俺の彼女がこんなに小悪魔なわけがない

「俺の彼女がこんなに小悪魔なわけがない」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

俺の彼女がこんなに小悪魔なわけがない」(2011/11/26 (土) 08:47:54) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

ここが加奈子の部屋かー マンガなんかではよくある初めて上京した地方人のように 周りを見渡しては、その新鮮さにハァ…とかふぅ…とか感嘆を漏らす。 来栖家に訪れたことはあったが、前は部屋までは上がらなかったからなぁ。 「入口に突っ立ったままで、なに呆けてんの」 飲み物と菓子を乗せた盆を手に部屋の主がやって来る。 手は塞がっているので、半開きの戸を小笠原流で器用に開きながら。 「はしたない」 「カノジョの部屋に入って第一声がそれかよ? 他にあるだろ、せめて用意してきた飲み物に礼を言うとかさ」 「そりゃそうだ。サンキュー」 盆ごと受け取って近くのテーブルに下ろすと、クッションをホイと寄越された。 察するに座布団代わりということらしい。 「そのしれっとした顔、すっとぼけた感じが癪だなぁ……こっちは結構緊張してたってのにさ」 「そ、そういうものか?」 「前に言ったっしょ。男が女を部屋にあげるのとはニュアンスが違うんだって」 言わせんな恥ずかしい、と小声で続ける加奈子。 思わず、抱き締めたいなマイハニー!という衝動に駆られるが、今はまだ紳士たらんと理性を総動員。 その後は、持ってきてくれた麦茶を飲みつつ、なんてこたない雑談に興じる。 ハンガーにかけられた服を可愛いと言えば、いま狙ってる似合いのボトムスがあるから買って欲しいとせがまれ。 CDラックにウチにないポップスを見かけて話題にすれば、貸してやるから聴いて気に入ったら新譜を買って(ry 「お前、彼氏を財布あつかいすんのも大概にしろよ…」 「四の五の言わない。これぐらいで加奈子を独占できるんだから、安い買い物じゃん。  京介があんまり渋るならいつかみたくナンパ待ちでもしようかな~?」 と、ろくでもない事をサラッと言うので さすがに聞き捨てならず、加奈子を掴まえて言い聞かせる。 「そういう冗談は、好かねえ」 「あ、ウソウソ。本気にすんなってば」 釘をさす意味で怒った風を強調してみたつもりだが、 所詮装いなのは筒抜けだったのか、加奈子は慌てた様子もなく笑みすら浮かべている。 「しないから、もうあんなこと。アタシにはもう京介って彼氏がいるんだし。安心していいよ」 504 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2011/03/13(日) 19:36:38.61 ID:Xu55fysAO [3/5] 屈託なく笑い、躊躇いもなく抱き着いてくる彼女はこの上なく愛らしい。 俺が折角なけなしの節制を振り絞ったというのに。 こうもアッサリ動揺させられるとは… 「あのなぁ、自分ちの中だからって無頓着すぎだ。いくら俺でもその気になりかねんぞ」 「いいよいいよ。むしろカモン? 家に上がるとき、家族は留守にしてるってちゃんと言ったじゃん」 確かに言ってたな…… 例によって、これなんてエロゲ?的な思考が走ったのを覚えている。 「あほ。それならこっちこそ言った筈だ。お前が高校出るまで一線は越えないってな」 「え~、これだけ御膳立てしてもまだ意地張っちゃってんの。カタイんだって京介は」 両想いの恋人なんだから欲望に忠実になっちゃえば、と煽る加奈子。 こいつがこんなだと余計に、俺がブレーキかけなくてどうするって意識が働く。 この通り加奈子の積極性が優勢で甚だ頼りない決意ではあるが… 「今は我慢しとけっつーの。