無題:6スレ目772

「無題:6スレ目772」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

無題:6スレ目772」(2011/01/13 (木) 17:37:10) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

772 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2011/01/13(木) 17:18:31.99 ID:lKctX2S10 [2/11] 「なあ高坂、今日うちのクラスに転校生が来るらしいぜ。しかも女だ!」 「へぇ……」 俺が教室の机に座るなり、赤城が興奮してまくし立てた。こんな時期に転校って 親の転勤とかなのかね……どんな奴なんだろうな。そんな事を考えている内に、 担任が転校生とおぼしき女子高生を連れて教室に入ってきた。 「あー今日からこのクラスに加わる春日恭子さんだ、みんな仲良くするように」 その娘を見るや、クラスの野郎共がざわめき出した。俺も目を見張った。 肩までかかったサラサラの艶やかな黒髪、透き通った大きな眼、 筋の通った鼻、薄く引き締まった薄桃色の唇…… その美少女は見た者を引き付けずにはおれない魅力を放っていた。 「春日恭子です、皆さん今日からよろしくお願いします」 授業の合間はクラスメートが引っ切り無しに彼女の机に押しかけて、 人間サークルと化していた。 「俺は西村博之。よろしくな!」 「俺、佐藤裕也(`ェ´)ピャー」 「ちょっと男子ばかり話してないで、あたしらとも話させてよ!」 そして今日の授業が終わる頃、転校生はすっかりクラスに馴染んでいた。 どうも、社交的な性格らしい。俺も少しだけ会話したがノリがよく、 快活で爽やかな印象を受けた。 「京ちゃん、春日さんいい感じの人だね~」 「ああ、本当にな。じゃあまた明日」 麻奈実と別れてしばらくすると、前方に件の彼女が立ち往生しているのが 見えた。……何やってんだ? 773 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2011/01/13(木) 17:19:01.20 ID:lKctX2S10 [3/11] 「よう春日、どうした?こんなところに突っ立って」 「あ、高坂君……私の家の住所が分かんなくなって」 つまり、引っ越し先の場所を忘れちまったのか。聞くと偶然にも我が家の 近所らしい。こっちに来たばかりだから分からないのも仕方ないよな。 「俺ん家の近くみたいだからさ、案内しようか?」 「本当?ありがとう、助かる!」 春日から聞いた住所に行ってみると、高坂家から5分とかからない距離だった。 近いなオイ。 「さて着いた。もう迷うなよ、じゃあこれで」 「あ、待って高坂君。不安だから、しばらくの間一緒に学校へ 行ってくれない?また迷うのも嫌だから」 「え?ああ……別にいいけど」 春日が慣れるまで、高校への行き帰りは一緒に登下校することになった。 さて今日も授業が終わり、春日と帰るわけだが、話してて楽しい。心底楽しい。 何時間でも会話したくなる。見た目もいいし、性格もよいとなると、こりゃあ 男が放っておかないだろうな。 「田村さんって、和菓子作れるの!?すごいね」 「そんな~たいしたことないよ」 途中まで帰り道が一緒ということもあって麻奈実もいるのだが、春日と話が 弾んでいる。クラスの女性陣も、休憩中は彼女の机に集まって会話に花を 咲かせていた。どうやら、同性にも好かれるタイプみたいだな。 「じゃあ二人とも、またね~」 「おう」 「うん、また明日ね」 俺の妹様も、こんだけ可愛いげがあればいいんだがな…… 774 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2011/01/13(木) 17:19:33.50 ID:lKctX2S10 [4/11] 「くしゅん!」 「風邪引いた?桐乃」 「分かんない、誰か噂してんのかな。それよりもさ、あそこの店で――」 今日は部活が無い事もあって、アタシはあやせとおしゃべりしながら 道を歩いてた。やっぱ、早く帰れるっていいわよね~ 「へぇ、そうなんだ。ん?あれ、お兄さん?」 「えっ兄貴?どこに」 「ほらあそこに、女性と一緒……ええっ女連れ!?」 「なっ……!」 アタシは驚愕した。