ロワイアル×ロワイアル@ ウィキ
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ロワイアル×ロワイアル@ ウィキ
ja
2019-04-19T19:45:37+09:00
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2019-04-19T19:45:37+09:00
1555670737
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ヴェスナ・エスタ・ホリシア
https://w.atwiki.jp/rowarowa/pages/315.html
*ヴェスナ・エスタ・ホリシア
………………………………………………………………………。
…………………………………。
………………。
…………。
……。
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雑踏の騒がしさの中でひとりの少年が足を進める。
オールバックだった髪を最近下ろして、
何処に向かうという宛もなく少年はぶらぶらと放浪していた。
季節は冬に入ろうとする時期。
無遠慮にコートの隙間から入ってくる冷気に首を竦め。
日暮れとともにポツポツと彩られ始める街灯と広告灯があった。
ビルの森を多種多様な人々と擦れ違い。
すいすいと難なく人混みを進んでいく。
途中で光るような白い肌と真鍮の肌の、
瞳はどちらも金色をした双子とすれ違って。
少年はしばし天を振り仰いだ。
耳を澄ませば喧騒をも斬り裂くギターの音が聴こえた。
駅前のライブハウスから音が鈍く漏れていたようだ。
この音が少年の額に針を刺すような痛みを与えて。
指で痛みのもとを抑えた少年は、
自分がとめどない涙を流していたことに気づいた。
それでもいい、と誰かはいった。
だって、おまえは前に忘れたとき、涙も置いていったしな。
通りがかった三人組の少年。
眼鏡をかけた黒髪の少年が
袖でいくら拭っても止まらない涙に戸惑う彼へと
ハンカチを差し出した。
「なんで泣くんだ?」
明るい髪の色をした少年が尋ねた。
「思い出したから」
「なにを?」
虎のような奇妙な痣を顔に縁取った鬣をした彼が首を傾げた。
「俺たちの道のりを」
レントゲンも誤魔化す水の心臓が新たな鼓動を紡いでいく。
天気は雲ひとつ無い青空から燃えるような夕暮れへ。
ウィンドウに展示されたTVは紛争を報道し続け、今日も誰かが泥の中、星を見上げる。
物語の扉は閉められて。
覗き見ていた少年達は安堵し、笑いあって無意識の海を歩きはじめた。
さあ、次はどこへ行こうか。
てくてく、てくてく、
彼らは今も昔も新たな道を歩きはじめていく。
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2013-04-14T15:20:43+09:00
1365920443
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輪舞 -revolution
https://w.atwiki.jp/rowarowa/pages/314.html
*輪舞 -revolution
人柱とは――
世界を隔てる壁を創るために必要な魂。
最も気高く、強い熱量を秘める必要がある。
そして、《儀式(ハルネラ)》が執行された後は――
世界から忘れられなければならない。
魂は巡り、互いに強く影響し合い、その記憶を携えて、
産まれ、還り、次へと続くものだから。
強すぎる魂の永遠の欠落は、忘却によって埋められるようになっている。
忘れ去られる魂。物語にも記されない無名の人物へとなるのだ。
漆黒の闇によって形作られた森林が、大口を開けて。
潮騒の音のように静かに、されど力強く、見る者の怯懦を呼び起こす。
そして、対峙するは先にて敗れ、人柱として魂魄が昇ったかに見えたミツルとレオ。
桐山の周囲に浮遊しているのは
たしかに友達ふたりだった”彼”の器。
光の粒子は残滓となって儚く舞い散るのみに見える。
「これがローゼンメイデンの父の最期の手か。
理が崩れ去るのと同時に残骸を拾い集め。
キャンチョメ達の世界にて行われた殺し合いのルールを乗っ取り。
魔本にてローゼンメイデンを縛り付ける。卑劣な策だ」
「おまえたち、どうして……?」
「元々、人柱になるみたいだったからな。
俺たちは体の損傷も修復されて封ぜられてたんだよ。
一度傷ついたけど女神が治してくれたってわけだ。」
「もっとも、おまえたちにやられていたのは朧気ながら覚えているがな」
ミツルが苦笑交じりに言ったのを聞き、
桐山は気まずげに俯き、爪先を凝視した。
「すまない。おもいっきり攻撃してしまったな」
「いいよ、謝んなよ。
俺たち、天野以外には大して怒ってねえから。
