無題:7スレ目571

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571 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2011/02/08(火) 05:02:48.77 ID:/oZ4q22AO [2/6] その日、俺は一本の電話で呼び出された。 今日はこれといって予定もなく、また電話の主が意外な人物だったので何の用かと興味もあった。 指定の店に入り客席を見渡すと、待ち合わせ相手は難なく見つかる。 あざやかなブロンドの彼女は窓際の席で俺の来たのとは逆側を見やり、いかにも待ちかねた様子だ。 「よう、ブリジット。お待たせ」 「あ、お兄さんこんにちは。ちょっと遅刻ですよ~」 「悪いな。お詫びにここの払いはもつよ」 「ええっ、いいです。そういうつもりで言ったわけじゃ…」 「こんなときは年上が会計するもんだ。お兄さんの顔を立てときなさい」 「そういうものですか? なら、甘えちゃおうかな。ご馳走になります」 前にも思ったがブリジットの日本語は流暢かつ丁寧なものだ。 あの強面の親御さんの教育の賜なのかね。 そんなことを考えつつ彼女の向かいに腰を下ろし、注文を済ませる。 「それで、早速だが相談ってのは何なんだい?」 「はい、えーと…相談というか、お願いというか…」 お願いとやらを言い淀む様子がまた可愛いらしく、大抵のことは引き受けようって気にもなる。 桐乃が鼻息荒くするのもわかる気がするぜ。 572 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2011/02/08(火) 05:03:24.57 ID:/oZ4q22AO [3/6] 「今日一日お時間いただけますかっ。わたしと、その…つきあってくださぃ…」 尻すぼみな台詞に少女の羞恥が見て取れ、面映ゆい。 俺ってロリコンか? 「デートのお誘いとは光栄だ、喜んで付き合うよ。あ、でも加奈子に睨まれちまわないかな」 「かなかなちゃんは、わたしがお兄さんとデ、デートしたところで冷やかしてくるぐらいですよ。それに…」 「それに?」 「かなかなちゃんのことは大好きですけど、女の子同士じゃ恋人の楽しみとか試せないですし」 なるほどね。加奈子も男気のあるやつではあるが、女子のはしくれ。 恋に憧れるブリジットのお相手にはやはり役者不足というものか。 「そういうわけで、急でご迷惑でしょうけど、いいですか……?」 「さっき言ったろ。全然構わない、遠慮しないでいいよ」 「やったぁ。ありがとうございます」 さて、一日彼氏を引き受けたものの、そういった経験が乏しい俺にブリジットを満足させられるだろうか。 だが期待のオーラを発散する彼女を前に迷い顔も見せられん。 ここはひとつ腹をくくってやろうでないの。 573 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2011/02/08(火) 05:03:55.41 ID:/oZ4q22AO [4/6] 俺の狭い見識では、デートの定番と言うと、映画とか、それなりの場所での食事とかだが。 今日の今日で場当たり的に決められるもんじゃあるまい。 幸いブリジットもそこは理解を示してくれたから、気ままに街を流してみることに。 まずはメイトに行ってメルル関連のグッズを物色したり、カラオケに寄ってアニソンを歌い込んだりした。 はしゃぐブリジットは楽しんでくれてる様子だが、これだけじゃあんまりデートって雰囲気でもなし。 そこでいつか今回と似た状況で桐乃と行った喫茶店をチョイス、カップル御用達のメニューを頼んでみる。 「こういうのって、いざとなると照れちゃいますね~」 頬を染めるブリジット。なけなしの勇気を振り絞った甲斐があったぜ。 口の端についたパフェのクリームを拭ってやるというお約束のシーンもあったり。 軽くテンパったブリジットに、思わず吹き出してしまい、拗ねられてしまう。 これはこれで眼福だな。 その後ペリエの通りで偶々見かけたファンシーショップに寄る。 いかにも女子ウケしそうな小物やアクセの類いは正直よくわからなかったが、 目を輝かせてどれそれがカワイイと俺を引っ張り回す彼女に、ここへ来て正解だったようだ。 574 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2011/02/08(火) 05:04:31.16 ID:/oZ4q22AO [5/6] 「気に入ったのがあれば買ったげようか、いくつもは厳しいけどな」 「ホントですか! あ、でもでも、今日は何から何までお兄さんに出してもらいっ放しだし悪いです」 「なぁに、ここのは割と庶民的な値段だし」 「そんな甘やかしてばかりだと、わたし舞い上がっちゃいますよ」 とは言いつつ、ソワソワとした風を隠しきれてない。 しょうがない、少し後押ししてやろう。 「初デートの記念に贈るよ、受け取ってくれるな?」 「うぅ…………はぃ。」 ブリジットはストラップをひとつ選び、 こんなんでいいのかと拍子抜けした俺をよそに包装されたそれをさも大切そうに受け取った。 「えへへ…何から何までありがとうございます、お兄さん」 買い物を済ませ、名残惜しいがそろそろお開きにと、駅へ向かう。 「あーあ、今日だけでいくつも夢が叶っちゃった…。ホントに夢なんじゃないかな、覚めないで!って感じです」 「そう言ってもらえると照れ臭いな。どうだ、お試しデートは及第点だったかい」 「もちろん、大満足です。けどちょっと心残りが…」 「うん? 是非聞かせてくれ」 「えっと、わたしばかり良くしてもらってフェアじゃないと思いました。わたしもお兄さんを彼女として…は無理かもですけど、ちゃんと楽しませてあげたいです。ついては次のチャンスを下さいっっ」 言い切った。俺だって充分楽しめたから、別にフェアじゃないとか気にしないでいいんだが 「ご指名なら願ってもない。また今度、期待してる」 「はい!」 それまでに彼女さん作ったりしちゃ駄目ですよと言い残すブリジットを改札で見送る。 やれやれ、こいつはマジで加奈子や桐乃に睨まれることになりそうだ。 そんな心配を頭のすみに起きながら、この次に思い馳せる俺だった。 おわり。

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