5話


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これまでの物語、その三つのあらすじ・・・
一つ。ディバイン・クルセイダースが地球連邦軍に対し宣戦布告。
二つ。一方通行がパーソナルトルーパー『アルトアイゼン』を奪取する。
そして三つ。開かれた門から、新たなる戦乱の兆しが舞い落ちる。
この世界の運命を握るのは一体誰なのか・・・戦いはまだ、始まったばかりであった。

―――連邦軍伊豆基地
時刻は深夜を回っていた。殆どの人員は眠りについている。
ウィイイイイ!ウィイイイイ!
伊豆基地全域に緊急アラートが響き渡った。
『緊急事態発生!緊急事態発生!』
「一体何事だ!」
サカエ・タカナカ中佐はオペレーターに確認をとった。
「海岸方面に膨大なエネルギー反応を確認しました!」
「DCか?」
「わかりません!」
「状況は?」
その時、地球連邦軍極東支部司令官レイカー・ランドルフ准将が到着した。
「司令!」
「ダイテツ艦長に伝達は?」
「済んでいます」
「なら、待つしかないか・・・」

―――観測地点
「ちょっと・・・冗談でしょ?・・・なにあれ?」
エクセレン・ブロウニングはモニター越しに驚愕した。
「おいおい・・・ここは日本だぜ?なんだってあんなモンが・・・?」
イルムガルド・カザハラも、この状況に驚きを隠せなかった。
「黒い・・・オーロラだと?」
キョウスケ・ナンブはこの異常な事態にもその表情をほとんど崩しはしなかった。
そう、雲が渦巻き、その中央に黒いオーロラがかかっていた。
ピシッ・・・ビシィッ!!
「な!?」
「ちょっとちょっと、大丈夫なの!?」
空に皹が入り、光が差し込んでいた。そして、
ガシャアアアアアアアアアアアン!!
「オイ・・・なんだよあれ」
「あれは・・・?」
「・・・戦艦・・・?」
開かれた空から、轟音と共に戦艦が落ちてきた。

―――アドリア海「501部隊基地」食堂
「いっけな~い!今日当番だった!」
宮藤芳佳は慌てて走っていた。今日は朝食の当番だったが、運悪く寝坊してしまったのだ。
割烹着を用意し、食堂に入ると・・・
トントントン・・・シュー・・・
「お、そろそろ時間かな?どれどれ・・・うん、上出来だな!」
「あ・・・あれ?」
そこにいたのは、先日配属されたばかりの眞田悠斗大尉が、厨房に入って食事を作っていた。
白黒のチェック柄のエプロンを着て、鼻歌交じりに調理しており、芳佳を呆然と立っていた。そして振り向いた悠斗と目が合った。
「お、芳佳ちゃんじゃないか。悪い、勝手に厨房使っちゃって・・・とと、吹く吹く」
悠斗は慌てて鍋の様子を伺う。どうやら大丈夫のようだ。
「いや、あの、大丈夫ですけど・・・どうしてご飯を?」
芳佳は素直な疑問を悠斗にぶつけた。
「ん?ああ・・・あんまり寝れなくてね・・・気づいたら朝で、とりあえず何かしようと思ったら、朝食を作ろうと思ってね」
「そ、そうですか・・・」
「あー・・・ちょっと手伝ってくんないかな?量作りすぎたせいで手が回らなくなってきちゃってさ・・・」
「あ、は、はい!」
こうして。みんなが来るまで二人は食事を作った。誰かが来るたび、悠斗が料理をしているのを見て驚きを隠せなかった。

「ほぉ、これは大尉が作ったのか、なかなか美味いな」
今日のメニューは白飯に味噌汁、焼き魚(鮭)肉じゃがの定食のような組み合わせだった。
「そうですか?それはよかったですよ。味はついてるけど、実はあっさりめに仕上げてあるんですよ、これがですね」
悠斗は自慢げに話し、肉じゃがのいもを頬張った。
「確かにうっまいなーコレ。コックでも食ってけるんじゃないか?」
「いやぁ・・・それは・・・」
悠斗が苦笑していると、
「おかわりー!」
「私も私もー!」
ルッキーニとエーリカからおかわりを頼まれてしまった。悠斗が席を立とうとしたら、
「・・・みんな、そのままでいい、話がある」
『?』
突然、坂本少佐がそれまでの沈黙を破った。
「昨日、コウヅキ博士から連絡があって、機体搬入が遅れるらしいの」
続けてミーナ中佐が話し始めた。
「なので、今日は突然だけど、訓練はお休みします。みんな、ゆっくり羽を伸ばしてくださいね」
『・・・』
しばしの沈黙の後、
「わーーい!」
「よっしゃああああ!!」
ルッキーニとシャーリーが歓喜した。
「だが、近くの街に買い物に行って欲しい。何人か頼めるか?」
「はいはーい!私行くー!」
いの一番にルッキーニが手を上げた。
「私も行く!」
エイラも手を上げた。
「確かに、ここでの買い物は貴重ですわね」
「でも、みんなで行くわけには・・・」
「・・・うーん・・・ここはクジで決めないか?」
そういうと悠斗は即席クジを取り出した。
「用意がいいな、お前・・・」
バルクホルンは呆れた様子で言った。
「まぁまぁ・・・少佐と中佐は仕事がありますよね?だったら半分半分、5人までが買い物組だ!」
悠斗は5本の当たりクジを容器に入れ、ひたすら振り続けた。
カシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャ・・・
「そろそろいいか・・・?いくぞ?恨みっこナシだかんな・・・せーのッ・・・だらっしゃああああああああああああああ!!」

