7話


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ここは、どこだ。
『まだ、眼を醒まさぬか』
だれだ、おまえは。
『ふむ、まだ「因子」とやらが足りていないのか・・・』
なんのことだ。なにをいっている。
『脆弱だな、我がヨリシロよ。それでは再び舞い戻ることはまだ無理か』
おまえは・・・

「・・・はっ!」
目を覚ました時、悠斗はベッドに横たわっていた。
「俺は・・・」
その時「あの惨状」を思い出し、頭を抱える。
「なんで・・・俺はあんなことを・・・」
あの声の主は誰なのだろうか。最後に言っていた事が気になる。
『お前が使命を忘れているのであれば仕方ない。貴様は「記憶の欠片」でも探せばよい』
(記憶の欠片・・・それが俺に必要なものなのか?)
「大尉、入ってもいいか?」
坂本少佐の声が聞こえた。あの姿を見られたのが、少し苦しい。
「あ、はい・・・どうぞ・・・」
「大丈夫か、大尉。時々魘されていたが・・・」
その心配すら、今の悠斗には心苦しかった。
「・・・それで、俺はどうすればいいんですか」
「無理をするな、大尉。今は休養を・・・」
坂本を手で制止するも、悠斗は立ち上がった。
「俺は、戦わなきゃいけないんです。もしかしたら、戦うことで何かが分かるかも知れないんです」
真剣な眼差しの悠斗に対し、坂本は、
「・・・仕方ないやつだ。わかった、ついて来い」
と振り返り部屋を出た。
「・・・ありがとうございます」
小さく、悠斗は呟いた。

ブリーフィングルーム―――

「・・・みんな、ごめん!」
入っていきなり悠斗は頭を下げた。悠斗の性格上、ここは謝らなければと感じたのだろう。
「なぜ謝る必要がある?」
最初に発言したのはバルクホルンだった。
「しかし、あのときのアレは」
「いーじゃん、もう終わった事なんだからさ」
そう遮ったのはフラウだった。
「でもっ」
「はいこの話おしまーい!それよりさ、コウヅキ博士からお仕事の話だってさ」
「・・・俺たちに?確かに、リオンが配備されてたし・・・何かあるのか・・・?」
その時モニターに通信が入った。
「おっはようおっはようボンジュール♪」
マラカスを振りながら踊っているアマガツがそこにいた。現時刻、午前7時である。
「・・・そ、それで、お話とは・・・」
ミーナ隊長が切り出した。流石に引いている。
「ああ、そうだね。実は、タクラマカン砂漠へ偵察に行って欲しいのだよ」
「・・・なぜ今そこへ?」
坂本少佐が疑問を投げかけた。
「ほら、例のアンノウンだよ。戦力だけ削っておさらばとは、置いてかれたパイロット達が可哀想だよねぇ」
「・・・博士、あいつの正体は分からないのか?」
シャーリーは机に突っ伏しながら言った。
「特機・・・としかなぁ・・・。岩投げたりしてきたって報告がまわってきたから武器は無いと考えてもいいかな。拳だけみたいだよ」
(拳だけの・・・特機・・・)
悠斗は聞き覚えのあるような気がした。
「それと、連邦の部隊が付近で展開しているようだから、発見されないように。では、幸運を祈る」
「了解!」
通信が切断されそして坂本少佐が号令を出す。
「さて、聞いての通りだ。すぐに出撃するぞ!」
「はい!」
そして一斉に準備にかかるメンバー。そしてその中、悠斗は「ある言葉」を思い出す。
(記憶の欠片・・・そこにあるのか・・・?)
「何ぼーっとしてんだよ、さっさといくぞ」
エイラに促され、
「あ、ああ、わかってる!」
と、悠斗は急いだ。

―――一週間前、月・マオインダストリー
「草加君、新造したゲシュペンストのテストによく志願してくれたな」
「いえ、僕もグレイブヤードですし。それに、これは僕の役目ですから」
目の前のゲシュペンストを前にし、リン・マオと草加雅人は話していた。
(陽菜、これで君を守る。どんな敵が相手でも・・・そう、全ては)
「・・・夢のため、か?」
靴音と共に、一人の男が現れた。その服装は連邦の制服ではなかった。
「おまえは・・・キバ!?生きて・・いたのか・・・!?」
「ああ、おかげさまでな」
この時、リン・マオはある違和感に気づいた。
「お前・・・どうやってここに入った?」
キバが不敵な笑みを浮かべた瞬間キバは二人の視界から消えた。そして、
「・・ぐがッ」

