桐乃「もうすぐバレンタインかぁ・・・」:101

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101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/14(月) 14:11:07.84 ID:mAF5VBZ20 [1/6] それは寒い風が吹き荒れる、ある冬の日のことだった。 「はい、お兄さんっ」 「…………え?」 オ、オイオイ……俺の目ん玉はどうかしちまったんだろうか。 俺の見間違えじゃなきゃ、マイスイートエンジェルたるあやせたんが俺にチョコレートを渡そうとしてくれているんだが。 「……どうしたんですか? 鳩が豆鉄砲喰らったような顔って、こういう表情のことを言うんですか?」 えっと、その控え目な笑顔とか眩しすぎて見てらんねぇ。 ハッ、そうか! これは夢だな!? 「あやせにチョコレートもらいたいばかりに、こんな夢を見てしまうなんて……俺も末期だな」 しかし、ちょっと待て。 よくよく考えると、夢の中とはいえこのようなおいしいシチュエーションをみすみす見逃してもいいものなのだろうか。 「あのー、お兄さん? 夢を見てるとか仰ってますけど……大丈夫ですか?」 「え? あぁ、悪い悪い。俺があやせからチョコ貰えるなんて夢以外の何物でもないからな」 俺がそう言うと、途端あやせの顔から能面のように表情が抜け落ちた……って、えっ? なんだかこの震える感じ、凄い身に覚えがあるうえに夢とは思えないくらいリアルなんだが……! 「へぇ~、薄々感づいてはいましたけど、お兄さんって鈍感ですよね?」 「ど、どういう意味だ……?」 104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/14(月) 14:22:18.58 ID:mAF5VBZ20 [2/6] 「私は、こう見えてもお兄さんに感謝していたんですよ?」 こ、怖い……! あやせさんマジぱねぇっす!! 「わ、悪かった! 別にふざけてたわけじゃねぇんだよ! 本当にあやせからチョコを貰えることが意外でだな!」 「……はぁ、分かっていますよ、冗談だってことくらい」 「あ、ははははは……」 割と冗談じゃなかったりしたんだが、絶対に言えねぇ。 「とりあえずお兄さん、これ、受け取ってもらえますよね?」 「お、おう」 女の子って、どうしてこう表情がコロコロと変わるんだろうな。 さっきまで無表情すぎて怖かったくらいの顔には、誰もが見惚れるような魅力的な笑顔が浮かんでいて。 不覚にも俺は、数瞬あやせに釘付けになってしまった。 「かわいい……」 「えっ!?」 105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/14(月) 14:29:01.66 ID:mAF5VBZ20 [3/6] おっと、思わず素直な感想が口から漏れてしまったぜ。 まぁ、こんなこと言っちまったら恥ずかしくなっちまうもんなんだろうが……今の俺はそれどころじゃなかった。 目の前であやせが、あのあやせがだぜ? 顔を真っ赤に染めながら、口をパクパクしていた。 「なっ、何を急に言っちゃってるんですかっ、お兄さんはっ!?」 「えっ、あ、いや……思わずポロっと」 「まったくもう! お兄さんはそういうことを誰にでも言うんですね!?」 「なぁっ!? そ、それは流石に誤解だ! 誰にでも言うわけないだろ!?」 俺が咄嗟に誤解を解こうとして叫んだ言葉を聞いたあやせは、突然俯いてモジモジしている。 ここで、「トイレか?」なんてアホなことを言うほど落ちぶれちゃいないつもりではいるが……正直、次に何を言われるのかさっぱり分からん。 お互いが無言のままその場に立ち尽くしていたんだが、暫くして「じゃあ……」というあやせの声が聞こえた。 会話がないってのは空気悪いし、ここは素直にあやせの話を促すべきだよな、うん。 「な、なんだ?」 「じゃあ……本当に、私のことをかわいいと思ってくれたんですか……?」 107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/14(月) 14:37:54.94 ID:mAF5VBZ20 [4/6] なんだろう、この雰囲気は。 