358 名前:X& ◆EODlYtIP4E 投稿日:2010/12/24(金) 01:18:04.94 ID:i/KcYSEo [2/4]
きりりん@X'masメルル特番は19:30から(*^ー゚)b ネッ!!:えっ!アイツまだ誘ってないの?何やってんのよあのバカ!
†千葉の堕天聖黒猫†:……私に聞かないで頂戴
き:でもクリスマスだよクリスマス!彼女誘わないでどうしろっつーの!!
黒:大方、私達でパーティーをやると思い込んでいるのではないかしら
沙織(管理人):申し訳ありません。本当はそのつもりだったのですけど、予定がどうしても……。・゚・(ノД`)・゚・。
黒:貴女のせいじゃないのだから、気にしないで?
き:そうそう!甲斐性なしのあのバカのせいなんだから!だいたいそんなの確認しろっての!ヽ(`Д´)ノ
沙:ま、まあどちらにせよ、冬コミの後に忘年会を兼ねて計画はしていますから……
黒:そうね……
き:チッ!そんなの遅すぎじゃん!もうあたし黙ってらんない!!
黒:あ、ちょっと!!
****
ドタタタタ!バン!
桐乃がいつもの事ながらノックもせず俺の部屋に走りこんできた。もう注意するのも疲れちまったがな。
入ってくるなり腕を組んで仁王立ち。なんか怒ってるみたいだが、俺なんかしたっけか?
「ちょっとあんた!どういうつもり!!」
「は?何がだよ?」
「黒いののことよ!なんでクリスマスにまだ誘ってないわけ?」
はい?俺はまたてっきりいつもの4人でパーティーでもやるのかと思っていたんだが……
しかし妹のこの様子、どうやら違ったらしいな。
「え、沙織がなんかやるんだと思ってたんだけど……無いんすかね?」
「それ以前に確認しろっての!アンタ何ズボラかましてるワケ?!」
あ、そ、そうっすね。確かにそれは俺が悪いな。
「悪い……じゃあ電話するわ」
「もう!手間掛けさせないでよね!!」
ご立腹の妹様の剣幕に内心ビビリながらも、俺は携帯を手に取った。
Trrrr!Trrrr!
『……はい。何かしら?』
「おう、夜分遅く悪い。今いいか?」
『ええ、大丈夫だけれど』
「そっか。あのさ、クリスマスなんだけど」
『……っ………………ク、クリスマスなら、もう予定を入れてしまったわ』
「えっ……」
『御免なさい。でも断りきれなくて……』
「そ、そっすか……ははは、じゃ、じゃあしょうがないよな……じゃあいいや。またな?」
『え、ええ……お休みなさい』
Pi!
359 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします 投稿日:2010/12/24(金) 01:18:44.28 ID:i/KcYSEo [3/4]
多分情けない顔をしていたんだろう。俺が桐乃の方に向き直ると、桐乃は唖然とした様子で暫く呆けていたが、
やがて先にも増してヒートアップしたようだった。
「ちょ、ちょっと、ナニソレ?アンタもアンタなら、アイツもアイツよ。あ、あのクソ猫……!!!」
そう言うと、来たときと同じように大きい音を立てながら自室へと戻っていった。
はぁ……
****
「ちょっと!このバカ猫!アンタ何考えてるワケ!嘘つくんじゃないっつーの!」
『う、嘘じゃないわ?妹達とクリスマスする約束になっているのよ』
「そんなのちょっとケーキ食べて終わりじゃん!アンタ何?兄貴とクリスマス過ごすの嫌なワケ?!」
『そ、そんなことは言ってないじゃないの……』
「じゃあなんで断わんのよ!」
『………………だって、貴女が先輩に話したから電話してきたのでしょう?』
「それが何?」
『………それじゃ嬉しくない』
「はぁ?!アンタ何贅沢言っちゃってんの!あのバカにはちゃんと言ってやんないと気付きもしないじゃん?」
『それでも……自分で気付いて欲しかったの……』
「チッ……あーあ、めんどいったら!じゃあアンタ、あ……あ、あたしがあいつとクリスマス過ごしても、
怒らないよね?」
『………………………………………………好きにすればいいじゃないの』
Pi!
「あ………………ったく!めんどくさいヤツ!大体、あたしがなんでこんなに気を揉まなくちゃいけないワケ?
もう知らないっつの」
……………
…………
………
……
…
「あ、もしもし、ちょっと頼みがあるんだけどさ……?」
417 名前:Are you enjoying the time of eve? 投稿日:2010/12/25(土) 01:05:43.19 ID:ZN5AloAo [2/7]
23日。俺は一人で渋谷まで出ていた。
沙織に聞いたところ、冬コミの打ち上げでクリスマス兼忘年会のパーティーをするらしい。ま、まあ何も
無いよりはマシ……だよな?
