京介「妹たちに安価で悪戯する」 その3:746

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746 名前: ◆5yGS6snSLSFg[saga] 投稿日:2011/07/08(金) 11:29:58.60 ID:Xd9+PwXQo 夏休み二十五日目。 名前:兄貴[] 投稿日:2011/08/15(月) xx:xx:xx.xx ID: xxxxxxxxx なんだかとんでもないフラグを立ててしまった気がするが、俺は敢えて無視する なんか夏らしい安価ない? 今の所海だけなんだけど。 ≫753 ---- 753 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2011/07/08(金) 11:40:05.83 ID:A5qOaE7+o ブリジット・日向・珠希の幼女トリオと動物園へ 記念撮影をしたら、それを桐乃にメールで送る 758 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2011/07/08(金) 11:44:58.96 ID:581ykBsWo ふれあいパークで幼女とも触れ合うぜフヒヒヒヒとか京介氏許されざるよ ---- 825 名前: ◆5yGS6snSLSFg[saga] 投稿日:2011/07/09(土) 19:47:41.85 ID:GH5XnRp1o もう最後の一文には突っ込まないことにした。 もはや、お約束ってやつになりつつあるからな。 「休日っぽくはあるけど、夏っぽくはないな」 っていうか、リアル幼女3人組を連れて歩くのはちょっと危ない予感がする。 通報的な意味で。 せめて、他にもう一人女性と呼べる人がいればよかったんだが。 「昨今は、幼女を見ただけでも通報されるご時世だからなあ」 ニュー速で見たひとつの記事が頭をよぎる。 『フルフェイスのメットをかぶったライダーに見つめられる事案が発生』 「…………捕まったら、あいつらちゃんと誤解といてくれるかな?」 指定された面子に、駅前に集合するように電話をかけた。 約束の時間の10分前。俺が駅に到着すると、そこにはもう俺以外の全員が揃っていた。 「高坂くーん。こっちこっち」 「おにぃちゃーん」 「あっ、お兄ちゃん」 まわりの視線が一気に俺に注がれる。 どう見ても姉妹には見えない幼女と金髪幼女からの、これまたどう見ても兄妹には見えない男へのお兄ちゃん発言。 もう一人の女の子はなぜか名字呼び。 なんという異色のとりあわせか。 これで違和感――もっと言うと“犯罪の匂い”を感じない方がおかしい。 まるで俺が幼い子たちをたぶらかしてどこかへ連れ去る計画のようにしか見えない。 というのは冗談だが、目立つのは確かだ。 周りの視線がすごい痛い。 ……あれ? まさか、ほんとにそう思われてるわけじゃないよね? 「さ、早速でかけようか!」 通報されないうちにな! 道中でブリジットと妹猫たちも互いに自己紹介をすませ、たわいない世間話ができるくらいには打ち解けていた。 特にブリジットと珠希ちゃんはメルルの話題で盛り上がっていた。 やっぱり共通の趣味があると仲良くなるのも早いんだな。 さすがに動物園まで来ると、子供連れも多く、俺たち一行が目立つようなことはなくなった。 「おにいちゃん、こあらですよ!」 「あぁ、コアラだな」 コアラではしゃげる純真さがまぶしい。 俺の妹ときたら、エロゲではしゃいじゃってるもんな。 珠希ちゃん、どうかそのまま健やかに大きくなってくれ。 「ブリジット、あんまり離れちゃだめだぞ?」 「はい、お兄ちゃん」 ブリジットは相変わらず素直だし、桐乃にブリジットの爪の垢を煎じて飲ませてやりたくらいだ。 「……高坂くんってロリコンなの?」 「おまえはいきなりなんてことを聞くんだ!?」 今のどこにロリコン要素があった!? 「だって、高坂くんさっきから顔にやけっぱなしだよ?」 「それは違う意味でにやけていたんだ」 826 名前: ◆5yGS6snSLSFg[saga] 投稿日:2011/07/09(土) 19:48:09.23 ID:GH5XnRp1o 俺はあくまでも珠希ちゃん、ブリジットの微笑ましさににやけていただけで、決して性的な興奮を覚えていたわけではない。 