ゲーセン:6スレ目946

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946 名前:『ゲーセン』1/5[sage] 投稿日:2011/01/19(水) 09:54:09.29 ID:QuEJDhZDO [1/3] 俺は今ゲーセンに来ている。 受験生なのにと自分でも思ってるけどな、俺だって来たくて来てるわけじゃないんだぜ? 桐乃のやつ、俺が受験失敗したらどう責任とってくれるんだろな。タノシミダナーハッハッハ。 もうわかってると思うが、ここには桐乃に連れて来られたんだ。 ったく突然俺の部屋のドア開けて「ゲーセンいくわよ!!」だもんな。どっかの団長様を思い出したぜ。 結局そのまま連れ出されて今はいつもの4人組でここにいる。 黒猫と沙織も来るなら絡む相手にも困らないだろうし俺いらなかったんじゃね? 面倒くさいことになりそうだから言わないけど。 「ぐぬぬ……!!」 「もうあきらめたらどう? もう少しあなたの悔しそうな顔を見るのも悪くはないけれど」 「うるさい!! 絶対とってやるんだから!!」 『クレーンゲームは貯金箱』とはよく言ったものだな。桐乃、いまのでいくら貯金した? 桐乃がゲーセン限定のメルル人形と格闘を始めてすでに30分。 こいつが金持ちだとはいってもそろそろ止めてやったほうがいいだろ。黒猫や沙織も待たせちまってるしな。 947 名前:『ゲーセン』2/5[sage] 投稿日:2011/01/19(水) 09:56:04.90 ID:QuEJDhZDO [2/3] 「おい桐乃、」 「なによまだあきらめない……あ、そうだ。アンタ取りなさいよこのメルルちゃん」 「はぁ!?」 「変な顔すんな! わたしがお金払うから問題ないでしょ!! はいもうお金入れたからさっさとやる!」 大声で変な顔とかいうなよ! 突然んなこと言われたら誰だって同じ反応するっつーの! しかしここは大人しく従っておく。俺の金じゃないしな。適当にやっても問題ない…… おい何だよ桐乃その期待に満ちた顔は! さっきまでの渋い顔はどこへ行ったんだ。 くそっ、そんな顔をされたら頑張りたくなるだろうが!! シスコンじゃなくてもな! 「あっ! ……あー……」 「今のは惜しかったですな! 京介氏、頑張ってくだされ!」 「少なくともそこの女よりは可能性があるわね」 黒猫、素直に誉めてくれてもいいんだぞ?まぁまだ取れたわけじゃないが……。 えーとさっき桐乃が入れたぶんだと残り回数は……3回か。 採れなかったら俺に文句いいながらまた続けるんだろうな。しかし文句も続けさせるのも阻止したい。 となるとあと3回で採るしかねぇな。よーく狙って、と。 「よしこれでどうだ?」 「いけっ! て、ああー!」 「どうやら今回も無理そうね……あら?」 途中ですぐに諦めて残り2回の攻め方を考えていたが黒猫の声で我に返る。 「黒猫なにが……うおっ、持ち上がってる!?」 「隣の人形の商品タグにアームの爪が引っかかっていたようね。ふ、結局運だよりとは情けないわね」 「まあまあ黒猫氏、運も実力のうちと言うではありませんか。良かったですなきりりん氏!」 「……! ………!!」 沙織の言う通りだぞ黒猫。 運も実力のうち! ウンウン。 ……そんな目で見るなよ。 で、肝心の桐乃は……人形が出口に向かうのをものすごい目で見ている……。輝いてるってレベルじゃないぞ。 あやせからもらったメルルファギュアのほうがレア度が高いはずなのにあの時以上の反応に見える。 あの時は声に出して騒いでたしな。 948 名前:『ゲーセン』3/5[sage] 投稿日:2011/01/19(水) 09:57:21.39 ID:SRFMAVzDO [2/4] 「ほれ、桐乃。とれたぞ」 「あ、ありがと。……だ、大事にするから」 お、おい、今桐乃の口からありえない言葉が……最近聞いたな……。 桐乃が少しずつ変わってきてるのはわかってる。それも悪い変化じゃない。 驚くばかりじゃなく自然に受け入れてやらないとな。 「おう。つってもやっぱ運でとれたようなもんだし俺の金じゃ……痛ぇ!! なにすんだ沙織!?」 「京介氏、もう少し雰囲気というものを考えたほうがいいでござるよ……」 「まったく、高坂のKはKYのKだということね」 沙織も黒猫もひでえな。それに黒猫、家族まとめて馬鹿にすんじゃねえよ! 「あの、ホントにありがとね……!」 ……自然に受け入れるってのはまだしばらく無理そうだ。 だ、だってよ! 俺の妹が、こ、こんなに……!! 「イチャイチャするのもいい加減にしなさい。目的は果たしたのだし別のゲームコーナーに行くわよ」 「そうでござるな。