無題:9スレ目120

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120 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) 2011/03/29(火) 02:09:11.79 ID:uH4czZPg0 俺の名前は高坂京介。ごくごく平凡な高校生だった。 だったというのは、この春、俺は高校を卒業し、大学生となるからだ。 そして今日は、大学で使う(予定)の電子辞書を買うために、幼馴染である田村麻奈実と近所の電気屋へ向かう予定だ。 ……いかんいかん、こんなこと話してる間に時刻は12時55分。約束の時間に遅れちまう。 俺は自室のベットから立ち上がり、下へ降りて行った。 『なんであんたが出てくんのよ!?』 電話でもしているのだろうか、リビングのほうから馬鹿でかい声が聞こえてくる。 声の主は高坂桐乃。俺の妹だ。 この妹には何度も何度も困らされてだな……いや、やめておこう。この話をすると文庫本7冊ぐらいはかかりそうだから。 そして今も、関わるとまずいことになりそうな予感でいっぱいだ。 ここは関わらぬのが得策っ!長年の経験がそう言っている! 「行ってきます」 俺はさっさと家を出た。 自宅から歩いて数分、田村屋へと到着し、俺は押しなれたインターホンを押す。 ピンポーン ドタドタと騒がしい足音が聞こえてきて扉があいた。 「ハイよっ!ってなんだアンちゃんか」 「ようロック、久しぶりだな。麻奈実はいるか?」 「オウいるぜ、ねぇちゃーん!!アンちゃんが来たぞぉい!!」 「今いくよぉ」 今度はパタパタと足音が聞こえてきて、俺の幼馴染でありお婆ちゃんでもある麻奈実が出てきた。 「少し早かったか?」 「そんなことないよぉ」 「そうか、じゃあとっとと行っちまうか」 「うん、そうしよっか」 俺たちは田村家を後にし、電気屋へと向かった。 121 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) 2011/03/29(火) 02:10:50.43 ID:uH4czZPg0   俺たちは三十分ほど歩き、電気屋についた。 運がいいことに、渡った信号はすべて青で、30分ほど早くつき、時刻は14時ちょうど。 「電子辞書は2階に売ってるみてぇだな」 俺は店内案内版を見て言った。 まぁアキバの電気屋を散々見た俺は、案内板など見なくてもどこに何があるのかなんて感覚でわかるけどなっ! ……なんか悲しくなってきた。 「どうしたの?京ちゃん」 「なんでもねぇよ」 電気屋のことを詳しく知りすぎてて悲しくなってました、なんていえるか!! 「はぁ~、電子辞書って言ってもいっぱい種類があるんだねぇ」 「まぁどれ選んでも大した違いはねぇだろ」 と言ったものの、どれを選んだらいいものか全くわからず、結局店員のお世話になったのは内緒だ。 時刻は14時45分。 俺は真っ黒の電子辞書、麻奈実は俺と同じ機種の真っ白の電子辞書を購入し、本日の予定はこれで終了だ。 一階へ降りる途中、さっきまで俺たちがいた電子辞書のコーナーに桐乃がいたような気がしたが……まぁ気のせいだろう。あいつがこんな小さな電気屋に来る訳もないしな。 「……キ……ア…………キィ!!」 店を出て数分歩いたところで誰かが俺を呼んだ気がした。  振り向く →振り向かない 気のせいだろうと俺は再び歩き出そうとした瞬間 「うぉっ!?」 俺は後ろから誰かに突き飛ばされた。慌てて後ろを振り向くと―― ドン!!! 脳まで響き渡る鈍い音が聞こえ、喉が一瞬にしてカラカラになる。 俺は目の前で起こった出来事を全く理解することができなかった。 「桐……乃?」 小さな声でゆっくりと呼びかけた。 なんだ?どういうことだ?目の前で妹が桐乃が車に轢かれた? 「桐乃!!」 俺は倒れている桐乃へ再び声をかける。今度は強く大きく。 返事は返ってこなかった…… 122 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) 2011/03/29(火) 02:12:34.19 ID:uH4czZPg0   俺の妹が死んで一週間が経った。死因は交通事故、酔っ払い運転。 ……そう、分かっているのに実感が湧かない。「妹」が死んだという実感が。 いや分かりたくないだけなのかもしれない。 親父、お袋、麻奈実、黒猫、沙織、あやせ、みんな口をそろえてこう言う。 