あいつはいつか絶対殴るわ。さすがにこればっかりは抑えられねえ」
「僕を一緒にするな。天野のことはもう気にしていない」
ミツルは不機嫌そうに横目で睨みつけ、
やがて眼を離すと広大な闇、茨でできた森林を三人で眺めた。
「桐山、おまえのドールは今なにができる?」
ミツルもレオも武装はそ
2013-04-14T18:40:33+09:00
1365932433
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そして、僕たちは《三人》で乗り越える
https://w.atwiki.jp/rowarowa/pages/313.html
*そして、僕たちは《三人》で乗り越える
――試練は終了しても。
ローゼンクロイツの”願い”が敗れた証左にはならない。
さあ、終わりの幕を降ろそう。
誰かが何処かでそう言って、見えざる手が破砕音が奏で出す。
それは、ブリキの玩具、噛み砕く音のようでいて。
「ぐ……あっ……!!」
「えっ……!?」
”彼”の胸から七つの宝石が取り出された。
無垢の象徴にして、今なお変化と拡大を続ける無形なる石。
想いを溜め込み、想いに呼応する賢者の石。
それとともに見えざる手にて絡め取られてしまうのは。
プラの結界型BIMにて守られながら状況を固唾を飲んで見守っていた柿崎めぐ。
闇から騒々しい拍手とともに現われたのは
奇怪なる兎頭にジェントル然とした佇まいをするラプラスの魔。
闇の奥で誰かの手が本をめくる。
奥底の深淵にて、《女神》の代わりに宣言せんとする。
――ブラボー、ブラボー! 実に素晴らしい演奏でした。
ですがまだ終点にはなりえません。これは失敗なのです。
どうしてそう言い切れるか。何故ならば《儀式》を通じて告げられた言葉には、
《女神》の赦しが付与し、絶対の呪いとなっているのです。
純白の手袋をした兎の指が翻弄するように振られる。
――閉ざされた女神。本来ならば宇宙をも創るその権能。
その可憐なる口に毒リンゴを喰ませたのははたして真には何者か。
さてさて、戯言は忙しい貴方達の苛立ちを紛らわせるため。
長すぎては興ざめというものでしょう。まだ《究極》には程遠いのですから。
理には時を刻んでいただかねばなりますまい。そのための緊急措置が今から行われんとしています。
無意識の海にて闇が侵食しだす。
汚染の波が、少しずつ、少しずつ。
――ローザミスティカを究極とは程遠くても、
ハルネラを執行する依代には十分であり。
弱々しき少女でも、人柱の資格は如何様にも押し上げられますれば。
つまるところ、かつての《勝者》の”願い”はこれからも、終わらず。
老け顔の中学生も、ワイルドセブンも、
ローザミスティカの奪取によって霧散し。
遺るは、桐山と《女神》のみ。
ローザミスティカの力を借り
2013-04-14T18:42:35+09:00
1365932555
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きっと、その右手を掴むから
https://w.atwiki.jp/rowarowa/pages/312.html
*きっと、その右手を掴むから
「本来なら、俺の出る幕はねぇんだよ」
“彼”は煙草をゆっくりと吸いながら、彼らの後ろにいる“彼女”に言葉を投げかける。
眼の前に立ち塞がる彼らが視界に映らないのか。
“彼”は未だに戦闘態勢は取っていない。
「だが、ロスタイム。終わり間近に交代のお呼ばれがかかった訳だ。
ったく、あいつら……めんどくさいことを押し付けやがって」
言葉に呼応するかのように、口に咥えた煙草の煙がゆらりゆらりと風に吹かれ、宙に舞った。
戦場の荒野で、“彼”は悠々自適、荒れ狂う炎を物ともせず、気さくに笑う。
余裕。それとも、油断か。
どちらにせよ、眼前の二人は“彼”の目には適わない。
「で、女神さんよォ、そいつら……邪魔なんだが仕舞ってくれないか」
なりません。彼らは、貴方達の壁。立ち塞がる、宿敵。
女神の言葉が終わるのと同時に、両者が荒野の大地を駆け走る。
サクラテツは土塊を撒き散らし、ポルシオンは赫炎を吹き焦がす。
それは、光速よりも鋭く、音速の壁を通り越した刹那の瞬。
口に咥えていた煙草が、灰燼へと散っていく。
両者の絶対の一撃に、“彼”はなすすべもなくやられるのみ。
だって、彼らは比類なき最強だから。
ただの、人の“願い”を溜め込んだだけの護神像と、人間、最高の偶像だけでは敵わない。
それは、世界の理として胸に刻み込まれているはずである。
「甘いなァ」
しかし、そんな道理を打ち砕くのが、革命家だ。
“彼”は《反抗の剣(ブレイブ・ブレード)》をかき鳴らし、衝撃波の壁を発生させる。
三百六十度、オールレンジで放たれた音の嵐は勢い良く迫っていた二人を遙か後方まで吹き飛ばした。
「オーケーオーケー。落ち着けっての。がっつく奴は女から嫌われちゃうぜ?
