無題:13スレ目42

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俺の名は高坂京介、どこにでもいる平凡な高校三年生……のつもりだ。 二年前までは確実にそう言えたのだが、ちょっとここ最近自信がなくなってる。 俺は本当に「普通の」高校生なのか、と。 特に今現在、この瞬間において、その疑問はMAXだ。 原因はこのメール 差出人:フェイトさん  題名:やっほー(^^)/  本文:京介くん今日ヒマ?ちょっとご飯食べに行かない? はたして日曜の昼間っから社会人に飯を奢らされる高校生が、世の中にどのくらいいるのかと。 そもそもこの人は別に友人と言うわけでもない。 出会いのきっかけは、俺の妹、桐乃が書いた小説をこの人が盗作したことだ。 その後色々あったが、妹とフェイトさんは和解して一応「知人」という枠には収まっている。 しかし、それがなんだというのだ。 この人はわかりやすいほどのダメ人間で、定職に就かず常に金欠で 高校生に飯をたかったり、中学生から借りた金をFXで溶かすなど、 その行動は常軌を逸している。 Re:俺、金ないっすよ。 大学受験もそろそろだというのにフェイトさんに飯を奢ってる暇など無い。 Re:Re:や~ね、もちろん私の奢りよ!☆⌒d(*^ー゚)b グッ!! Re:Re:Re:銀行強盗でもしたんですか?共犯になるのはごめんですよ Re:Re:Re:Re:失礼な!ちゃんとしたお金よヾ(。`Д´。)ノ彡☆ブーブーッ!! なんかやたらと顔文字使ってハイテンションな感じだな…… 宝くじでも……いや、なにか一山当てたのか? 俺:なんかいいことでもあったんですか? F:内緒(*/∇\*)キャ 俺:理由もなしに人から奢ってもらうなんて出来ませんよ F:いつものお礼じゃダメかしら?(● ̄▽ ̄●;)ゞぽりぽり やんわりと普段のことを責めたつもりが返されてしまった。 俺:ダメってことは無いですけど、そんな金があるなら桐乃から借りてる金を返してやって下さい F:いいわよん(‐^▽^‐) オーホッホ♪ 「まじでっ!?」 メールを見て思わず声が出てしまった。 「あのフェイトさんが金を返せるだと……?」 一体何があったというのだ。 F:じゃあ、12時にあの喫茶店でねσ(^∇^ヾ)コッチコッチ 「あの喫茶店……?」 どこのことだろうか? いや、俺とフェイトさんの両方が知ってる喫茶店なんて―― 俺:どこですか? フェイトさん絡みで喫茶店と言って思いつくのは、盗作騒動の時に打ち合わせをした、あの新宿の喫茶店だけだ。 だが、あの時フェイトさんは桐乃としか顔を合わせていない。 フェイトさんは何故“俺があの喫茶店を知っていると知っている”んだろうか? 確認しようにも、それっきり返事は来なかった。 ――新宿―― 「ほんとにここでいいのかよ……」 まあ間違ってればフェイトさんと会わずにすむ。 合ってれば桐乃の金を返してもらえる。 どちらでもいいかと思い、結局あの時の喫茶店まで来てしまった。 「なんか懐かしいな……」 あの時フェイトさんはぷーりんさんの名刺を使う為に男装してたんだよな。 まったく気が付かなかったんだから、 あの人の胸ってかなりかわいそうな部類に入るんじゃなかろうか…… 「何か失礼なこと考えてない?」 「うわぁっ!びっくりした!!」 突然後ろから声をかけられて素っ頓狂な声を上げてしまった。 「驚かさないで下さいよ……」 「あはは、ごめんごめん」 振り向いた先にはあの時とは似ても似つかないフェイトさんが居た。 「なんか……気合いの入った格好してますね」 「人間って見た目だけじゃないけど、見た目も大事なのよ」 「そうっすか」 うん。確かにそうかもしれない。 今日のフェイトさんはダメ人間のイメージからほど遠い。 キャリアウーマンって感じだ。 「なんでそんなにめかしこんでるんですか?」 「面接の帰りだからよ」 「就職活動?」 「そ、編集者としてやっていかないかって声かけてもらってね」 ほう、これはこれは更生の道を歩んでいらっしゃるのでしょうか。 確かに同人ゴロとしての活動を見る限り、作品をまとめ上げたりする能力はあるようだし 桐乃の小説をより面白くするアドバイスをしてくれたりしたことを考えれば、ある意味天職かもしれないな。 「上手くいくといいですね」 「そうね……」 「ん?あんまり手放しで喜んでるようじゃないですね」 「うん、まあね。