「お前は悪くない……悪いのは加害者だ」 「アンタは悪くないわ……」 「京ちゃんはわるくないよっ!」 「先輩…貴方は悪くないわ。自分を責めないで?」 「京介氏!京介氏は決して悪くございませぬ。どうか自分を責めないでください」 「お兄さんはっ……悪くないですから……」 なんでだ?俺があの時「振り向いて」いれば桐乃は……助かったのかもしれないのに。 俺がまた深い深い自己嫌悪に陥りそうになったとき―― Prrrrrr prrrrr prrrrrr 電話が鳴った。 「誰だよ……」 俺は誰からの着信かも確認せず、電話に出た。 『あっ、もしもしあやせ?たしか今日暇だったよね?』 聞き間違えか? いや聞き間違えるわけがねぇ! 「桐乃……なのか?」 『なんであんたが出てくんのよ!?』 「っ!?なんつー馬鹿でかい声をだしやがる!?鼓膜が破れるかと思ったわ!」 『うっさい!!あやせの携帯から、なんであんたが出てくんのよっ!!』 落ちつけ……俺がいま電話している相手は、死んだはずの桐乃。 ……どうなってやがる? 『早く答えなさいよっ!』 「ちょっと待て、これは俺の携帯だぞ?」 俺は現状に戸惑いながらも真面目な声で言った。 「今から俺の質問に答えてくれ」 『な、なんなの?』 「お前は今生きているのか?」 ……なんつーアホな質問だこれっ!? 『はぁ?何言ってんの。アンタ頭大丈夫?』 うぐっ、さすがに今回ばかりは否定できねぇぜ。 「じゃあ今日は何日だ?」 『チッ……いい加減にしてよね?』 「いいから。何日だ?」 『3月の20日だけど、それがなに?』 「マジかよ……」 俺は思わずそうつぶやいていた。 だって信じられるか?今日は27日だぜ? すなわちこの電話は過去から繋ってきたことになるんだぞ? そんなのアニメやマンガの話だろ? ……だけどこれは違う。現実だ。 『で?なんなの?どういうことなのか説明してくれる?』 「桐乃、黙って俺の話を聞いてくれないか?バカなこと言ってると思うだろうが嘘じゃない」 『……言ってみなさいよ』 「俺の今日の日付は27日なんだ……たぶんこの電話は過去から未来へと繋がっている」 『アンタ自分が何言ってんのか分かってんの?』 桐乃から呆れたような声が聞こえてくる。いや実際に呆れてるのだろう。 俺だって今自分で言ったことが信じきれてねぇ。 だけど―― 「ああ、分かっている。嘘じゃねえ。頼む信じてくれ」 『そんなの信じれるわけn「20日にオメェが死んじまったんだよ!!俺は今死んだはずの奴と今電話してんだよ!」 『何……言ってんの?え?アタシが死んだ?』 「…………」 『ちょっと?え?』 「交通事故で……俺をかばって……」 気づくと俺は泣いて桐乃に頼んでいた。 「頼むっ!今日1日家から出ないでくれ、そしたら未来が今が変わるかもしれねぇ。俺はお前に死んでほしくなんかねぇんだよ!」 ブツッ、ザザーー 電話が切れた―― 123 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) 2011/03/29(火) 02:15:07.20 ID:uH4czZPg0 『もしもし桐乃?』 「えっあ、あやせ?」 『どうしたの?桐乃?』 「えっと……あっと……や、やっぱ後で話すね!」 『え?あ、うん』 ……夢だったのだろうか? 未来の兄貴に電話がつながって?アタシが死んで???? 冷静になり、兄貴の言ったことを考える…… アタシの兄貴は冗談であんなことを言う人間ではない。ましてや泣きながらなど。 つまり“あの”兄貴の言ったことは本当のことなの? 考えたところで答えが見つかるはずもなかった。 兄貴曰く、アタシは兄貴をかばって死んだらしい。 そこでひとつの疑問が頭の中に浮かび上がってきた。じゃあアタシが兄貴をかばわなかったら? 最悪の結末を考えてしまい、アタシはリビングを飛び出し、兄貴たちが向かった電気屋へ走っていった。 時刻は13時45分。 アタシの脚なら走って15分あればつくはずだった。 「なんでこんな時に限って信号が赤ばっかなのよ!?」 運が悪いことに、渡った信号はすべて赤。 30分ほど遅れて時刻は14時30分、ようやく電気屋へとついた。 兄貴たちが何を買いに来たのか知らないアタシは、まずは一階をしらみつぶしに探すことにしたけど全くみつからない。 この階にはいないのだろうか。アタシは二階を探すことにした。 時刻は14時45分。 エスカレーターに乗っている時間が惜しい。 