お前のこと大事に思ってるからこう決めたんだ、わかれ」 「言ってる意味はわかるけど。それならそれで『加奈子のこと大事に思ってる』のを態度で示してくんない?」 ぶっちゃけ欲求不満なんだよねー、と絡んでくる加奈子。 これじゃあムードもへったくれも無いなと苦笑を誘われ、 同時にここは彼氏として相応に応えてやるべきかという気持ちが湧く。 505 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2011/03/13(日) 19:38:42.06 ID:Xu55fysAO [4/5] 「わかったよ、ホラこっち来い」 「ん」 改めて加奈子を抱き寄せる。数日ぶりの、恋人の距離だ 「寂しい思いさせてたなら、悪かった、気付いてやれなくて」 「謝んないでいーよ。加奈子のが、その…欲しがりなんだろーし…」 「かもな」 俺たちはごく自然に口付けをかわす。 陶然と薄目になった加奈子の唇に舌を滑らせると、繋いだ手に小さく震えが走った。 そのまま、上気した頬に逆の手を添えて軽く撫でる。 それを合図に加奈子も両手を俺の首の後ろへ回してきた。 開いた唇を交差させるようにして口内で貪りあう。 互いを求めてより強く抱き寄せる腕の感触と、荒い呼吸に時折混じって漏れ伝わる声が俺たちの全てだった 理性の「り」の字までかき消えてしまう前にと、辛うじて踏みとどまり顔を離す。 一瞬、二人の間に名残惜しむように唾液が糸を引いた。 未だ焦点の定まらない目をこちらに向ける加奈子の、てらてらと艶かしく光る唇をハンカチで拭いてやる。 じきに落ち着きを取り戻してきた加奈子が俺の胸に顔を埋めて呟いた 「ちょーしあわせ……頭ヘンになっちゃう、ね……」 「あぁ。俺も幸せだよ、加奈子」 「でも、足りない。もっとして。京介…」 「ちょtt」 結局この日俺たちは指折り数え切れないほどキスをして、 同じくらいかそれ以上に「幸せ」「好き」と睦み言を交わし、 陳腐な言い方になるが時の経つのも忘れて愛し合った。 それでもどうにか据え膳食わずを貫いたのが少し不服だったようだが。 帰り際、絶対にあと三年ももたせないんだからと宣言する加奈子に、敗北の予感が脳裏をよぎる。 俺の彼女がこんなに小悪魔なわけがない おわり
ここが加奈子の部屋かー マンガなんかではよくある初めて上京した地方人のように 周りを見渡しては、その新鮮さにハァ…とかふぅ…とか感嘆を漏らす。 来栖家に訪れたことはあったが、前は部屋までは上がらなかったからなぁ。 「入口に突っ立ったままで、なに呆けてんの」 飲み物と菓子を乗せた盆を手に部屋の主がやって来る。 手は塞がっているので、半開きの戸を小笠原流で器用に開きながら。 「はしたない」 「カノジョの部屋に入って第一声がそれかよ? 他にあるだろ、せめて用意してきた飲み物に礼を言うとかさ」 「そりゃそうだ。サンキュー」 盆ごと受け取って近くのテーブルに下ろすと、クッションをホイと寄越された。 察するに座布団代わりということらしい。 「そのしれっとした顔、すっとぼけた感じが癪だなぁ……こっちは結構緊張してたってのにさ」 「そ、そういうものか?」 「前に言ったっしょ。男が女を部屋にあげるのとはニュアンスが違うんだって」 言わせんな恥ずかしい、と小声で続ける加奈子。 思わず、抱き締めたいなマイハニー!という衝動に駆られるが、今はまだ紳士たらんと理性を総動員。 その後は、持ってきてくれた麦茶を飲みつつ、なんてこたない雑談に興じる。 ハンガーにかけられた服を可愛いと言えば、いま狙ってる似合いのボトムスがあるから買って欲しいとせがまれ。 CDラックにウチにないポップスを見かけて話題にすれば、貸してやるから聴いて気に入ったら新譜を買って(ry 「お前、彼氏を財布あつかいすんのも大概にしろよ…」 「四の五の言わない。