無題:6スレ目304


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304 名前: ◆qPOxbu9P76[sage saga] 投稿日:2011/01/06(木) 21:35:58.67 ID:dJ.pVm6o [8/13]
「それで?あの子とはどうなの?」
「……絶賛喧嘩中だよ」

黒猫との事後(もちろん誤解だが)を桐乃に見られてからというもの、桐乃は俺とは口をきこうともしない。
あの時はいつもの癇癪みたいなもんだと思ってたんだが、事態は思ったよりも深刻だったみたいだ。

「いくら誤解だって言っても聞く耳もたねえんだもん、あいつ」

だから俺は作戦会議を開くべく、黒猫を駅前のスタバに呼び出したってわけさ。
沙織を呼ぶかどうかに関しては、迷ったんだが結局呼ばないことにした。
あいつっていつも忙しそうだし、なにより今回の喧嘩の原因が間抜けすぎる。

「いやぁ、桐乃に黒猫との事後(誤解)を見られたんだけどどうすればいいかな?」

なんて、口が裂けても言えるわけがねえ……。

「そもそも、おまえも来るなら来るって、俺に一言言っといてくれよ」

そうしといてくれれば、あのティッシュもちゃんと処理しといたものを……。

「……例のティッシュに関しては私の責任ではないと思うのだけれど」

ぐ……たしかに…………そうだけどよ。
ま、まぁ、いい。今はどうやってこの状況を打破するかだ。

「要は、どうやって妹と仲直りをするか、ということね。……シスコンだとは思っていたけど、まさかこれほどとは思わなかったわ。あれから1週間しか経ってないじゃない」
「…………悪かったな」

自分でもこんなシスコンだとは思ってなかったよ!

「でだ、その方法なんだが……べたにプレゼントでいこうと思ってる」

――自分の想いを伝えるのに、カネやモノを使うのがあざといとか、違うとか、決めつけんなってこと。相手のことをよく考えて、やり方を選べばいいだけの話でしょ。
――だいたい――喧嘩するほど仲がいい男からもらったもんならさあ。それがなんだって嬉しくないわけないよ――

以前、桐乃自身が言った言葉だ。
俺が麻奈実と仲直りするにはどうすべきかを相談したとき、桐乃はそう言った。
だから、今回のケースでもそれは有効なんじゃないかと思うんだ。


305 名前: ◆qPOxbu9P76[sage saga] 投稿日:2011/01/06(木) 21:36:38.05 ID:dJ.pVm6o [9/13]
「それで私にプレゼント選びを手伝えと?……あまり言いたくはないけれど、こういうのってあなた自身が選ぶから意味があるのではないの?」
「わかってる。あくまで選ぶのは俺だよ。黒猫には俺の選んだ品が間違ってないか、それと着てみた感想を聞きたくてよ」
「着てみた感想?」
「おう。だからおまえを呼んだんだ」



そして俺達は秋葉原へとやってきた。

「……本当に着なくては駄目なの?」
「当たり前だ。コスプレイヤーとしての意見も聞きたいからな」

ここまでの会話でわかるやつはわかるだろう。
そう、俺は桐乃にメルルのコスプレ衣装をプレゼントするつもりなのだ。
沙織の家でコスプレした時は夜魔の女王のコスだったし、今回はあいつの大好きなメルルの衣装をプレゼントしてやろうと思いついたわけだ。
あいつ、あの時は異常にテンションあがってたし、コスプレ自体は好きだろうからな。
そして俺が覚えている限りだが、桐乃の部屋の押し入れの中には衣装っぽいものはなかったし、既に持ってるなんてこともないだろう。
ふっ、我ながら名案じゃないか。

「せ、先輩?」

そんなことを考えているうちに着替えが終わったようで、黒猫が更衣室から顔を出した。

「お、着替え終わったのか。どうだ?着てみた感想は」
「か、感想って……そんなの……言えるわけがないでしょう」

一体何をそんなにうろたえてるんだ?
っていうか感想言ってくれなきゃ、わざわざおまえに着てもらった意味がないぞ?
まぁ、感想が駄目なら俺が見て決めてもいいが。

「いえ……でもこれは…………」

依然として更衣室から出てこようとしない黒猫。
そういえば、沙織の家でアルファオメガのコスプレをしたときもやたらと恥ずかしがってたな。
あの時は、耳まで真っ赤にしてたっけ。

「出て来るのが恥ずかしいなら俺が中覗こうか?」

俺がそう尋ねると、しばらく黒猫は視線を宙にさまよわせていたが、やがてゆっくりと頷いた。
黒猫はカーテンの中へと顔をひっこめ、その代わりに俺がカーテンの隙間に顔を入れる。