―――市街地
「・・・・うぇ・・・・くらくらする・・・」
俺は賭けに勝った。しかし、希望には絶望を。対価は支払われるべきだと俺は思った。そしてそれを身をもって知った。
当たりを引いたのは、俺、芳佳ちゃん、ルッキーニちゃん、シャーリー中尉、ハルトマン中尉の5人だった。
“シャーリー中尉の運転”という言葉に何人か奇妙なリアクションをしていたが、その意味を痛感した。
(うぇぷ・・・くそっ、みんな知ってたんだな・・・謀られた・・・)
その運転はいわゆる、普通乗用車で峠を攻める漫画のようなものだった。
「・・・あの、大丈夫ですか・・?」
同じ様に顔が青い芳佳ちゃんに心配されてしまった。
「大丈夫だよ・・・多分・・・とりあえず、ちゃっちゃと頼まれたもの買おうか」
服とか色々買っていたが、そういうものはみんなに任せ、俺は荷物もちに徹した。そして・・・
「ふぃー・・・終わったー・・・」
買ったものをトラクター積み込み、俺たちは買出しを終えた。しかし、それだけで終わらせるのは勿体無い。
「よーし、まだ時間はたっぷりあるから、自由時間にしようか。責任は俺が取るからさ」
『わーい!!』
みんな嬉しそうだな。ナイスな提案だ俺。よくやった俺。地獄の後には天国を。救済は誰にでも必要なものだ。
「さてさて、ここに取り出したるは・・・再び!クジターイム!今回の当たりは二つだ!」
「さっきから何してんのかと思ってたら、クジ作ってたのかよ・・・」
「いーんじゃん?面白そうだし!」
「よく言ってくれたハルトマン中尉!じゃあ早速やろうぜ!」
そして俺たちはクジを引いた。

「ねーねー!次こっち行こうよー!」
ハルトマン中尉は俺なんかお構いなしに走っていく。俺はついていくのに必死だ。
このとおり、当たりは俺と中尉が引き当てた。そして振り回されている状況にある。
「ま、待ってくれよ・・・中尉~」
これまで様々な店に入り、主にお菓子を奢らされているのだが、いったいどこにここまでの行動力が・・・
「・・・ん?・・・あれ?」
はぐれた。
「ちょ・・・中尉!?中尉ぃぃぃぃ!?」
流石に慌てる。何故なら俺は今どこにいるか、まるでわからないからだ。俺は走る、ひたすら走る。
「おいおいマジかよありえないだろおい!こんな状況になるなんて誰が予測できる、できるわけないだろうがぁぁ!!」
一人載り突っ込みもさることながら、俺は全力で疾走した。そして道のはずれでやっとハルトマン中尉を捕捉した。
「ゼェ・・・ゼェ・・・よ、ようや、ゲホッゲホッ・・・・見つけ・・・ん?」
「あ、大尉・・・」
そこにいたのは、ハルトマン中尉といかにも迷子のような少女が立っていた。
「どうしたんだ・・・って言うまでもないか・・・。君、名前言える?」
俺は屈んで、少女の目線まで合わせてから話しかけた。
「・・・アリシア」
この少女、アリシアは不安そうな表情をしている。
「ねー大尉・・・」
「あぁ、わかってる。多分この子を探してる人がいると思うん、見つかるまで探そう」
「・・・・え?いいの?」
「さっすが大尉、話が分かるぅ!」
褒められるのは悪い気がしないな・・・。しかし、手がかりがないかもしれないな・・・。
聞けば、地図も持っていないらしい。その上緊急用の集合場所もわからないようだ。
「あとさ、俺のことは名前で呼んでくれよ」
「え、いいの?」
突然の提案にハルトマン中尉は驚いていた。無理もないか、と思っていると、
「うん、わかった!だったら、私のことはフラウって呼んでよ!」
こちらの予想をさらに上回る返答に驚愕した。
「えぇ!?それこそいいのか?」
「いいよ。じゃ、ゆーと、いこっか!」
「あぁ!それじゃ、アリシアちゃん、ついて来てくれないかな?」
「うん、わかった!」
ようやくアリシアに笑顔が戻った。そして二人はアリシアの保護者探しを始めた。
街の人に聞いたり、アリシアの記憶を頼りにして色々な場所を渡り歩いた。そして、
「あ!ここだ!」
アリシアが喜びながら当たりを見回し、そして見つけたのか駆けていった。
「おにーちゃん達、ありがとー!ばいばーい!」
手を振って見送ってから、
「じゃあ、俺達も行くか」
「そうだね。あ、帰りにお菓子買おう?」
「またかよ!」
そんな会話をしつつ、俺達は元の道を引き返した。

