キャッチャー・イン・ザ・ポテト:11スレ目794

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794 名前: ◆36m41V4qpU[sage] 投稿日:2011/10/12(水) 21:55:44.93 ID:8ac/9zfa0 [2/6] 事件は桐乃がこう言った時に始まった。 「よく考えたらさ…このあたしがせなちーに負けたままって、超納得いかないんだよね。 そ、それに引き分けとかも…絶対ぃあり得ないから!」 と例の痛チャリに二人乗りしている写真を俺のデータに送りつける… どうやら撮影スタッフが面白がって撮った写真らしい。 「げぇ…なんだよ、この写真…それに前の戦いは…あれで終わった事じゃ…」 流石に頬とはいえキスする様な兄妹に勝てる気は全くしない。 「あんた…これを見ても同じ事言えんの?マジで超トラウマ…。 もう一回見るのも絶対ぃイヤなんだけどさぁ、これ」 「なんだよ、この"桐乃くん"ってのは…おぇぇぇ…ひ、酷すぎる…。 しかもググったら"桐乃くん"、滅茶苦茶ヒットしてる…し」 「これでわかったぁ?これは高坂家のプライドの問題なんだからね! あんたの可愛い妹が汚されたんだよ!アホ面浮かべたままこの非道を許すつもり じゃないでしょうねぇ?!」 どちらかと言うと画像とそれを見てた奴のコメントで俺が主に汚されてるのだが… あの雄腐乱子人め…本当に腐ってやがる。 「だ、だけどさ…確かに痛チャリの写真はインパクトあるけどよ。あのキス画像にとても勝ったとは言えないんじゃ…」 「う゛…た、確かに…ってちょっとぉ…何でエロい眼であたしの事見てんのよ。 マジキモ、絶対しないって言ったじゃん…何期待してんの。あたしはせなちーほど ブラコンじゃないっての」 赤城よりも瀬菜よりも俺に一番の悪態をつく妹が急かすので、しかたがなく赤城に挑戦的な文面と写真を貼付したメールを送る。 そしてほどなくしてメールの返信が 『高坂君…なかなか良い線は言ってる様だが……まだまだと言わざるをえないな。 まぁどうしても言うなら胸を貸してやらない事もないが…』 胸と言うキーワードで瀬菜の胸を想像した俺の隣で桐乃は… 「上等じゃん…絶対に負けないんだから」と言った。 後日 「…………それで何で私があなた達兄妹の変態プレイに付き合う事になってるのかしら?」 とマニアを見る様な眼で俺に聞いてくる黒猫。 「はぁ?あんたがヘンテコなノートで一緒に居たいとか書いてるから誘って あげたんじゃん。マジ感謝しなさいよね」 「べ、別に…そ、そんな意味で書いたつもりはないわ」 「まぁこいつがセクハラしないか、あんたにも見張ってて貰いたいんだよね。 いくら演技でもシスコンこじらせてるからエッチな事…されそうだしさぁ」 「おい、いい加減にしろよ、どんだけ俺を誹謗中傷すりゃ気が済むんだ、おまえ」 「今更、シスコン否定しても手遅れでしょ?ぷ…ねぇ黒猫…」 「まぁ確かに京介先輩がシスコンなのは間違いないわね…良いでしょう、フフフ」 例のごっこ事件以来、俺の事を"京介先輩"と呼ぶ黒猫…は嬉しそうに笑った。 「ところで沙織はどうしたのかしら?またハブられたとか言って怒り出したら、 私は知らないわよ」 796 名前: ◆36m41V4qpU[sage] 投稿日:2011/10/12(水) 21:58:14.35 ID:8ac/9zfa0 [3/6] 「人聞き悪いな…そりゃ俺たち色々有ったけどさ、こんな楽しそうなイベントにあいつを誘わないわけないだろ?」 と言って…急に小声になってしまった。 何故なら今日は打倒!赤城兄妹の為に桐乃とデートした動画を撮ろうとしているのだ… はは、楽しいイベントか。 