キバはサーベルを逆手持ちにし、草加の心臓を貫いた。
「キ・・バ・・・ッ・・・お前・・・」
「・・・知ってるかな・・・夢っていうのは呪いと同じなんだ・・・途中で挫折した者は呪われたまま・・・らしい」
そのままキバは草加の首を掴んだ。
「草加少佐!」
乾いた音と共に、キバは草加の首をへし折った。
「他の奴等は片付けた、この機体は貰うぞ」
「ま、待て!」
ズガァァァン!
と、衝撃と共にリンは吹き飛ばされた。
「くっ・・・な、何が・・・」
「海堂達か・・・怨むなら、ラーズグリーズを怨め」
「何?お前は・・・」
キバが搭乗したゲシュペンストは、エアロックを破壊し、ムーンクレイドルを脱出した。
リン・マオは、ただ見てることしかできなかった。

時は戻り、タクラマカン砂漠―――連邦軍実験部隊「グレイヴヤード」駐屯地
「・・・はぁ~」
乾陽菜はテーブルに突っ伏しため息をついた。
「あらあら、乾さんどうしたの?」
そこへ、巴マミがやってきた。
「先輩・・・いえ、特には・・・」
「どうせ草加さんのことでぶはぁっ!!」
ウェイン・三原は思い切りプレートを投げつけられた。
「うっさい!黙ってろヘタレ!前のテストでも迷惑かけてばっかだったし!」
「あわわわ、ケンカはダメですよ~」
そこへ珠瀬壬姫があわあわと駆けつけた。
「大丈夫よたま。こんなアホヘタレの相手なんて、いつものことでしょ?」
「ひでぇ。ヘタレとはよく言われるけど、アホヘタレはひでぇ・・・」
「もう、乾さん、女の子なんだからそういうこと言っちゃ駄目でしょう?」
見かねたのか、マミも仲裁に入った。
「草加君は乾さんの幼馴染なんでしょう?確か今・・・」
「ええ、宇宙です。なんでもテスト用のゲシュペンストが新造されたらしくて。張り切っちゃってさ」
「・・・」
ウェインは陽菜の顔をじっと見ていた。
「・・・何」
「いや、顔にやけてるな、と」
「ッ!!」
ばこーーん!と気の抜けた音と共にウェインは吹っ飛んだ。

タクラマカン砂漠上空―――
501部隊は、グレイヴヤード駐屯地とは正反対の位置にいた。
「各機、異常は無いか?」
坂本少佐は他のリオンに対し通信を入れた。
「ストライカー3問題はない」
「ストライカー4、だいじょーぶだよー」
次々と正常であることが報告される。
「ここから二機分隊で偵察任務にはいります。緊急時には通信を入れるように。では、任務開始!」
『了解!』
ミーナ隊長の号令で、501部隊は偵察任務に入った。