それにしても、日向ちゃん、小学5年生のくせにどこでロリコンなんて言葉を覚えたのか。 「日向ちゃんって、なんだかおばちゃん臭いよな」 年相応じゃないというか、もっと端的に言うと耳年増っつーか。 「乙女になんてことを!? これでもあたしぴちぴちの小5ですけど!?」 「どこの小学生が“ぴちぴち”とか言うんだよ」 もう完全に死語だろ、それ。 「ぐっ……って、あれ? 珠希とブリジットさんは?」 「俺はごまかされ――あれ?」 さっきまでそこにいたはずの二人の姿がない。 「あいつらどこいった!?」 あんだけ離れちゃ駄目だって言っといたのに! 「と、とにかく探そうよ!」 「……いや、その必要はない」 「なんで!? 高坂くんは心配じゃないの!?」 「落ち着いてあれを見てみろ」 俺はそう言って一つのショップを指さした。 「……ほんとだ」 そこには、仲良く並んでソフトクリーム屋の前に立ち、期待を込めた表情で俺を見つめるブリジットと珠希ちゃんの姿があった。 「ははっ……おまえも食うか? アイスくらいなら奢るぞ?」 「えっ? いいの?」 「乙女に奢るのは紳士のたしなみだからな」 「さっすがお兄ちゃん! 話がわかるぅ!」 「で? これは何?」 「動物園で撮った記念写メ」 桐乃が俺につきつけている携帯の画面には、うまそうにソフトクリームを食べる幼女3人組+俺が写し出されていた。 自分で持って撮ったため、撮影できる範囲が狭く、4人がひしめきあうようにして映っている。 「そんなことを聞いてるんじゃない!」 「おいおい、それじゃあ何を聞きたいんだ?」 「なんであんたがロリコン全開でブリジットちゃんと映ってんのって聞いてんの! っつーか他の2人誰!?」 「黒猫の妹たち。大きい方が日向ちゃんで、小さい方が珠希ちゃんな。どう? かわいくね?」 「やっば……超かわいい。……じゃなくて! なんであんたがその子たちと出掛けてんの!?」 ちっ。話題転換失敗。 「いや、黒猫が、夏休みなのに妹たちをどこにも連れて行ってやれなくて可哀想だって言ってたからさ。それじゃあ俺がと、保護者がわりに連れてったわけだ。ブリジットは俺が誘った」 「なんで勝手にブリジットちゃんと着実に仲良くなってんのよ!」 「いやいや! 何で仲良くなるのにおまえの許可がいるんだよ!」 どっちかっつーと許可が必要なのは向こうのご両親のだろ! 夏休み、二十五日目。朝パート 安価成功 名前:兄貴[] 投稿日:2011/08/16(火) xx:xx:xx.xx ID: xxxxxxxxx いやあ、いい休日だった やっぱ幼女の癒しパワーはぱねえな 昼の安価を決めようか ≫834 ---- 834 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2011/07/09(土) 19:54:37.88 ID:nNd29YgGo 桐乃と二人で出かけて昼飯奢らせる ついでにプリクラ撮って麻奈実、沙織、加奈子、フェイトに送りつける 848 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2011/07/09(土) 20:03:40.94 ID:i05PBOSDO これは修羅場くるでwwwwww 849 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2011/07/09(土) 20:05:05.20 ID:Z/3Zbyh2P 昼を奢らせるのが難度高そうだw プリクラは口ではごねてもムッチャ乗り気でしそうww ---- 857 名前: ◆5yGS6snSLSFg[saga] 投稿日:2011/07/09(土) 21:42:04.47 ID:GH5XnRp1o 「奢らせる……だと……?」 奢るなよ、京介。最初から誰も、下僕であったわけではない。 俺も、赤城も、麻奈実でさえも。 だがその耐えがたい忍従の時も終わる。 「これからは私が上に立つ」 「無理でした」 「ちょっと、何のろのろしてんの! 早くしてってば!」 「ちょ、ちょっと待てって!」 