無題:10スレ目20

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20 : ◆y8MRojr2/6 [sage saga]:2011/05/05(木) 15:33:30.51 ID:ZXWROuMw0 「暇だなぁ~、珠希…」 「おひまですね、おにぃちゃん…」 今、俺と珠希は、テーブルに肘をつきながらひたすらボーっとしている。 今日は黒猫がバイトで日向も遊びに出かけるということで、黒猫が家に帰るまでの間、珠希の面倒を見るように頼まれた。 そしてさっきまでは珠希に本を読んでやったり、二人でDVDを見たり、珠希画伯のお絵描きを堪能したりしていたのだが、そのうちにやることもなくなってしまったのだ。 小雨が降ってるから公園とかに遊びに行くわけにもいかないし、完全に『詰んだ』状態ってわけ。 「なんか面白い番組やってねえかな…」 俺は思わず一人ごとを呟きながら、誰も見ていない夕方のニュースが流れているテレビのチャンネルを変えて……「うっ!?」……………慌ててすぐにまたニュースに戻した。 理由は簡単。多分ドラマの再放送か何かだろうが、チャンネルを変えた直後……画面いっぱいに男女のキスシーンが映ったからだ。 別にベッドシーン中のキスではなかったが、これを物心ついたばかりの小さい女の子と一緒に見るのは何となく気まずい。 その子が今みたいに彼女の妹だった場合は特にな。 「…おにぃちゃん。“ちゅー”をすると、いいきもちになるんですか?」 「!?た、珠希!?」 …そして、その子から突然こんなことを聞かれると更に気まずい。現にこの時の俺は完全に不意をつかれてかなり焦っていた。 この質問、要するに『キスすると気持ちイイんですか?』ってことだろ!?なんつーこと言い出すんだこいつは! この手の質問って実親も返事に困るレベルなんじゃねーの? 何にせよ、ここは慎重にならねえとな。 俺の返答次第によっては珠希の将来に何かしらの悪影響が出てきちまうかもしれないし、ちょっとでも間違えると俺が黒猫に激怒されかねんし……… 「おにぃちゃん、おしえてください!」 「え、えーっとな! “ちゅー”ってのは、べ、別にいい気持ちになるってわけじゃ……………」 「でも…ねぇさまとおにぃちゃんは、いっつも“ちゅー”するとき、とってもきもちよさそうにしてますよ?」 …あん? 「なっ………お、お前まさか…俺たちの見てたのか!?」 「はい!」 おいおい…そんな屈託のない笑顔で返されちまったら、こっちだって何も言えねえじゃねえか………orz やっぱりあれか?この間、黒猫の部屋でした時に見られたのか?マジかよ!珠希はずっとアニメに夢中だと思ってたのに!……………って、待てよ!? 珠希に見られてるってこたぁ、恐らく日向にも……………あー!恥ずかしい!!俺らのキスを目撃してる時のあいつのニヤけ顔が目に浮かんでくる!!! 「おにぃちゃん…?」 一人で焦って一人で動揺する俺を見て、珠希はいかにも不思議そうな表情を向けてきた。 まあそりゃねえ……話し相手が急に真っ赤になって汗かいて黙り込んじまったらねえ………。 こいつにしてみたら何も変なことを聞いている自覚もないんだろうしな。こっちとしては結構ドキドキものなんだけどよ…。 とにかくいずれにせよ、下手に軽くスルーして日向にでも回答権を移されると、俺が100%あいつにおちょくられることは目に見えている。 だから俺は珠希の質問に何らかの答えを出さなければならないだろう。 …もういい。こうなりゃヤケだ。こうなったら正直に且つ穏便に、この子に真実を伝えてやろう。 「あ~オホン!あの~…そうだなぁ………す、好きな人とするとその………き、気持ちいい…かもな?」 「へえ~。じゃあやっぱり“ちゅー”するといいきもちになるんですね!!」 珠希は俺が言葉を切るたびにフムフムと興味津々な様子で頷きながら聞いていたが、最終的にはまたあの純粋な笑顔に戻った。 