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だってその手は比類なき悪だから




ローゼンメイデンとは無意識の海を力の源とする。
世界の外で、全てと繋がる広大な茫洋な大海原。
人は己の領域を小さな海として持ち。
薔薇の乙女は契約を結んだマスターを介して、その海から力を得る。

魔物と薔薇乙女は同じ力を元にし。
機械の賢人ヨキは海から自我の芽生えを得た。
幻界は無意識の海にて産まれ。

ヒトは多種多様な世界で生きていく。
唯一つ、誰によって光を与えられたのかを意識の底に刷り込まれて。

世界は消えていこうとしている。
ワイルドセブンを見送った後、三人が闘ったフィールドは崩れ落ち。
桐山とめぐは頂上から崩れ落ちていく黄金螺旋階段を降りながら戦っていた。
天野雪輝、時空王である彼の力で創りあげた理の要は
構築者の退場で呆気なく崩壊していった。

下界に広がる世界はもはや異邦の闇に包まれて。
夜空に浮かぶ雲は幾千幾万に千切れて溶けて。
止まった時間の中で、最後に残ったのは少年少女。

消却光から桐山は逃げる。
掠っただけでも致命傷となる一撃の山。
ぼろのように擦り切れた真っ黒な
学生服をはためかせて桐山は大地を駆ける。

『AAAAAA…………!!』

正気を失った柿崎めぐは言葉を成さないうめき声を上げて
血まみれのセーラー服を着たまま、下方の桐山へと術を放つ。
それを大きく跳躍した桐山は階段の裏側を蹴って加速し柿崎めぐへと斬りかかった。

だが、効かない。
魔物クリアの心と深く結びついた柿崎めぐは不可視のフィールドに守られ。
周囲に展開した冒涜的な佇まいの怪物達の口腔から無数の光を撃ち続けた。

「柿崎めぐ……! 正気にもどれ!」

もどかしげに眉を顰めて桐山はめぐに叫びかけた。
だが届かない。天野雪輝が造り上げた魔物の心がめぐの心を蝕んでいるのだろうか。

弾かれた桐山は階段を更に降りる、退く。
柿崎めぐは常に上を陣取り、
燃え盛る焔のように髪を振り乱して一心不乱に攻撃を仕掛けた。

柿崎めぐの攻撃はクリアの術。
消失をもたらす攻撃は不可視の光を曳いて流れ星となる。
桐山の背後でまた大きく階段が穿たれた。

模倣不可能な錬金術の悟りの極地である螺旋階段は
同じく雪輝が造った生き物によって損なわれていく。
ローゼンが神秘の法を探求した螺旋階段の塔にも通じる意匠の階段は
崩れ落ちることはせず、霧散し、消えていく。

階段の中腹まで降りた桐山は、
再度、フェイントを織り交ぜながら柿崎めぐへ斬りかかった。
だが剣を握る腕は柿崎めぐの華奢な手からは想像もできない力で掴まれ、
腹部に強烈な蹴りを喰らい、錐揉みしながら階段を転がり落ちていく。

桐山は即座に立ち上がる。
この殺し合いで味わった意識の目覚めは桐山に人の感覚を与え、
久しく味わっていない真の痛みで攻めてくる。
唾液と吐瀉物でぐしゃぐしゃの口元を袖で拭った。