せかされ、桐乃の後を追いかける。 俺たちは駅前のショッピングモールに遊びにきているのだが、終始桐乃にイニシアチブを握られっぱなしだ。 『ショッピングモールって……もっと他になかったのか』という意見もあるだろうが、仕方なかったんだ。 昼飯+プリクラという安価を達成するにはここがちょうどよかったんだよ。 フードコーナーもあるし、ゲーセンもあるしな。 さて、桐乃に飯を奢らせるにあたって、まずは主導権をにぎることから始めようと思ったのだが、それすら上手くいかない。 奢らせるとか無理ゲーだろ……“驕らせる”なら何もしなくても安価達成できるんだけどな。 「桐乃ー、昼飯どうする?」 半ば投げやりで桐乃に尋ねる。 「ソフトクリーム食べたい」 「えらくピンポイントだな」 っていうか、それが昼飯でいいのか? まあ、ソフトクリームくらい、フードコーナーへ行けばあるだろうけどさ。 それでなくてもショッピングモールには飲食店も多数入ってるし、ソフトクリームでなくても桐乃が気に入る店もあるだろう。 「じゃあ、うろうろしながら気に入った店探すか。さすがにソフトクリームじゃ腹は膨れん」 「うん、そうする」 「あんた、今なんて言った?」 「お、奢ってくれたらうれしいなー……なんて」 実際、この夏休み、出費が半端ねえんだよ。 一介の高校生には無茶が過ぎる。 ディ○ニーランド1泊2日旅行(2人分)プレゼントとかいうのもあったしな。散財とか言うレベルじゃねえぞ。 「この夏休み遊びすぎちゃってさ、お財布が悲鳴をあげてるんだよ」 「あー。あんた、あっちこっちに貢いでたもんね」 「その表現はやめてくれ」 なんだか俺が駄目男みたいじゃないか。 俺だって貢ぎたくて貢いだわけじゃないんだぞ。 「はあ……仕方ない。ここはだしといてあげる」 「まじで!? ごちになります!」 「そのうざいテンションやめてってば。……仕方なくだかんね。あやせとの旅行代出してくれたのあんたなんでしょ?」 「なぜそれを知っている!?」 まさかスレの存在が―― 「あやせが言ってた。……遅くなったけど、ありがと」 「……おう」 どうやらスレバレではなかったようだ。 そして、不覚にも感動しそうだ。 俺のお財布は安価に踊らされただけではなかった。目には見えないが、散財した分の成果はこうしてはっきりと残っている。 「よーし! またプリクラでも撮るか!」 「なんでそんなノリノリなのよ。……でも、あんたが撮りたいって言うなら、しかた――」 「桐乃! これにしようぜ!」 「人の話は最後まで聞きなさいよ!」 <フレームヲエランデネ! 858 名前: ◆5yGS6snSLSFg[saga] 投稿日:2011/07/09(土) 21:42:37.35 ID:GH5XnRp1o 俺はアナウンスに従い、ハートのフレームを選択。 そして、さらさらと画面に文字を書き込んでいく。 「これでよし!」 「だから、なんでそんなに――」 「はっはっは! 大好きな妹とプリクラ撮るのにハイテンションになって何が悪い!」 続いて、筐体から撮影の準備に入ったことが告げられる。 <3.2.1 ハイ、チー ちゅー。 <ズ! 「き、桐乃!? おまえ、今何した!?」 「ほっぺなんだからうだうだ言わない!」 「言うに決まってるだろ!」 印刷されたプリクラをしげしげと眺める。 どこからどうみても、日常的にちゅーしているバカップルにしか見えない。 前回の“日常的にちゅーしてそうなバカップル”から、晴れて“日常的にちゅーしているバカップル”へと昇華した俺たち。 「……これはあんたのテンションが変に高かったせいで。あ、あたしはそれに乗せられただけだからね」 「この際だ。そんなことは置いておこう。…………いいか?これは絶対に誰にも見つからないようにするんだぞ」 特にあやせとか、親父とかにはな。 「うんっ、わかってる」 俺たちは絶対に見つからない保管場所について相談しながら、帰路についた。 夏休み、二十五日目。昼パート 安価成功 名前:兄貴[] 投稿日:2011/08/16(火) xx:xx:xx.xx ID: xxxxxxxxx 安価達成してきたぜ。なんだかすんなり行きすぎてて怖い プリクラ送った時の各々の反応は以下に記す なお、名前は全て仮名だから本気にしないように 幼馴染 『ちょ、ちょっと仲良くなりすぎじゃない? 