†あたしの姉がチキンってわけじゃない†:12スレ目929

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・・その宴は地獄を体言した如く、阿鼻叫喚の様相を呈していた。 脂肪の塊に身を包んだ餓鬼共が、獄卒どものもたらす肉塊に 我先にと群がり、飢えに任せtj+f%#b\s\@% って無理じゃボケェエーーーッ!!!! 無理だ。体に悪い! これ以上ルリ姉語をつづけたら正気度がゼロになるって! 「・・姉上、今宵の宴は・・如何な犠牲(イケニエ)を?」 「・・ふっ。哀れな鰯が地獄の業火に焼かれた・・その骸よ・・。」 ヤダよそんな痛い電波家庭! ・・っといけない。あたしは五更日向。 言っちゃあなんだけどごく平凡な小五女子。ちなみにすでにおっぱいはルリ姉と大差ない。 ・・ゲフンゲフン。まぁ一言多いのは玉にキズ、として。 平凡じゃないのはうちの姉、長女たるルリ姉。 ご存知、電波かつゴスロリなのに実は乙女で弄るとこれが可愛くて可愛くて。 逆にこらまた平凡なのはうちの可愛い可愛い妹のたまちゃんこと珠希。 平凡なんだけど妙に勘が鋭かったり頭の回転が超早かったりと侮れないんだ。 お願いだからたまちゃんはまともに育ってね。 ルリ姉「・・ふっ。日向はいつまで凡庸なる人間の雌に留まるつもりなのかしら・・」 たまちゃん「・・眷属への洗礼を受けぬ限りは、凡百の有象無象と変わらぬ 人間のままなのですよ・・御自覚くださいな、日向姉様・・」 うわぁあああそんな未来見たくねぇええ!!やめてやめてー! 可愛くて賢いたまちゃんを返してーー! 「・・いくら食べたいからって騒ぐのは止めなさい、日向・・。」 ・・とそうだった。 いまあたし達は姉妹でデンゲッキー・フライチキンの 【エクストリーム食べ放題スペシャルデー】 にきている。 カロリー高いからだのなんだの渋るルリ姉を、 たまちゃんを味方に付けて 【ダブル上目遣い+ウル目攻撃】 で口説き落とし、 たどり着いた約束の地・・は・・ 「オルゥアア!どけやそのチキナゲァ俺のだァ!」 「オゥフオゥフ!この皿はまるごと頂くでがんす!」 「ぶっ殺されっぞ豚ァ!」 「食べない豚はただの豚でがんす!」 うん、マジでエクストリームだった。 なんつうか、昔話で読んだ地獄の餓鬼ってやつが 現実にあらわれた、的な?ガキのあたしが言うのもなんだけど。 ・・食べ放題はいいにしても、狭い店でバイキングはちょっとどうよ? 時間制限で終わるシステムなんだから、 ガシガシ人を押しのける奴が得するに決まってるじゃん。 てわけで、食べ放題のバイキングの周りは・・ お前らもう一生何も食わなくていいだろう的な ピザ[ピザ]軍団に占領されていた。 「も、もぅちょっと待っててね、貴女達・・」 「姉様、・・頑張ってくださいです」 というわけで、華奢な女子中学生に過ぎないルリ姉にその生存競争はかなり厳しい。 あたしはたまちゃんの保護担当だし、危ないから二人ともおとなしく座ってな、てことらしい。 で、案の定 「ちょっと、通してくださ・・ぐ!」 「すみません、通していただきゃっ!」 「あのぉ、どいて頂けないかしグハ!」 「・・そこを、おどきなさベフッ!」 あぁあ。こりゃダメだ。 チキンを取れないことが、じゃない。 ルリ姉の周囲に、真っ黒なような、紫がかったようなオーラが立ち上がる。 やおら、仁王立ちに片手をかざし、 ルリ姉が大好きなタンカ切りポーズを決め 「道を空けなさい人間共!!否、畜生と呼ぶほうが相応しいかしら? 己の浅ましさを無様に晒す下等動物がッ!!」 ・・あぁ、やっちゃった。 