全く…桐乃に人生相談された時には絶対に考えられなかったよな。 まぁ…こっぱずかしいが結局俺は桐乃や黒猫にシスコンと呼ばれてもしょうがない のかも知れない…。 それで黒猫や沙織…色々な人達に会う事も出来たし、実は最近ちょっとだけ 誇らしい気分でもあるんだ。 「やや…みなさん遅れて申し訳ありません…。拙者、今日は凄く楽しみにしておりまして、ずっと眠れませんでしたの」 一人称が拙者でお嬢様言葉のお嬢様が到着した。 「そいでさ…どうすんの?」 「それは拙者に任せてください。この通りバッチリ、シナリオを用意してきましたぞ…」 沙織に渡された脚本にじつに色々な場面設定が書き込まれていた。 そして最後のページに…三浦・アズナブル・絃之介と槇島・バジーナ・沙織の共同署名が…。 普通なら全力で突っ込む所だが…そっか…良かったな、沙織。 そういや、前に桐乃に頼まれて偽彼氏なんてやってたっけ。 あの時は彼氏だった…今回はあくまでも仲が良い兄妹として振る舞わなければ駄目なのか。 「お兄ちゃん…どこに行きたい?」 少し言いづらそうだが桐乃は言い淀む事もなく台詞を言う…。 「…」「お兄ちゃん…?」 「……」 「お兄ちゃん??」 バチィン! 「痛てぇ…何するんだよ?」 「あ、あんたが黙ってるからでしょ?何、地味顔あたしに向けて黙ってんの?」 「カット!…京介氏…良いですか?リアルではないとは言え、リアリティを出すには なるべく無理な編集を入れず、ドキュメンタリーの様に撮影しなければなりません、 大丈夫でござるか?」 「フフフ…リアリティね…とても便利で素敵な言葉だと思うわ」 黒猫は何がおかしいのかずっと笑っていた。 「あ、そっか…悪りぃ…な、なんか…恥ずかしかったからさ」 「は?!何言ってくれちゃってんの?そんなのあたしの方が何億光年倍も 恥ずかしいに決まってんじゃん」 「恥ずかしいと言うよりも…何か懐かしい…と言うか」 懐かしいのは前の偽デートの事ではないと思う…桐乃に"お兄ちゃん"と呼ばれて手を 握っていると…かなり変な例えなのだが机の中を開けて昔の写真を見ている気分になる。まぁでも多分俺の勘違いだよな。 またどうせ怒鳴られてると思っていたのだが…桐乃は 「………そう…なんだ…まぁこのあたしが我慢してあげてるんだから、あんたもちょっとは我慢してよね…分かった?」 「…ああ」 不思議な感覚…でもやっぱり幻想の既視感なのか。 その後は桐乃の恥ずかしさは伝染していたが…自然に会話する事が出来た様な気がする。 ついでに前セクハラとかエロいとか言われた事を極力気を付けて、なるべく気を遣って桐乃と一緒に歩いた。 遠くで撮影してる二人はどんな顔で俺らの事を見てるんだろう…周りの人には俺らは、 どんな風に見えるのかな? 多分きっともう仲の悪い兄妹には………。 797 名前: ◆36m41V4qpU[sage] 投稿日:2011/10/12(水) 22:00:39.62 ID:8ac/9zfa0 [4/6] そんな事を考える俺に電流走る…最近、よくこの事を考えると事件が 起こるのかも知れない。 「…き、き、き、きょうちゃん、桐乃ちゃん??!」 目の前には麻奈実が立っていて、偽デートの時と同様に驚愕の表情を浮かべていた。 せっかく麻奈実とは仲直り出来たと思っていたってのに、ついてない。 その後、俺はここ何年かで一番驚いたね…麻奈実に偶然見られた事ではない…。 「こんにちは…私たち、今デート中なんです…ねぇお兄ちゃん」 桐乃が麻奈実とにこやかに話している…その事に。 だからこれは演技なんだぜと言いそびれたのだが…。 「こ、こんにちわ……そっか…そか、そか…うん。二人とも気を付けて、でーとしてね」 と言いながらニコニコしながら俺たちの前を通り過ぎていった。 