とりあえず、俺から贈れる言葉はこれだ。大人しく、未成年の主張を聞いてから動けよ、馬鹿野郎ってなあ!」
その音は世界の果てまで響き、聞くもの全てを熱狂させてしまうだろう。
キンキンと耳を振動させ、観客が思わず飛び上がってしまう程に。
どこまでも澄み切ったロック・ミュージックを奏で、“彼”を高みへと打ち上げる!
「救いの言葉は届いただろ! 反抗の歌声は世界に響いてるだろ!!
諦めてんじ
2013-04-14T15:27:38+09:00
1365920858
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カーテンが降ろされる間/ある人形師の物語
https://w.atwiki.jp/rowarowa/pages/311.html
*カーテンが降ろされる間/ある人形師の物語
遥か昔。彼女にとっては光の早さの時間だが
生きる者にとっては遠い過去の出来事。
ハルネラを執行するために人柱となることを誓った人形遣いは”願い”を告げた。
願わないことを願う。望むのは《女神》の束縛。
永遠にこれを続けてくれ。
望みのためにひた走る人々の前に手を差し伸べてくれ。
《人形師》が最後の最後に究極を掴むまで。
決して、この儀式をやめることなく、人々を導いて。
女神は叶えた。
彼はもしかすれば狂い果てて、瞳から涙すら無くした
忘我のマリオネットであったかもしれないが。
叶えるのが《女神》であるのだから。
《黄金の瞳で望み統べたもう君》なのだから。
玉座にて彼女は――――ローゼンクロイツの加担者となった。
終わりのない”願い”の成就を乞われた輝きは、
かつては人であった男の言葉に縛られ続ける。
今も、昔も、破滅を超えた人々が卵の殻を打ち破る時、
理貫く矛と理守る盾に挟まれて。女神は虚偽の闇へと、消えていく。
――イーニー・ミーニー・マイニーモー
ほら、これが聞こえれば人形遣いは物語をつぶさに観察している証拠。
でも、彼のことを正確に捉えることはできないよ。
忘れられた存在なのだから、誰は彼どきの蜃気楼に包まれた影法師だなんて、
幻や小妖精の口にも上らない。
|[[きっと誰もが日曜日よりの使者]]|投下順|[[きっと、その右手を掴むから]]|
|[[きっと誰もが日曜日よりの使者]]|時系列順|[[きっと、その右手を掴むから]]|
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2013-04-14T15:26:20+09:00
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きっと誰もが日曜日よりの使者
https://w.atwiki.jp/rowarowa/pages/310.html
*きっと誰もが日曜日よりの使者
突き抜ける青空の下で、
雲ひとつとなく消滅した大気の中で、
砂を高く巻き上げてふたりのドールは闘う。
サクラテツの剛腕が唸りをあげてワイルドセブンの顔面に吸い込まれ、
とっさに前に出していた左手で軌道を逸らし、開いた右手で刀を突き刺す。
刃はサクラテツの鋼鉄の皮膚を破るには至らず。
胸ぐらを掴まれたワイルドセブンは頭突きをくらい視界に火花が走った。
「強い……ってか強すぎるだろ!!
こんなヤツがいたのかよ!?