「肉、肉ゥ!!ウマ、ウマァ!」 「こんの豚がぁ!全部渡さねぇぞ畜生がッ!」 ・・うん、見事に不発だった。 バイキングに群がる[ピザ]共には。 ざわ・・ざわっ・・ざわっ・・ 代わりに全方位、普通のお客さん全員には見事に届いたよ。 ごめんルリ姉。たった今からあたし達他人だよ。 全力で目ぇ逸らすからよろしK 「姉さまかっこいいですー♪」 オーノーッ!!たまちゃんやめて大きな声で呼ばないで手を振らないで。 「・・ふふっ」 だからルリ姉もちょっと嬉しいみたいに手ェ振るのやめて。 あたしはテーブルに突っ伏して 「・・ぐっ・・!恥っ・・恥っ・・!・・店内・・全方位にっ・・・・!」 カ●ジみたいな顔で恥ずかしさに耐えはじめたとき、 「く、黒猫?なんでこんなトコいんだよ?」 全然フツーだけど聞き覚えのある声が。 「!!・・・・ぇ・・・・そ、それは、い、いも、いも、食べ、・・妹が食べたいって言った、から・・。」 ルリ姉めっちゃ動揺してんぜヘイヘーイww まぁ無理もないか。 この見るからに何の変哲もない、どっか冴えない高校生のあんちゃん・・高坂京介くん・・は まぁ色々ありながらルリ姉の【元?】カレシさまなんだな。 それがこの食い意地サバイバルグランプリみたいな所で遭遇してみなさい、 流石のルリ姉でも年頃の女の子なら動揺するよねーwwニッシシシ。 いやフツーなら今さっきの意味不明なタンカを恥ずかしがるんだけどね。 ルリ姉に限ってはありえないし。 だって、電波電波してる瞬間のルリ姉は凄く か っ こ い い ・・と本人だけが固く信じてるから。 「妹さんときてるんだ。」 「あ・・・・そ、そうよ。」 何ナニしおらしくなっちゃってんのwwグヒヒ。 さっきの電波全開なタンカ切ったヒトと同一人物とは思えないねー。 「こっちも妹連れさ。てか強制された・・。」 あ、桐乃さんだ。気が付かなかったけど・・なんで不機嫌オーラを真っすぐ京介くんに向けてんだろ? 「あ、ひなちゃんたまちゃんやほー♪」 今泣いたカラスがもう笑う、みたいな変わり身の早さ。 「あ、こんにちは。」 「こんにちはー!」 この桐乃さんはルリ姉のオタク友達、兼ケンカ友達。 超カッコイイ、凄い可愛いビッチさんで・・子供だいすき。 そりゃあもう、ねぇ、だいすき過ぎてお風呂で裸で追っかけてくるくらい・・orz でもマジすげーオシャレさんだし現役モデルさんだし、ひそかにあたしの目標としてるヒトなんだ。 で、またソッコーで顔色変えて、京介くんに無言で「ちょっと来いや」サイン。相変わらず尻の下だなぁ。 「ナぁに黒猫が来たからって鼻の下延ばしていちゃついてんのよ!」げしっ! 実の兄さんなのに人前で平気でローキックかますのも、この二人には自然なことらしい。 「いッテェ!手前ぇそれ固いクツだろうが!」 「うるさいわよこの無能!無駄飯食い!グズッ! さっさとメルルキーホルダーのシークレットでも掴んできなさいよ!」 あー納得した。そいや広告に書いてあったっけ。 【メルルガチャカプセルつかみ取り!】って。 よくあるタイアップとかいうやつ? で、メルル大好きな桐乃さんは鵜飼いの鵜を連れて参上したっと。 しかしつかみ取りまでバイキングに並べるってさすがに無茶じゃね? いっぽうルリ姉は 「そこを退かぬか有象無象がッ!」 とか 「魔魂傀儡掌!傀儡どもよそこをどきなさい!」 とか・・無駄なあがきをやってる。 要するに戦果ゼロ。 今日は食べ放題限定だから、フツーのメニューも頼めない。 「・・で、何やってんのお前?」 そんな色んな意味で可哀相なルリ姉に京介くんが話し掛ける。 「・・見ての通りよ。