「俺がモデルになれるわけがない!! ex」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら
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オマケ
新しい住居に移り住んで次の日。
「何だ………これは」
俺はファンなのであろう、女の子達に囲まれて思わずそう呟いた。
俺は今日、買い物のために街を歩いていた。そんな中、ある事件が俺の身に起きた。
その事件はある一軒の電気屋の前を通った時におこった。
誰も連れてきていない&付いてきていない為、久しぶりにノンビリと、悠々と自分のペースで道を歩いていると、ある音が俺の耳の中へと入ってきたのだ。
『俺が好きなら……勝てぇええええええ!!!!』
「ッっっ!!!!?*==~*|~=」
声にならない声を上げて俺はその音がした方向へと顔を向けた。
並べられていた新商品のテレビには俺の顔がデカデカと映っており、恥ずかしくて思わず耳を塞ぎたくなる声を大きく上げていた。
自分の顔が赤くなってくのが嫌でも分かる。
俺は出来るだけ自分の存在を消そうと肩身を狭くしてその場を離れようと早足になる。
まぁ、不幸の星に生まれてきたのであろう俺が無事にその場を切り抜けれる訳もなく、女の子達に取り囲まれた。
「きゃぁっ、京介よ!!」
「ほ、本物!!?」
「さ、ささ、サインください!!」
まるで波の様に押し寄せてくる女の子達に気おされて俺はオロオロとうろたえるだけだ。
そんな中、俺の耳に届いたのは、久しく聞いていないあの声だった。
『京介、久しぶりだね 私の事は覚えているかね? そう、京介君が所属している会社の社長だよ。
見ているかね? 見ていないならそれはそれでいい、見ているなら今から言う事をしっかり聞くんだよ。
京介 君の……』
妙な間を作る社長。
思わず生唾を飲み込んで言葉の続きを待つ。
『ドラマ出演が決まったよ☆ おめでとう☆』
「えぇええええええ!!!?」
聞いた瞬間絶叫。
周りの女の子達はいささかビックリしていた様だが、それでも怯む事は無く、俺の周りから居なくなる事は無かった。
まぁそんな事ははっきり言って問題じゃない。今問題なのはあくまでドラマの事だ。
何故そんな事を勝手に決めるんだあのクソ社長!!
心の中でそう愚痴ってみるが、それで現実が変わるわけもなく、俺は今回も諦めるしか選択肢は残されていなかった。
くそぅ、あの社長、何時か絶対殺してやる。
改めて決意する俺。
なんにしても、分かっているのはこの女の子達の輪の中から抜け出さなければ何も始まらないっていう事だ。
俺はどうやってこの女の子達の輪の中から抜け出そうか考えながら、ちょっとだけピンクに染まった空を見上げる。
「ちょっとだけ、こんな状況も悪くない、なんて考えてる俺自身が一番嫌だ」
漏れる溜息を隠す事もせず吐き出しそう呟くと、俺はあいつらと一緒に作るドラマを想像して思わず笑ってしまったのだった。
その日、俺が女の子から開放されたのは、軽く2時間後だった。
俺はすっかり暗くなってしまった道を歩いていく、山の中だから余計に暗い。
早く寝たい。
やっと家に着いて、ドアに手を掛けて開く。
事前に分かっていたとしても、真っ暗の道を歩いてきた俺にとって電気が作り出す明かりはやはり眩しかったらしい。
世界が白く歪んだ。
そんな中、大きな声が俺の耳に届いてくる
『おかえり』
皆から聞こえてきた賑やかな「おかえり」の言葉に目を瞠る。
あぁ、やっぱり俺はもう変になっちまってるらしい。
だってこんなにドラマをこいつらと作るのが楽しみでしょうがないんだから
俺は緩んでしまう頬に力を込めて普通の表情を作って、力強く返事をした
「あぁ、ただいま」
ドキドキと高鳴る心臓はこれから作るドラマのせいなのだろうか?
それとも別の理由なのだろうか?
理由は分からない、でも、今のこの世界がとても輝いて見えたのは確かだ。
そんな事を考えていると、とうとう頬の緩みが我慢の限界が来てしまい
思い切り皆に笑いかける俺なのだった。
寝る前。
買ってきた日記帳を机にしまう。
明日から、この日記帳に書いていくのはどんな物語なのだろうか?
楽しい? 悲しい? 嬉しい?
まぁきっとどんな事があっても最後は皆で笑っているのだろう。
………きっと。……ずっと。
今度こそfin