確かに前に、桐乃ちゃんとはもっと仲良くなれるよって言ったけど、こういう意味じゃ――』 ぐるぐる眼鏡 『うひょおおお! 禁断の妹√解禁でござるか、京介氏!? いや、いつかはと思っておりましたが……まさかこんなに早いとは! もげろ!』 ちんちくりん 『最近のプリクラって合成機能ついてたっけ? ふざけてっと桐乃にちくるぞ? 桐乃にばらされたくなかったら加奈子の言うことなんでも聞くこと』 行き遅れのお姉さん 『通報しました。…………という冗談はおいといて、なんなのこの異常事態』 956 名前: ◆5yGS6snSLSFg[saga] 投稿日:2011/07/12(火) 04:20:26.10 ID:m/6GUyE6o 「おし、夕方は沙織んとこにブリジットとお泊りだったな」 お邪魔することは昨日のうちに伝えておいたし、ブリジットも一緒であることも伝えてある。 さらには、ブリジットをだしにして「できれば眼鏡は外した状態でいて欲しい」ともお願いしておいた。 『ござる』だとブリジットが怯えてしまいそうだとか言ってな。実際の所、全くの嘘ってわけでもないし。 万事抜かりはない。 「あとはブリジットと合流して、沙織ん家に行くだけだ」 「お二人とも、遠いところよくいらっしゃいました」 「悪いな、世話になる」 「お世話になります」 ぺこりとお辞儀をするブリジット。 本当に行儀のよい、できた子供だ。 桐乃を筆頭にその周辺の連中は少しは見習ってほしい。 ここへ来る道中、沙織について軽く説明しておいた。 俺や桐乃の友人であること。気のきく優しい奴だってこととかな。 「あなたがブリジットちゃんですわね? お噂はかねがね」 「うわさですか?」 ブリジットは頭上に?マークを浮かべ、困惑顔だ。 その噂とやらが気になるのだろうか。それとも、単純に初対面の相手に戸惑っているだけなのだろうか。 あるいはそのどちらもか。 「ええ。メルルのコスプレ大会で優勝した経験をお持ちで、さらには京介氏のロリコン開眼に一役買ったとか」 「ろりこん?」 「おい、幼い子になんてことを吹き込もうとしているんだ!」 着いて早々ヒートアップする俺。だけど、それもしょうがないだろ。 ブリジットが他の人の前でロリコンなんて言葉を発して見ろ。真っ先に疑われるのは俺なんだぞ? あやせあたりに問い詰められたら、上手く切り抜けられる自信なんてかけらもない。 ほんとのこと言ってもどうせ信じてくれそうにないしな。 「お兄ちゃん、ろりこんってなに?」 「もうお兄ちゃんと呼ばせている!? きっ、きりりんさんというものがありながら!?」 今度は沙織がヒートアップする番だった。 っていうか、少しバジーナの気が出ちゃってるぞ。落ち着け。 「これについては追々説明してやるから、まずは落ち着け。俺は別に開眼も何もしてねえから」 「あら、そうなのですか? まあ、立ち話もなんですからお部屋へどうぞ。お茶の用意もできておりますから。ブリジットちゃんにはケーキもありますよ?」 室内に通されると、沙織がお茶の用意をしてくれた。 出されたケーキと俺との間で視線を行ったり来たりさせている。 「……」 「ん? どうした?」 「えっ……あ、あの」 「ふふ。どうか、遠慮なさらず食べてください」 沙織はそう言って、ブリジットに優しく語りかけた。 「はいっ。いただきます」 どうやらブリジットは沙織の好意に素直に甘えていいものかと戸惑っていたようだ。 いきなり泊めてもらうだけでも悪いのに、さらにはケーキまでご馳走になるのは気が引けたのだろう。 その辺をいとも簡単に察する辺り、さすが沙織というべきか。 「…………あれ? どうした?」 「え? あ……なんでもないです」 気が付くと、ブリジットが再び俺の方を無言で見つめていた。 ははっ、さすがに今度のは俺もわかるぞ。 その目には、“覚え”があったからな。 「こっちも食べるか?」 「えっ!?」 957 名前: ◆5yGS6snSLSFg[saga] 投稿日:2011/07/12(火) 04:21:52.39 ID:m/6GUyE6o うっかり口に出してしまったとでも思ったのか、口をおさえ、「しまった」というような表情になるブリジット。 