「無題:5スレ目607」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら
「無題:5スレ目607」(2010/12/28 (火) 18:18:31) の最新版変更点
追加された行は緑色になります。
削除された行は赤色になります。
607 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/28(火) 13:30:00.24 ID:XyMK2D.o [2/9]
きりりん@3日目東I**aヾ(*´∀`*)ノヨロチクー:つーわけで、あたしら西から回るからね
†千葉の堕天聖黒猫† :はいはい、好きにしたら?
沙織(管理人) :それはよろしいのですけど、最後にお食事くらいはご一緒出来ますわよね?
き:そこはちゃんとするって。つーかそっちのクソ猫の方がさぁwwアンタ東で買い捲って動けないーとかマジやめてよね
黒:な、な、なにを言うのかしらこのビッチは!そ、そんなわけないじゃないの
き:どうだかぁ?
沙:まあまあ(^^;それでは明日を楽しみにしておりますわ♪
****
冬コミ1日目。
今回も3日目に黒猫がサークル出店するので、そっちの店番に借り出されるだけかと思っていたんだが、
『こ、こないだのプレゼントのお返し?そう言うわけだから、アンタに付き合ってあげるから!』
などと良く判らないことを妹様が仰って、無理やり引っ張って来られたわけだが……。
「黒猫と沙織は?」
「あいつらは後で。東から回るってさ」
「そうなのか。そっちは何があるんだ?」
「んー、ガンダムとか?」
「あー、なるほど……」
黒猫は沙織に引っ張っていかれるってことか。ご愁傷さまと言っておこう。
そんなわけで西館に俺たちはやってきた。
でも……思ったよりもスペースが少ないな。1日目はこんなもんなのか?
過去2度このイベントに参加した経験からすると、もっとギッシリと机が並んでいた印象があるんだが。
中央辺りはぽっかりと空間が出来ていて、かなり余裕があるっつーかさ。
「んーとね……じゃあ、こっちから回ろうか」
「お、おう」
カタログとにらめっこしていた桐乃が俺の手を引く。
それに身を任せながらも、俺はいつもと違う感覚に戸惑っていた。
……なんか今日って、女の方が多くねぇ?
608 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/28(火) 13:30:28.01 ID:XyMK2D.o [3/9]
まず連れてこられたのは、東の方のブース群。
なんかロボットの絵とか、軍服やら格闘着やらの絵が多かった。
「この辺は格闘ゲーものメインかな?」
「ふうん……シスカリとかもここいらか?」
「だと思うケド……でもあれはどっちかってと3日目かも」
その1日目と3日目の違いが良く判らないんだけどな。
時折見本誌を見せてもらうが、知らないゲームばっかでいまいちピンとこず、結局何も買わないままだった。
そのまま北の方に回ると、やっとシスカリ本がちらほら。しかしどれもこれも妹同士の友情っぽいもので、
ちょっと期待外れだったりする。
「ナニ?アンタそんなに妹を脱がせたいワケ?」
「ばっ!ち、違ーよ!」
うろたえる俺をジト目で睨む桐乃。いや、まあ、こういう健全なのも、いいんじゃないっすか?
そのまま西館の中央辺りまで移動。
「この辺は少年漫画系かな。サンデーとかマガジンとか」
「ふうん……」
ジャンプは2日目との妹様のコメント。まあ、どっちにしてももう長いこと読んでないし、良く判らんなこの辺も。
時折壁サークルに行列が出来ている程度で、歩きにくくもない感じ。
そんな感じで興味無く見ていると……!
「うお!パプワくんじゃないか!」
とあるサークルに思わず俺は駆け寄った。いやぁ懐かしい。これって何年前だ?
見本誌を見せてもらうと、期待通りのギャグ展開だったので思わず即買いしてしまったぜ。
我に返って振り返ると、桐乃がドン引きしていた。
「あ、アンタ……ナニソレ?」
「え、知らないかパプワくん?ウンババウババ!てさ?」
「そんなの知らないんですケド」
あー、これがジェネレーションギャップってやつかな……3つしか違わないのに、ちょっと寂しい。
しかしこういうのもあるのか……コミケ、侮りがたし!
609 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/28(火) 13:30:59.51 ID:XyMK2D.o [4/9]
そのまま東の方へ。興味ないけど結構どこかで見たような絵が多いなこの辺。
「ここいらは『けいおん!』とか『らき☆すた』とかハガレンとかね」
「あー、名前だけは聞いたことあるなそれ」
「ふぅん、こういうのはあんま興味ないんだ」
「んんー、可愛いとは思うけど」
アニメか漫画かも知らないしな。こういうとき、俺ってやっぱオタクじゃないよなー、って思うね!
すると桐乃はとあるサークルの方を指差して言った。顔が少し引きつってるぞお前?
「じゃ、じゃあさ、ひょっとして、なんだケド。あーゆーのが好きトカ?」
釣られてそっちを見ると……おおお!
「カイジじゃん!!」
おおー、こんな男臭い漫画まで同人出てるのか!やっぱ奥が深いぜコミケ!