醜悪な豚どもに阻まれてバイキングに近づくことも出来ないわ」 ふぅっ、とため息をつく京介くん。 「お前、ほんと相変わらずだよな、甘え下手なところは。」 はっしとルリ姉の手をとる京介くん・・ちょっとちょっと? 公衆の面前でラブシーンはまずいんでない!? 「・・な、何をするの?」 違った。京介くんはルリ姉の手から、からっぽのバイキング用バスケットをするりと取り上げ、 「どうせまだ全然食べてねーんだろ、チキン。任せろや。」 それだけ言うと、くるりと背を向けて食の戦場、[ピザ]ゾーンに向かう京介くん。 かっ ・・かかっ、 か、かっこいいぃッ!!・・くっはぁあああ!! これだよコレ!そりゃルリ姉惚れちゃうよもぉ! 「・・オラァ!!どけや豚どもが!」 「き、貴様新参でごわすか!」 「渡さん、このチキンは誰にも渡さんぞぉ!」 「黒猫が腹ァ空かして待ってんだ・・どけってのが聞こえねぇのか[ピザ]ゥ!」 タックル、体当たり、手や足がギリギリ出ないくらいの猛チャージで あっという間に[ピザ]ゾーンに切り込んでいった京介くん。 ルリ姉はただおろおろして京介くんを見守っている。 「また始めたよアイツ・・」 「のわぁ!・・っていつの間に相席にしたの桐乃サン!?」 そしていつの間にたまちゃんを膝の上にだっこ!? 「へ?さっきから。」 「ていうか気配も物音もなかったよね!?」 「たまちゃん♪お兄ちゃんの応援に行こうか♪」クンカクンカ 「華麗にスルー!」 しかもドサマギにたまちゃんをクンクンしてる! 「はい♪おうえんするです♪」 ひょいっと珠希を肩車して[ピザ]ゾーンに近づく桐乃さん。 「わぁいおーえんおーえん♪」 「ゴルァあんた責任重大よ!たまちゃんひなちゃんがチキン食べられなくて 泣いたりトラウマになったりしたらアンタの責任だからね!」 桐乃さんそれ応援ちがう!プレッシャーや! 「よし兄貴!十分なチキンを確保したら次はガチャね!メルル必ず取ってよ!」 「わぁいめるるめるるー♪」 桐乃さんと肩車合体して身長約2メートル、まさに司令塔。 「あー、兄貴!もっと右!そー!見えるでしょそのシークレットメルルたん!!」 「馬鹿ッ!スカタン!ほんっと使えないわねッ!あーそっちよそっちよあと30センチ右!20センチ奥!掴んで掴んで!」 「最低ノルマ6つね!あたしと日向ちゃんたまちゃん全部で三つ!」 「お兄ちゃんがんばれがんばれー♪」 完全にクレーンゲーム機扱いされる京介くん。 ~~~で~~~ 約10分後・・。 あたしたちはバスケットにテンコ盛りのチキンと京介くんを囲んでいた。 ・・ボロボロで疲労困憊の。 「・・あの、ほ、・・本当に・・ありがとう」 「・・ああ。」 京介くん、返事をするのがやっとみたいだ。 「いーのいーの気にしなくて!はい♪たまちゃんあーん♪」 「はい♪あーん♪」ハムハム 桐乃さんはさっきから何回もたまちゃんにこの調子。 「ひなちゃん、おいしい?たくさん食べてね♪」チラッチラッ 「あ、はいおいしいです、ありがとうございます」 ・・やんないからね。あたしは流石にあーん♪ とかやんないからね。五年生にもなって。 「あ、たまちゃんお口にケチャップ付いてましゅよー♪」フキフキ ルリ姉がすっごい監視の目を向けている。 このヒト、見てなかったらケチャップをペロペロとか・・しないよね、たぶん。ははは・・ 桐乃さん、ごくごくナチュラルにあたしと珠希を左右に座らせといて 「ムッハー!なんて素敵なハーレムルート!」 とかよく分からない事を言っている。 意味は分からないけどダメな感じしかしない。 