アタシはエスカレーターを一気に駆け上がり、目についた電子辞書のコーナーへと向かった。 しかしここにも兄貴たちの姿はない、だんだん不安と焦りが募り、口から弱音がこぼれていた。 「ダメだ、見つからないよぉ」 アタシは頭をぶんぶんと振り、泣いてしまいそうになった自分を奮い立たせ、再び兄貴を探し始めた。 「あっ、あれ!」 二階の窓からふと外を見ると、兄貴らしき人物が地味子らしき人物と歩いている。 間違いない!アタシがあの二人とほかの誰かと見間違えるわけがない。 今まで何度も見てきたあの二人の後ろ姿……。絶対……絶対見間違えるわけがない。 アタシは店を飛び出し、二人のもとへ急いだ。 「はぁ……はぁ……はぁはぁっ……」 やっと……追い……ついたっ…… アタシはカラカラになった喉を振り絞り大声で叫んだ。 「アニキ……アニキィイィィイイ」 124 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) 2011/03/29(火) 02:17:40.17 ID:uH4czZPg0 桐乃が……俺を呼んだ気がした。 →振り向く  振り向かない っ!? なんだあの車!?こっちに突っ込んで来てやがる!? 俺は考えるよりも先に桐乃のもとへ向かい、桐乃を抱え、ハリウッドもびっくりな動きを繰り出し、突っ込んできた車から回避することに成功した。 「大丈夫か桐乃!?」 「だいじょうぶだよ……あんたは?」 「ああ、大丈夫だ」 少し腰をひねったけどなっ!慣れないことはするもんじゃねーな。 ……だけどもし俺が「振り向かなかった」ら考えただけでぞっとする。 だが、これだって相当な事故だろう。あ~あ、電子辞書がつぶれてやがる。 「きょうちゃん、桐乃ちゃんだいじょうぶ!?」 「ああ、俺も桐乃も怪我はねぇよ。お前は大丈夫か?」 「うん、だいじょうぶ」 この交通事故はどうやら運転手の酔っ払い運転が原因だったらしい。翌日の新聞に小さいながらも記事が載っていた。 事故の日の夜、俺は桐乃からこんな話を聞かされた。 「実はね……」 まったくアニメやマンガじゃねぇんだから、そんな話があるわけねぇだろ。 ……しかし、俺には桐乃が嘘を言っているようには不思議と聞こえなかった。 ~end~
120 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) 2011/03/29(火) 02:09:11.79 ID:uH4czZPg0 俺の名前は高坂京介。ごくごく平凡な高校生だった。 だったというのは、この春、俺は高校を卒業し、大学生となるからだ。 そして今日は、大学で使う(予定)の電子辞書を買うために、幼馴染である田村麻奈実と近所の電気屋へ向かう予定だ。 ……いかんいかん、こんなこと話してる間に時刻は12時55分。約束の時間に遅れちまう。 俺は自室のベットから立ち上がり、下へ降りて行った。 『なんであんたが出てくんのよ!?』 電話でもしているのだろうか、リビングのほうから馬鹿でかい声が聞こえてくる。 声の主は高坂桐乃。俺の妹だ。 この妹には何度も何度も困らされてだな……いや、やめておこう。この話をすると文庫本7冊ぐらいはかかりそうだから。 そして今も、関わるとまずいことになりそうな予感でいっぱいだ。 ここは関わらぬのが得策っ!長年の経験がそう言っている! 「行ってきます」 俺はさっさと家を出た。 自宅から歩いて数分、田村屋へと到着し、俺は押しなれたインターホンを押す。 ピンポーン ドタドタと騒がしい足音が聞こえてきて扉があいた。 「ハイよっ!ってなんだアンちゃんか」 「ようロック、久しぶりだな。麻奈実はいるか?」 「オウいるぜ、ねぇちゃーん!!アンちゃんが来たぞぉい!!」 「今いくよぉ」 今度はパタパタと足音が聞こえてきて、俺の幼馴染でありお婆ちゃんでもある麻奈実が出てきた。 「少し早かったか?」 「そんなことないよぉ」 「そうか、じゃあとっとと行っちまうか」 「うん、そうしよっか」 俺たちは田村屋を後にし、電気屋へと向かった。 121 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) 2011/03/29(火) 02:10:50.43 ID:uH4czZPg0   俺たちは三十分ほど歩き、電気屋についた。 運がいいことに、渡った信号はすべて青で、30分ほど早くつき、時刻は14時ちょうど。 「電子辞書は2階に売ってるみてぇだな」 俺は店内案内板を見て言った。 