「柿崎…………めぐ……。
 めぐ。俺を許せないのはわかる。
 けれども、頼む、意識だけは取り戻してくれ」

痛み。それは手を差し伸べようとした相手に敵意を向けられること。
唾を吐かれること。命を狙われること。
どれも、桐山がかつてやったこと。

桐山の訴えは届かない。
鬼女の面相でめぐは猛り、咆哮する。

「そうだな。この程度で届くはずはないか。
 俺は、まだまだ甘いんだ」

苦笑して再度剣を構える桐山の耳に微かだけれど
小鳥のさえずりのように歌う調べがそっと聴こえてきた。

『ラプンツェル。ラプンツェル。
 お前の髪を下げておくれ』

桐山は一時の間いぶかしむ。
場違いな。遠い何処かから聞こえてくるように錯覚する言葉。
それは、桐山にも心当たりがあるフレーズ。

『……ここを出て、あなたと一緒に行きたいけれど。
 どうやってここから降りるのかわからない。
 だから絹でできた……丈夫な糸を』
『ここは良いところよ。
 小人たちが私に良くしてくれるの』
『そんな貴女に良い物があるんだよ、白雪姫。
 この林檎を食べてごらん』
『ねえ、聞いてちょうだい。The Beast。
 ここでふたりのささやかな舞踏会を開くのよ。
 人はどんなときでも優雅さと気高さを忘れてはいけないの』
『無駄だよ。私の毛並みはご覧のとおりさ。
 大きな爪と腕で君の細い体をエスコートなんてできるものか』
『勇ましき騎士、リーピチープ』
『貴女を守りましょう。
 この剣にかけて。たとえこの身が獅子に劣る鼠であっても』
『お慕い申しております、伯爵』

柿崎めぐが口にしているのは物語の一節。
彼女の表情に次第に見え始めて来るのは屍鬼に守られ、囲われるいとけない少女。
天使を失った少女は無機質な病室と同じく、物語の海に揺蕩う。

「めぐ」

桐山は苦悶を浮かべて歯噛みし、
剣を威嚇のように数度振ってから、一足で間合いを詰めた。

「めぐ!!」

桐山は何度も柿崎めぐを覆う不可視の防護障壁を攻撃する。
挫けずに何度も、だが所詮は柿崎めぐの体を傷つけないよう配慮した上での斬撃。
厚いゴムのような感触だけが漆黒の剣を通して伝わり。
桐山の頬から無数の汗が飛び散って焦燥が浮かぶ。

柿崎めぐの華奢な体躯が桐山を敵と見做して打撃の乱打を浴びせていく。
それでも踏ん張り、柿崎めぐから決して離れないようにし。
まぶたが腫れて、唇の端が切れ、内臓が著しく痛めつけられる。

めぐの拳が桐山の頭を殴打した。
薄い膜で覆われているめぐの体には直接的な感覚は伝わらない。
桐山の体を傷つける感触をめぐは絶対に知ることはない。
業を煮やしためぐはその手から直接、術を放とうとした。

「その一撃を待っていた」

消失の現象を漆黒の剣が斬り裂いた。
羽根が消失をも喰べつくして、出したカードは柿崎めぐの隙を産み出す。
術を手から直接放出するには体表を纏う結界を薄くする必要があった。
桐山は力を振り絞って紙一重、消失の流星を躱して、めぐの殻に剣を刺し込む。

「柿崎めぐ。おまえは言っていたな。
 水銀燈は死んだと。だがこれを受け取れ」

少しずつ柿崎めぐの殻が剥がれていく。
薔薇の花弁を一枚一枚とるように優しく。

螺旋階段の下腹部で密着する二人。
騎士が女王に忠誠を誓う風景を再現したかのように
桐山の手から黒の長剣がめぐへと手渡された。

「水銀燈はおまえを救けろと俺に命じた。
 この羽根を届けてくれと死の淵で“願った”」

手元の黒の剣が視界に入るとめぐの瞳孔が大きく開いていく。
水銀燈の羽根、
少女が天使と呼んで愛した花嫁の残り香が鬼の面を削いでいった。

「おまえの心にもあいつは居たいと思ったんだ。
 だから、めぐ、あいつを心に抱くおまえは水銀燈が愛したままであってくれ」

柿崎めぐはうなだれて。肩を震わせた。
嗚咽が漏れて、涙がこぼれ落ちていく。
最後の空で、螺旋階段の最下層で、柿崎めぐはクリアの心から外に出た。

そして柿崎めぐの指に絡みつく桐山の血。
自身の血で濡れた制服に新たに付くのは桐山の吐いた血。
苦鳴もなく、長身痩躯の桐山が背中から水銀燈の剣を生やして
柿崎めぐにもたれかかった。