ルリ姉はルリ姉で、 「ふむ・・やはりスパイスの使い方にコツが・・」 「少し脂がきついのは改善の余地が見込めるわね・・」 とかブツブツ言っている。 コレ、ルリ姉の超家庭スキル。 たいがいの外食メニューだったら、さらりとレシピを見抜いて へたすりゃ本家より美味いごちそうを作っちゃう。 京介くん、このヒトお嫁にどうっスか!? 「・・本当に、き、今日は・・助かったわ・・。」 「あー、大丈夫だって。黒猫が泣きそうで見てられなかっただけだよ」 「・・な、な!泣きそうなんかじゃなかったわ!」 必死に否定するルリ姉。エーホントにーww?(誤植編っぽく) 「ルリ姉、このくらいなら多分作っちゃうよね?今度京介くん招待したら?」 助け舟を出す、ていうか助け舟で煽ってみる。 「へえ!でも黒猫ならやれそうだよな。」 「・・そんなこと・・。じ、自信はない・・わ・・。で、でも。」 目をそらしても、顔に自信満々って書いてあるよー♪ やおらガタッと立ち上がり、 手をのばして指を反らした[ルリ姉キメポーズ]をとると、 「・・あ、あまり味に過度な期待しないで頂けるなら、 ご、極上なる味わいのものを提供する絶対的な自信が 必ずしもないことはないわ」 ドヤ顔でどっちだかよくわからない口上をのべるルリ姉が可笑しくて、 「・・ぷっ!」ボコッ あたしはうっかりミルクシェイクのストローをくわえたまま噴いてしまう。 びゅるっ! ストローから白いミルクが逆流して、あたしの顔に命中。 「やーん・・顔にかかっちゃったよー・・」 「え、え、えーくせれーんと!」ぷしゃっ なぜこのとき桐乃さんが鼻血だして発狂したのか・・ ルリ姉や京介くんまで真っ赤になってしまったのか、 ルリ姉になんかい聞いても、ついに教えてくれなかった。 【おわり】
929 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2012/07/11(水) 23:13:35.75 ID:jdAoKS1DO ・・その宴は地獄を体言した如く、阿鼻叫喚の様相を呈していた。 脂肪の塊に身を包んだ餓鬼共が、獄卒どものもたらす肉塊に 我先にと群がり、飢えに任せtj+f%#b\s\@% って無理じゃボケェエーーーッ!!!! 無理だ。体に悪い! これ以上ルリ姉語をつづけたら正気度がゼロになるって! 「・・姉上、今宵の宴は・・如何な犠牲(イケニエ)を?」 「・・ふっ。哀れな鰯が地獄の業火に焼かれた・・その骸よ・・。」 ヤダよそんな痛い電波家庭! ・・っといけない。あたしは五更日向。 言っちゃあなんだけどごく平凡な小五女子。ちなみにすでにおっぱいはルリ姉と大差ない。 ・・ゲフンゲフン。まぁ一言多いのは玉にキズ、として。 平凡じゃないのはうちの姉、長女たるルリ姉。 ご存知、電波かつゴスロリなのに実は乙女で弄るとこれが可愛くて可愛くて。 逆にこらまた平凡なのはうちの可愛い可愛い妹のたまちゃんこと珠希。 平凡なんだけど妙に勘が鋭かったり頭の回転が超早かったりと侮れないんだ。 お願いだからたまちゃんはまともに育ってね。 ルリ姉「・・ふっ。日向はいつまで凡庸なる人間の雌に留まるつもりなのかしら・・」 たまちゃん「・・眷属への洗礼を受けぬ限りは、凡百の有象無象と変わらぬ 人間のままなのですよ・・御自覚くださいな、日向姉様・・」 うわぁあああそんな未来見たくねぇええ!!やめてやめてー! 可愛くて賢いたまちゃんを返してーー! 「・・いくら食べたいからって騒ぐのは止めなさい、日向・・。」 ・・とそうだった。 いまあたし達は姉妹でデンゲッキー・フライチキンの 【エクストリーム食べ放題スペシャルデー】 にきている。 