―――今思えば、この選択は功を奏したのかもしれない・・・

「チッ・・・あのガキ、どこ行きやがったんだァ・・・?」
一方通行は集合場所であった噴水に腰掛けていた。その手には連絡用の通信機が握られていた。
「おーい!」
「ンあ?」
一方通行が振り返ると、アリシアが笑顔で駆け寄ってくる。一方通行はそれをチョップで返した。
バシバシバシバシ
「いったーい!ひどい!!」
「ふざけてンじゃねェぞ、クソガキ!面倒かけやがって・・・」
「うぅ~・・・ごめんなさい・・・。でもいい人達に助けてもらったの!」
「あァ?で、そいつらは?」
「もういっちゃった」
「・・・そうかァ」
(あのオッサンの依頼で来たはいいが・・・)
そう、アマガツからの依頼で彼らは来ていたのだ。
(俺に何をさせる気なんだァ・・・?)

「にしても、濃い一日だった・・・」
「にゃはは、まーいーじゃん?面白かったし」
「ま、終わりよければすべてよし、か?」
「そうそう!」
大量のお菓子が入った袋を両手に持ち、俺とフラウは帰路についていた。そろそろ合流しないと時間が危ないからである。
「しかし、昔からいいことをすると必ずいいことがあるっていうが・・・」
「だよねー。あー、早くいい事こないかなー・・・あれ?」
悠斗の反応がなかった」ため、フラウが振り向くと、悠斗はある店の『何か』を見つめていた。
「・・・何みてんの?」
「・・・」
悠斗は答えなかった。いや、聞こえてはいないのだろう。ガラス越しの『何か』に気をとられているようだ。
「・・・おーい、聞こえてる?もしもーし。・・・いったい何を・・・」
悠斗の視線を追って、フラウが見たもの、それは・・・
「ギター?」
そこには、古ぼけたアコースティックギターがかけてあった。かなりのアンティークものであろう。
「・・・欲しいの?」
「・・・・・・・・・はっ、え、あ、いや、別に・・・でも」
そう言うと悠斗は引き寄せられるように店の中へ入っていった。
「え!?ちょ、ちょっと、ゆーと!?」
フラウはなすがまま一緒に入ってしまった。
「これ・・・どこかで・・・どこだ、どこで見た・・・?」
一人ぶつぶつと呟く悠斗を尻目に、フラウは値札を見ていた。
「うっわ、高!」
確かにそのギターは、かなりの値がついていた。二人の所持金をあわせても届かない額であった。
「その品に興味がおありで?」
その時、店の奥から、初老の男性がやってきた。温厚そうな雰囲気を持ち、こちらを見つめていた。
「すみません、これ・・・どれぐらいの年月が?」
「はい・・・50年以上は経過しているものかと。私も譲り受けたものですから・・・」
「そうですか・・・」
悠斗は、どうしてもそれを諦めることができないようだった。
「・・・店主、これで曲を弾かせて頂けませんか。もしこれに見合うと感じたのならば、値を半分にして貰えないだろうか」
「え!?ちょっといいのそれ!?」
「今、手持が少なく、この額の半分でなら手を打てるんです。お願いできますでしょうか」
真剣な眼差しで店主を見つめる悠斗。心なしか言葉遣いも変わっていた。
「・・・わかりました。では、こちらに」
「有難う御座います」
椅子に深く腰掛け、ギターを担ぐ悠斗。チューニングを一瞬で終え、深呼吸と共に、静かに演奏は始まった。


