無題:13スレ目97

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「ねー高坂くんってさ、結構たらしだよね?」 「・・・いきなり何を言い出すんだお前?」 季節は寒風吹き荒ぶ2月半ば。 さっさと大学進学を決めた俺は、卒業までなにもすることもなくダラダラと過ごしていた。 そこに後輩である黒猫から、一つお願いをされた。 『妹・・・日向の勉強を見てくれないかしら?』 日々を無為に過ごしていた俺はこの提案にすぐさま飛び付いた。 いい加減、妹物エロゲ漬けの日常には嫌気がさしていたからだ。 桐乃はいい顔をしなかったが、俺は正直助かったと思ったね。 そんなこんなで、只今黒猫の家で即席家庭教師をしているわけだが、 「たらしってなんだよ?」 「えーだってさ」 日向は俺をみつめると指折り数えだす。 「桐姉でしょー、瑠璃姉でしょー、沙織さんでしょー、あとこないだ会ったあやせさんでしょー・・・他にもいそうだけど、4人も誑かしてたら結構なたらしでしょ?」 「人聞き悪いこと言うな。そして桐乃を入れるな」 あいつは俺に嫌悪感しか抱いていない。 まぁ、嫌いだが自分を一番にしろとか理不尽な話はあるわけだが。 「それに黒猫はともかく、沙織は別にただの友達だし、あやせに至っては俺には殺意しかない」 「えーうっそだー」 「本当だ。俺は何度殺されかけたかわからん」 「たとえばどんな時に?」 日向の無邪気な質問に、んーと俺は記憶を遡る。 「そうだな・・・結婚してくれって言ったら、真っ赤になって蹴っ飛ばされた」 「・・・」 「あと、黒猫と付き合ったとき、そのことを報告したら『嘘つき』って言われて階段から落とされた」 「・・・」 「あとはー・・・」 「もういいよ高坂くん」 見ると日向が呆れたような顔で俺を見ていた。 なにその顔? 「そっか?」 「うんよくわかった。でさ高坂くん」 「ん?」 日向はにっこりと、それはいい笑顔でこう言った。 「なんで殺されなかったの?」 「ひでえな!」 思わず突っ込んじまったじゃねーか! 「いや、普通に殺されてしかるべきだと思うけどねえ?」 「いや、さらっと何言ってんの!?俺命一個しか持ってないんですけど!?」 「まー、乙女心を弄んだ報いってやつ?」 「弄んでねーし!今の話のどこにそんな要素あったよ!?」 どこにもないじゃねーか!殺されかけた記憶しかねーよ! 「・・・ねえ高坂くんさ?今まで自分に好意を持ってくれた女の子って心当たりある?小学生あたりから」 「ねーよ。こんな地味顔の奴、好きになってくれたのは物好きな黒猫くらいなもんさ」 そして振られましたしね。 やべ、泣きたくなってきた。 「・・・はあ」 見ると、日向が心底憂鬱そうなため息をついていた。 「ん?なんだよ?」 「・・・あのさ、高坂くん」 「ん?」 「好きだよ」 「なっ!?」 日向がまっすぐに俺をみつめて言ってきた言葉に、年甲斐もなく動揺する。 「な、なに言ってんだよお前!?」 「なにって・・・告白?」 なーっ!? ちょっと待てちょっと待て。 なにがどうしてこうなった!? 「あ、あのさ日向ちゃん?・・・自分が何言ってるかわかってる?」 「もちろん」 エッヘンと胸を張って言われた。 いや可愛いけどもさ。 「いや、その・・・な、なんで急に?」 「高坂くんが他の人にとられないように抜け駆け?」 かくんと首を傾げて言う日向。 真顔で言うな。 可愛すぎるだろ。 「と、とられる?俺が?誰に?」 「気づいてないならいいよ。むしろそっちのが好都合だし」 にっこりと笑うと、日向はそっと俺に寄り添ってきた。 「・・・で?返事は?」 「い、いや。確かに日向ちゃんは可愛いし、俺も好きだけど・・・あくまで妹みたいなもんとして好きってだけで・・・」 「恋愛感情じゃない?」 