カロリー高いからだのなんだの渋るルリ姉を、 たまちゃんを味方に付けて 【ダブル上目遣い+ウル目攻撃】 で口説き落とし、 たどり着いた約束の地・・は・・ 「オルゥアア!どけやそのチキナゲァ俺のだァ!」 「オゥフオゥフ!この皿はまるごと頂くでがんす!」 「ぶっ殺されっぞ豚ァ!」 「食べない豚はただの豚でがんす!」 うん、マジでエクストリームだった。 なんつうか、昔話で読んだ地獄の餓鬼ってやつが 現実にあらわれた、的な?ガキのあたしが言うのもなんだけど。 ・・食べ放題はいいにしても、狭い店でバイキングはちょっとどうよ? 時間制限で終わるシステムなんだから、 ガシガシ人を押しのける奴が得するに決まってるじゃん。 てわけで、食べ放題のバイキングの周りは・・ お前らもう一生何も食わなくていいだろう的な ピザ[ピザ]軍団に占領されていた。 「も、もぅちょっと待っててね、貴女達・・」 「姉様、・・頑張ってくださいです」 というわけで、華奢な女子中学生に過ぎないルリ姉にその生存競争はかなり厳しい。 あたしはたまちゃんの保護担当だし、危ないから二人ともおとなしく座ってな、てことらしい。 で、案の定 「ちょっと、通してくださ・・ぐ!」 「すみません、通していただきゃっ!」 「あのぉ、どいて頂けないかしグハ!」 「・・そこを、おどきなさベフッ!」 あぁあ。こりゃダメだ。 チキンを取れないことが、じゃない。 ルリ姉の周囲に、真っ黒なような、紫がかったようなオーラが立ち上がる。 やおら、仁王立ちに片手をかざし、 ルリ姉が大好きなタンカ切りポーズを決め 「道を空けなさい人間共!!否、畜生と呼ぶほうが相応しいかしら? 己の浅ましさを無様に晒す下等動物がッ!!」 ・・あぁ、やっちゃった。 「肉、肉ゥ!!ウマ、ウマァ!」 「こんの豚がぁ!全部渡さねぇぞ畜生がッ!」 ・・うん、見事に不発だった。 バイキングに群がる[ピザ]共には。 ざわ・・ざわっ・・ざわっ・・ 代わりに全方位、普通のお客さん全員には見事に届いたよ。 ごめんルリ姉。たった今からあたし達他人だよ。 全力で目ぇ逸らすからよろしK 「姉さまかっこいいですー♪」 オーノーッ!!たまちゃんやめて大きな声で呼ばないで手を振らないで。 「・・ふふっ」 だからルリ姉もちょっと嬉しいみたいに手ェ振るのやめて。 あたしはテーブルに突っ伏して 「・・ぐっ・・!恥っ・・恥っ・・!・・店内・・全方位にっ・・・・!」 カ●ジみたいな顔で恥ずかしさに耐えはじめたとき、 「く、黒猫?なんでこんなトコいんだよ?」 全然フツーだけど聞き覚えのある声が。 「!!・・・・ぇ・・・・そ、それは、い、いも、いも、食べ、・・妹が食べたいって言った、から・・。」 ルリ姉めっちゃ動揺してんぜヘイヘーイww まぁ無理もないか。 この見るからに何の変哲もない、どっか冴えない高校生のあんちゃん・・高坂京介くん・・は まぁ色々ありながらルリ姉の【元?】カレシさまなんだな。 それがこの食い意地サバイバルグランプリみたいな所で遭遇してみなさい、 流石のルリ姉でも年頃の女の子なら動揺するよねーwwニッシシシ。 いやフツーなら今さっきの意味不明なタンカを恥ずかしがるんだけどね。 ルリ姉に限ってはありえないし。 だって、電波電波してる瞬間のルリ姉は凄く か っ こ い い ・・と本人だけが固く信じてるから。 「妹さんときてるんだ。」 「あ・・・・そ、そうよ。」 何ナニしおらしくなっちゃってんのwwグヒヒ。 さっきの電波全開なタンカ切ったヒトと同一人物とは思えないねー。 「こっちも妹連れさ。てか強制された・・。」 あ、桐乃さんだ。