俺の妹が身長180cmなわけがない:第六話

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140 名前: ◆5yGS6snSLSFg[sage saga] 投稿日:2011/01/23(日) 18:45:28.67 ID:NZgMtXqQo [1/3] 「ばいばい、きょうちゃん」 「おう、また明日な」 一緒に下校していた麻奈実といつもの丁字路で別れ、ひとり自宅へと歩きだす。 時刻は夕暮れ。帰り道には下校途中と思われる学生がちらほらと見えている。 普段はこのまま帰宅して、しばらくだらだらして、その後ちょっとだけ勉強したりしなかったり……。 そんな予定だったのだが、 「ん?」 もう少しで自宅、というところでいつもとは違う光景が目に飛び込んできた。 自宅の前に誰かがいる。まだはっきりわからないが、女の子なのは間違いない。 遠目からでもスカートをはいているのが確認できた。 「沙織の友達か?」 ……だとしたらなんで家の外で待ってるんだ? 少し不思議に思いつつも、自宅へと歩を進める。 距離が近くなるにつれて次第に少女の姿がはっきりしてくる。遠目から確認したスカートは学制服のものだった。 長い黒髪にすらりとした体格。セーラー服を纏う少女が醸し出す雰囲気は大人っぽく、一瞬高校生かとも思ったが、どうやら中学生であるようだ。 なぜ中学生だと判断できたのかというと、少女が着ている制服に見覚えがあったからだ。 あれ、たしか桐乃の中学の制服だよな。なんで桐乃の学校のやつがうちの前に立ってるんだ? 桐乃の紹介で沙織と友達になるべくやってきたのだろうか。とすると、あの子も何かしらのオタクだったりするのかね。 「ま、触らぬ神になんとやらだ」 横目で少女の動向を窺いつつ目の前を通り過ぎようとした瞬間、少女は予想外の言葉を発した。 141 名前: ◆5yGS6snSLSFg[sage saga] 投稿日:2011/01/23(日) 18:46:03.62 ID:NZgMtXqQo [2/3] 「高坂……京介さんですね?」 「えっ?」 少女は未だ俯いており、顔は見えない。 え……お、俺に用があるの? いや、それ以前になんで俺の名前を? 頭の中にいろいろな疑念がうずまく。 ひょ、ひょっとして俺に一目ぼれしちゃった女の子が、告白しに来たとかそんなんですか? うっひょー、なんという運命! 「高坂京介さんですよね」 妄想の世界にふけっていると、痺れを切らしたのか少女が同じ質問をくりかえした。 と、同時に少女がようやく顔をあげた。 そのとき、俺に電流走る。 比喩ではなく、わりとマジでだ。 この世にこんな美少女がいていいのだろうか。にこりと微笑む少女の顔はまさに天使のそれだった。 「あ、ああ。たた、たしかに俺が高坂京介だけど」 あまりの衝撃にろれつがまわらない。お、落ち着け俺! 「よかった。あなたが帰ってくるのを待ってたんです」 ふおおお! これが落ち着いていられるか! これなんてエロゲ!? が次の瞬間、美少女はにっこりと微笑んだまま瞳の光彩を消失させた。 「ちょっとお話したいことがあります。そこの公園までついてきて下さい」 な、なんだこのプレッシャーは……。彼女の台詞は一応お願いの体を取ってはいるが、有無を言わさない迫力がある。 俺は、この時点で直感したよ。これは甘い話なんかじゃない。それどころか命の危険すらあるかもしれないってな。 148 名前: ◆5yGS6snSLSFg[sage saga] 投稿日:2011/01/24(月) 21:36:19.86 ID:veRgJgB8o [1/6] 少女の後に続き、近所の公園へと向かう。 歩くたびに揺れる少女の黒髪からは、かすかにシャンプーの香りが漂ってくる。 す-はー。無意識に深呼吸を一つ。 はっ!? い、いかん。俺はいったい何をしているんだ。 これじゃあまるで変態みたいじゃないか。 違うんだ。あくまでも、「いい匂いだな~」とか思っただけで他意はないんだ。 ところで、この子、どっかで見かけた気がするんだよなあ。どこで見たんだろ。 べ、別にごまかしたわけじゃないぞ? ほんとだよ? ほどなくして俺たちは公園に到着。 さすがにこの時間になると子供たちの姿はもうない。今この公園内には、俺と――この名も知らぬ美少女二人きりだ。 少女は交番の裏手あたりで立ち止まるとこちらに向き直った。 少女が歩みを止めるのに合わせて俺も足を止める。少女までの距離は5歩くらいか。 149 名前: ◆5yGS6snSLSFg[sage saga] 投稿日:2011/01/24(月) 21:38:13.40 ID:veRgJgB8o [2/6] 「で、話ってなんだ?」 はやる気持ちを抑えきれず、自分から話を切り出す。 どきどきを鼓動が早まるのを感じる。 直感的に甘い話ではない感じている。感じてはいるが、未だに淡い期待を抱いている俺を誰が責められるだろうか。 こんな美少女に「ちょっとお話が……」なんて言われ、人気のない公園へと誘われる。 状況は完璧だ。これで『何か』を期待しない男などいるわけがない。 もしいるのであれば、そいつはガチホモか仙人くらいなもんだろうぜ。 「単刀直入にお聞きします。桐乃とはどういう関係ですか?」 「は? 桐乃? 桐乃ってあの桐乃?」 すると少女は、「どの方を指してそう言ってるのかは分かりませんが」と前置きして上で、 「眉目秀麗、スタイルファッションセンスともに抜群、学業優秀。