「・・・ああすまん」 「なら今はそれでいいよ」 「へ?」 日向は立ち上がると、俺の目の前で両手を広げて一回転して見せた。 「今はまだ妹のポジションでも、必ず振り向かせて見せるし」 「・・・たいそうな自信だな?」 「えーだってー・・・」 不意に日向はしゃがみこむと、俺に向かって顔をずいっと寄せてきた。 うおおい!近い近い近い! 「高坂くん、女の子に好きって言われたことないんでしょ?」 「・・・お前の姉さんがいますけど?」 「それだけじゃん」 「ぐ・・・」 否定できないだけに悲しい。 「だったらさ、こーんな可愛い子が、ずーっとアプローチしてたら、もう攻略したも同然じゃん」 ニッと笑って日向は言い切った。 「自分で可愛いとか言うな・・・」 「えー?可愛くない?」 ・・・くそ、首を傾げるな。 「・・・可愛い」 「へへでしょ?」 目の前で照れたように笑う日向は、本当に可愛くて。 「だからさ、覚悟しててよね?」 「お、おう・・・」 やばい。 俺は決してロリコンなんかではないはずだ! ・・・ないはずなんだが、気が付けば日向に良いように振り回されてる。 そして・・・日向の言葉にドキドキしている。 「あ、そーだ」 「あ?な、なに?」 日向は悪戯を思いついたような顔で笑うと、そっと俺に顔を近づけてきた。 「これは・・・」 ちゅ。 「マーキング。へへっ」 照れくさそうな日向の顔。 唇に残る淡い感触。 それを自覚しつつ、俺は頭が沸騰しそうだった。 そしてグラグラしつつある頭で、こんな風に思った。 『俺がこんなにロリコンなわけが・・・あってもいいんじゃねえか?』 続いて『日向side』 ↓ 「ねー高坂くんってさ、結構たらしだよね?」 「・・・いきなり何を言い出すんだお前?」 あたしの言葉に、高坂くんが怪訝に眉を寄せる。 季節はまだまだ寒い2月。 あたしは自分ちで、瑠璃姉がお願いしたっていう臨時家庭教師、高坂くんに勉強を教わっていた。 「たらしってなんだよ?」 「えーだってさ」 あたしは高坂くんをみつめると指折り数えだした。 「桐姉でしょー、瑠璃姉でしょー、沙織さんでしょー、あとこないだ会ったあやせさんでしょー・・・他にもいそうだけど、4人も誑かしてたら結構なたらしでしょ?」 「人聞き悪いこと言うな。そして桐乃を入れるな」 ・・・なに言ってんのかなーこの人? 桐姉が高坂くんのこと大好きなんてもうバレバレじゃん? もしかしてシスコンて思われるのが嫌なのかな? 「それに黒猫はともかく、沙織は別にただの友達だし、あやせに至っては俺には殺意しかない」 「えーうっそだー」 「本当だ。俺は何度殺されかけたかわからん」 「たとえばどんな時に?」 あたしは興味津々に聞いてみる。 ・・・てゆーか何度も殺されかけるって何? 「そうだな・・・結婚してくれって言ったら、真っ赤になって蹴っ飛ばされた」 「・・・」 「あと、黒猫と付き合ったとき、そのことを報告したら『嘘つき』って言われて階段から落とされた」 「・・・」 「あとはー・・・」 「もういいよ高坂くん」 ・・・呆れた。だめだこの人。 「そっか?」 「うんよくわかった。でさ高坂くん」 「ん?」 あたしは殊更にっこりと笑うことを意識して言ってやった。 「なんで殺されなかったの?」 「ひでえな!」 小気味良いツッコみが返ってくる。 でもひどくはないと思うよ? 「いや、普通に殺されてしかるべきだと思うけどねえ?」 「いや、さらっと何言ってんの!?俺命一個しか持ってないんですけど!?」 「まー、乙女心を弄んだ報いってやつ?」 「弄んでねーし!今の話のどこにそんな要素あったよ!?」 あったじゃん。 話し聞いただけでもわかるよ。 だってさっき聞いたあれ、明らかに照れ隠しとやきもちじゃん・・・あれ?もしかして・・・。 「・・・ねえ、高坂くんさ?今まで自分に好意を持ってくれた女の子って心当たりある?