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771 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/24(日) 23:37:38.91 ID:9noqXG+DO
深夜3時、草木も眠る丑三つ時―
五更家の廊下をふらふらとさまよう白い影がひとつ―
幽霊だと思った?ざんねん、珠希でした。
珠希はふらふらと、ねぼけ眼でおトイレに行ったはいいけれど・・
これこれたまちゃん、そっちは違うよ、そこは瑠璃姉さまのお部屋だよ。
「んー・・。」ごそごそ
「ん・・む・・。」
「むふー・・♪」
あらあら。たまちゃんはごく自然に姉さまの寝床へ潜り込んでしまいました。
無理もありません。年少さんくらいまでは、
ずっとこうして姉さまに添い寝してもらっていたのですから。
姉さまもそのときの事を夢うつつに思い出したのでしょうか、
「・・たま・・・き・・・」きゅっ
姉さまの両手はたまちゃんを優しく包み込んでいました。
「えへへ・・♪」
まだまだたまちゃん実は甘えたい年頃なのでしょう。
その頃、やはり廊下をふらつく、小鬼のような影が・・。日向でした。
日向もやっぱりねぼけ眼。
なぜか迷わずルリ姉の部屋へ。
「・・・・。」
お姉ちゃんに抱かれてすやすや眠るちいさな先客が。
「んー、たまき・・・・ずるいよ」
半分以上無意識にもぞもぞと侵入しようとする日向。
仕方ないのかなんなのか、愛しい姉の背中から潜り込もうとします。
「・・・・えへへー・・・・」
少し狭い布団ながら、なんとか姉妹三人、変則的に川の字になり、
三匹のねこはすやすやと眠りについたのでありました・・・・。
・・そのはずでした。
772 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/24(日) 23:40:18.99 ID:9noqXG+DO
致命的なミスは、日向が絶望的に寝相が悪いということだったのです。
げしっ。
姉の背中に蹴りを入れ、
「んー、・・」
ぐにっ。
姉のほっぺをつかんでは
「ぐっ、うー・・」
べちっ
姉の顔面にいい感じで回し蹴りをいれては
「むぐぅ・・」
「くらえーブラックジャキガー・・・・」
どうやら日向、夢の中ではお気に入りのバトルアニメの悪役と戦っている模様。
ブラックジャキガーがどんなかって?
うん、それルリ姉様に似てるかもってうっかり言ったら、
その日のおかずがちっさなイワシ一本になったくらい、そんな感じ。
ルリ姉は起きはしないものの、反撃に出ます。
ごすっ。
まずはヒジが落ちます
「・・・・へっぐ!」
「・・・このクイーンに・・・使い魔風情が・・・・逆ら・・・・」
夢の中でもルリ姉はルリ姉でした。
「・・・ふっ・・・灰燼に・・・・なりなさ~ぃ・・・・」
ルリ姉はどうやら何か魔翌力攻撃をしているようですね。
結局はただの掌底が飛びます。
げしっ!
「・・けー・・おー・・」
いっぽう、反対側の手にだっこされたままのたまちゃんは
「・・・・ごろごろ・・なー・・」
夢ではねこさんになっていたようです。
~~~~朝~~~~
・・・・あぁ、ひどい寝起きね・・・・
うん、珠希が布団にもぐりこんでいるのは良くあることよ。
しかし日向までこの部屋で、
ありえない角度で寝転がっているのはどういうことかしら?
・・なんだか、おぼろげに、
子猫を抱きながら安っぽいザコキャラと
戦っていた夢を見た気がするのだけれど・・
それより、この子達の朝食を用意してやらなければ、ね。
~~~~で~~~~
「おはようございます、姉さま」
台所で朝食を作っていると、珠希が起きてきた。
この子は寝起きもすっきりしている。朝からちゃんとはきはきと挨拶もできているわ。
「おはよう、珠希。そろそろ日向も起こしてあげなさい。」
「日向おねえちゃんはもう起きてますよー、だいたい。」
その後ろからのそのそと日向が出てきた。
日向のほうは寝起きがひどく悪い、これは私に似たのかしら。
みるからにまだ半分以上眠っているようね。
「う゛ー・・あ、おはよう珠希・・
あ"、ブラックジャキガーだー・・」
私を指さして妙なことを口走ったこの瞬間、日向の朝食は急遽
ニンジンたっぷりのサラダとピーマン炒めに変更されることが決定した。
~おわり~