気が付かなかったけど・・なんで不機嫌オーラを真っすぐ京介くんに向けてんだろ? 「あ、ひなちゃんたまちゃんやほー♪」 今泣いたカラスがもう笑う、みたいな変わり身の早さ。 「あ、こんにちは。」 「こんにちはー!」 この桐乃さんはルリ姉のオタク友達、兼ケンカ友達。 超カッコイイ、凄い可愛いビッチさんで・・子供だいすき。 そりゃあもう、ねぇ、だいすき過ぎてお風呂で裸で追っかけてくるくらい・・orz でもマジすげーオシャレさんだし現役モデルさんだし、ひそかにあたしの目標としてるヒトなんだ。 で、またソッコーで顔色変えて、京介くんに無言で「ちょっと来いや」サイン。相変わらず尻の下だなぁ。 「ナぁに黒猫が来たからって鼻の下延ばしていちゃついてんのよ!」げしっ! 実の兄さんなのに人前で平気でローキックかますのも、この二人には自然なことらしい。 「いッテェ!手前ぇそれ固いクツだろうが!」 「うるさいわよこの無能!無駄飯食い!グズッ! さっさとメルルキーホルダーのシークレットでも掴んできなさいよ!」 あー納得した。そいや広告に書いてあったっけ。 【メルルガチャカプセルつかみ取り!】って。 よくあるタイアップとかいうやつ? で、メルル大好きな桐乃さんは鵜飼いの鵜を連れて参上したっと。 しかしつかみ取りまでバイキングに並べるってさすがに無茶じゃね? いっぽうルリ姉は 「そこを退かぬか有象無象がッ!」 とか 「魔魂傀儡掌!傀儡どもよそこをどきなさい!」 とか・・無駄なあがきをやってる。 要するに戦果ゼロ。 今日は食べ放題限定だから、フツーのメニューも頼めない。 「・・で、何やってんのお前?」 そんな色んな意味で可哀相なルリ姉に京介くんが話し掛ける。 「・・見ての通りよ。醜悪な豚どもに阻まれてバイキングに近づくことも出来ないわ」 ふぅっ、とため息をつく京介くん。 「お前、ほんと相変わらずだよな、甘え下手なところは。」 はっしとルリ姉の手をとる京介くん・・ちょっとちょっと? 公衆の面前でラブシーンはまずいんでない!? 「・・な、何をするの?」 違った。京介くんはルリ姉の手から、からっぽのバイキング用バスケットをするりと取り上げ、 「どうせまだ全然食べてねーんだろ、チキン。任せろや。」 それだけ言うと、くるりと背を向けて食の戦場、[ピザ]ゾーンに向かう京介くん。 かっ ・・かかっ、 か、かっこいいぃッ!!・・くっはぁあああ!! これだよコレ!そりゃルリ姉惚れちゃうよもぉ! 「・・オラァ!!どけや豚どもが!」 「き、貴様新参でごわすか!」 「渡さん、このチキンは誰にも渡さんぞぉ!」 「黒猫が腹ァ空かして待ってんだ・・どけってのが聞こえねぇのか[ピザ]ゥ!」 タックル、体当たり、手や足がギリギリ出ないくらいの猛チャージで あっという間に[ピザ]ゾーンに切り込んでいった京介くん。 ルリ姉はただおろおろして京介くんを見守っている。 「また始めたよアイツ・・」 「のわぁ!・・っていつの間に相席にしたの桐乃サン!?」 そしていつの間にたまちゃんを膝の上にだっこ!? 「へ?さっきから。」 「ていうか気配も物音もなかったよね!?」 「たまちゃん♪お兄ちゃんの応援に行こうか♪」クンカクンカ 「華麗にスルー!」 しかもドサマギにたまちゃんをクンクンしてる! 「はい♪おうえんするです♪」 ひょいっと珠希を肩車して[ピザ]ゾーンに近づく桐乃さん。 「わぁいおーえんおーえん♪」 「ゴルァあんた責任重大よ!たまちゃんひなちゃんがチキン食べられなくて 泣いたりトラウマになったりしたらアンタの責任だからね!」 桐乃さんそれ応援ちがう!