小学生あたりから」 「ねーよ。こんな地味顔のやつ、好きになってくれたのは物好きな黒猫くらいなもんさ」 ・・・なるほどね、なんかわかった。 この人とっことん鈍いんだ。 いないわけないじゃん考えたって。 あたし会って半年くらいだけど、そんだけでもさっきの4人がいるんだよ? それにさ・・・。 「・・・はあ」 思わずため息が漏れた。 「ん?なんだよ?」 「・・・あのさ、高坂くん」 「ん?」 「好きだよ」 「なっ!?」 これはズルいかなあ? でもなー・・・ほっとくと他の誰かにとられちゃうし。 この人気づいたら、絶対その人に惚れちゃうもん。 「な、なに言ってんだよお前!?」 「なにって・・・告白?」 ひーっ!自分で言ってて恥っずかしい! でもでも、高坂くんが動揺してる。 やっぱりだ。 この人恋愛経験薄いから、スッゲー流されやすい。 やっぱ・・・今のうちに手を打っとこう。 「あ、あのさ日向ちゃん?・・・自分が何言ってるかわかってる?」 「もちろん」 エッヘンと胸を張って言う。 ここまで来たらあとはもう勢いだ! 「いや、その・・・な、なんで急に?」 「高坂くんが他の人にとられないように抜け駆け?」 かくんと首を傾げて言ってやる。 もちろん計算ずく。 「と、とられる?俺が?誰に?」 「気づいてないならいいよ。むしろそっちのが好都合だし」 そう好都合。 今のあたしじゃ、まだまだ足りないものだらけで、他のライバルたちに太刀打ちできないもん。 「・・・で?返事は?」 「い、いや。確かに日向ちゃんはかわいいし、俺も好きだけど・・・あくまで妹みたいなもんとして好きってだけで・・・」 「恋愛感情じゃない?」 「・・・ああすまん」 「なら今はそれでいいよ」 「へ?」 あたしは立ち上がると、高坂くんの目の前で両手を広げて一回転した。 「今はまだ妹のポジションでも、必ず振り向かせて見せるし」 「・・・たいそうな自信だな?」 「えーだってー・・・」 あたしはしゃがみこむと、高坂君に向かって顔をずいっと寄せた。 明らかに動揺した顔が目の前にあってあたしは嬉しいやら楽しいやら。 「高坂くん、女の子に好きって言われたことないんでしょ?」 「・・・お前の姉さんがいますけど?」 「それだけじゃん」 「ぐ・・・」 言葉に詰まる高坂くん。 バカだねー。 高坂くん好きな子なんて実はいっぱいいるのに。 「だったらさ、こーんな可愛い子が、ずーっとアプローチしてたら、もう攻略したも同然じゃん」 教えてなんかあげないけどねっ! 「自分で可愛いとかいうな・・・」 「えー?可愛くない?」 またかくんと首を傾げる。 ごめんね高坂くん。 あたしズルい女だから。 「・・・可愛い」 「へへでしょ?」 ハッキリ言われると、それはそれで恥ずかしいよ!? ま、まあ嬉しいんだけどね! 「だからさ、覚悟しててよね?」 「お、おう・・・」 あたしはそう言うと、高坂君からスッと顔を離した。 だってやばかった。 至近距離の高坂くん、本当にカッコよくて、下手したらデレデレになりそうだった。 よく我慢したあたし! ドキドキしている胸を押さえつつ、日向グッジョブと内心で呟く。 ・・・でもこれだけじゃ、いまいち安心できないなー。 もう一つインパクトのあるやつを・・・あ。 「あ、そーだ」 「あ?な、なに?」 落ち着けあたし。まずは笑え。 急いじゃダメだ。 ゆっくりと、ゆっくりと・・・顔を高坂くんに近づけて・・・。 「これは・・・」 ちゅ 「マーキング。へへっ」 唇に残る淡い感触。 それを自覚しつつ、あたしは頭が沸騰しそうだった。でも目の前で、あわあわと顔を真っ赤にして慌てている高坂くんを見て、あたしはこんな風に思った。 『あたしの高坂くんはこんなにも可愛い』

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