これぐらいで加奈子を独占できるんだから、安い買い物じゃん。  京介があんまり渋るならいつかみたくナンパ待ちでもしようかな~?」 と、ろくでもない事をサラッと言うので さすがに聞き捨てならず、加奈子を掴まえて言い聞かせる。 「そういう冗談は、好かねえ」 「あ、ウソウソ。本気にすんなってば」 釘をさす意味で怒った風を強調してみたつもりだが、 所詮装いなのは筒抜けだったのか、加奈子は慌てた様子もなく笑みすら浮かべている。 「しないから、もうあんなこと。アタシにはもう京介って彼氏がいるんだし。安心していいよ」 屈託なく笑い、躊躇いもなく抱き着いてくる彼女はこの上なく愛らしい。 俺が折角なけなしの節制を振り絞ったというのに。 こうもアッサリ動揺させられるとは… 「あのなぁ、自分ちの中だからって無頓着すぎだ。いくら俺でもその気になりかねんぞ」 「いいよいいよ。むしろカモン? 家に上がるとき、家族は留守にしてるってちゃんと言ったじゃん」 確かに言ってたな…… 例によって、これなんてエロゲ?的な思考が走ったのを覚えている。 「あほ。それならこっちこそ言った筈だ。お前が高校出るまで一線は越えないってな」 「え~、これだけ御膳立てしてもまだ意地張っちゃってんの。カタイんだって京介は」 両想いの恋人なんだから欲望に忠実になっちゃえば、と煽る加奈子。 こいつがこんなだと余計に、俺がブレーキかけなくてどうするって意識が働く。 この通り加奈子の積極性が優勢で甚だ頼りない決意ではあるが… 「今は我慢しとけっつーの。お前のこと大事に思ってるからこう決めたんだ、わかれ」 「言ってる意味はわかるけど。それならそれで『加奈子のこと大事に思ってる』のを態度で示してくんない?」 ぶっちゃけ欲求不満なんだよねー、と絡んでくる加奈子。 これじゃあムードもへったくれも無いなと苦笑を誘われ、 同時にここは彼氏として相応に応えてやるべきかという気持ちが湧く。 「わかったよ、ホラこっち来い」 「ん」 改めて加奈子を抱き寄せる。数日ぶりの、恋人の距離だ 「寂しい思いさせてたなら、悪かった、気付いてやれなくて」 「謝んないでいーよ。加奈子のが、その…欲しがりなんだろーし…」 「かもな」 俺たちはごく自然に口付けをかわす。 陶然と薄目になった加奈子の唇に舌を滑らせると、繋いだ手に小さく震えが走った。 そのまま、上気した頬に逆の手を添えて軽く撫でる。 それを合図に加奈子も両手を俺の首の後ろへ回してきた。 開いた唇を交差させるようにして口内で貪りあう。 互いを求めてより強く抱き寄せる腕の感触と、荒い呼吸に時折混じって漏れ伝わる声が俺たちの全てだった 理性の「り」の字までかき消えてしまう前にと、辛うじて踏みとどまり顔を離す。 一瞬、二人の間に名残惜しむように唾液が糸を引いた。 未だ焦点の定まらない目をこちらに向ける加奈子の、てらてらと艶かしく光る唇をハンカチで拭いてやる。 じきに落ち着きを取り戻してきた加奈子が俺の胸に顔を埋めて呟いた 「ちょーしあわせ……頭ヘンになっちゃう、ね……」 「あぁ。俺も幸せだよ、加奈子」 「でも、足りない。もっとして。京介…」 「ちょtt」 結局この日俺たちは指折り数え切れないほどキスをして、 同じくらいかそれ以上に「幸せ」「好き」と睦み言を交わし、 陳腐な言い方になるが時の経つのも忘れて愛し合った。 それでもどうにか据え膳食わずを貫いたのが少し不服だったようだが。 帰り際、絶対にあと三年ももたせないんだからと宣言する加奈子に、敗北の予感が脳裏をよぎる。 俺の彼女がこんなに小悪魔なわけがない おわり

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示:
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。