「ま、こ、この辺ならあたしも判るけど……」
「そうだろ?あ、これください」
「中身も見ないで即買い!」
え、なんか拙かったっすか?
「あ、アンタがいいならそれでもいいケド」
そう言いつつ距離を取る桐乃。あれぇ?何その反応?
それが気になったので周囲を見回すと、この辺は確かにこれ系統の漫画が集まっている、が。
今買ったのよりかはなんかこう、垢抜けた絵と言うか、少女マンガっぽいというか。
ぶっ!なんかカイジと遠藤が抱き合ってるようなのも!もしやこれって……!
慌てて今購入した本をチラ見する、が……ほっ、これはそういうんじゃ無かった。
俺の後ろからおっかなびっくり覗き込んでいた桐乃も、胸を撫で下ろしていた。
「ちゃんと確認しないととんでもないの引いちゃうって!」
「あ、ああ、すまん」
小声で注意する桐乃に素直に謝る。あれだな、絵買いでスカトロryを買っちまうようなもんだよな。
しかし……なんでも掛け合わせてしまう腐った方々の妄想力って凄いな……。
頭に『うへへ……』と知り合いの顔を思い浮かべて、俺は身震いした。
610 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/28(火) 13:31:26.29 ID:XyMK2D.o [5/9]
「ま、西館はこんなもんね」
「そうか、じゃあちょっと休憩すっか?」
ジュースを買ってきて桐乃に手渡す。「アリガト」って素直に礼を言ってくる桐乃。最近ちょっとだけど
素直で、少なくとも礼は言えるようになってきたよな。いい傾向だと思うぜ?
「でもよ、夏に比べると全然楽だよな」
「だね。暑くないし。まあ1日目だからね、男臭くもあんましないしさぁ」
「え?」
いや、俺は人もサークルも少なくて動きやすいよな、ってつもりだったんだが。
俺の顔を見上げた桐乃はピンときたらしく、悪戯っぽく笑った。
「アンタ、西館だけ見てそういうこと言ってると、東に回ると泣き見るよ?」
それってどういう……と問いただそうとした時、知った声が少し遠くで聞こえた。
「あ!せんぱーい!桐乃ちゃーん!」
「あ?……ウゲッ!瀬菜!!」
後輩の赤城瀬菜が、人混みを掻き分けながら近づいてきた。両手に紙袋を重そうに引っさげてな。
「あ、せなちーも来てたんだ?」
「桐乃ちゃん、久しぶりー」
名前を大声で呼ばれたときには凄く嫌そうな顔をしていた桐乃だったが、瀬菜が来るとにこやかに笑った。
知り合いに聞かれるのを警戒していたんだろうな。でも、もうそろそろカミングアウトしてもいいんじゃないかお前?
なんにせよこいつらは妙に波長が合うらしく、にこやかに談笑を始めた。
「あ、でも桐乃ちゃんがいるって意外。3日目かと思ってたけど」
「まあ今日はその、付き合いでさぁ?せなちーは毎日なの?」
「うん、毎日だけど、なにより私は今日が主戦場だからねー」
「あ、そうなんすか?」
「そうなんですよ先輩。もう大量で……ウヘヘ」
あー皆まで言うな後輩!知りたくないし聞きたくも無いぞ俺は!!
「そういう先輩は?何か買いました?」
「ああ、少しだけな」
紙袋の中身を見せると、瀬菜は呆れたように突っ込んできた。
「パプワ本とカイジ本?どういう取り合わせですかこれ」
お前に言われたかねーよ!どうせ腐った趣向のやつならなんでもかんでも掻き集めてきたんだろうが!
611 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/28(火) 13:31:54.32 ID:XyMK2D.o [6/9]
Prrrr!Prrrr!
瀬菜のらしき携帯が鳴った。慌てて出て、
「あ、お兄ちゃん?どう?……やった!ありがとう!じゃあ次はねぇ?」
とのたまう。赤城……ファンネル扱いかよ。涙無しには見ていられない光景だぞお前!
一通り指示を出し終わって携帯を切った瀬菜は、
「じゃあ私、次急ぐんで!では!」
と、手を振りつつ足早に立ち去っていった。
「仲良いよねぇ……」
桐乃がボソッと呟いた。チッ……なんだよ、あれくらいいつもしてやってるじゃねーかよ……。
「ほら、行くぞ!」
「あっ……なーにぃ?アンタ、妬いちゃってんのぉ?もうしょうがないなぁこのシスコンはぁ?」
そう言ってつんつんと胸を肘で小突いてきてご機嫌そうだ。
ぐ、シスコンじゃないが……まあいいか、それでこいつが笑ってるんならさ。
桐乃はひとしきり俺をからかうと、腕を絡めてきた。
「お、おい!」
「さ?あたしらも次行くんでしょ?言っとくけど次はきついと思うよ?」
そのまま桐乃に腕を引かれて、俺たちは東館に足を踏み入れた。
「うわっ……!」
まず最初に驚いたのが、女女女……以前見た光景とはまるで違う、女だらけのコミケ会場だった。
「だから言ったじゃん?」
「確かに、きつそうだなこりゃ」
西とは広さも違うが、サークルの数も半端無い。ぎっしりつめこまれたテーブルとそこを所狭しと徘徊する
女性客の群れ……もしかして、この方々みんなその、腐ってらっしゃる?