妙に甘ったるくて、フワフワして、全然落ち着かねぇ。 「そ、そりゃあ、思わず言っちまうくらいなんだから……そんだけかわいかったってことだろ」 「っ……」 な、なんだ? あやせの態度がさっきからおかしいな? 普段ならこういう時、嫌味だったり罵声だったりが飛んでくるようなところだと思ったんだが。 「あ、あやせ? どうかしたのか?」 あやせに頭が上がらない俺からすれば、現時点でもうアウトだ。 ヘタレ野郎と罵られようが構いやしねぇ、脳が本能的なところで危険だと訴えてきやがる。 俺はこのあと来るであろう惨劇の被害を最小限に抑えるべく、低姿勢でお伺いを立てる。 「……お、兄さん。ちょっと目を瞑ってもらえますか?」 ひぃーっ!? な、何されるんだ俺は!? 「わ、分かった……」 ヤバいヤバいと思っていても、拒否するという選択肢がない時点でヒエラルキーが底辺決定な俺。 ぐっ……こ、こうなったらどんな直接攻撃or精神攻撃が来たとしても根性で乗り切って――― 『チュッ……』 108 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/14(月) 14:49:18.38 ID:mAF5VBZ20 [5/6] 「あ……? え……?」 な、なんだ今の感触は……? この唇に触れた柔らかなものは一体……? 「お兄さん、これちゃんと渡しましたからね!? そ、それじゃあさよならっ!!」 「え、あっ、ちょ、オイ!? あやせ!?」 俺がフリーズ状態から立ち直った頃には、あやせの背中は結構遠くに行ってしまっていた。 あやせの走っている時に、ふわりと浮かんだ髪の毛から覗いた首筋は真っ赤になっていて――― 「~~~っっっ!?」 唐突に、それはもう本当に一瞬のうちに、俺はあやせにキスをされたことを悟った。 なんなんだろうね、このモヤモヤする感じは。 とにかく、俺の18回目のバレンタインデーはこうしたサプライズで幕を閉じることになった。 家に帰宅した際に、桐乃から「何ニヤけてんの、キモっ」という言葉をいただいてしまったことも、些細なことだっつーくらい、それはそれは素晴らしい一日だったね。
101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/14(月) 14:11:07.84 ID:mAF5VBZ20 [1/6] それは寒い風が吹き荒れる、ある冬の日のことだった。 「はい、お兄さんっ」 「…………え?」 オ、オイオイ……俺の目ん玉はどうかしちまったんだろうか。 俺の見間違えじゃなきゃ、マイスイートエンジェルたるあやせたんが俺にチョコレートを渡そうとしてくれているんだが。 「……どうしたんですか? 鳩が豆鉄砲喰らったような顔って、こういう表情のことを言うんですか?」 えっと、その控え目な笑顔とか眩しすぎて見てらんねぇ。 ハッ、そうか! これは夢だな!? 「あやせにチョコレートもらいたいばかりに、こんな夢を見てしまうなんて……俺も末期だな」 しかし、ちょっと待て。 よくよく考えると、夢の中とはいえこのようなおいしいシチュエーションをみすみす見逃してもいいものなのだろうか。 「あのー、お兄さん? 夢を見てるとか仰ってますけど……大丈夫ですか?」 「え? あぁ、悪い悪い。俺があやせからチョコ貰えるなんて夢以外の何物でもないからな」 俺がそう言うと、途端あやせの顔から能面のように表情が抜け落ちた……って、えっ? なんだかこの震える感じ、凄い身に覚えがあるうえに夢とは思えないくらいリアルなんだが……! 「へぇ~、薄々感づいてはいましたけど、お兄さんって鈍感ですよね?」 「ど、どういう意味だ……?」 104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/14(月) 14:22:18.58 ID:mAF5VBZ20 [2/6] 「私は、こう見えてもお兄さんに感謝していたんですよ?」 こ、怖い……! あやせさんマジぱねぇっす!! 「わ、悪かった! 別にふざけてたわけじゃねぇんだよ! 本当にあやせからチョコを貰えることが意外でだな!」 「……はぁ、分かっていますよ、冗談だってことくらい」 「あ、ははははは……」 割と冗談じゃなかったりしたんだが、絶対に言えねぇ。 