まぁアキバの電気屋を散々見た俺は、案内板など見なくてもどこに何があるのかなんて感覚でわかるけどなっ! ……なんか悲しくなってきた。 「どうしたの?京ちゃん」 「なんでもねぇよ」 電気屋のことを詳しく知りすぎてて悲しくなってました、なんていえるか!! 「はぁ~、電子辞書って言ってもいっぱい種類があるんだねぇ」 「まぁどれ選んでも大した違いはねぇだろ」 と言ったものの、どれを選んだらいいものか全くわからず、結局店員のお世話になったのは内緒だ。 時刻は14時45分。 俺は真っ黒の電子辞書、麻奈実は俺と同じ機種の真っ白の電子辞書を購入し、本日の予定はこれで終了だ。 一階へ降りる途中、さっきまで俺たちがいた電子辞書のコーナーに桐乃がいたような気がしたが……まぁ気のせいだろう。あいつがこんな小さな電気屋に来る訳もないしな。 「……キ……ア…………キィ!!」 店を出て数分歩いたところで誰かが俺を呼んだ気がした。  振り向く →振り向かない 気のせいだろうと俺は再び歩き出そうとした瞬間 「うぉっ!?」 俺は後ろから誰かに突き飛ばされた。慌てて後ろを振り向くと―― ドン!!! 脳まで響き渡る鈍い音が聞こえ、喉が一瞬にしてカラカラになる。 俺は目の前で起こった出来事を全く理解することができなかった。 「桐……乃?」 小さな声でゆっくりと呼びかけた。 なんだ?どういうことだ?目の前で妹が桐乃が車に轢かれた? 「桐乃!!」 俺は倒れている桐乃へ再び声をかける。今度は強く大きく。 返事は返ってこなかった…… 122 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) 2011/03/29(火) 02:12:34.19 ID:uH4czZPg0   俺の妹が死んで一週間が経った。死因は交通事故、酔っ払い運転。 ……そう、分かっているのに実感が湧かない。「妹」が死んだという実感が。 いや分かりたくないだけなのかもしれない。 親父、お袋、麻奈実、黒猫、沙織、あやせ、みんな口をそろえてこう言う。 「お前は悪くない……悪いのは加害者だ」 「アンタは悪くないわ……」 「京ちゃんはわるくないよっ!」 「先輩…貴方は悪くないわ。自分を責めないで?」 「京介氏!京介氏は決して悪くございませぬ。どうか自分を責めないでください」 「お兄さんはっ……悪くないですから……」 なんでだ?俺があの時「振り向いて」いれば桐乃は……助かったのかもしれないのに。 俺がまた深い深い自己嫌悪に陥りそうになったとき―― Prrrrrr prrrrr prrrrrr 電話が鳴った。 「誰だよ……」 俺は誰からの着信かも確認せず、電話に出た。 『あっ、もしもしあやせ?たしか今日暇だったよね?』 聞き間違えか? いや聞き間違えるわけがねぇ! 「桐乃……なのか?」 『なんであんたが出てくんのよ!?』 「っ!?なんつー馬鹿でかい声をだしやがる!?鼓膜が破れるかと思ったわ!」 『うっさい!!あやせの携帯から、なんであんたが出てくんのよっ!!』 落ちつけ……俺がいま電話している相手は、死んだはずの桐乃。 ……どうなってやがる? 『早く答えなさいよっ!』 「ちょっと待て、これは俺の携帯だぞ?」 俺は現状に戸惑いながらも真面目な声で言った。 「今から俺の質問に答えてくれ」 『な、なんなの?』 「お前は今生きているのか?」 ……なんつーアホな質問だこれっ!? 『はぁ?何言ってんの。アンタ頭大丈夫?』 うぐっ、さすがに今回ばかりは否定できねぇぜ。 「じゃあ今日は何日だ?」 『チッ……いい加減にしてよね?』 「いいから。何日だ?」 『3月の20日だけど、それがなに?』 「マジかよ……」 俺は思わずそうつぶやいていた。 だって信じられるか?今日は27日だぜ? すなわちこの電話は過去から繋ってきたことになるんだぞ? そんなのアニメやマンガの話だろ? ……だけどこれは違う。現実だ。 『で?なんなの?どういうことなのか説明してくれる?』 「桐乃、黙って俺の話を聞いてくれないか?バカなこと言ってると思うだろうが嘘じゃない」 『……言ってみなさいよ』 「俺の今日の日付は27日なんだ……たぶんこの電話は過去から未来へと繋がっている」 『アンタ自分が何言ってんのか分かってんの?』 桐乃から呆れたような声が聞こえてくる。いや実際に呆れてるのだろう。 俺だって今自分で言ったことが信じきれてねぇ。 だけど―― 「ああ、分かっている。