やっぱり自分で作品を作るっていうのは私の夢だから  それを諦めるみたいなのがチョットね……」 行き詰って中学生から盗作するような真似をするくらいなら すっぱり諦めてくれた方がいいと思うんだけどな…… 「でもまあ、いつまでも夢見る少女じゃいられないしね~」 「ハ、ハハハ……少女ってフェイトさん」 「なによ?恋する女はいつでも乙女っていう言葉を知らないの?」 「知りませんよ」 「ちぇ」 拗ねたように口をとがらせてそっぽ向くフェイトさんの仕草がやけに幼く見えた。 「な~んで京介くんは私を邪険にするかな~?」 「自分の胸に手を当てて考えてみてください」 「……巨乳好きなのね」 「違います!いや違わないけどっ!!」 「いいのよ。もうこんな年だしね……諦めてるわ……」 「そうやってとぼけないで下さいよ、俺がフェイトさんを敬遠してる理由なんてすぐわかるでしょう?」 「あら?何かしら?」 「桐乃にしたこと忘れたんですか?」 「おぼえてるわよ」 「じゃあそれが理由ですよ」 「本当に?」 「え?」 いきなりの不敵な笑みに思わずたじろぐ―― 「なんか京介くんが私を見たくない理由って他にもありそうな気がするけど?」 「な、なんなんですかいきなり?」 「たとえば~……あの邪気眼厨二病な女の子、元気してる?」 「な、何でいきなり黒猫のことを?」 「私の若い頃によく似ているから気になるのよ、悪いかしら?」 「悪いってわけじゃないですけど……」 あまり思い出したくない、こんな人前では―― たった一ヶ月、されど一ヶ月。初めて出来た恋人との日々を忘れられるはずがない。 自分にはよくわからない理由で振られたことが、より一層、胸を締め付ける―― 「好きなんでしょ?あの子のこと」 「――っ!!ななな、何を根拠に!?」 「その態度」 「~~~~~~~~っ!!!」 いきなりの指摘に顔から火が出るほど恥ずかしい!! なんでバレた?って言うか知ってた? 「危なっかしくてほっとけない感じがして、いつの間にか気になってるんじゃないの?」 「そ、そんなんじゃないですよ!あいつは妹みたいなもんですって!」 実際、本人から妹の代わりにするなって怒られたくらいだし!! 「京介君が桐乃ちゃんみたいなもんなんて言うなら好きってことじゃないの?」 「俺がいつ、桐乃を好きだと言いましたか!?」 「嫌いな相手の為にあんな色んなことしてあげられる人って居ないと思うけどね」 「そ、そりゃ確かに俺はシスコン気味ですけど、それと黒猫は関係ないでしょうが!」 なんでフェイトさん相手にこんなドギマギしなくちゃならないんだ? 「あはは!!ごめんねからかっちゃって」 「……からかったんですか?」 「ううん、ちょっと安心してほしかったのよ」 「?」 「う~ん……、年上の威厳?みたいな」 何が言いたいんだろう。 さっきの発言から、俺と黒猫が付き合ってたことや、一ヶ月で別れてしまったことを 知っているわけではなさそうだし…… 「そんな人で遊ぶようなことするならもう帰りますよ」 「あん!もう!せっかちなんだから!!桐乃ちゃんのお金はいいの?」 「最初から期待はしてません」 「ヒドッ!!」 人の心の傷をえぐる人に言われたくありませんけどねっ! 「ま、まぁ、落ち着いてくれるかしら?もう少し話したいことがあるし」 「手短にお願いしますよ」 「せっかちなのは変わらずね……、そんなんじゃ女の子に嫌われちゃうぞ?」 「フェイトさんに嫌われても悲しくないですから」 「さ、さらにヒドイ!!」 大げさにショックを受けるフェイトさん…… …………………………お~い、フェイトさーん? …………………………………………………… なんか机に突っ伏したまま動かないぞ? 「ちょ、ちょっとフェイトさん?」 「なに?」 「どうしたんですか?いきなり」 「いきなりで悪いことなんてないわよ、好きならさっさと告白しなさいよ」 むくれ面してそんなことを言ったフェイトさんにちょっと腹が立ったのは言うまでもない。 「付き合ってましたよ!!もう別れたんですよ!!はいはい!!!どうせ振られましたよ!!!」 いい加減この話題を終わらせたくなってぶちまけた。 どうせ詳しい事情を話すつもりもないし、ちょっとばつが悪い思いのまま帰ってもらおう。 そのくらいの反撃は許してくれるよな? 「そ、そっか~……無神経なこと言ってごめんね」 「そう思うならもう言わないで下さい」 決まりが悪そうにモジモジと体を揺するフェイトさん――ちょっとは反省したんだろうか? 「そっかー、あの子ちゃんとお付き合いとかできたんだー……」 反省してねぇ!?