だってあの兄貴が、あの地味で冴えないカッパ頭がよ!? あんな美人と連れだって楽しく会話とか、そんな事有り得ないっての! はっ、ダメダメ。こんな狼狽してるところをあやせに見られたら、マズイ。 兄貴への好意に感づかれちゃうじゃん……あれ、あやせ?何か様子がおかしいような。 「あやせ、どうしたの?真っ青になって」 「ううん、何でもないよ。桐乃も表情硬いよ?」 「や、やだなあ。気のせいだよ」 「そ……そうよね、何かの間違いよね。あのお兄さんが」 「えっ」 「ん?」 「……」 「か、帰ろっか」 「う、うん」 「どうしたの、高坂君。さっきから様子が変だよ?」 「ああ、何か寒気というか殺気がさ……」 「あはは何それ、ウケる。ところでさ明日――」 775 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2011/01/13(木) 17:20:50.74 ID:lKctX2S10 [5/11] 「お袋、今日渋谷に出かけるから昼飯いらねえ」 「……!」 「わかったわ。ん、どうしたの桐乃?」 「べ、別に」 「じゃあ行ってくる」 玄関のドアを閉めて、俺は上着のポケットに手を突っ込みながら、 待ち合わせ場所である春日の家に向かった。 「さっみい……」 5分ほど歩くと、春日の家が見えてきた。門の横にあるインターホンを鳴らし、 春日が出てくるのを待つ。しばらくすると、玄関からさわやかな笑顔を浮かべつつ、 彼女が姿を現した。やっぱ、美人だな。 「おはよう高坂君」 「ああ、それじゃ行こうぜ」 ―――― ――― ―― 俺は電車に揺られながら、昨日の春日が言った相談を思い返していた。 それに応える為に渋谷まで行くことになったわけだが―― 「まあ、仕方ないよな……」 「なにが仕方ないの?」 「いや独り言だ、気にすんな」 776 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2011/01/13(木) 17:21:20.18 ID:lKctX2S10 [6/11] 「渋谷に来たわ……!」 兄貴を尾行して、ここまでたどり着いた。チッ、完璧なデートじゃんこれ。 身近にアタシという完璧な美少女がいながら、他の女に目移りするなんて…… 信じらんない。こうなったら、どんな女か暴いてやろうじゃないの。 「動き出したわね、よし行……」 「あれ、桐乃?」 「えっ」 声のする方に顔を向けると、あやせがそこに立っていた。 「あやせ!?」 「わあ~偶然だね、渋谷で会うなんて!」 「そ、そうだね」 あああ、マズイ。兄貴が行っちゃう! 「さっきから何を気にして……あ」 バレた!? 「ねえ桐乃、あそこを歩いてるのお兄さんだよね。女の人と一緒に」 「そ、そう。あの馬鹿兄貴が変な事しないか心配でさ。 あの人が襲われそうになったら叩きのめそうと思って」 「……」 ち、ちょっと苦しい言い訳だったかな 「……桐乃、私も手伝うよ」 「え」 「あのド変態のお兄さんが、あの人に変な事しでかしたら即刻通報するから……!」 良かった、うまく誤魔化せたみたい。それにしても、あやせの迫力が半端ない。 怒りのオーラが見えそう。 777 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2011/01/13(木) 17:21:47.28 ID:lKctX2S10 [7/11] 「あら……何か邪悪な気を感じるわね」 この声は―― 「ア、アンタ糞猫!何でここにいんの!?」 「この渋谷に、漆黒の波動が満ちているのを感じたの。来るべき戦に備えて、 気を蓄えておこうと思ってね……あら、そちらは」 あやせの事?そういや、あまり面識なかったわよね。 「桐乃の親友の新垣あやせです」 「そういえば、以前少しだけ会ったわね。私は黒猫……よろしく。 ところであなた達、何をしているの?」 ―――― ――― ―― 「……ってわけ」 「面白いじゃない。私も付いていこうかしら」 「アンタも来んの!?」 「勘違いしないで頂戴。負の気を我が身に吸収し、内に秘めて――」 「はいはい、邪気眼乙。まあいいわ。アイツら見失うから、早く行くわよ!」 急いで追跡すると、二人が店に入り何かを覗き込んでいるのが見えた。何やってんだろ? どうやら兄貴とあの女はアクセサリーショップで、品物を色々見比べているようだった。 アタシにはあんな楽しそうな顔したことない癖に……!イラつく。 「あんの糞兄貴、ヘラヘラと……!」 「あ、見て桐乃!