無題:5スレ目518


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518 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/27(月) 19:21:26.13 ID:AmX9xOEo
 ガタッ!……ゴソゴソゴソ……

 真夜中。熟睡中だった俺は、物音と人の気配を感じて目を覚ました。

(ん?……なんだ?……桐乃?)

 枕元の携帯を掴んで開く。瞬間、眩しさに戸惑いながらも時間を見る。
 そして、携帯の光を左側にかざした。

 そこには……大きな二つの瞳があった。眩しさに顔を顰めたあと、照れ隠しか、困ったような表情をして、

 ……………

 ………

 …

「うわああああああぁぁああああ!!!」

 思わず大声で叫んじまった!
 で、でもよ、しょうがないだろ?18にもなって「お化け怖い」とかはないけど、真っ暗闇で至近距離に
あり得ないものがあったらさ?

「ちょ、ちょっと、お兄さん!声が大きいでs」

 ドタタタタタ!
 バンッ!!

「ど、ど、どしたの兄貴?!」

 俺の叫び声を聞きつけて、パジャマ姿の桐乃が飛び込んできた。
 この時は俺もパニクっててそこまで思わなかったが、俺の叫びに反応してくれるとか、ちょっと嬉しいじゃないか。

 桐乃は壁を探ってスイッチを探し、迷わずそれを入れた。
 何度かの明滅後、光が部屋の中に充満し……闖入者の姿がはっきりとして、桐乃は呟いた。

「あ、あやせ……?」
「こ、こんばんは、桐乃……」


520 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/27(月) 19:22:02.82 ID:AmX9xOEo
 あやせは、頭だけを桐乃の方に向けている。身体はベッドに対して垂直に置いていて、形のいい尻が俺の机の方に
向けて突き出している。要するに、俺のベッドの下を探るような体勢だった。

「え、えっと……」

 桐乃は困惑しながらも俺、あやせ、窓と視線をやった。窓は開け放れていて、そこから入ってくる風でカーテンが
揺れている。そこをじぃっと眺めた後、

「あやせ、アンタ、なにしてんのそこで?」

 と、至極真っ当な疑問を口にした。
 だが、その声を聞いて俺はビクリとした。それは、いつもあやせ達「表」の友達と電話しているときのような甘ったるい、
媚すら感じられるようなものでは全くなくて、冷然とした詰問の声色だったからだ。

「え、お、おい桐n「アンタは黙ってて」

 桐乃の目は完全に据わっている。不機嫌なんてもんじゃなく、俺を見下す時のゴミを見るような目ですらなく、本気で
敵を見据えるような、そんな怒りの視線をあやせにぶつけていた。

「え、あの、桐乃?そ、そのね?」
「その?ナニ?」
「その……あのね、そ、そう!ちょっと忘れ物を」

 あやせらしくない誤魔化しの台詞だったが、皆まで言わせず桐乃がぶった切った。

「アンタ、この期に及んで嘘とか誤魔化しとか効くと思ってないよね?」
「う……」
「あやせ、いつもあたしがちょっとでも嘘つくとすごい剣幕で怒るじゃん?それで自分はソレ?チョーシのんな!」

 さらに怒りのボルテージをあげる桐乃。あやせにずんずんと近づくと、左腕を掴んであやせをベッドの下から
引きずり出した。

「とりあえず、兄貴から離れて!!」
「あっ!」

 引っ張り出され、机の方へ投げ出されてあやせは尻餅をついた。桐乃は俺とあやせを遮るように仁王立ちして、
組んだ腕の上で指を苛立たしげに動かす。
 この一連の流れの中で、俺はほとんど何も出来ないまま眺めているしかなかった。何より、まだ起き抜けで
思考が定まってなかったってのが大きかったんだけどな。


537 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/27(月) 21:47:43.04 ID:QXpXKlEo
「で?ナニ?」

 き、桐乃さんマジ怖いっす。俺に背を向けているため表情こそ見えないが、怒りのオーラが立ち込めて触ると
火傷してしまいそうな。
 ま、まあこいつも寝てただろうに。突然の悲鳴で飛んできたら親友がいるとか、そりゃ怒るのも無理は無いとは
思うんだが。それにどうみても泥棒なあやせの行動には、弁護の余地も無いわけでな……。

「その……」

 あやせは桐乃の剣幕に、いつもの俺に対する調子ではなく完全にビビっちまってるしな。しかしこいつ、何を
していたんだ?少なくとも忘れ物はありえんし。つーかあやせって俺の部屋に入った事無いだろ。

「ぷ、プリクラを探してて……」
「ぷり?」「くら?」

 そして搾り出したあやせからの言葉に、俺と桐乃はきょとんとしてしまった。思わずお互いの顔を見る俺たち。

「そう……桐乃とお兄さんの写ってるプリクラ……昨日、桐乃が見せてくれたあれ」
「はぁ?……そんなの探してどうすんの?」

 つーかあれ見せたのか桐乃?!恥ずかしすぎてしにそうっすよ俺!