大丈夫だぞ。出てない出てない。 俺はケーキをさくっと真っ二つにし、その片割れをブリジットへと差し出す。 「ほら、これで半ぶんこだ」 「はいっ!」 ブリジットは元気に返事をし、自分のケーキをいそいそと半分に切り始めたのだった。 「ふふ。こんなこと言ったらきりりんさんに怒られてしまいそうですが、まるでほんとの兄妹みたいですわね」 「ほ、本田・ムルコ……?」 「本田・ムルコス・パイドゥシャーコヴァー彗星」 えらく長ったらしい名前だが、これが正式名称なのだと言う。 沙織も案の定、途中でつまってしまう。俺も空で言えるようになるまで時間かかったもんな。 「友人から今日が最接近する日だって聞いてな」 「それで、いきなり『明日、おまえんちで天体観測させてくれ』なんて言い出したのですね」 「そうなんだよ。悪いな、毎度毎度いきなりで」 よくよく考えたら、これまでいきなりでなく沙織の家を訪れたことがない気がする。 初めて来たときでさえ、アポなしで突撃したくらいだからな。 前日に連絡した今回が一番計画的ってどういうことなの。 「それで? 見える方角はどちらなのですか?」 「えっ?」 「えっ?」 沙織ともども呆気に取られる。 「に、肉眼で視認可能なのかどうかとか……」 「えっ?」 「えっ?」 「えっ?」 今度はブリジットもついてきた。 ……ブリジットは一人にこにこ顔なので、意味はわかってないと思うけどな。 「ま、まさかとは思いますが、見える時間は夜で間違いなんですよね?」 「…………すまん。名前しか知らん」 それから俺たちは、大慌てで本田・ムルコス・パイドゥシャーコヴァー彗星について調べた。 「だあああ! どこもかしこも8月15日に最接近としか書いてねええええええ!」 何時ごろとか、どの方角に見えるとか知りたい情報はいっさい書かれてねえ! 特に時間がわからないのは致命的だ。下手したら朝方に終了してる恐れすらある。 「……すまん」 「京介さんがあやまることではありませんわ」 沙織はそう言ってくれるが、俺があのとき>>685に詳しい情報を聞いていればこんなことには……。 「とりあえず、屋上に行ってみませんか? ひょっとしたら見えるかもしれませんし」 「……そうだな」 大した情報もなし星空を見上げて彗星が見える確率なんてたかが知れてるけど、部屋で項垂れているよりかはずっといいもんな。 「あ、その前に」 沙織はタンスの傍から何かを取り出した。 「なんだ?」 「虫よけです。ほら、ブリジットちゃん。こっち来て?」 「あの妙に明るい星はアルタイルって言うんだ」 「へえー」 「で、それから少しそれたところにある明るい星がベガ。……ブリジットは七夕の織姫と彦星って知ってるか?」 「しってます。いちねんにいちどだけ、会うことができるんですよね?」 「ああ。その彦星と織姫があの、アルタイルとベガなんだよ。で、二つの星の間にあるのが天の川」 「ミルキーウェイですね?」 ああ、そういえば外国では天の川のことをミルキーウェイって言うんだったな。 958 名前: ◆5yGS6snSLSFg[saga] 投稿日:2011/07/12(火) 04:22:36.41 ID:m/6GUyE6o 「そうそう、天の川と言えば」 なんでも、俺たちの住む地球は銀河の端っこよりの所にあるらしい。 天の川のある方向は銀河の中心方向であり、そのため、その方向ではより多くの恒星が観測でき、その結果としてあのような明るい帯状の模様が夜空に浮かび上がるのだと言う。 「ふわぁ……お兄ちゃんって、ものしりなんですね」 「そうでもないさ」 実際、小学生で習う程度のことしか言ってないしな。 多分、ブリジットの言には多少のおべっかも入ってると思う。本人がそれと自覚しているかは別にして。 「謙遜なさらなくてもいんですよ? 銀河の中心云々の話は小学生では習いませんし」 「沙織もからかうなよ。大したこと言ってないのに褒められるとくすぐったくなる」 「ふふ、いいではありませんか。ブリジットちゃんも尊敬してくれてるみたいですし。ね、ブリジットちゃん?」 「はいっ、さすがお兄ちゃんです」 若干“さすが”の意味をはき違えている気がするが、ここは敢えてスルーしよう。 