そんなわけで、プレゼントを買いに出てきたって訳だ。
渋谷なのは、去年のクリスマスに桐乃のお供で出てきたときに入った109を思い出したからだ。
彼女に渡すプレゼントだし、やっぱ流石に地元のデパートって訳にもいかないだろ?
「う……やっぱり一人で入るのはキツイなここ」
渋谷系の女の子がひしめき合い、たまに男を見かけても明らかにカップルって場所だ。前回は桐乃と一緒に
来てたにも関わらず肩身の狭い思いをしたっけ。
しかし来てしまったものは仕方が無い。さっさと目的を達して脱出するか。
前回と同じく地下2Fへと降り、桐乃が欲しがったアクセサリーの置いてある店に直行した。妹様のセンスに
かなう店だから、ここのなら黒猫も喜んでくれるだろう。……多少安くてもさ。
と言ってもいざ選ぶとなるとこれが結構難しい。どんなのなら喜ぶだろうなあいつは。
……と、色々とアクセサリーを眺めていると、俺の肩を叩くやつがいた。
誰だ?訝しげに振り返り、
「……お、お前?!」
****
コンコン。俺は桐乃の部屋をノックした。部屋の薄い壁を通して隣からメルルらしきTVの音がしていたから、
今ならいいだろう。
ゆっくりとドアが開き、俺の顔を認めた桐乃はちょっと嬉しそうな顔をした気がしたが、すぐそっぽを向いて
しまった。
「な、なに?今いいところなんだけど?」
「すまん、あんま時間は取らせないからよ」
そう言って俺は持っていた包みを見せる。それを見て、桐乃は驚いたあと、得心のいった顔をした。
「これ、サンキューな?」
「……あいつから連絡無いなと思ってたら、やっぱそういうことだったわけね」
****
「……お、お前?!」
「お久しぶり、京介くん」
109で俺の肩を叩いたのは、以前桐乃の偽彼氏として登場した男版桐乃のキモオタ、御鏡光輝だった。
418 名前:Are you enjoying the time of eve? 投稿日:2010/12/25(土) 01:06:13.77 ID:ZN5AloAo [3/7]
「こんなところで何をしてるんです?」
「え、あ、い、いや」
別に悪いことをしていたわけでも無いのについ不審な態度を取ってしまう俺。ここは慣れて無いんだよ!
「お、お前こそ何してるんだよ?」
「僕は兄の手伝いですよ」
そう言って御鏡は少し離れた一角を指差した。あ、「エタナー」の店舗がある。全然気付かなかった!
「たまたま京介くんを見かけたので、声を掛けてみたんですけどね」
「そ、そうか……」
や、やべぇ、すげぇ気まずい……こんな場違いなところで知り合いに出くわすなんて。
俺はつい焦って、そそくさと退散しようとした。
「あ、それじゃまたな?」
「ちょっとちょっと、何処へ行くんです?」
「え、いや、ちょっと向こうへ」
「そんなに慌てて逃げなくてもいいじゃないですか」
「逃げてねぇよ!」
説得力の無い俺の発言を華麗にスルーして、御鏡はにこにことしながら俺の手を引いた。
「僕の方は少し用事があるんです。ちょっとこちらへ来て貰いたいんですけど」
「エタナー」に連れて行かれた俺の前に、小さな包みが出された。
「いやあ、丁度いいところで京介くんに会えましたね。これ、持って帰ってください」
「なにこれ?」
「桐乃さんからご注文のあった品ですよ」
桐乃の?包みを手に取ってみるが、ほとんど重さは感じなかった。
「本来でしたら桐乃さんに直接お渡しするところなんですが、京介くんなら同じことだと思いますので」
「え?どういう意味だよ?」
「……お話は伺ってますよ。彼女さんと喧嘩してるそうじゃないですか」
え、喧嘩?俺と黒猫が?
「喧嘩なんかしてないが……」
「そうですか?そう聞いたので……それで、桐乃さんがそれを作ってやってくれと」
「はぁ……なんなのこれ?」
「勿論アクセサリーですよ」
419 名前:Are you enjoying the time of eve? 投稿日:2010/12/25(土) 01:06:47.74 ID:ZN5AloAo [4/7]
アクセサリー?桐乃が?俺に?
「ちょっと怒ってらっしゃったので正確には僕にも良く判らないんですが、桐乃さんが心配されていましたよ」
「え……?」
心配……俺と黒猫のことでってことか?