プレッシャーや! 「よし兄貴!十分なチキンを確保したら次はガチャね!メルル必ず取ってよ!」 「わぁいめるるめるるー♪」 桐乃さんと肩車合体して身長約2メートル、まさに司令塔。 「あー、兄貴!もっと右!そー!見えるでしょそのシークレットメルルたん!!」 「馬鹿ッ!スカタン!ほんっと使えないわねッ!あーそっちよそっちよあと30センチ右!20センチ奥!掴んで掴んで!」 「最低ノルマ6つね!あたしと日向ちゃんたまちゃん全部で三つ!」 「お兄ちゃんがんばれがんばれー♪」 完全にクレーンゲーム機扱いされる京介くん。 ~~~で~~~ 約10分後・・。 あたしたちはバスケットにテンコ盛りのチキンと京介くんを囲んでいた。 ・・ボロボロで疲労困憊の。 「・・あの、ほ、・・本当に・・ありがとう」 「・・ああ。」 京介くん、返事をするのがやっとみたいだ。 「いーのいーの気にしなくて!はい♪たまちゃんあーん♪」 「はい♪あーん♪」ハムハム 桐乃さんはさっきから何回もたまちゃんにこの調子。 「ひなちゃん、おいしい?たくさん食べてね♪」チラッチラッ 「あ、はいおいしいです、ありがとうございます」 ・・やんないからね。あたしは流石にあーん♪ とかやんないからね。五年生にもなって。 「あ、たまちゃんお口にケチャップ付いてましゅよー♪」フキフキ ルリ姉がすっごい監視の目を向けている。 このヒト、見てなかったらケチャップをペロペロとか・・しないよね、たぶん。ははは・・ 桐乃さん、ごくごくナチュラルにあたしと珠希を左右に座らせといて 「ムッハー!なんて素敵なハーレムルート!」 とかよく分からない事を言っている。 意味は分からないけどダメな感じしかしない。 ルリ姉はルリ姉で、 「ふむ・・やはりスパイスの使い方にコツが・・」 「少し脂がきついのは改善の余地が見込めるわね・・」 とかブツブツ言っている。 コレ、ルリ姉の超家庭スキル。 たいがいの外食メニューだったら、さらりとレシピを見抜いて へたすりゃ本家より美味いごちそうを作っちゃう。 京介くん、このヒトお嫁にどうっスか!? 「・・本当に、き、今日は・・助かったわ・・。」 「あー、大丈夫だって。黒猫が泣きそうで見てられなかっただけだよ」 「・・な、な!泣きそうなんかじゃなかったわ!」 必死に否定するルリ姉。エーホントにーww?(誤植編っぽく) 「ルリ姉、このくらいなら多分作っちゃうよね?今度京介くん招待したら?」 助け舟を出す、ていうか助け舟で煽ってみる。 「へえ!でも黒猫ならやれそうだよな。」 「・・そんなこと・・。じ、自信はない・・わ・・。で、でも。」 目をそらしても、顔に自信満々って書いてあるよー♪ やおらガタッと立ち上がり、 手をのばして指を反らした[ルリ姉キメポーズ]をとると、 「・・あ、あまり味に過度な期待しないで頂けるなら、 ご、極上なる味わいのものを提供する絶対的な自信が 必ずしもないことはないわ」 ドヤ顔でどっちだかよくわからない口上をのべるルリ姉が可笑しくて、 「・・ぷっ!」ボコッ あたしはうっかりミルクシェイクのストローをくわえたまま噴いてしまう。 びゅるっ! ストローから白いミルクが逆流して、あたしの顔に命中。 「やーん・・顔にかかっちゃったよー・・」 「え、え、えーくせれーんと!」ぷしゃっ なぜこのとき桐乃さんが鼻血だして発狂したのか・・ ルリ姉や京介くんまで真っ赤になってしまったのか、 ルリ姉になんかい聞いても、ついに教えてくれなかった。 【おわり】

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