「――あなたさえ、いなければ」

螺旋階段の最後の段があっさりと崩れ落ちた。

「あなたさえ、いなければ」

呪詛に繰り返される言葉。
狂気に沈殿しているならば、それは拒絶の意味を持たなかっただろうが
柿崎めぐの大きな瞳が揺れることなく突き刺す鋭さで桐山を睨みつけた。

前にもこんなことがあったのだ。
桐山は突き刺されたまま、蜘蛛の糸へと落ちていき。
世界の崩壊に飲み込まれる機械の巨大建造物が崩れていくのと同じくする。

このままでは地面に激突して両者とも死ぬ。
クリアの力を使う気が一向に見られない柿崎めぐは剣を桐山から抜き、また刺す。
血が噴き出し、空に桐山の血が昇っていく。
昇っていても、桐山の心臓部で稼働するハルワタートが血液を留めた。
幾筋もの線となって赤い血液は蔦のように絡まりあった。
けれども、桐山の目に映るのは憎悪のかぎろひに燃え踊るめぐの瞳。

「あなたがどうして私の前に現れるの。
わたしはあの子を覚えている未亡人よりも、
あの子の心にずっといる思い出でいたかった」

桐山の額に接する近さで柿崎めぐは涙を溢れさせていた。
桐山の背筋が凍っていく、少女の顔にはクリアの面影がどこにもなかった。

「そうすれば私は天使の翼に乗ってどこへでも飛んでいけたの」

だって、そう、クリアの心は柿崎めぐの一言でたやすく失われていたのだから。
失われた心、放棄された心はバラバラの素材となるだけ。
柿崎めぐは己の意志で自分を守る鳥籠を造っていた。

だから、届かない。
柿崎めぐはずっと檻に閉じ込められていたのだから。
桐山は柿崎めぐに顔を踏みつけられ、心を壊された時しかめぐに触れてはいなかった。

「だって約束したのよ?
 私とあの子は死が二人を分かつまで永遠だって」

場違いの頼りない笑みを浮かべて柿崎めぐは桐山の顔を両手で挟んだ。

「飛んでいきたい。どこか、どこか、どこか、どこかへ。
 こんなゲロみたいに醜い塀の中じゃなくて」

少女の眼差しは遠い何処かを見ていた。
水銀燈が旅立っていった異国を見ていた。
少なくとも、めぐだけはそう信じている。

「教えましょう。そう、例を挙げれば坂本竜太、あなたと一緒に賢者と闘った男。
 あの男は最低の屑だったのよ? どうしようもないゴミだったのよ?
 自分で自分の壁を設けて、決して傷つくことのない世界の内から外へ罵声を浴びせて」

急な話題の転換だったが桐山はめぐの話題にしている男のことを思い出した。

「なのに、ねえ? あなたはそんな男と一緒に闘ったのよ?
 あいつは母親にも手を挙げるような屑だったのに。
 救いようのないゲロ虫だったのに……あの子の妹達と一緒に闘っていたの」

めぐの細い指が桐山の首に巻き付いて、少しずつ力を増していく。

「どいつも、こいつも、楽園からは程遠く、見放された哀れな屍鬼。
 ――――あなた達のような人間がいるから、水銀燈は去ってしまったのよ」

落下は止まらない。桐山とめぐは地面に激突する。
めぐには生に関する思考が欠片も見えない。
桐山にはめぐを救えなかった。

どうしようもない事実が桐山を打ちのめす。
桐山にはミツルのように貫く、輝ける信念はない。
レオのように無限に広がる心と夢もない。
桐山は、誰のことも救えない。

涙ながらに殺し合いの否定を訴えた七原に銃を向けるような虚無だった
彼に、強い“願い”を持つ者たち同士の殺し合いはあまりに重すぎた。

――なら、どうするの?

桐山はどうすべきかわからない。
唯ひとつ、わかることといえば。

「闘う」

桐山にわかることはひとつだけ。
生きたいと“願う”自分の存在があるということ。
ここで終わるのは嫌だと運命を目前にしても抗う心があるということ。

――生きるって闘うことでしょう?