306 名前: ◆qPOxbu9P76[sage saga] 投稿日:2011/01/06(木) 21:38:12.49 ID:dJ.pVm6o [10/13]
「ぼふぉあ!」

俺はカーテンの中の黒猫を見て思わず吹きだした。
わ、忘れてた……メルルの衣装ってほとんどヒモだった!
加奈子が着ているのを何度かこの目で見てたってのに、どうして忘れてたんだ!道理で黒猫が出てこれねえわけだよ!!
そして、さっきから店員がちらちらとこっちを見てたのもこのせいか!
そりゃそうだ、わざわざ女の子連れ込んでこんなヒモみたいな衣装に着替えさせるとか、俺どんだけ変態だよ!?

「ぐ……こ、これはやばい、いろいろとやばい」

こんなものプレゼントした日にゃ、俺は一生口をきいてもらえなくなる気さえするぞ。

……だが、変態認定されるのを恐れないのであれば、これ以上のプレゼントってないんじゃなかろうか。
っていうか、正直これ以上のプレゼントは思いつかない。
そうだよ……そもそも桐乃は『喧嘩するほど仲のいい男からなら何をもらってもうれしくないわけない』って言ってたじゃねえか。
そうか、そうだよな。そうと決まれば怖いものはない!待ってろよ桐乃!!
ふははは。

「…………先輩がドヤ顔になってる……これはもう何を言っても無駄ね」



家に帰ると都合よく両親は出掛けているようだった。
よしよし、ここまでは順調だ。
リビングに桐乃の姿をみとめ、声をかける

「桐乃、話を聞いてくれ」
「うっさい変態、近寄んなっての」
「だから何度も誤解だって言ってんだろ!?」
「誤解とか関係ない!一緒に寝てたのは事実じゃん!!」


307 名前: ◆qPOxbu9P76[sage saga] 投稿日:2011/01/06(木) 21:38:51.92 ID:dJ.pVm6o [11/13]
くっそ、これじゃ埒があかん。
あ~~~!なんっ……でこうなるかな!?
俺はぎりぎり下唇を噛みしめてから、思いきり眉間に皺をよせ――

「――ほ、ほら、これ!」

いっそ殴りつけるような勢いで、紙袋を付き出した。

「…………は?」

桐乃は、鼻面に突き付けられた紙袋をより目で見つめながら、素っ頓狂な声を出した。

「だ、だから!あげるってんだよ!おまえに!」
「はぁ!?意味わかんないんですけど!?」

ああああああ!察し悪いいいいいいいい!!

「プ、プレゼントだよ!おまえに!」
「……プレ……ゼント?あんたが?あたしに?」

桐乃は驚愕の表情で俺を見つめている。
以前、桐乃が俺にありがとうと言ってくれたときと、逆だけど――全く同じやりとり。
きっと、あの時の俺も同じような表情をしてたんだろうな。

「俺が悪かったよ。だから……きちんと説明させてくれ」



「あんたの言い分はわかった。一応そういうことにしといてあげる」

ふぅ……なんとか桐乃の誤解は解けたようだな。

「でもね、いくらなんでも自分の部屋に女連れ込んで、自分の部屋着に着替えさせてハァハァするとか変態すぎ!」
「ハァハァなんてしてねえよ!そもそも連れ込んだわけじゃねえから!」

……はっ!いかん、このままでは問題が再燃するだけだ。


308 名前: ◆qPOxbu9P76[sage saga] 投稿日:2011/01/06(木) 21:41:05.27 ID:dJ.pVm6o [12/13]
「き、桐乃!今はそれは横に置いておいて、それ開けてみてくれよ!」

そう、俺がわざわざ用意したプレゼントだ。こいつはきっと気に入ってくれる。
だけど、すぐには理解できなくて――

「……………………えっと…………なにこれ?」

こう来る。

「おまえメルル大好きだろ?コスプレにも興味あるみたいだし。是非着てみてくれ、きっと似合うと思うんだ」
「あんたってやつは…………っ!」

へへへ。あとは、突然笑い出した桐乃が俺に礼を言ってハッピーエンドだ。

「……こ、この変態!妹になってもんプレゼントしてんのよ!?」

あれ?

「ふざけんな!馬鹿!!」

そのままリビングを飛び出し、自分の部屋へと走って行ってしまう。

「あ、あれ?」

俺の予定だと、一緒に笑ってそのまま仲直り……のはずだったんだけどな………。

「……ぐすっ…………どこでしくじったんだろ?」



「えへへ、ちょっと着てみようかな。普段はどこに飾ろっかな~?あ、皺にはならないように気を付けなくちゃ」



おわり
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