「あ、あんなの……」

 あやせはそこでふつふつと怒りが沸いてきたみたいに、ついに大声でまくしたてた。

「あ、あんな破廉恥なもの!なんで撮ったの桐乃?!お、お兄さんもお兄さんですっ!前に警告しましたよね?
あんなの、あんなもの、絶対に許せません!だから、わたしが回収して焼き捨てようと思って……!」

 ま、まあその意見に同意できる部分はかなりあるんだが、と思ったところで桐乃がばっさり切り捨てた。

「そんなのアンタに関係あるの?」
「そ、そんな……わ、わたし、桐乃のこと、心配して」
「そんなん余計なお世話だっつーの!アンタあたしのお母さんのつもり?!それで夜中に人ん家に忍び込んで、
しかもよりによってこいつの部屋に、とか?フザケンナ!!!」

 な、なんかちょっと違和感が……怒りのベクトルが変じゃないっすかね桐乃さん?
 もしかして忍び込んだことじゃなくて俺の部屋にいることが気に食わないのかこいつ?

「そんなに欲しいんだったらあげる。ホラっ」

 桐乃はパジャマのポケットからプリクラの切れっ端を取り出し、あやせの前に投げた。
 えっと……なんでそこに?それ突っ込んじゃダメかな?
 あやせは目の前に舞い落ちたプリクラをしっかと掴んだ。しかし、まだ不服の様子だ。

「ま、まだお兄さんの分があるはず」
「アンタいい加減にしてよね。つーかさぁ、ここ警察官の家なんですケド。ウチのお父さんにアンタの言い分聞いて
もらう?友達と思ってつけあがんないで」
「うっ……」


538 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/27(月) 21:48:14.33 ID:QXpXKlEo
「もういいでしょ、いいよね?じゃあ早く出てってくんない?」

 そう言って窓を指差す桐乃。入ってきたところから出ろってか?鬼かお前。と思ったが桐乃の剣幕に俺も
何も言えず黙りこくったままだった。俺情けねえ!
 あやせも、これ以上はまずいと悟ったか、渋々窓枠に手を掛けた。つーか本当にそこから来たんだなお前!
 お休みと言って窓の外に出て行くあやせ。桐乃はそれに何も答えず、あやせが敷地の外へ出て行ったことだけ
確認すると、乱暴に窓を閉めてロックした。

 ふぅ……なんだか良く判らない泥棒騒ぎがやっと一段落した。
 桐乃は、こちらを振り返るとガバッと身を寄せてきて言った。

「あ、アンタ……大丈夫?何もされてない?」
「え?あ、ああ」

 そう言われて俺も気がついた。あれがあやせだから良かったが、いや、余計良くない気がするのはおいといてだ。
本当の泥棒とか、もしくは強盗の類だったら……それに思い至って身震いしてきた!
 そこに。

 ファサッ……

 桐乃が俺の身を腕で包んできた。それは優しく、やがてぎゅっと締め付けるように力を込めて。

「良かったぁ……心配させないでよね……バカ」
「わ、わりぃ……」

 そんなに心配してくれたのか……ちょっと感動だ。
 だが、悪いついでに、お前の胸が俺の顔に当たってるんですけど……雰囲気的にそう言い出せず、暫く時間が流れた後
桐乃は我に返ったのかバッと身を離して、ベッドの端まで後ずさった。
 照れ隠しか、顔を真っ赤にしながら窓を指差す。

「つ、つ、つ、つーかアンタ、寝るなら窓くらい閉めてよ。無用心じゃん」
「そうは言うけど、俺の部屋クーラーないからよ。暑くて寝付けないんだよな」

 この家でクーラー無いの俺の部屋だけなんだよな。長男に対するこの冷遇っぷり、涙が出てくるね。
 それに対して、桐乃がトンデモ提案をしてきた。

「じゃ、じゃあさ、あ、あたしの部屋で寝てよ」
「はぁ?いやいやいや、そんなことできるわけ無いだろ」
「なんで?クーラー効いてるよ?」
「そういう問題じゃないだろ!つーかそうだとしても、それじゃあ毎日お前の部屋で寝るのかよ」
「あ、そっか……」