そうそう、このゲームセンターは階でジャンルが別れてまして……」 黒猫、そんなこと言うと桐乃が……ほらな? このあとはすっかり調子を取り戻した桐乃と黒猫の喧騒、何故か詳しい沙織の説明を聞きながら遊び回った。 949 名前:『ゲーセン』4/5[sage] 投稿日:2011/01/19(水) 09:58:43.34 ID:QuEJDhZDO [3/3] ―――――――― 「ふぅ~~」 スッキリしたぜ。 今日は朝からトイレに行ってなかったからな。突然連れ出されてドタバタしてたし考える暇もなかった。 桐乃と黒猫がクイズゲームに熱中してる間にトイレに行かせてもらった。あいつ等から目を離すのは少し不安だったが沙織もいるし大丈夫だろ。 しかしクレーンゲームのフロアにしか男性用トイレがないというのも不便だな。 「さて、とっとと戻らないとな。……お?これは……」 ――――――――――――――――――――――――― 「おっそい! なにやってたのよアンタ!」 「わりぃわりぃ。あれ?黒猫と沙織は?」 「アンタが遅いから先に格ゲーやりいってもらった。と、友達待たせるのも悪いし……」 ふむ。やはり俺以外には割と常識的なんだなお前は。いや、いいことだけどさ。俺以外、がついてなけりゃな。 よし、黒猫たちのところに向かうか。 「遅れたアンタが仕切んな! ってうわぁ!?」 「「あっ」」 桐乃が転びそうになった。バランスを取り直して結局転ばなかったがな。さすが陸上部だぜ。 ……いや問題はそこじゃない。って言ったら桐乃に怒鳴られそうだかそこじゃない。 今確かに聞こえたんだ。天使の声が。 「……あやせ?」 振り返るとマイスイートエンジェルが物陰から顔を出していた。 何故こんなところにあやせがいるんだ?ゲーセンにくるような奴じゃないのに。 あやせがこちらに近づいてきたので理由を聞くと、どうやら俺たちをつけていたらしい。 いつから?そしてなんで? ……理由が予想出来るのが嫌だ……。 「桐乃とお兄さんが2人で歩いてるのを見つけてからです。もちろん、お兄さんがいかがわしいことをしないか見張るために」 そんなことしねえって何回も言ってるだろ!! つーか黒猫達ど合流する前からつけてたのかよ……。結構な時間だぞ? 割と歩いたし。 「桐乃のためですから。あ、桐乃の友人については桐乃の趣味を知ったときからなんとなくわかっていたので隠さなくて大丈夫ですよ?」 950 名前:『ゲーセン』5/5[sage] 投稿日:2011/01/19(水) 10:00:27.28 ID:SRFMAVzDO [3/4] なるほど、それはよかった……ってそこじゃねえ! 前から思っていたがあやせにはストーカーの気質があるんじゃないか?まあ俺のことを思ってつけてくれるのならやぶさかではないヘヘヘ。 「突然ニヤつくのはやめてください。気持ち悪いです」 そうだよな! お前が好きなのは桐乃で俺のことは嫌いだもんな畜生!! っと、そうだ。こいつをあやせに…… 「あやせ、手の平をだせ」 「すいません警察ですか?」 「おいやめろ! 変なことじゃないから!! マジでやめてお願い!」 携帯を閉じ渋々といった表情で手の平を差し出すあやせ。 「ほらよ。これやるよ」 「な…! なんですか突然……これ……」 「ちょ、アンタそれどうしたのよ!?」 どうしたのって桐乃、さっきトイレに行った時にスゴく採れそうだったのが見えたから無意味に採っちまっただけだぜ? ほら、なんか採れそうなのがあると実際いらなくても手を出してしまったりするだろ? まあそんなわけで、天使の人形のキーホルダーなんて俺は使わないしせっかくだからあやせにな。天使だし。 ……あやせ? 震えるほど嫌なら貰わなくてもいいぞ? 俺が泣きそう。 「あーあやせ、突然すぎたよな。スマン。これは別の奴に……」 「だっ、だめです!!」 あやせは人形を握りしめて思いっきり手を引っ込めた。 だめってなにが? 「お、お兄さんのことです。返したら私が触った人形をつかっていかがわしいことをするに決まってます!」 「しねえよ!! 頼むからもう少しだけ俺の評価をあげてくれ! 少しでいいから!」 「無理です。と、突然好きだとか結婚しようだとかいう人なんて信用できません!」 「ア、アンタ普段あやせになにしてんの!?」 あ、あやせ、それは今関係ないだろ! 「と、とにかく私はもう帰ります!! じゃあね桐乃!」 あやせは爆弾と笑顔を残して帰っていった。 このあと不機嫌な桐乃に『俺の金』でクレーンゲームをやらされたり、男1人でプリクラコーナーを歩き回ることを強要されリアル通報されかけたりしたのはまた別のお話し……。 おわり

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