「あ、あんたさ…何であの人に今の状況説明しようとしなかったわけ?前の時はさぁ… 滅茶苦茶イヤがって、あんだけ必死だったのにさ」 「別に…今はおまえとデートしてる事になってるからな。 麻奈実は後で説明してくれたら分かってくれるだろ…多分」 「あんた…まさかせなちーとあたしの勝負の為にデートしてる事をあの人に話して 説明するつもり…?どんだけシスコン誇ってるのよ?」 一瞬驚いて…その後、笑い出した…桐乃。 おまえのその笑顔見れるなら、多分、何度でも麻奈実に説明してやるよ。 まぁ…流石にそうは言えず。 「お、おまえこそ…何か変わったよな?麻奈実にちゃんと挨拶してたし…」 「あ、挨拶?…あたしだって何時までも子供じゃないっての…。 挨拶くらい普通にするに決まってるじゃん…な、何、人をディスってくれてんの?」 「…………そっか、そうだよな」 色々な感慨が心の中に拡がったが…今はこの事を深く考えるのは辞めよう。 多分…それはすぐ目の前まで、俺ら兄妹に近づいてきているのかも知れないのだから…。 その後…あやせとロックに遭遇し、加奈子に遭遇し、最後はフェイトさん、クラスの女共までと遭遇したのだが… まぁそれはまた別の話だ。 …一応このセミドキュメンタリーの撮影を終えて。 「お疲れ…黒猫も沙織も有り難うな。色々俺らの為に協力してくれてさ」 「何を水くさい…拙者、ハブられるくらいなら、もうこの恥ずかしい兄妹の生態を 観察して保存する方が全然楽しいし、嬉しいですのよ」 「あ、あんた…最近ほんと言う様になったわね…キャラ全然違くない?」 「そ、そうでしょうか?拙者…自分ではよく分からないのですが。でもきりりん氏が そう言うなら、変わったのかも知れません。きりりん氏は今の拙者はお嫌いですか?」 「べ、別に嫌いとか言ってないしぃ…沙織が沙織のままならあたしはそれで良いっての。 まぁ…常識人があたしだけになると突っ込みに疲れそうだけどぉ…さ」 もちろん三人が全力で突っ込んだね…俺らは。 「人って驚くほど劇的に変わるものよ…誰かみたいに、誰かさん達みたいにね… まぁ今の沙織は特別なのかもしれないのだけど…」 と黒猫が相変わらず暗示的な事を呟く様に言った。 そして 「…けれどきっとずっとずっと絶対に変わらないものもある。 その事を私に教えてくれたのも、結局、不愉快な誰かさん達なのよ。 だから…これから………」 798 名前: ◆36m41V4qpU[sage] 投稿日:2011/10/12(水) 22:02:06.54 ID:8ac/9zfa0 [5/6] 「…あんたは相変わらず中二病が全開じゃん…何語っちゃってんの?ぷぷ m9(^Д^)プギャー!」 「前言撤回…あなたは多分一生そのままでしょうね…」 「心配しないでも、あたしがフォローしてあげるから超スーパー感謝しなさいよね、 もちろん、あんたの妹達も含めてね!」 「勝手に含めないで頂戴、あなたこそ真人間になるまでずっと面倒みてあげるから 私達への感謝を忘れないことね…」 黒猫、おまえは多分こう言いたかったんだろ? 『だから…これから私達は何が起こっても絶対に大丈夫…』ってさ。 「今日はお礼に俺が何か奢るぜ…みんなで何か食べないか?」 「残念だけど…今日は帰る事にするわ…京介先輩」 お馴染みの蠱惑的な顔を今回は沙織へと向ける黒猫。 「そ、そうでした…拙者達ちょっと野暮用があるのです」 「何それ、超感じ悪くない?」 「まぁ良いじゃないか、また今度集まった時にでも、また飯食おうぜ」 別れ際…黒猫が俺の耳元で恐ろしい企み言った。 黒猫と沙織が帰って、桐乃と二人きりになる。 桐乃は何か言いたそうな顔をしていた……様な気がした。 