「・・・あたり一面砂だらけ、動体反応なし・・・この方向にいるのかな・・・」
悠斗は芳佳とペアとなり、北西方面を進んでいた。少し気だるそうだ。それもそのはず、数時間前・・・
「・・・あの、なんすかこれ」
出撃前、悠斗が坂本から手渡されたのは狼の耳を模したヘッドギアだった。
「我々のリオンには特殊なシステムが搭載されているらしくてな、このヘッドギアを装着しなければいけないらしい」
「にしたって、こんなコスプレじみたもん、俺に着けろって言うんですか」
悠斗は心底嫌そうに手に持ったヘッドギアを恨めしそうに見た。
「私だって着用するのだ、我慢しろ。それにみんなで着ければ恥ずかしくはないだろう?はっはっは!」
「そ、そんなもんですか・・・。まぁ着けろと言われたらそうするしかないですよね、ははは・・・」
その後、散々からかわれた悠斗なのであった。
(あの後、シャーリー大尉には爆笑されるわフラウには引っ張られるわ、災難だった・・・)
「悠斗さん?悠斗さん!」
芳佳の呼びかけに悠斗は気づいた。
「ん、ああ、何?」
「あの、例の機体がもし本当に出てきたら・・・」
「その時には逃げるしかないな。俺が陽動するから芳佳ちゃんは先に逃げて応援を呼んでよ」
突拍子もない発言に芳佳は驚いた。
「そんな・・・でも、二人なら」
「無理だ」
悠斗は即断言した。
「こっちは新米と記憶喪失、地形を利用されたら全滅は目に見えてる。状況は圧倒的に不利だ。」
「そ、それは・・・」
「ならこの戦術が正しい。俺は戦い方だけは覚えてるから、時間稼ぎはできるから」
真剣な声色に芳佳は反論できなかった。その時である。
「!高速で接近する反応・・・!?アンノウンか・・・?」
「そ、そんな・・・!」
「・・・補足した!・・・あれ、は・・・?」
そこに現れたのは、漆黒に染まった、PTともAMともつかない機体がそこにいた。
「な、なんだ、こいつ・・・。データベースに無い機体・・・?」
黒い機体は芳佳機の周りを飛び回っている。
「え?え?な、なんなの?」
まるで無邪気な子供が興味を示すような動きをしている。
「・・・まさか、この機体が・・・『X-11』?」
「え!?この子が?」
悠斗達は、X-11について、ある程度のことは聞いていた。
『あの機体は危険だ。交戦する事態は避けてくれ。数でおして捕獲できるようなら、そうしてくれ』
その言葉が何を意味するか、この時二人は知る由も無かった。

砂漠のどこか―――
「・・・くぁぁ・・・」
砂原広がる中、ポツンと人影が一つあった。彼こそがアンノウンと認識されている男、トーガ・サンクルスである。
「・・・飯が無ぇ。水もそろそろ切れる。どうすっかなぁ・・・」
トーガは空を見上げつつ、ため息を吐いた。
「俺だけこんな所に“飛ばされて”くるなんて・・・ついてない、不幸だ・・・」
ひたすら愚痴るトーガ。言葉の意味を、今はまだ語るべきではない。そんな中、
「・・・ん?この感覚は、戦いか?・・・メノウ、どうやらここでもお前と共に戦わなくちゃならないみてぇだな・・・」
トーガはゆっくり立ち上がると、目を閉じて感覚を研ぎ澄ませた。
「あちこちに気配を感じるな・・・。んで、あっちには四つくらいか・・・ヤバそうなのも一つ、と・・・む?」
トーガはある気配を感じ、目を開いた。
「この力・・・まさか悠斗さんか?でもなんだろうか、かなり弱いな。ま、合流すりゃわかるか」
さて、とトーガは振り返り、拳の握った。
「この世界にも、刻んでやるぜ・・・!」
トーガは歩き出した。運命の歯車は加速を始めた。