この人どこまで黒猫の話題を引っ張るつもりだよ!? 「それならあんまり気にすることなかったのかなー……」 「あの、フェイトさん、本当に何が言いたいのかわかんないんですけど?」 「あ、ああ!京介君が私のこと避ける理由があの子にあるんじゃないかって思っててね!」 「意味がわかりませんよ」 「ほら、私の若い頃に似てるって言ったじゃない?だから京介君は  『黒猫さんが将来私みたいになるんじゃないか』って心配してるというか  そういう気がしちゃうから私のこと避けるんじゃないかって」 「………………」 あながち的外れって訳でもない、ちょっとくらいは頭をよぎったことがある。 黒猫が将来あんな風になったらどうしようって。 でも、俺が傍に居ればそんな心配は無用だ、と。そう思いたかった。 「だから私が年相応とは言えなくても、京介君に年上の威厳みたいなのを見せてあげれたら  そういう心配しなくて済むようになるんじゃないかって思ったのね!」 「………………余計なお世話っすよ」 「うん、ごめんね。『京介君があの子のことを好きなのなんてお見通しだぞー』って  やってみたかっただけなんだけど、まさかあんな答えが返ってくるとは思わなくって……」 「あーハイハイ、悪気は無かったんすよね」 「本当にごめんなさい」 なんでこの人からこんな事いわれにゃならんのよ。 「で、なんで別れたの?」 まじで反省しねぇなこの人!! ここまでヒドイと逆に感心するわ!! 「ご、ごめん、さすがに今の質問はまずかったわ!!」 「聞いてから詫びても遅すぎですけどね!!」 「ちょ、ちょっと動揺しちゃってて口が滑ったのよ!!悪気はないわ!!」 「余計タチが悪いです!!」 ダメだ!やっぱりこの人は鬼門だ!!もう帰ろう!! 「ごめん!本当にごめん!」 「もう、本当になんなんですか」 「言いたいこと……、ううん!聞きたいことがあったのよ!」 「また黒猫のことじゃないでしょうね?」 「そ、さすがにそれは無いわ!」 「じゃあ、サッサと聞いてください」 ゴク、と息をのんで大きく深呼吸するフェイトさん。 はたして休日を返上してこんな思いをしてまで聞く価値のあることなのだろうか。 「私がお金を返すって言った時、どう思った?」 「どうって……正直びっくりしただけですけど……」 「うん、まあ、そうよね。これ以上変なこと言う前にちゃんと返しておくわね」 ス――と封筒を差し出してきた。その厚みは1センチ近くあるだろうか。 「ここで確かめてもいいわよ」 「いや、正確な額は知らないんで……」 「そう、じゃ、桐乃ちゃんに渡しておいてね」 「わかりました」 お金返すってホントだったのか……ちょっと見直した 「いま、どう思った?」 まるで思考を読んだかのようにかぶせてきた―― 「しょ、正直言って見直しました」 「――よかった、あんまりダメ人間過ぎだったものね」 「自覚はあったんですね」 「そりゃ、あったわよ」 反省は無さそうでしたけど、なんて喉まで出かかった言葉を危うく飲み込んだ。 「あと、就職のことを聞いてどう思った?」 「編集者の?」 「そう」 「…………まあ、良かったなって……」 「うん、ありがとう」 なんだろう、この感じ……、フェイトさんってこんな事聞く人だったっけ―― 「……あの子とはちゃんと付き合ってたのよね?」 「またそれですか?」 「ごめんね、ちょっとショックだったの。私にはそういうことが出来なかったから……」 「………………黒猫とフェイトさんは違いますから」 「そ……う、……そうよね……違う人間だものね」 そんなに俺と黒猫が付き合ってた事実がショックだったのか? 「ごめんね、なんか色々と!」 「もう帰っていいですか?」 「うん、桐乃ちゃんによろしくね!」 「わかりました。フェイトさんも仕事がんばってください」 「あはは、ありがと!」 言葉や笑顔と裏腹に少し悲しそうに震えた声が気になった。 「本当にもういいんですか?」 「………………」 おせっかいと言われたってしょうがない性格だ。 だけど気になっちまったもんはしょうがねーだろ? 聞かなきゃいけない気がしたんだよ。 根気よくフェイトさんからの返答を待ってたら なにかぽそりと呟いたかと思うといきなり顔を近づけて聞いてきた。 「京介くん、最後に聞いておきたいことがあるんだけど!」 「な、なんすか?あらたまって」 「京介くんは年上の女性って、どう思う?」

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