孤独で無音な物語(仮)


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00-し(孤独で無音で)



                      とってもつめたい女の子

とっても静かな男の子

                      真っ赤な眼して こっちみる

つめたい眼して こっちみる

                      「私がなにかしましたか?」

「僕がなにかしましたか?」

                      彼女 屋上見渡して

彼は屋上 パン食べて

          こうつぶやくのさ『みんな死ね』

01-人形(赤い目美人)

 私には人間の考えてることがまったくもって理解できない。私なんて見て、いったい何が楽しいのだろう。私は気がついたときにはもう、人形だった。それは、気がつけば人間として生活をしていたように同じように、または痛みを感じずに死んだかのように。
 私は今、美術館のガラスのケースの中に展示品として、人間にジロジロと見られている。人形なのだから、見られるという行動はいたって抵抗はないから、いたっていつも道理である。
 こんな私にも、じつは願い事がある。人形の分際で願い事というのも変ではあるが。
 私は動けない。だからこそ、人間のように動くことが、私の願い事。今の状態に不満はいだかない。けど、人間のように動き回れたらきっともっと楽しいくなれるのだろう。それぐらいのことぐらい、私にだってわかる。
 でも、私には無理だってこともわかっている。だって、私は人形であって、人形でしかないからだ。
 だからこその願い事なのかもしれない。動きたい。


 私にも多少人間のいってることがわかる。ちゃんと動けるようになった日のために、日々人間が何をいっているかをちゃんと理解せきるように勤めている。それに、日付けだって理解できるし、多少の言葉だって理解できている。
 だからこそ、今日この美術館に、誰一人として人間がいないのはおかしいのである。今日は休館日なんかじゃないはずだ。それに、もし休館日だったとしても、警備委員すらいないのは不自然である。また、今日は外から音っがしないのも不自然である。せめての車の音すらしない。
 そんなことを不思議に思いながら、私は何を思ったか右の指先を動かしてみた。
 ん?動かしてみた?
 そう、私の指は動かせた。なぜ?私は人形のはずだ。人形がうごけるわけない。
 私はいまだに真実を受け止められず、また同じ指を動かしてみた。
「ああ」
 指を動かせたために、うれしさのあまり声をもらしてしまった。
 ?
 声をもらしてしまった?
「♪~」
 私は声を出せた。そして、すぐに後悔したことがあった。最初に喋った言葉が「ああ」だなんて、ナンセンスすぎる。
 私は、調子にのって腕ごと動かしてみた。が、おもいのほかうまく動かせずに、「ガシャン」という騒音が聞こえてしまった。ガラスを割ってしまったのだ。だが、私はなにも思わない。だって、このガラスというものはもともと、一回でも割ってみたかったからだ。
 そして私は、大きいけど小さい、立派で不恰好の一歩を踏み出した。

02-音無(バーカ)

 いじめられるのに理由はない。ただ「うざい」などといった若者がつかう、汚いうすっぺらな言葉ですまされてしまう。そんな薄っぺらい理由のせいで、この世を去ってしまう『若者』というのは後をたたない。きっと僕もその『若者』という枠に、部類されるのだろう。
 いじめが楽しいかどうかなんて知らない。いじめたことがないから。けど、きっと楽しいことなのだろう。大人が「かっこわるいこと」などと戯言をいっているが、絶対に奴らはそんなことなど気にしない。だって、戯言でしかないから。
 僕は、ただ生きたいだけなのだ。だからこそリストカットをする。傷をつけないと生きていけない。だから、カッターを腕にあて、横に動かす。
 何がいいたいかっていうと、僕は家から走り出した。いじめられたからリストカットをした。そしてそのリストカットが親にばれたから。親から戯言を浴びたから。生きることに失望してしまったから。死にたいとおもったから。ちょっとだけ、みんないなくなればいいとおもったから。
 けど、世界が無音になる必要性なんて、どこにもない。
 僕は一人ぼっちになった。

03-音無(バーカ)

 家出少年となってから、どうして誰もいなくなった世界にきて、きがついたのが夕方になったかのはなし。
 僕は家をでて、幼稚園の頃に、今はいじめっ子と化した友人や、当時は仲がよかった女子たちとつくった、とても愛着のある秘密基地へと足を走らせた。走っているときにはあまり意識をしていなかったから、きがつけばそこにいたようなものだった。ホント、無意識だった。その秘密基地は、人通りがすくない通りにあった。隣にあるのはあやしい映画館や、あやしい美術館、といったところだ。
 僕は秘密基地の中へと入り、すぐに寝た。いつもは、夜に月を見るクセがついていたりするのだが、泣き疲れていたのかそれとも、人生に疲れていたのか。すぐに、ぐっすりと眠った。

 そして、深い眠りから目覚めてみれば、世界は静寂をまとっていたわけだった。
 「はて、どうしようか」などと、くだらないことを一人つぶやき、ボーっとしていればもう夕方だった。
 ようするに、おきてみれば夕方で、だれもいなかったのだ。