無題:5スレ目572
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のつづき
629 名前:585[sage] 投稿日:2010/12/28(火) 22:38:09.47 ID:9wzCRoAO
それからどんどこしょ
今年も残すところ僅か。もう大掃除もしないと。
などと勉強に身の入らない合間で考えていると、階下で呼び鈴が鳴る。
どうやら今日もアイツが…加奈子がやって来たらしい。
律儀に連日見舞いに通う必要はないと言い含めたつもりだが
なかなかどうして、義理堅いやつなのだった。
「来てやった。調子はどうよ?」
「どうって言ってもな。昨日今日で完治したり、逆に急に悪化したりはないさ」
経過良好ではある。例えば食事時なんかも不自由しない。すこし違和感はあるが
「折角の見舞いだ、有難く思うけどな。そんな大事じゃないんだぞ」
実際親だってケガの程度が知れたら、せいぜい無理するな云々で済ませたくらいだ。
あれは泣いてもよかったよね、俺
そういや桐乃だけが意外と親身に気を遣ってくれていた。
またゲームの影響か何かで甲斐甲斐しい妹像に入れ込んでるんだろうか
とにかく、そう足しげく通ってまで俺の顔を見ないと落ち着かんのかと。軽い揶揄を投げかけるものの
「……悪いかよ」
とまぁ、ご執心な加奈子なのだった。
借りを作ったと思ってるらしい。だから返さないと気がすまないってか。
630 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/28(火) 22:39:22.63 ID:9wzCRoAO
「糞マネがさぁ」
一瞬間を置いて
「アンタが、不便してたり、変に塞ぎ込んでたりしたら悪いし…」
心配性なやつめ。俺からすれば、お前のが気に病みすぎて具合悪くしないか気になるっての。
「しかしあれだ。こうしてバレたから話せる。知っての通り俺は曲がりなりにも受験生の身でな」
だからケガのことを別にしても加奈子のマネージャー稼業を続けるには無理があるんだな。
稼業ってか、ギャランティのやり取りがあったでもなし、単なるごっこの延長とも言うが。
その点がどうも加奈子には納得しがたいようで、
「正規のが無理ってのはわかった。いくらアタシでも受験の邪魔して落第でもされたら寝覚めよくないかんね」
でもさー、と続けながら、いつの間にか持ってきていた果物を乗せた盆を差し出す。
俺、病人じゃないんですけど?
っていうかそれ見舞いの持ち込みでなくて下のリビングから持ってきたろ。
侮りがたい子……と思い知りつつ、蜜柑をひとつ手に取ってみる。
ほんの数日でやけに馴染んでるなぁコイツ。ただ、不思議とそこに抵抗感は無かった。
631 名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/28(火) 22:40:20.45 ID:9wzCRoAO
「でもさー、マネジは別のに引き継ぐにしても、加奈子としちゃアンタみたいな…何ちゅーのかな…
ずけずけ物言うような、気心の知れた?やつが居てくれねーとやりづらくなりそうだし」
つまり加奈子の言わんとしてるのは、時々でいいから今後も愚痴や相談相手として協力してくれと。
そんなニュアンスみたいだった。
頼むとか、お願いとか、口には出来ないのがコイツらしくて。思わず苦笑を漏らす。
「いいぜ。それくらいなら」
「マジに?」
「何時でも、とは約束できないけどな。それだけ頼りにされて断ったら男が廃るってもんだ」
正直まんざらでもない自分がいる。
こないだまで結構辛口で諌めるように接してたから、もしか煙たがられてるかもと認識してたのに
それでもコイツは俺に居て欲しいと、そう言うんだ。偽とはいえマネージャー冥利につきる。
「…やっぱアンタって気前良いっていうか、痛い目みてまで加奈子に付き合ってくれんのは、なに?ロリコン?」
「馬鹿も休み休み言いやがれ」
チビジャリの頬をつねってやる。真似をした。
お互いに照れ隠しでやや乱暴なセリフを交わしたところで、加奈子がニヤリと笑って言う
「改めてヨロシクな、京介」
<終>
最終更新:2010年12月29日 00:02