時計は動くのをやめ
奇妙な晩餐は静かに続く
何かを脱がすように
もうそろそろ口を閉じて
分かり合えてるかどうかの答えは
多分どこにも無い
それなら身体を寄せ合うだけでも
優しいものはとても怖いから
泣いてしまう貴方は優しいから
誰にも傷が付かないようにとひとりでなんて踊らないで
どうか私とワルツを
この冬が終わる頃には
凍った鳥達も溶けずに落ちる
不安で飛べないまま
あとどれだけ歩けるのだろう
きっと貴方は世界の果てへでも
行くと言うのだろう
全ての温度を振り払いながら
失う時がいつか来る事も
知っているの貴方は 悲しい程
それでもなぜ生きようとするの何も信じられないくせに
そんな寂しい期待で
優しいものはとても怖いから
泣いてしまう貴方は優しいから
誰にも傷が付かないようにとひとりでなんて踊らないで
不思議な炎に焼かれているのなら
悲鳴を上げて名前を呼んで
一度だけでもそれが最後でも
誰にも傷が付かないようにとひとりでなんて踊らないで
そして私とワルツを
どうか私とワルツを


演奏が、終わった。儚い空気を漂わせながら悠斗はギターをスタンドにかけた。
(なんだか・・・悲しそう・・・)
フラウはそんな事を考えながらも拍手を送った。
「・・・」
悠斗は、言葉では言い表せられないような気持ちでいた。
「素晴らしい演奏でした。・・・では、値の方は三分の一ということで」
「!?待ってくれ!俺は半分ででいいなら買うと・・・!」
「いえ、これは私からの気持ちです。・・・実は私、今日でこの店をたたむのです」
「な・・・!なんでまた・・・」
「息子夫婦に、一緒に住まないかと言われまして・・・楽器達はほとんど持っていく事ができませんから」
「そんな・・・」
「ですから、それはあなたがもっていてください」
「・・・」
悠斗が悩んでいると、
「いーんじゃないの?貰っちゃえば」
フラウは悠斗の顔を覗き込んで言った。
「フラウ・・・だが、俺にそんな資格があるのか?」
「資格どーのこーのじゃないんじゃないの?自分の気持ちに素直になっちゃいなよ」
「・・・そうだな、わかった。じゃあ三分の一で」
「かしこまりました」

辺りが夕焼けに染まりつつある街を、二つの影が歩いていた。
「すっかり遅れちゃったな」
「そうだね」
「説教は確定だな」
「うへー・・・」
「1時間は続くかもな」
「聞きたくなーい・・・」
「まぁ、俺のせいだからな・・・掛け合ってみよう。無駄かもしれないけど」
「じゃあ、早く帰ってお風呂入ろうかなー」
「おい、逃げるつもりか?」
悠斗は苦笑する。そんな悠斗の姿を見てフラウは、ある質問をする。
「ねえ、ゆーと」
「ん?」
「夢ってある?」
「何だよ、唐突に・・・そうだな・・・誰かの夢を守ることかな。フラウは?」
「私?私はね、医者になることなんだ」
「へぇ、医者か・・・予想外だったな」
悠斗は素直に感嘆した。
「なにさ、その反応はー」
「いやいや、いい夢じゃないか。じゃあ将来的にさ、もし重傷で運ばれたら治療してくれよな」
「まっかせなさーい!」
談笑しつつも合流場所に近づいていた。
「俺は応援するよ、その夢」
「・・・ありがと」
「あ、やっときた!」
「悠斗さん、ハルトマンさん、おかえりなさい!」
「おう!遅れて悪かったな・・・。まぁ、色々あってな」
「で、デートはうまくいったのか?お二人さん?」
「ぶっ!?」
シャーリー中尉の意外な発言に、俺は動揺してしまった。
「結構面白かったよー」
「っておい!誤解を招くようなことを・・・ッ」
「ほほ~、イイ感じじゃないか」
「くっ・・・ぬがああああああ!」
その後、俺は基地に戻るまでずっとからかわれ続けたのであった。

―――同時刻、タクラマカン砂漠
「チクショウ!なんなんだ、あいつは!?」
「こちらの攻撃が通じないだと・・・!」
DCのAM部隊は、正体不明の特機と戦闘状態になっていた。状況は劣勢だった。
「・・・ったく、なんだってんだよ・・・テメェラはああああああああああああああ!!」

[次回予告]
急遽開催されるパ-ティーに出席することになった俺達501メンバー。しかし、それは陰謀渦巻くパーティーでもあった。
そして俺は、仮面の男と遭遇する。
次回、【祝福と道化】運命の歯車は回り始めた
ツールボックス

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