悠斗と芳佳は、X-11の扱いに困っていた。
「悠斗さん・・・どうしましょう?」
悠斗は少し考えてから、ある提案をした。
「このまま連れて行こう。君に懐いているみたいだし、安全だと思っていいはずだ。・・・無人機なんだが」
「わ、私に任せるんですか!?」
流石に芳佳も嫌なのだろう。何せ危険とされている無人機と共に行動するのだから。
「俺が撃たれてもいいなら、俺が連れてくよ」
「わ、分かりましたよぉ・・・」
と、合流ポイント近くまできた時だった。
二人のレーダーに一つの点が現れた。その瞬間である。
ズバシュウゥゥゥッ!とx-11が突然腕からビームを照射し、点があった地点が爆発した。
「なッ!?」
「え!?な、なんで!?」
爆煙の中には蒼い影があった。
「ま、まさか・・・」
「“ブルービート”・・・奴か!」
一方通行である。彼のアルトアイゼンは“ブルービート”のコードネームで呼ばれる。
「一体なンなンだってンですかァ?こンなチンケな場所で喧嘩ふッ掛けてくる奴はさァ・・・」
「まずいッ!緊急事態!繰り返す、緊急事態!!こちらストライカー12、ブルービートと交戦!応援求む!」
『ストライカー1、了解!すぐに行くから、無理はしないで!」』
「了解!」
ミーナと通信を終えると、悠斗は奥歯を噛み締めた。
「・・・無理しないと生き残れないでしょう、これは・・・。だが、なんでアレがここに・・・?」
そんなことを考えている内に、アルトアイゼンはマシンキャノンを撃ってきた。そしてそれをギリギリで回避する悠斗。
「っとぉ!考えてる余裕なんてない!芳佳ちゃん、逃げろ!」
「で、でも!」
「接近戦ができなくとも、陽動には!」
悠斗のリオンFは加速し、突撃した。
「・・・やろうってのかァ?上等だァ、ブッ潰してやらァ!」
悠斗はミサイルを二発撃った。そしてそれを追い越すようにレールガンを発射した。
「ンな見え透いた手ェ!」
一方通行はミサイルを迎撃しレールガンの回避に移る。悠斗の狙いはそこだった。
「・・・うぅおおおぉぉぉぉぉぉぉ!!」
ミサイル爆煙の中、悠斗はリオンを体当たりさせ、ゼロ距離でマシンキャノンを乱射する。
「こ・・・のヤロウッ!ちったァ考えるじゃねェか!・・・だがよォ!」
一方通行はアルトアイゼンのリボルビング・ステークを構えた。しかし、
「させるかぁぁぁ!」
ドンッ!と爆音と共に真下にレールガンを発射し煙幕に使いステークを回避、上空へと逃走する。
「ハァ?・・・面白れェぞ、お前ェェ!」
その時、アルトアイゼンは後方から射撃を受けた。
「こ、このぉぉぉ!」
芳佳機のレールガンに合わせてX-11がビームで支援している。悠斗は違和感を感じながらも応戦していた。
「チョコマカとォ・・・ならァ!」
この瞬間、悠斗は何かを感じ、突発的に叫んだ。
「クレイモアか!?」
この時、悠斗は自分でも何故分かったのか、疑問を抱かざるを得なかった。
「まとめて落ちやがれェ!」
二人とも射程範囲内。リオンの装甲では防ぎ切れない。悠斗は死を覚悟した。
ドォン!ドォン!
二発の弾丸が、アルトアイゼンを襲った。
「援軍か!?」
悠斗は歓喜した、だが芳佳が告げたことは“本来なら”ありえないことであった。
「違います!これは・・・連邦の部隊です!」
「な・・・連邦だって!?気づかれたのか・・・くっ、なんてこった!」

「全く、匿名で情報があったから来てみたら、ビンゴね・・・。しかも」
陽菜は少しイライラしながらもアルトアイゼンを見据えた。
「奪取されたアルトアイゼン・・・まさかこんな所にいたなんて・・・。それもDCの部隊と交戦してる・・・?」
「先輩、詮索は後!まずはコイツをとっ捕まえるのが先!」
ブーステッド・ライフルVを乱射しつつ、接近した。
「あわわ、乾さ~ん!」
「ああ、もう・・・あの突撃娘は!仕方ない、マミさん!たま!俺たちも!」
「ええ、分かってるわ!後輩を補佐するのは先輩の務めだもの!」
「は、はい!了解しました!」
DC、連邦、そして一方通行。戦況は混戦必至となった。

「大尉、宮藤、無事か!?」
「「坂本さん!」」
混乱する戦場で、ようやく501メンバーが揃った。
「眞田大尉、これは?」
ミーナの問いに悠斗は、陽菜の巻き添えを避けながら答えた。
「合流ポイント付近にブルービートがいて、あそこにいるX-11が突然ビームを撃って交戦状態に・・・」
「そのうちに連邦が介入したのね」
「あれが例の無人機か・・・今は味方、ということでいいのか、大尉」
バルクホルンは悠斗に訊いた。無理もないだろう。
「恐らくは。こちらから狙わない限り、攻撃してくることはないでしょう。問題はあっちですよ。ここは漁夫の利狙いじゃないと・・・」
「どちらにしろ逃げられないわね・・・。全機、フォーメーション・ウリエル!アタック!」
『了解!』
そして、戦いは激化する。