 しかし桐乃はうーんと唸っては見せたが、引くつもりが無いようで、

「で、でもさ、どっちにしても、今日は来てよ。そうじゃないとあたしも安心出来ないし」
「え、あ、お、おい」

 という具合に俺を引っ張って自室に連行していった。


539 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/27(月) 21:50:37.98 ID:QXpXKlEo
 そして俺が見たものは、桐乃の机の上のPCに写る、エロシーンのCGだった……!

「お、お前なぁ……」

 これやってて起きてたから悲鳴にすっ飛んできたのか!俺の感動を返せこのやろう!!

「あ、こ、これはっ!あと1枚でコンプだったからつい!」

 慌てて俺の目からPCを隠そうとする桐乃。ま、まあいいけど。来てくれたことには代わりないしな。
 そして俺の手を引いて、ベッドの奥(窓側)に追いやってくる。床で寝るんじゃないのか?
 桐乃は椅子に座ると、視線を彷徨わせながら指示してくる。

「流石に一緒に寝たら暑いからさ、先に寝ちゃって?あたし、これだけ終わらせちゃうから」

 でもこれだと結局桐乃と一緒に寝る……ってことだよなぁ。俺の理性大丈夫か?
 と思っていると、俺の横にぼすっと何かを投げてよこした。

「これは?」
「抱き枕。めるちゃん可愛いーっしょ?」
「それは言われなくても判るんだが……これを抱けと?」
「キモ!あ、アンタナニ勘違いしてんの?!キモ!これは境界線だから!」

 そう言って、俺の横に真っ直ぐになるように抱き枕を並べ、俺とまとめてタオルケットをかぶせてきた。
 そして、空いた空間を指差し、顔を真っ赤にしながら宣言する。

「こっからはあたしの寝るとこだから!ただでさえ狭いんだから、こっち来ないでよね?!」
「いや、だったら床で寝るって」
「あたしが呼んどいて床で寝かせられるわけないじゃん!いいから黙って寝る!」

 そう言ってタオルケットを頭までかぶせようとする。おい、いくらクーラー効いてるってもそれだと暑いんだが!
 桐乃が照明を落としている隙に顔だけはなんとか確保した。ぷはーっ。

「おやすみ、兄貴」

 寝られるかっつーの!と、思ったが、桐乃のらしきいい匂いと、クーラーで保たれた室温、さっきまで熟睡していた
こと、それに何よりそこに人がいてくれる安心感からだろうな、ほどなくして俺は深い眠りに落ちていった……

 そして朝。なんか妙に寒くて、俺はゆっくりと目を開けた。

「くちゅんっ……」

 なんか胸元の辺りから声がした気がしてそちらに視線を動かすと、そこには桐乃が寒そうに俺に身を寄せていた!
 だ、抱き枕は?? 見ると、それは元あった机の脇にもたれかけられていた。
 こ、こいつ……。クーラーも極限まで温度を下げてやがる。最初からこのつもりだったな!

「……むにゃ……」
「……ばーか、風邪引くぞ」

 後で起きた後どうなるかは目に見えていたが、たまにはいいだろ。
 俺は足元に蹴飛ばされていたタオルケットを引き上げ、腕枕がてらもう少ししっかりと桐乃を抱き寄せて、その
いい匂いを感じながら二度寝することにしたってわけだ。


540 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/27(月) 21:51:03.65 ID:QXpXKlEo
 追記

『お兄さん、この間は大変失礼しました』

 あやせから詫びの電話が掛かってきた。なんでも、学校で桐乃にこってり絞られたらしく、別口で加奈子に聞いたんだが
あのあやせが半泣きだったらしい。自業自得だが、まあ桐乃の方で済んでるんならもういいだろ。

「ああ、でも2度とはごめんだぜ?」
『はい……』
「じゃあもう俺は忘れるから」
『ありがとうございます……それはそれとして』
「ん?なんだよ?」
『桐乃がなんか最近妙に機嫌がいいんですが……何かありました?』
「さ、さあ……」

 プリクラどころじゃないことになったってことは、あやせには黙っておいたほうがよさそうだな……。



 終わり
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