どんな世界だよ。ドラゴンボールか!」
がむしゃらに暴れてサクラテツを突き飛ばした
ワイルドセブンは距離をとって策を練り上げようと考え。
そんな彼へと大きな影が不吉な予感とともに覆いかぶさった。
巨大なビル、根本で折られた30階建てはくだらない超高層のビルが
サクラテツに軽々と持ち上げられ、ワイルドセブンへ投げられた。
「いやいやいやいや!」
予想外の攻撃の仕方、
ならばと避けを選ばず
あえてビルを貫通して向こうに逃げようと考え。
しかし、ガラスのない窓と幾らかの柱をくぐり抜けた先には
もぐらたたきの要領で出を潰そうと
待ち構えていたサクラテツの大きな掌。
成すすべなく頭を万力のように掴み上げられたワイルドセブン。
徐々に篭められた力が上がっていき、
こめかみに痛みが走り、体に罅が入る音が出始める。
手に現出させた散弾銃、
《四宝の剣》で相手の存在確率に干渉する効果を秘めた弾を撃ちだす。
弾は銃身ごとはたき落とされ、意識が逸れた隙に相手の肘へ掌底を叩きこむ。
関節への攻撃でアイアンクローから解放されたワイルドセブン。
翻っての攻撃をサクラテツに繰り出すがどれも決定打には至らない。
これが最強の主人公の力。
彼を突き動かすのは“家”とそれを守るための“金”への
狂的執着心。“願い”は彼の肉体を比類なき頑健たらしめ。
飽くなき想いは如何なる敵をも打ち砕く。
だから、試練を課された者はこれを超えねばならない。
変革を目指すなら、運命が産み出す最大の強者よりも高くあらねばならない。
ワイルドセブンの顔に焦りが生じる。
あまりにも高い壁。茨で出来た
2013-04-14T15:24:45+09:00
1365920685
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幕はインガノックにて降ろされる
https://w.atwiki.jp/rowarowa/pages/309.html
*幕はインガノックにて降ろされる
「ねぇ、何処に行くのよ」
最高のフィナーレの先へと足を踏み入れたお姫様は、ふらふらになりながらもゆっくりと立ち上がる。
希望なんてあるはずがない。あったとしても、それは既に奪われている。
柿崎めぐは心中で吐き捨てて、囚われのヒロインというレッテルを踏み潰す。
“願い”は復讐。惜しみのない諦観の銃弾を解き放つ、血塗れのアリス。
「聞いてるの? 貴方、耳はちゃんと聞こえてる?」
「聞こえている。そう、答えを急がせるな」
その視線の先には、永遠を奪った王子様。
お姫様から花嫁を奪った――――世界の敵。
沢山の人を殺して、傷つけた殺人者、桐山和雄。
「俺は行く。いや、行かなくちゃいけない」
「何処に?」
「世界の果てだ」
「不条理だらけの物語を、正しに?」
「正しいかどうか、そんなのはそれぞれだ。人の数だけ、正義が在るのと同じだ」
不条理だらけの物語。継ぎ接ぎでボロボロの物語。
決して、ハッピーエンドには成り得ないラストゲームは誰かの自己満足によって、終わるだろう。
ワイルドセブンも、桐山も、めぐも。全員が全員、自分の意志を押し通そうと闘っているのだから。
「望もうが望まなかろうが。俺が俺じゃなくても。生きている以上、俺は誓おう。
そこに、“願い”が在るなら。走り続ける。世界の果てが見えても、飛び越えよう。
他の奴等と違えば、競合しかない。誰の“願い”も踏み潰さず進むことなど、不可能だ」
「……」
「だが、真実だ。全ての奴等が分かり合えるのは、幻想だ」
誰一人欠けることのない幸せの物語は、もう届かない。
だって、それは幻想に置いてきてしまったのだから。
「だからこそ、俺は――その幻想を殺そう。全ての“願い”をまっさらにして終わりにする」
「……最低」
「言っただろう、俺は」
「言わなくてもいいわ。知ってるわよ、全部。私の心臓には貴方が埋め込まれているもの。
知りたくもないのに、流し込まれる気分って陵辱に近いわ。強姦魔の桐山君?」
「…………」
「あら、だんまり? 別にいいわ、反応なんて期待していなかったし」
幻想を殺すことが沢山の人の“願い”を殺すことを理解している。
成した結果が崩壊の序曲を奏でようとも、いつかは復活の終曲
2016-10-01T05:46:25+09:00
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幕は対話篇にて降ろされる
https://w.atwiki.jp/rowarowa/pages/308.html
*幕は対話篇にて降ろされる
歯車が天井を覆い、回ることなく、止まっている。
光を放つ女神は玉座に座り、穏やかな瞳で来訪者を迎え入れた。
無数の歯車は茨のように絡みあって天蓋を成し、
螺旋階段の中央に聳え立つ巨塔の内部は広大な機械じかけの森となっていた。
ここは、かつて薔薇乙女が過ごしていた空間。
ローゼンクロイツが生命の神秘を探求したアトリエ。
こんにちは、ワイルドセブン。我が子らの想いの果てに産まれたドール。
待っていましたよ、貴方のことを
光は少女の姿をしていた。
月の光で出来た絹によって織られたローブだけを着、
瀟洒なドレスとはまるで違う質素な姿なのに、圧倒される神々しさを持っていた。
これが、女神。
闇夜に光を与える存在。
「典子の姿をしてるのは俺を誘惑するためかい?