「行くぞ、ルッキーニ!」
「うりゃりゃりゃー!」
二機の凄まじい速さのコンビーネーションに対し、
「あわわ、危ない!」
ズガァァン!
「きゃっ!こ、この!」
狙撃用に試作され、扱える者がいなかったライフル「グリフォン」を構えるが、掠るだけで直撃が狙えないたま。
「うにゃ!?」
「大丈夫かルッキーニ!あのゲシュペンスト、あたし達のスピードについて来てる・・・!?なんて狙撃の腕なんだよ!」
少し離れたところででウェインもまた501メンバーと交戦を始めた。
「いっけぇ!スラッシュリッパー、ダブルシュート!」
「ひょいっと、当たらないね」
ウェインのスラッシュリッパーは、エイラのリオンには当たらない。
「くっそ!なんで当たらないんだよ!相手は超能力者か何かか!?」
当たらずも遠からず。エイラは予知能力で回避している。ウェインの技量ではまず当てられない。
「サーニャ!」
「うん!」
バシュッ!とミサイルが射出され、ウェイン機の足元に着弾する。
「うわぁっ!?っく、まだまだぁ!」
ツイン・マグナ・ライフルを構え、ウェインは覚悟を決める。
「ゲームオーバーってわけには・・・いかないんだよ!」

「あんた、なんでアルトアイゼンを!」
「テメェには関係ねェよ!」
射撃の応酬で距離を詰められない陽菜と一方通行。しかし、
「ッ!弾切れ!?」
ゲシュペンスト・ヴォルケインのブーステッド・ライフルの弾が切れてしまった。陽菜はライフルを投棄し、突撃した。
「ステーク、セット!貫けええええ!」
「ならよォ!リボルビング・ステェェェク!」
蒼紅激突。二機が接触する、その時だった。
バシュウッ!バシュウッ!と上空から、ビームが降り注いだ。二人が空を見ると、黒いゲシュペンストが銃を向けていた。
「まさか・・・雅人?来て・・・くれたの・・・?」
しかし、陽菜の期待は虚しく裏切られた。黒いゲシュペンストは陽菜に対してライフルを発射した。
「きゃあっ!?な、何を・・・」
「・・・見つけたぞ、一方通行ァァァァァァァァ!!」
その声の主は、草加ではなかった。
「お前、キバかァ?」
「そうだ!貴様らに復讐するために、地獄から帰ってきた!」
「待てよ!あんた、雅人はどうしたの!?」
その問いに、キバはため息交じりに答えた。
「・・・草加か?あいつは俺が殺した」
その答えに、陽菜は絶句した。
「な・・・何を・・・そんな・・・嘘・・・だ」
「何も知らなかったのか。だがそんなことはどうでもいい」
「どうでもいい・・・だと」
陽菜はスロットルを握り締めた。その目は涙をこらえていた。
「ふざけるな・・・ふざけるなァァァ!」
陽菜はキバに向かっていった。
「いけない、乾さん、駄目!」
「うわああああああ!!シーズユニット、セット!」
『Rady』
「フン・・・ブレイソード、セット。来いよ、このゲシュペンスト・オーガで片付けてやる」
『Rady』
二機の武器が展開し、システムが起動した。
「殺してやる・・・お前なんかっぁぁぁ!」
『Exseed charge』
「シーズ・・・・ブレイクゥゥゥゥ!」
右腕が大きく放電し、ゲシュペンスト・オーガにぶつかった。はずだった。
「・・・甘いんだよ!」
右ストレートをしゃがんで回避し、ゲシュペンスト・ヴォルケインを蹴り上げた。
「うああああ!」
そのままジャンプし、ソードを逆手持ちにした。
「!」
「え、悠斗さん!?」
悠斗はリオンを走らせた。何故だかはわからない。だが、何かが彼をそうさせたのだ。
(間に合え、間に合え、間に合え!)
『Exseed charge』
機械の声が響く。ゲシュペンスト・オーガのブレイソードが金色に輝き、ビームを放った。
「ぐっ!う、動けない!?」
「終わりだ・・・」
急降下しゲシュペンスト・ヴォルケインを狙う。
「なァに余裕ブッこいてンだよキバァァァ!」
ステークをセットした一方通行のアルトアイゼンが迫る。
「終わり、か・・・ごめん、、雅人」
陽菜は自らの終わりを確信し、目を閉じた。
「陽菜!」
「陽菜さん!」
「あきらめないで、乾さん!」
誰もが諦めかけた、その時である。