どうやらひとまずはこの説明で納得してくれた…らしい。 いやいや、俺は決して嘘は言ってないぞ?確かにもう少しやわらかい言い方も出来たような気がするけど…。 でもさ、わざわざ黒猫の名前出されてんのに変なことは言えねえよ。 何かの拍子に妹から『おにぃちゃんはねぇさまの“ちゅー”がきもちよくないって…』とか言われたらきっとあいつもショックだろうし。 俺だったら嫌だね。桐乃から『黒いのから聞いたケド、あんたってキスも満足に出来ないワケ?』とか言われたらさ。 まあとにかく、これでこの話は終わりだ。終わり終わり。 それにしても暇だなぁ~。でもこのままボーッとしてても珠希だってつまんねーだろうし…。 黒猫でも日向でも、早く誰か帰ってこねえかなぁ~………………………… 「じゃあおにぃちゃん、わたしにも“ちゅー”してください!」 「えええええ!?」 !?ちょっ…まてまてまてまて!!! 「な、何でそうなるんだ!?」 「だって…そんなにきもちいいなら、わたしも“ちゅー”してみたいです!」 「ダ、ダメだって!今言ったばっかだろ!?こういうのはちゃんと好きな人と…」 「?わたし、おにぃちゃんのことだいすきですよ!」 「いや、俺が言ってるのはそういう『好き』じゃなくて!!!」 黒猫ぉ…俺はお前の妹に対する教育方法に少々疑問を感じてきたぞ!? こ、こういうデリケートな感情はちゃんと家庭で………って、普通はわざわざ幼稚園児にそんなこと教えねえか…。 それにしても、姉ちゃんと付き合ってるのにその妹からキスをせがまれる、ってどこの昼ドラだよ?これって一歩間違えればNTRなんじゃ? もちろん珠希はそんな気があるわけじゃないんだろうけど………まあ、そんなのは今どうだっていいことだ。 どっちにせよ、俺が珠希に“ちゅー”は完全にアウトだろ!そんなの犯罪だって!絶対なんかの法律に引っかかるって! 「あのなぁ珠希、悪いけどお前とそういうことは…」 「ええっ!?…おにぃちゃんは、わたしのこときらいなんですか………?」 「へ…?」 「わ、わたしのことがきらいだから、わたしと“ちゅー”するのいやなんですか……?」 「い、いやっ!別にお前のことが嫌いなわけじゃ!だ、だから泣くなよ!?なっ?」 珠希は悲しそうに俯いて、今にも目から涙がこぼれてしまいそうだ。 俺にそこまで落ち度はないはずなのに、この凄まじいまでの罪悪感はなんでだろう? つまり珠希が言ってるのは、 『“ちゅー”は好きな人とするもの』→『“ちゅー”してくれない』=『嫌い?』 っていう話だよな…。 違うんだ珠希!“ちゅー”はLikeじゃなくてLoveの相手とするものなんだ!!そして、俺のLoveの相手はお前の姉ちゃんなんだよ!!! …なんて言ってもわかってもらえねえんだろうし………。 「グスン…」 「ち、違う!嫌いなわけないだろ!?俺はお前のこと大好きだぞ!?」 「ほんとう…ですか?」 「ああもちろん!俺はお前が大好きだ!!だ、だからもう泣くのはやめてくれ!!!」 「…はい!  えへへ……わたしも、おにぃちゃんのことだいすきです!」 言っちゃった。でもしょうがないだろ? このまま珠希を号泣させるのも嫌だったし……べ、別に『大好き』ってのも嘘ついてるわけじゃないしさ…。 でも勘違いすんなよ!?もちろんLikeの意味でだぞ!? そしてふと珠希の方を見ると………俺は思わずハッとした。 なんと珠希は、すでに典型的な、まさに『キス顔』といった表情を作っていたのだ。 いつもはパッチリな瞳が静かに閉じられ、ほんのりと頬を紅潮させながら、小さくて形の整った唇をめいいっぱい前に突き出している。 いや何ていうかその……実に愛らしいじゃないか。 黒猫をミニマム化したようなその姿は、まるで天使のようだ。 …って、んなこと考えてる場合じゃねえだろ!!! これってアレ…だよな?待ってるんだよな? いやいや待て待て。俺には黒猫という、いや五更瑠璃というれっきとした彼女がいるんだ。 