「とりあえずお兄さん、これ、受け取ってもらえますよね?」 「お、おう」 女の子って、どうしてこう表情がコロコロと変わるんだろうな。 さっきまで無表情すぎて怖かったくらいの顔には、誰もが見惚れるような魅力的な笑顔が浮かんでいて。 不覚にも俺は、数瞬あやせに釘付けになってしまった。 「かわいい……」 「えっ!?」 105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/14(月) 14:29:01.66 ID:mAF5VBZ20 [3/6] おっと、思わず素直な感想が口から漏れてしまったぜ。 まぁ、こんなこと言っちまったら恥ずかしくなっちまうもんなんだろうが……今の俺はそれどころじゃなかった。 目の前であやせが、あのあやせがだぜ? 顔を真っ赤に染めながら、口をパクパクしていた。 「なっ、何を急に言っちゃってるんですかっ、お兄さんはっ!?」 「えっ、あ、いや……思わずポロっと」 「まったくもう! お兄さんはそういうことを誰にでも言うんですね!?」 「なぁっ!? そ、それは流石に誤解だ! 誰にでも言うわけないだろ!?」 俺が咄嗟に誤解を解こうとして叫んだ言葉を聞いたあやせは、突然俯いてモジモジしている。 ここで、「トイレか?」なんてアホなことを言うほど落ちぶれちゃいないつもりではいるが……正直、次に何を言われるのかさっぱり分からん。 お互いが無言のままその場に立ち尽くしていたんだが、暫くして「じゃあ……」というあやせの声が聞こえた。 会話がないってのは空気悪いし、ここは素直にあやせの話を促すべきだよな、うん。 「な、なんだ?」 「じゃあ……本当に、私のことをかわいいと思ってくれたんですか……?」 107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/14(月) 14:37:54.94 ID:mAF5VBZ20 [4/6] なんだろう、この雰囲気は。 妙に甘ったるくて、フワフワして、全然落ち着かねぇ。 「そ、そりゃあ、思わず言っちまうくらいなんだから……そんだけかわいかったってことだろ」 「っ……」 な、なんだ? あやせの態度がさっきからおかしいな? 普段ならこういう時、嫌味だったり罵声だったりが飛んでくるようなところだと思ったんだが。 「あ、あやせ? どうかしたのか?」 あやせに頭が上がらない俺からすれば、現時点でもうアウトだ。 ヘタレ野郎と罵られようが構いやしねぇ、脳が本能的なところで危険だと訴えてきやがる。 俺はこのあと来るであろう惨劇の被害を最小限に抑えるべく、低姿勢でお伺いを立てる。 「……お、兄さん。ちょっと目を瞑ってもらえますか?」 ひぃーっ!? な、何されるんだ俺は!? 「わ、分かった……」 ヤバいヤバいと思っていても、拒否するという選択肢がない時点でヒエラルキーが底辺決定な俺。 ぐっ……こ、こうなったらどんな直接攻撃or精神攻撃が来たとしても根性で乗り切って――― 『チュッ……』 108 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/14(月) 14:49:18.38 ID:mAF5VBZ20 [5/6] 「あ……? え……?」 な、なんだ今の感触は……? この唇に触れた柔らかなものは一体……? 「お兄さん、これちゃんと渡しましたからね!? そ、それじゃあさよならっ!!」 「え、あっ、ちょ、オイ!? あやせ!?」 俺がフリーズ状態から立ち直った頃には、あやせの背中は結構遠くに行ってしまっていた。 あやせの走っている時に、ふわりと浮かんだ髪の毛から覗いた首筋は真っ赤になっていて――― 「~~~っっっ!?」 唐突に、それはもう本当に一瞬のうちに、俺はあやせにキスをされたことを悟った。 なんなんだろうね、このモヤモヤする感じは。 とにかく、俺の18回目のバレンタインデーはこうしたサプライズで幕を閉じることになった。 家に帰宅した際に、桐乃から「何ニヤけてんの、キモっ」という言葉をいただいてしまったことも、些細なことだっつーくらい、それはそれは素晴らしい一日だったね。 おわり

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