……)
雪輝の頬を涙が伝う。
ガッシュが死んだ事で
ガッシュを殺した事で
ガッシュを否定した事で
頭の片隅で理解してしまった。
ガッシュが死んだ事で
ガッシュを殺した事で
ガッシュを否定した事で
頭の片隅で理解してしまった。
雪輝が神を目指す目的は、両親と友達を、喪っていった人達を蘇らせること。
それを達成したガッシュの未来を奪うことで、自分自身の未来への道をも見失ってしまった。
それを達成したガッシュの未来を奪うことで、自分自身の未来への道をも見失ってしまった。
両親たちを、犠牲となった人たちを生き返らせるということが、殺人という多大な精神的負荷に雪輝が耐える最後の依代だ。
ガッシュという言わば『理想の闘いの結末』を自らの手で穢したことで
自分の望む未来には結局辿り着けないと自ら否定したも同然だ。
ガッシュという言わば『理想の闘いの結末』を自らの手で穢したことで
自分の望む未来には結局辿り着けないと自ら否定したも同然だ。
しかし、雪輝はその考えを認めたくない。
なので雪輝は何故今自分が涙を流しているのかわからない。
ただ流れる涙を袖口で拭い続けるだけだ。両肩のマントがやけに重く感じる。
なので雪輝は何故今自分が涙を流しているのかわからない。
ただ流れる涙を袖口で拭い続けるだけだ。両肩のマントがやけに重く感じる。
その啜り泣く子供の小さな背中を見ているものは誰もいなかった。
「さよなら。やさしいやさしいぼくのともだち」
【A-7・遊園地の医務室/一日目/朝】
【天野雪輝@未来日記】
[状態]:健康、心の力の消費(中)
[装備]:無差別日記@未来日記、、ガッシュのマント@金色のガッシュ・ベル、投げナイフ(14/15)@未来日記、IMIウージー(27/32)
[道具]:基本支給品 ×2、IMIウージーマガジン(2)
[思考・状況]
基本行動方針:優勝して全てを元通りにする?
1:ウマゴンを利用して、他の参加者に取り入る。
2:ある程度ウマゴンが回復するまでは待つ
3:その後に北か東の橋を渡る。
[状態]:健康、心の力の消費(中)
[装備]:無差別日記@未来日記、、ガッシュのマント@金色のガッシュ・ベル、投げナイフ(14/15)@未来日記、IMIウージー(27/32)
[道具]:基本支給品 ×2、IMIウージーマガジン(2)
[思考・状況]
基本行動方針:優勝して全てを元通りにする?
1:ウマゴンを利用して、他の参加者に取り入る。
2:ある程度ウマゴンが回復するまでは待つ
3:その後に北か東の橋を渡る。
[備考]
※参戦時期はDiary46.5終了以降からの参戦です。
※雪輝は自分の中の矛盾に気づいていません。
※参戦時期はDiary46.5終了以降からの参戦です。
※雪輝は自分の中の矛盾に気づいていません。
【シュナイダー@金色のガッシュ!!】
[状態]:ダメージ(小)、心の力の消費(小)、右目失明、
[装備]:なし
[道具]:魔本@金色のガッシュ!!、基本支給品、マキビシ@バジリスク~甲賀忍法帖~、煙草@現実
[思考・状況]
基本行動方針:ガッシュの思いを継ぐ。仲間と共に主催を撃破して清磨たちのいる所へ帰る
1: 睡眠中
2:雪輝と同行する。
[状態]:ダメージ(小)、心の力の消費(小)、右目失明、
[装備]:なし
[道具]:魔本@金色のガッシュ!!、基本支給品、マキビシ@バジリスク~甲賀忍法帖~、煙草@現実
[思考・状況]
基本行動方針:ガッシュの思いを継ぐ。仲間と共に主催を撃破して清磨たちのいる所へ帰る
1: 睡眠中
2:雪輝と同行する。
[備考]
※第一放送をしっかりと聞いていません。ガッシュが死んだことだけは理解しましたが、他はどの程度聞いていたかはわかりません。
※右目の後遺症については不明。洗浄し、消毒液をかけた程度の処置しかしていません。
※第一放送をしっかりと聞いていません。ガッシュが死んだことだけは理解しましたが、他はどの程度聞いていたかはわかりません。
※右目の後遺症については不明。洗浄し、消毒液をかけた程度の処置しかしていません。
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シュナイダー |