あいつは俺のことを信じてくれてるのに、他の子と、しかもあいつの妹とキスするなんて! つーか落ち着け俺。これはそういうこと以前の問題だ。まず他人ん家の幼稚園児にキスするなんて有り得ねえだろうが。 …だが、きっと俺がここで断ったら珠希は泣く。それはこいつを預かってる身として大いに困る! 俺のせいで、というより、こんなことでこいつに泣いてほしくなんかねえ! ふ、触れるだけだったら………?ちょっと触れるか触れないかってレベルならいいんじゃねーのか…? しかし………そんな形でこいつのファーストキスを奪っていいのか?いや、いいわけないだろ!!そんなの社会的に変態だ!!! でも珠希はずっとあのままで待ってるし……………どうすんの!?どうすんだよ、俺!? 俺の頭が混乱してきたその時――。 「ふぅ…今日はなかなか疲れたわね………」 「あっ!ねぇさまだ!」 「く、黒猫!」 ようやくバイトから救世主(メシア)が帰ってきてくれた。 ガチャッというドアを開く音が聞こえたと同時に、珠希は『キス顔』をいつもの輝くような笑顔にして嬉しそうに玄関に走っていく。 た、助かったぁ~…。 俺はホッとしながら珠希の後に続いて黒猫を出迎えた。 「ねぇさま!おかえりなさい!」 「ただいま。私がいない間、先輩に迷惑をかけたりかけられたりしなかった?」 「はい!」 「『迷惑かけられたり』ってなんだよ!? …でも黒猫、このタイミングでお前が帰ってきてくれて、俺はホントに嬉しいぜ………」 「な、なによ急に…。それより先輩、今日はウチで夕飯を食べていかない?」 「えっ?いいのか?」 「ええ。私は構わないわ。妹の世話もしてもらったし………どうかしら?」 「食べる食べる!是非ご馳走にならせてくれ!」 「決まりね。それじゃあ仕度するまでの間…また珠希の相手をお願いできるかしら?」 「ああ、お安い御用だ。お前の手料理楽しみにしてるぜ!」 「ふふふ……大いに期待して待っていることね?」 よっしゃあ!今日は五更家の食卓か!日曜日にわざわざ留守番した甲斐があったぜ!!!…いや、どうせ他に予定なかったけどさ。 まあとにかく、今日は黒猫の手料理が食べられるんだ。 突如として舞い込んできた彼女からの夕飯の誘いに、この時の俺はとても上機嫌だった。 「よーし珠希!夕飯出来るまで何して遊ぶ?」 「じゃあ……さっきのつづき!おにぃちゃん、“ちゅー”してください!」 「う゛っ!?」 …上機嫌だったからこそ、こういう油断が生まれたのかもしれん………。 呆気にとられて声を失った俺の背後から、ゆっくりと堕天聖の足音が近付いてくる。 「『さっきの続き』ですって…?先輩は私がいない間、一体その子と何をしていたのかしら………?」 「ま、待ってくれ黒猫!誤解だ!!とりあえず包丁持ったままこっち来るのはやめてくれ!!!」 「おにぃちゃん、“ちゅー”はまだですか?」 「珠希!頼むから今だけは黙っててくれ!!!」 「こ、このっ……夕飯の準備は後回しよ!こうなったら…先にたっぷりと“ちゅー”について聞かせて頂戴!!!」 「いやぁ゛~!!俺は無実だぁ゛~!!!」 「ねぇさま…?おにぃちゃん…?」 …この後、誤解が解けるまで夕飯はオアズケ状態になりました……………。 (終わり) (おまけ…ねぇさま流・事態の収束方法) 黒猫「い、いいこと?よく聞きなさい。あの人の唇にはすでに私の呪いがかけられているの。    そして残念ながらあなた程度の魔力では私の呪いを上書きすることは出来ない、つまり手痛い呪い返しを喰らうことになるわ。それが嫌なら諦めることね…。    あ、あと、他の男の子に頼むのもダメよ!?我々は闇の一族なのだから、安易に下界の雄と契りを交わすとその場で灰に………」 珠希「そうなんですか………」 京介(いいのか珠希?その説明で本当に納得なのか?)

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