―――時は、交差する。

「崩天・・・双衝波ァ!」
突然の衝撃波がキバを襲う。
「続いて!烈空旋風脚!」
横から割って入った機体が、キバのゲシュペンスト・オーガを回し蹴りで吹き飛ばした。
「ぐあっ!」
その姿を見て芳佳は声を上げた。
「坂本さん!あれって・・・!」
「そうだ、我々の探していたアンノウンだ」
キバは起き上がると、アンノウンの方向を見た。
「貴様・・・一体何者だ」
「俺か?そうだな・・・通りすがりの破壊者だ、覚えておけ!」
「破壊者・・・だと?」
「まァた訳のわかンねェヤツがでてきたなァ」
その反応にトーガは不服だった。
「うっせ!そうさ、俺は世界を変える破壊者だ・・・さぁ、お前も刻めよ・・・この俺と、テスタメントを!」
テスタメントはゆっくりと構えた。機体から発せられる気が砂塵に触れチリチリと音を立てる。そして陽菜の方を少し見た。
「お前、立てるか?ここは俺に任せてとっとと逃げな。そんなんじゃ戦えねぇだろうに」
「な・・・私に逃げろっての!?まだ・・・まだ私は戦える!」
再びシーズユニットを起動させようとした。しかし、
『error』
「・・・え?」
『error』
「セイフティ!?こんな時に!動け、動けこのポンコツ!」
そんな陽菜の前にウェイン機が現れた。
「三原・・・あんた!」
「冷静になれよ!ここで無茶したって何にもならないだろ!ここは撤退する!」
「ざけんな!引き下がるなんて」
「聞け!」
普段では考えられない口調に陽菜は驚いた。
「撤退しなきゃ全滅するだろ!ここは大人しく退くぞ!マミさん、たま、撤退するぞ!」
「わかったわ!」
「は、はい!」
ウェインのゲシュペンストの背部の大型の装置を起動させた。そして辺り一面に煙幕を発生させ、グレイヴヤードは撤退した。
「・・・逃げたか。今度は貴様だ」
(チィ・・・さっきのヤツらのおかげで弾薬も残ってねェ・・・)
『Exseed charge』
再びエネルギーをチャージするキバ。
「これで・・・終わりだァァァァァ!!」
その時、白き翼は疾走する。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
眞田悠斗は咆哮した。
「なんでこんなッ、こんなことになるんだよ!なんでこんな戦いが起きるんだよぉぉぉ!」
「!・・・やっぱり、それに乗ってるのは悠斗さんか!?」
「お前は・・・誰だ?なんで俺の名を?」
その問いに、トーガは驚愕した。
(まさか・・・記憶が・・・だから力が弱かったのか?)
「貴様、ふざけているのか。お前も軍で戦うのなら覚悟を決めたんだろう」
キバの言葉に悠斗は憤慨した。
「違う!俺は壊すためじゃない・・・護るために・・・未来を創るために戦うんだぁぁぁ!!」
さらに加速を続ける悠斗のリオン。
「・・・ここが退き際か。あとはヤツらに任せるか・・・」
砂塵を利用し、一方通行は撤退した。
「ッ・・・逃げられた・・・だと・・・!」
キバは奥歯をかみ締めた。
「眞田大尉、止まりなさい!」
ミーナは悠斗を制止した。
「独断先行は許しません!戻りなさい!」
「断る!」
「な・・・!」
「俺は許さない・・・こんな滅茶苦茶な戦いなんて・・・俺は絶対に認めない!」
制止を振り払い、さらに加速する。既に限界速度を超えているがそれでも加速は止まらない。
「どうなってんだよ、アレ!私のチューンより速いぞ!?」
そのスピードはシャーリーすらも驚かせるものだった。そしてそのままゲシュペンスト・オーガに体当たりした。
「鬱陶しい・・・まずは貴様から片付けてやる!」
キバは悠斗機を叩き落として失速させた。
「ぐあぁぁぁぁぁ!?」
「終わりだ」
無慈悲にブレイソードを振り落とされる。
「大尉!」
その時、坂本機が間に割って入った。
ズギャアアアアン!!
「うああああああ!!」
「坂本さん!」
「美緒!」
両腕を破壊され、墜落する坂本機。通信にも応答がない。
「あ・・・ああ・・・あ・・・う、うわあああああああああああああああああああああああ!!」
悠斗は絶叫し、特攻をかけた。しかし、
「甘い!」
踵落としを食らい、さらにブレイガンのビームを何発も受けてしまう悠斗。
(これで・・・終わるのか・・・なにも、でき・・・ず・・・に・・・)
「悠斗さん!」
「諦めんのかよ悠斗さん!!」