喧嘩をした覚えはなかったが、今の話とその前のいきさつを総合すると……。
俺はここに至ってやっと状況を把握した。黒猫、怒ってあんなこと言ったのか……。
「良く判らないですが、お分かりになられたようですね?」
「ああ、悪い。手間取らせちまったみたいだな」
「いえいえ、お気になさらず」
「あ、それじゃ金払うよ。いくら?」
「んー、別に。差し上げるつもりだったんですがね」
え?おいおい、お前それは太っ腹なんてもんじゃないだろ。
「まあ、京介くんには先日の騒動の借りもありますしね」
「ええ?でもそれとこれとは別だろ流石に」
そういうと御鏡は、んーと指を顎に当ててなにやら考えていたが、
「じゃあ、500円だけいただいておきましょうか?」
「は、はぁ?それ安すぎねぇ?」
「いやいや、実はそれ今度の冬コミに出店するアクセの材料を流用しているので、実はそんなに高くないんですよ。
冬コミでは前回同様500円で出す予定だったので、それ以上は逆に貰えないんです」
それにしたってブランドとかなんとかあるだろう、と言おうとしたが、御鏡が「さあ、どうします?」といった
表情でにこにこしているのを見て、俺もそれ以上は言う気が失せちまった。
仕方なく俺は、肩をすくめて降参したって訳だ。こいつと、桐乃にさ。
****
「それで?どうするワケ?」
桐乃が問う。俺は迷うこと無く答えた。
「今から行ってくるわ」
「そ?」
時間も夜9時を少し過ぎた辺りだ。まだ黒猫も起きてるだろうさ。
420 名前:Are you enjoying the time of eve? 投稿日:2010/12/25(土) 01:07:23.73 ID:ZN5AloAo [5/7]
「それで、なんだけど」
「なに?まだなんかあるワケ?」
桐乃が不機嫌そうに返してくる。こいつもTVの続きが見たいんだろう。用事だけ済ませて行くとするか。
「これ……メリークリスマス」
「……え?」
桐乃にもうひとつ持っていた包みを手渡した。
「あ、アンタこれ?!」
「まあ、礼も込みでな?」
桐乃は包みを慌てて開ける。そこには、以前桐乃が俺に買わせようとした、シルバーアクセサリーのセットの
ケースが入っていた。ま、サプライズプレゼントってやつだ。
桐乃は俺の顔とアクセサリーを交互に見返していて、その顔は赤く、そしてちょっとだけ、嬉しそうだった。
「い、いいの?」
「一度やったもんはお前のもん、だろ?」
「……あ、アリガト」
珍しく素直に礼を言われて、ちょっと俺が驚いていると、ハッとした桐乃は慌てて部屋の中に引っ込み、乱暴にドアを閉めた。
そして、黒猫の家の前。
そこに着くと、何故か黒猫が家の前に出ていた。
「お前、そこで何やってんの?」
「……べ、別に、何でもないわ」
そういって黒猫はそっぽを向く。部屋着らしきジャージに身を包み、手には携帯を持っていた。
「電話か?」
「……あなたの妹とよ」
やれやれ、どうも今回ばかりは桐乃にやられっぱなしだな。
「それで、何の用かしら?ちなみに、クリスマスパーティーはもう終わってしまったけれど?」
「そうか?でも、サンタが来るにはまだ早い時間だろ?」
俺は手に持った包みを黒猫に差し出した。
それを、黒猫は両手で大事そうに受け取った。
421 名前:Are you enjoying the time of eve? 投稿日:2010/12/25(土) 01:07:50.04 ID:ZN5AloAo [6/7]
「悪かったな黒猫。全然何にも考えて無くてさ」
「……それはある程度諦めているわ」
辛辣なのはいつもどおりだったが、表情は柔らかく、喜んでくれているようだった。
「私こそごめんなさい。あの時はつい……」
「いやー、正直あの時はこの世の終わりみたいに落ち込んじまったよ」
「……ふん」
仕返ししてやると頬を膨らませる黒猫。う、ちょっと可愛いぞ。
「開けてもいいかしら?」
「ああ」
黒猫は丁寧に包みを開け始める。そこから出てきたのは……
「猫……」
それは2匹の猫が寄り添う意匠の付いたシルバーネックレスだった。
つか、俺も今初めてみたんだけどな。
黒猫はそれを首に掛けた。胸元を飾るそれは、家の明かりと月明かりとどちらのものか判らなかったが、光を
受けてきらりと輝いたように見えた。
「似合ってるな」
「……ありがとう」
少しはにかみながらも、幸せそうに微笑む黒猫。
桐乃のチョイスなんだが、それは黙っておくことにしよう。
「ま、まあ、それだけだから。寒いから早く戻れよ?」
笑顔に俺も少し照れて、慌てて踵を返そうとする。
その手を黒猫はしっかりと両手で握ってきた。
「渡しっぱなしで帰らないで頂戴。ずるい雄ね」
「え?」
黒猫はくいっと俺の手を引いた。
思わず引き寄せられた俺の顔を真っ直ぐに捉えて、黒猫は赤くしながらも、その顔を近づけた。
chu!
最終更新:2010年12月27日 04:39