そして、桐乃からの禍々しい宣託が下った。
「ぷぷぷ……それとさ~あ?アンタの愛しの彼女の本性も、ここで見られるかもよ?」
612 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/28(火) 13:32:25.28 ID:XyMK2D.o [7/9]
桐乃は腕は絡めたまま、カタログを少し眺めていたが、行き先を決めたらしくパンッと閉じて、カタログを俺の
紙袋の中に押しやった。
「多分、こっちかな……?」
そして連れていかれたのが西奥の辺り。この辺りも腐ったとおぼしき方々が充満しているが、その一角を目敏く
見つけた桐乃は、それを指差した。
「ビンゴ!ぷぷぷぷぷ!」
うわっ……!
そこにいたのは、とある同人誌に見入っている黒猫と、その横で所在無さ下げに突っ立つ沙織だった。
桐乃はまさしく『(^Д^)9m プギャー』って感じで大爆笑。
「やっぱアンタ、言ったとおりじゃん!なにが『そんなわけ無いじゃないの』よ!」
「あ、きりりん氏に京介氏!」
沙織はすぐに気付いて手を振ってきたが、黒猫は見入ってしまっていて全然気付いて無い。ある意味すごい
集中力だなおい!
沙織に肩を揺さぶられて煩そうにしたあと、ふとこちらを見て、顔面が蒼白になった。
「ち、ち、ち、違うのよ、これは!」
「何が違うっつーのよアンタ!あんまり予想通りなんでむしろ拍子抜けだってーのwwwwww」
黒猫はイヤイヤと顔を左右に振っている。目尻にはうっすらと涙まで浮かべていた。
ちなみに何のサークル?コードギアス?知らんな……。
「え、ええっと……?」
訳がわからないと困惑するサークル主さんに、慌てて千円札を渡して同人誌を受け取る黒猫。
こんな場合でも買っちゃうんだ……。
「見て見て!流石の兄貴もドン引きじゃん!そりゃ百年の恋も冷めるって!ゲラゲラゲラ!」
ドン引きっつーか、お前がなんでそこまでウケるのか自体判らないわけなんだが。
黒猫はつかつかと寄ってきて、顔を真っ赤にして桐乃に怒る。
「あ、あ、貴女ね!いくらなんでもやって良いことと悪いことがあるんじゃないの?!」
「あたしが何したって?コミケ来てサークル回ってるだけじゃん?アンタだってあたしらが来てるの知ってる
ワケだし?同人誌ガン見して気付かないアンタが悪いんじゃないのぉ?」
「くっ……!」
黒猫が桐乃に言い負かされるとか、わりとレアな光景だな。それだけでも来た甲斐があるって感じだ。
613 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/28(火) 13:32:57.68 ID:XyMK2D.o [8/9]
桐乃は涙まで流して大笑いした後、やっと収まったのか、憮然とした黒猫を見やった。
「まーまー、そんな怒んないでよ。どうせ、いつかはバレることなんだし?」
「く……貴女、覚えてなさいよ」
「へーんだ、もう忘れますぅー」
子供の喧嘩が始まったところで沙織が言う。
「やれやれ。で、京介氏、成果はいかがですかな?」
「ん?まあまあかな?割と面白かったよ」
「それはなによりでござるな、ニンニン」
沙織はω(こんなくち)をした後、自分の戦利品を見せて悦に浸った。
「拙者もこのとおりで。で、この後はどうなさいますかな?」
「んー、今日は桐乃に連れられてだからな。そっちに聞いてくれるか?」
「了解でござる。……さてさてご両所とも、いい加減にして続きをしようではありませんか」
「え、ええ、そうね」
「あたしはいいケド。あ、ほらぁ」
桐乃は絡めていた腕を離すと、俺を黒猫のほうにトンと追いやった。
「お礼はここまで。後は黒いのにまかせるから」
「あ、そうか?ありがとな、桐乃」
「ふん、いいって。……それに、アンタがついてく方が黒いのが困って面白そうだし?」
「へ?」
「あ、貴女、どこまで底意地が悪いのよ!本気で呪うわよ!」
「まあまあ、どうせ皆一緒に回るわけですからな。では、行きましょうぞ!」
沙織が宣言し、いつもの4人で東館探索を再開することになった。
「ところでさ」
「……何かしら?」
「お前、さっきなんでそんなにうろたえてたんだ?」
「へ?」
「アンタ、全然気付いてなかったの?」
「ああ、さっぱり」
「ぷっ!じゃあやっぱ、アンタが盛大に自爆しただけじゃん!マジウケルんですケド!!」
「う、五月蝿い!」
こんな感じでいつも通り、ぎゃーぎゃーと罵り合う黒猫と桐乃に、生暖かく見守る俺と沙織。
やっぱこれが一番落ち着くってのが、俺も引き返せないとこまで来ちまってるのかなって、そう思いながら、
冬コミ1日目は過ぎていったのだった。
終わり