「桐乃、何か食って帰るか?」 「…え?あ、あんた何言ってるの?」 「だ、だからデートの続きしよう…かなってさ」 「へ、へぇ……もう妹とリアルでデートしたくて、その願望も隠さないほど シスコンって、あ、あんた、ある意味凄いよね?!」 「まぁ…俺の可愛い妹だからな、おまえって」 「ふ……ふ、ふ~ん……って自分で言って何ウケてんの?マジむかつく…。 き、キモい、キモキモ…い兄貴の癖してさぁ!」 「ははは、そうだな…我ながら最高の台詞だと思うぜ……」 「あ、あんた…バカに…にして!マジ、ふ、ふざけるな!」 俺はいつも妹がピンチだと思った時、ヤバイと思った時に桐乃を支えてきた…つもりだ。 それは…例えば、どこかのライ麦畑で子共が遊んでいて、その端にある危険な崖から 落ちそうな子供が居たらとしたら全力で落ちない様に助ける"つかまえ役"…みたいな ものだと思う。 でも もうそんな必要は…実はあまりなくて、きっといつかそんな心配自体…なくなったら その日が来たら、俺はどうするのだろう? その日が来たら、桐乃はどうするのだろう? 「まぁ駄目ならしゃーない、俺も受験生だし帰って勉強するわ」 「り、理由…言いなさいよ…」  「え?」 「もう…相変わらず鈍過ぎ…。だから、何であんたはあたしとそんなに… で、デートしたがってんのかっつってんの!! 別にせなちーの為の動画は撮ったし、美咲さんに見張られてるわけでもないのに… ど、どうして?その…理由…言えっていってんの………。 あ、シスコンで逃げるのは絶対ぃ駄目だかんね!」 ぐ…言おうとした台詞をNGワードにされてしまう…でも俺は 顔が段々暗くなりかけている桐乃に向かって静かに言う。 799 名前: ◆36m41V4qpU[sage] 投稿日:2011/10/12(水) 22:04:31.77 ID:8ac/9zfa0 [6/6] 「だからじゃねぇかな。本当に色々な理由があって、今までおまえと出掛けたり 遊んだりしたけどさ、別に兄妹二人だけで遊ぶのにそんなに口実とか理由って必要か?」 「……………な、何、それ…意味不明…」 「俺は特に何の理由もなく妹のおまえとデートしてみたい、、が理由で駄目か?」 「結局、超マジ、スーパーシスコン…なだけじゃん」 今更だが、確かにそうなんだろう。黒猫が言ってた、きっと変わらないもの。 「はぁ……しょ…しょうがないよね。ほらほら…シスコンの京介お兄ちゃん…は あたしを何処に連れて行ってくれんの?」 少しからかう様に言って手を差し出しておどける桐乃を連れて俺は歩き出した。 "シスコン"の後には枕詞の様に続いていたネガティブな言葉は続かず、 この後のデートで結局一度も"キモイ"と言われる事もなく…いつのまにか、それは 冗談の半分で、言いにくそうで、不自然だけど俺にとっては懐かしい自然な響きに感じる "お兄ちゃん"に代わっていた。 『人って驚くほど劇的に変わるものよ』…と黒猫は言った。 その黒猫が耳元で囁いた『キリちゃん』と呼ぶを企みは実行しなくて正解だった のかも知れない…多分、そんな不自然な言葉とても言えそうにない。 でもさ…………試したらどうなってたか少し興味があったのは…何でかな? そんな事を考えながら桐乃の笑ったり、嬉しそうな顔を見るとまた強烈な既視感と いつか変わるものと、ずっと変わらないもの……と言う言葉が俺の中で混濁する。 あの時から変わってしまったのは、誰だったのか? あの頃から変わらなかったのは、誰だったのか? あの頃の本当の"つかまえ役"は…誰だったのか? 勝手に過去編に…は多分続かない。

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