女の人がお兄さんにペンダントを付けてる」 「成る程、あれを以って主従の証とするわけね」 あの女は気に入ったのか、懐から財布を取り出してお金を確認し始めた。 それにしても糞兄貴。あんなにベッタリと寄り添うなっての、キモい。 778 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2011/01/13(木) 17:22:19.19 ID:lKctX2S10 [8/11] 「女の人が買った!お兄さんにプレゼント!?」 「貢がせようってワケ?いい根性してるわ」 「移動した。早く追うよ桐乃!」 あたし達は、二人を追って小さな公園までたどり着いた。 もう夕暮れになっており、辺りは人気が少ない。 「あ、ベンチに座った」 「話し込んでいるようね」 「ちょっと糞猫、見えないから少しどきなさいよ」 アタシ達は二人の動向を観察し続けた。数分ほど会話していたかと思うと、 急にあの女が目に手を当て始めた。 「……泣いているのかしら。何を言ったの、あの大馬鹿は」 「あっ、お兄さんがあの人に顔を近づけてる!」 「キ、キスしようっての!?もう我慢できない、アンタら行くわよ!」 「待ってよ、桐乃!」 「クッ、止むを得ないわね……!」 あたしは風を切って、自慢の俊足で駆け出した。 二人とも顔が近いってーの!離れなさいよ、馬鹿! 「くらえ糞兄貴!」 「ぬごぉっ!?」 決まった!あたしのフライングニードロップ!! 「こ、高坂君。大丈夫!?」 「ってぇ……き、桐乃?黒猫にあやせまで。お前ら何でここにいんだよ!?」 兄貴をその女に取られない為に決まってんでしょーが!あとの二人は知らないけど。 「アンタがこの人に、変な事しないように見張ってたのよ。悪い?」 「お兄さん、セクハラしようとしてたでしょ。しかも泣かせるなんて最低!通報しますよ!!」 「ふ……この私の下僕でありながら、主人をくら替えしようなんていい度胸してるじゃない」 779 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2011/01/13(木) 17:22:48.26 ID:lKctX2S10 [9/11] 背中が痛え……桐乃の野郎、容赦なさすぎんだろ! 春日と話してただけで、散々な言われようだ。 「お前ら何か言ってることがおかしいぞ」 「高坂君、もしかして私たち誤解されてるんじゃないの?」 ―――― ――― ―― 「泣いてるように見えたのは、目にゴミが入ったって事?」 「ああ、それで俺が何処にあるか見ようと思ったらお前がだな……」 「フ、フン!それにしてもアンタ、この人にペンダント買って貰ってたじゃん。 兄貴の癖にいっちょ前に貢がせようだなんて、キモッ」 それを聞いていた春日が、会話に割って入って来た。 「ああ、それは地元にいる私の彼氏へのプレゼント。 高坂君に良さそうなのを見繕ってもらったの」 「え……彼氏いるんですか?」 「そうよ。彼を向こうに残して来たから只今、遠距離恋愛真っ最中」 まあ、仕方ない。俺も薄々は感じていたが……こんだけ美人で性格も良けりゃ、 彼氏はいるよな普通。昨日、春日からそれを聞かされて軽く凹んだのは内緒だ。 「へ、へぇ~」 「そっか……ホッ」 「フン、どうやら天使共が私を陥れようとした罠だったみたいね」 何で微妙に喜んでんだ?こいつら。さっきまであんなに怒ってたのに。 780 名前:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[] 投稿日:2011/01/13(木) 17:23:24.66 ID:lKctX2S10 [10/11] 「と、ところで良い香水使ってますね。どこのですか?」 「え?ああ、これは……」 「すごい美人ですね。アタシこれでも読モなんですけど、劣等感感じちゃうな~」 「男を誘惑する術が豊富なようね、あなた。なかなか見所があるわ。 どうかしら、我が軍に加勢して聖戦に……」 あいつら何で急に仲良くなってんだ、態度もさっきと全然違うし。 俺をのけ者にして、何か盛り上がっちゃって。 さっきの会話で、あの三人に何が起こったんだよ。 「アハハ」 「それでね~」 「嘘~」 「……女はよく分からん」 終わり

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示:
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。