なら、悪いね。俺は一途なんだ」
ワイルドセブンの軽口に女神は柔らかな笑みを湛えて。
中川典子のかたちをとった女神は胸に手を当てた。
この姿は貴方の記憶を元に構成しています。
私に明確な肉体はないのですから。
「そりゃ残念。絶世の美女でも拝めるのかと思ってた」
そう言ってワイルドセブンは笑った。
それでは、ワイルドセブン。“願い”を私に。
最も力ある高貴な魂を三柱に据え、
私は神儀を執行しましょう。
「俺の“願い”――――」
静かに瞳を閉じてワイルドセブンはこれまでの出来事を想い出す。
死にゆく人達、自分に手を差し伸べてきた人達、
自分が手を差し伸べようとしてきた人達、
ともに歩いてきた人達。
「秋山に聞いたんだけどさ。
日本っていう国があるんだ。
俺の育った大東亜共和国とよく似ているけど、
色んなところで違う国。
そこではロックも何も禁止されていなくてさ。
俺は想ったよ、羨ましいし、そんな国があったら
俺も殺しあわなくてよかったかもなって」
瞳を開くとワイルドセブンは造り物の瞳に確かな意志を燃やし、
女神へと語りかける。
「俺はずっと日陰で蹲っている人達が
光の道を歩けるようにしたかった。
居場所を与えたかった。
みんなの光を遮る木を少しだけ切り倒したかった」
女神
2013-04-04T08:56:15+09:00
1365033375
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ワイルドセブン
https://w.atwiki.jp/rowarowa/pages/307.html
*ワイルドセブン
こつこつ。こつこつ。
透明な水晶で彩られた螺旋階段を、ワイルドセブンは段数を減らしていく。
登った先にあるのは本物の女神、デウスエクスマキナの居城。
本物の理想郷。“願い”が叶うであろう夢の場所。
「膨大な長さだな……かったるいと言いたくなっちまう」
そこに到達しようと、ワイルドセブンは消耗した力を振り絞って上へと登る。
それは、既にいない杉村達の為か。
それは、今も下界で闘っているであろう桐山の為か。
それは、亡霊の如くこの世界にとどまっている自分の為か。
既に、“七原秋也”としての自分は終わっているのだ。
どんな答えに達しても、それはワイルドセブンとしての自分だ。
桐山も、ワイルドセブンも。ほんの少しのロスタイムをもらって今を生きているだけなのだから。
「……はっ」
何をセンチメンタルに考えているのだ。
今は女神の居城へと早く至ることだけを考えねばならない。
“親友”が殿を務めてまで、自分を上へと押し上げてくれたのだ。ここでかっこ良く決めれないでロックスターは名乗れない。
「さぁ、アンコールの時間だ」
そして、彼は――頂上へと辿り着く。
夢の残骸、“願い”の欠片で創られた理想の城。
生存者無き世界で、彼は――前を向く。
そっと、彼は水晶のドアノブに手をかけて。
「はじめまして、女神様。いや、久し振りって言った方がいいかな? 典子」
ワイルドセブンは、思う。
きっと、俺の物語は――――ここで、終わる。
#########
「どうか、世界の理に絡め取られた彼に、憐れみを」
#########
そこは、理想の世界だった。
国信慶時が、杉村弘樹が、三村信史が、川田章吾が、桐山和雄が。
「よっ、何ボケーっと突っ立ってるんだよ」
「注意力散漫だぞ、七原。怪我でもしたらどうする」
「妄想に耽っていたんだろ~。それよりも、学校サボってどっか行こうぜ」
「ははっ、いいんじゃねぇの? そういうのも青春だ」
「それならゲーセンに行きたい。エヌアインという格闘ゲームにハマっていてな」
肩を預けて、一緒に歩くことができる。
「ゲーセンはうるさいから嫌いだわ。優雅に紅茶を飲んでいる方が有
2013-03-25T20:16:08+09:00
1364210168