「闘わなければ、生きれない」

桐山は右手を伸ばした。
彼の手には何もない。
ワイルドセブンは女神へと進み。
黒の剣は柿崎めぐの手に渡り、彼へと牙を剥いていた。

「だが俺には想波の闘法がある」

両手を合わせる。
杉村との闘いで覚えた技術。
今は七原の経験を通したチャンの技術もある。

両手を離すと桐山へ風がやってくる。
決壊したダムのように膨大な風量が押し寄せた。
時を同じくして、桐山の血が逆流して。
風を纏った血の茨。
そして空気を飲み込み薔薇の蕾のように膨らんだ血液体が桐山とめぐを包み込んだ。

羽毛のように柔らかく着地した桐山は嵩張った学生服を脱ぎ捨て、
白いワイシャツを露わにした。

「俺の眼にはな、坂本はそこまでどうしようもない人間には見えなかった。
 おまえの言うことを疑いはしない。レオやミツルも、
 ここに来るまでにどんなことをして来たか、想像もつかない。
 七原や水銀燈だってきっと似たようなものだ」

桐山は両足を開き、闘いへ赴く構えをとった。
先ほどとは違う、確かな意志で相手と闘う体の置き方。

「だが、共にヨキと闘ったあいつは非力でも必至に絶対の強者に立ち向かう奴だった。
 俺は、そんなあいつの姿も嘘だったとは思わない。
 あいつは自分よりも小さな薔薇乙女も必至で気遣う心を見せていた」

柿崎めぐは聞こえているのかいないのか剣をだらりと下げて。
おぼつかない足取りで桐山へと歩いてくる。

「おまえの見たものは坂本や俺たちのほんの側面だ。
 めぐ、おまえがこのバトルロワイアルで見たものから
 自分の中に殺し合いの像を描いても、それは雑なパロディでしかないんだ」

桐山の首筋へと一閃、剣が走った。

「だから、俺は、たとえ一緒にいたのが短い時間の奴でも。
 勝手な思い込みで誰かを否定するおまえに――――腹が立つ!!」

それよりも早く、桐山の拳がめぐの頬を打った。
だがその打撃は一瞬早く柿崎めぐの体を再度クリアの防護障壁が覆い始める。

「アリス・ゲームは守れなかった。
 あいつの羽根は届けた。
 あとはおまえを救けるだけ。だがその最良の方法は俺にはまだ掴めない」

「何を、言って――!!」

予想外の攻撃にめぐは顔を歪め、唇を震わせた。
攻撃にも暴力にも縁遠かった少女には突然の反撃が天地崩壊ほどの衝撃になっていた。

「だから、俺はおまえの檻を壊す。
 おまえが閉じこもる塔を砕く。
 騎士を殺す。森を焼き払う。俺はおまえのサウロンでもフェルナンでもいい」

柿崎めぐの手から消却光が放散した。
不規則な軌道で走る透明の光線は無数に反射し、桐山を狙う。

「チー!」

だがそんな桐山へと飛び込む小さな栗頭が一体。
金属音とともに桐山の顔へと抱きついたのは
柿崎めぐの背中に気配を殺して抱きついていたプラテリーナ8世。

プラテリーナは桐山の掌で勇猛な戦士のポーズを取ると、
桐山の指の動きに反応し、複雑、形容しがたい冒涜的な動きを以って体を組み替えんとした。

「完成、第三作目『シリーズ・BTOOOM!』。
 ――――第一形態、爆縮BIM」

消却光がたちまちのうちにプラの産みだした
小型ブラックホールに呑み込まれた。
今のプラテリーナは頭部に胴体を収納した小型爆弾となっている。

「俺の手札は赤い水と拳法と爆弾。
 わかったのは傷つける勇気がなくては相手を救えないということ。
 思い知ったのは俺たちの《世界(ワークワーク)》はまだまだ小さなものだということ」

桐山は右手の人差指で柿崎めぐを指し、宣言する。
彼女の奥深くまで、入る決意とともに。

「莫迦な俺が取る手段はひとつ。
 世界を鎖し運命を呪う《薔薇の花嫁》。
 俺が、おまえを、傷つけてやる」

少年は《薔薇の誇り》を胸に、救ける彼女へ剣を向ける。
取り巻くのは押しては引いて、押しては引いてを繰り返す闇。
踏みしめるのは闇に生気を吸い取られ、茫漠の荒野となった世界。

少年の心が頑なな少女の心の牙城へ挑もうとする。
騎士の誇りと魔王の悪逆さを備えて。





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