俺も“どこがどうおかしい”としっかり指摘できる気がしないからな。 「さて、会話に一区切りがついたろころでお知らせがあるのですが」 と沙織が切り出した。 「どうした?」 「ひょっとして、あれが本田・ムルコス・パイドゥシャーコヴァー彗星ではありませんか?」 「なにい!?」 念のために言っておくが、沙織が本田・ムルコス・パイドゥシャーコヴァー彗星をすらすらと言えたことに驚いたわけじゃないぞ。 沙織の指差す方向。さっきまで俺たちが向いていた方向とは逆の夜空を見上げる。 そこには青く輝く彗星があった。 「多分あれだ」 まさか本当に見つかるとは。 ……っていうか、案外ゆっくり移動するのな彗星って。俺、もっと流星みたいなの想像してたよ。 「きれいですわね」 「そうだな」 なんというか、不思議な光だな。 世の男性諸君。女性を口説くには絶好の機会かもしれないぞ。 ……ロマンチックなことを言うような柄ではないので俺は遠慮しておくが。 そして、俺の隣では完全に流星と勘違いしている奴がいた。 「お兄ちゃんがマネージャーになりますように。お兄ちゃんがマネージャーになりますように。お兄ちゃんがマネージャーになりますように」 なんだ? その願い事は。 「というわけで、無事、沙織たちと彗星を観測することに成功したのだよ」 「死ね」 「一言だけ!? というか、あまりにも辛辣すぎねえ!?」 もっと他になかったの!? ……こうなったら、意地でも他のリアクションを引っ張り出してやる。 「なんと昨日は川の字で寝たんだぜ! あ、真ん中は当然ブリジットな」 「この馬鹿兄貴! いっっっつも口酸っぱくしてあたしも誘えって言ってんでしょうが!」 ようやくいつものリアクションをしてくれた桐乃。 やっぱり、こっちのが落ち着くな。淡々と「死ね」は心に来る。 『死んでください』 「あやせもかよ!」 上は俺があやせに送った報告メールの返事である。 ……俺、今回そんなに死ななきゃならないようなことしでかしたか? 落ち込んでいると、あやせから続いてこんなメールが届いた。 『ブリジットちゃんは無事なんでしょうね?』 ……あやせの俺への信用度が低すぎる。泣きたい。 959 名前: ◆5yGS6snSLSFg[saga] 投稿日:2011/07/12(火) 04:23:47.88 ID:m/6GUyE6o 『たしかにブリジットの世話頼んだけど、そこまでやれとは言ってなくね? っつーか全部おめーにまかせるのもあれだから、そろそろブリジットの世話加奈子が変わってやるよ』 一体どういう風の吹き回しだろうか。 あの加奈子がブリジットの世話を申し出るだなんて。 ともあれ、別に俺はブリジットと遊ぶことは苦とも思っていないので、断る旨を返信した。 ただでさえ貴重な癒しタイムを奪われちゃかなわんからな。ビバ、幼女の癒しパワー。 『いやいや、大丈夫だから。加奈子がやっから』 ……何を焦ってるんだ? こいつは。 夏休み、二十五日目。夕方パート 安価成功 夏休み二十五日目終了 本日の好感度変動 桐乃  朝 ±0 (もう嫉妬補正ぐらいではあがりません)     昼 +0.5     夕 ±0 (もう嫉妬補正ぐらいではあがりません)    ――――――――――――――――――――――     計 +0.5 麻奈実 ±0 沙織  朝 ±0     夕 +1    ―――――     計 +1 あやせ -1 加奈子  昼 -1      夕 -1     ─―――─      計 -2 ブリジット  朝 +1        夕 +1       ――――─        計 +2 日向 +1 珠希 +1 フェイト -1 夏休み二十五日目終了時の好感度 桐乃 +12  ※嫉妬無双 麻奈実 +8 黒猫 +3  ※覚醒済み 沙織 +7 あやせ +1 ※女王様気質 加奈子 +6 ブリジット +7 日向 +5  ※眼鏡をかけるようになっている 珠希 +4 瀬菜 +6 フェイト +2 ※年下の良さを認識 佳乃 ±0 赤城 +2 大介 ※殺意の波動の気配がする「仏の顔も3度まで」残り…1回

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