嘘じゃねえ。頼む信じてくれ」 『そんなの信じれるわけn「20日にオメェが死んじまったんだよ!!俺は今死んだはずの奴と今電話してんだよ!」 『何……言ってんの?え?アタシが死んだ?』 「…………」 『ちょっと?え?』 「交通事故で……俺をかばって……」 気づくと俺は泣いて桐乃に頼んでいた。 「頼むっ!今日1日家から出ないでくれ、そしたら未来が今が変わるかもしれねぇ。俺はお前に死んでほしくなんかねぇんだよ!」 ブツッ、ザザーー 電話が切れた―― 123 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) 2011/03/29(火) 02:15:07.20 ID:uH4czZPg0 『もしもし桐乃?』 「えっあ、あやせ?」 『どうしたの?桐乃?』 「えっと……あっと……や、やっぱ後で話すね!」 『え?あ、うん』 ……夢だったのだろうか? 未来の兄貴に電話がつながって?アタシが死んで???? 冷静になり、兄貴の言ったことを考える…… アタシの兄貴は冗談であんなことを言う人間ではない。ましてや泣きながらなど。 つまり“あの”兄貴の言ったことは本当のことなの? 考えたところで答えが見つかるはずもなかった。 兄貴曰く、アタシは兄貴をかばって死んだらしい。 そこでひとつの疑問が頭の中に浮かび上がってきた。じゃあアタシが兄貴をかばわなかったら? 最悪の結末を考えてしまい、アタシはリビングを飛び出し、兄貴たちが向かった電気屋へ走っていった。 時刻は13時45分。 アタシの脚なら走って15分あればつくはずだった。 「なんでこんな時に限って信号が赤ばっかなのよ!?」 運が悪いことに、渡った信号はすべて赤。 30分ほど遅れて時刻は14時30分、ようやく電気屋へとついた。 兄貴たちが何を買いに来たのか知らないアタシは、まずは一階をしらみつぶしに探すことにしたけど全くみつからない。 この階にはいないのだろうか。アタシは二階を探すことにした。 時刻は14時45分。 エスカレーターに乗っている時間が惜しい。 アタシはエスカレーターを一気に駆け上がり、目についた電子辞書のコーナーへと向かった。 しかしここにも兄貴たちの姿はない、だんだん不安と焦りが募り、口から弱音がこぼれていた。 「ダメだ、見つからないよぉ」 アタシは頭をぶんぶんと振り、泣いてしまいそうになった自分を奮い立たせ、再び兄貴を探し始めた。 「あっ、あれ!」 二階の窓からふと外を見ると、兄貴らしき人物が地味子らしき人物と歩いている。 間違いない!アタシがあの二人とほかの誰かと見間違えるわけがない。 今まで何度も見てきたあの二人の後ろ姿……。絶対……絶対見間違えるわけがない。 アタシは店を飛び出し、二人のもとへ急いだ。 「はぁ……はぁ……はぁはぁっ……」 やっと……追い……ついたっ…… アタシはカラカラになった喉を振り絞り大声で叫んだ。 「アニキ……アニキィイィィイイ」 124 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) 2011/03/29(火) 02:17:40.17 ID:uH4czZPg0 桐乃が……俺を呼んだ気がした。 →振り向く  振り向かない っ!? なんだあの車!?こっちに突っ込んで来てやがる!? 俺は考えるよりも先に桐乃のもとへ向かい、桐乃を抱え、ハリウッドもびっくりな動きを繰り出し、突っ込んできた車から回避することに成功した。 「大丈夫か桐乃!?」 「だいじょうぶだよ……あんたは?」 「ああ、大丈夫だ」 少し腰をひねったけどなっ!慣れないことはするもんじゃねーな。 ……だけどもし俺が「振り向かなかった」ら考えただけでぞっとする。 だが、これだって相当な事故だろう。あ~あ、電子辞書がつぶれてやがる。 「きょうちゃん、桐乃ちゃんだいじょうぶ!?」 「ああ、俺も桐乃も怪我はねぇよ。お前は大丈夫か?」 「うん、だいじょうぶ」 この交通事故はどうやら運転手の酔っ払い運転が原因だったらしい。翌日の新聞に小さいながらも記事が載っていた。 事故の日の夜、俺は桐乃からこんな話を聞かされた。 「実はね……」 まったくアニメやマンガじゃねぇんだから、そんな話があるわけねぇだろ。 ……しかし、俺には桐乃が嘘を言っているようには不思議と聞こえなかった。 ~end~

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