部活でも輝かしい成績を残し、校外ではモデル活動もやってて、みんなから頼られ、誰からも好かれているあの桐乃です」 やだ、なにこの子。ちょっと怖いんだけど。 いくらなんでも褒めすぎじゃないか? どんだけ桐乃大好きなんだよ。 桐乃のことをあそこまで褒められるのは親友かストーカーくらいなもんだろ。そして、この子はきっと前者であるはずだ。そうであってほしい。 まあ、モデルやるような人間がそう何人もいるわけないから俺の思う桐乃とこの子が言う桐乃は同一人物で間違いないだろう。後半部分が正しいかどうかは疑問だけど。 150 名前: ◆5yGS6snSLSFg[sage saga] 投稿日:2011/01/24(月) 21:39:27.85 ID:veRgJgB8o [3/6] 「どんな関係ですか?」 少女は再び同じ質問を繰り返した。 先ほどもそうだったが、どうやらこの子、人の返事を待てないというかちょっと落ち着きがない子みたいだ。 あるいはそれだけ切羽詰まっているということだろうか。 「どんな関係って言われてもなあ……確かに知り合いではあるが」 どうやら桐乃の知り合いという俺の予想は当たっていたようだ。 ……桐乃との関係か。さて、どう説明したもんかな。 だが、趣味が趣味だけに、桐乃が自身の趣味を友達に話している可能性は低いだろう。両親にすら自分の趣味を秘密にしていた我が妹・沙織のように。 となると、おのずと話せる内容は限られてくる。 「……ただの友達だよ」 仕方なく無難な答えを返す。 「そうですか。じゃあどこで知り合ったんですか?」 矢継ぎ早に次の質問。 少女が発するプレッシャーと相まって、まるで尋問でもされているかのようだ。 「妹が桐乃の友達でさ。それで知り合ったんだ」 これくらいは大丈夫だよな。嘘も言ってないし。 「…………おかしい。桐乃に高坂なんて友達いたっけ?」 俺の返事を聞いた少女は、なにやらぶつぶつとひとり言を唱えている。 151 名前: ◆5yGS6snSLSFg[sage saga] 投稿日:2011/01/24(月) 21:41:56.26 ID:veRgJgB8o [4/6] 「どうした?」 「えっ? あ……なんでもありません。……桐乃のことどう思ってますか?」 「は? なんでそんなこと聞くんだ?」 俺にはこの子の目的がさっぱりだ。 別に俺に気があるわけでもないみたいだし。悲しいけど。 「な、なんでもいいじゃないですか。早く答えてください」 「うーん……そうだなあ」 思わず答えに詰まってしまう。 どう思ってるか……か。 突拍子もない質問だ。答える義理だってない。だけど…………なぜか、どきりとした。 俺はあいつをどう思ってるんだ? ただの友達? それとも妹の友達?  ……ほんとうにそれだけか? 『あたしのお兄ちゃんになってください!』 『いいの!? ありがと兄貴っ!』 あの時の台詞と笑顔が、鮮明に脳裏に浮かぶ。 「……手のかかる妹みたいな感じかなぁ」 気付けばそう答えていた。 「……ほんとにですか?」 「ああ。ほんとだ」 「そうですか。……・……私の想い過ごしだったのかもしれませんね。桐乃にもしっかり聞いてみないと……あ、申し遅れました。私、新垣あやせって言います」 「新垣さんね」 「あはっ、あやせでいいですよ」 俺の返事に満足したからか、あやせはさっきまでの雰囲気を一変させた。 今は初めて見たときの、まるで天使のような笑顔を浮かべている。 152 名前: ◆5yGS6snSLSFg[sage saga] 投稿日:2011/01/24(月) 21:44:55.26 ID:veRgJgB8o [5/6] 「あっ!」 「ひっ!? きゅ、急に大きな声出さないで下さい!?……どうしたんですか?」 「あ……すまん。なんでもないんだ」 この笑顔で思い出した! この子、桐乃にもらったファッション誌に桐乃と一緒に写ってた子だ! 道理でどこかで見た気がしてたわけだよ。正直、初めて見た時からちょっと気になってたんだよね。 あやせはしばらく頭に疑問符を浮かべていたが、やがてこう切り出した。 「ふふ、桐乃と腕を組んでるのを見た時はどうなることかと思いましたよ。……今日はいきなり押しかけちゃってすいませんでした」 そういうとあやせは、ぺこりとお辞儀をした。 なんだ、いい子じゃないか。一時は命の危険さえ感じたが、それこそ俺の想い過ごしかもしれないな。 まあ、思い込みが激しくて自己完結しがちな一面をもっているようだけど。 が、彼女が発した言葉に対して、ある疑問が俺の中に浮かんできた。 「…………ん? 腕を組んでるのを見た?」 「あっ!?」 俺が桐乃と腕を組んだのは、先日、桐乃の買い物に付き合わされた時だけだ。 なぜこの子がそのことを知っている? いや、知っているだけならまだしも、あやせは見たと言った。 ここまでスルーしていたが、なんで俺の名前を知っていたのかも疑問である。 「きょ、今日はここで失礼しますね! さようならお兄さん!」 「あ! ちょ、ちょっとま……」 俺の制止もむなしく、あやせはあっという間に走り去ってしまう。 「…………ひょっとするとストーカーの方だったかもしれん」 そして、去り際に残した『お兄さん』という言葉。 あやせの頭の中でいったいどういう結論が出たのか不思議でならない。 あの子、いい子だと思ったんだけどなあ……。俺の見当違いかな。 「ははは…………これ、沙織に話したらまた怒られそうだな」 第六話おわり

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