―――そのとき、すべてはちょうえつする―――

真っ暗なリオンコクピット内で、モニターがめまぐるしく動作している。
『I HAVE CONTROL_』
その文字が表示された瞬間、悠斗のリオンの動きが急激に変化した。
ゴアァッ!!と落下直前に機体を立て直し、通常の限界速度をすぐに超え、ゲシュペンスト・オーガに向かっていった。
「なんだ、コイツ・・・特殊な機能を搭載しているとでも・・・!」
超音速の獅子は敵を喰らい続ける。そして正面から再び突撃し、全武装をキバに向けた。
『RDY GUN』
ガガガガガ!!と激しい音と共に、零距離からの乱射が始まった。
「ぐおおおおお!!」
爆炎の中、キバのゲシュペンスト・オーガは砂漠に落ちた。
「ク・・・ソが・・・!覚えておけ・・・次は必ず殺す・・・!」
そういうとキバは地面にビームを撃ち、その煙で逃走した。ミーナはそれを確認すると坂本機に呼びかけた。
「坂本少佐、聞こえますか、少佐!聞こえたのなら返事をして!」
少しの沈黙があって、
「・・・まったく、心配性だな中佐は。私は無事だ」
わっ、と歓声に包まれる501部隊。
「・・・や、やりましたね、悠斗さん!」
芳佳は悠斗に通信を入れる。しかし応答はなかった。
「どうしたんですか、悠斗さん?」
すると悠斗機は突然テスタメントとX-11に向けて発砲した。
「!?どうした、大尉!」
応答がないまま悠斗機は追撃をかける。
「のわっ!なんだよあれ・・・。機体にのっとられてるのかよ!」
地上にいたテスタメントを無視し、X-11を正面に捉える悠斗機。
「おい、何やってんだ!止まれ!」
「そのままじゃ落ちるぞ!」
X-11が腕を前に向けた。
「危ない!」
ビームが照射されるその時であった。
ドオオォン!
遠方からの砲撃がX-11に直撃した。
「え!?」
「いったいどこから・・・」
『あーあ、やっぱりオレの方が役に立ってんじゃん』
突然入った通信に皆は驚いた。
「あれは、バレリオン!?何故ここに・・・お前は、一体誰だ?」
バルクホルンが質問すると、バレリオンのパイロットは軽い口調で答えた。
「やだなぁ、オレの名前忘れるなんてさ。このシンヤ・アガタをさ」
その名前を聞いた瞬間、一部のメンバーの表情が曇った。
「あれ?さっきのおっきいのいないよ?」
ルッキーニは、トーガのテスタメントが戦場から消えていることに気づいた。
「あれ、本当だ・・・いつの間に」
「ちっ・・・ボーナススコア逃したか」
損傷したX-11を見据える悠斗機。そしてゆっくりと両機は離れていき、X-11は戦域から離脱した。
「ちょっと、放置でいいのあれ?」
「・・・だ、まれ」
その一言と共に悠斗機は砂漠に落ちた。
「悠斗さん!?」
「宮藤、リーネ!大尉の機体を回収してくれ!」
「は、はい!」
「わかりました!」
そして、501の初任務が終わった。

「・・・くそ、まずいぃ」
よたよたとトーガは夜の砂漠を歩いていた。
「もう・・・だめだ・・・俺・・・・こん・・・な・・・ところで」
意識が朦朧とするトーガ。力を使い果たしてしまい、ろくに動けないのだ。
「悪い・・・みんな・・・」
ついに倒れこんでしまうトーガ。そのとき、気配を感じたトーガは顔を上げた。
「・・・・・・メ、ノウ・・・・?」
そこでトーガの意識は途切れた。
ツールボックス

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