無題:7スレ目157


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157 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[] 投稿日:2011/01/23(日) 08:25:34.25 ID:7SvVmAfV0 [5/8]
あの部活は運動部でもないのになんであんなに疲れるんだ?まぁ部長と瀬菜のせいだろうけど。
「ただいま……って……またか桐乃」
「………………おかえり」

最近、玄関を開けると階段よりも先に桐乃が視界に入ってくるようになった。それも警戒心剥き出し、というか目が凄い。世紀末の拳王のそれと酷似している。初めてそれを見た時は、そのあまりのオーラに思わず財布を差し出しそうになったが桐乃の『あんたから貰う程堕ちてないし。何ならあげようか?』という言葉に助けられた。……俺の兄としてのプライドはズタズタにされたが。ところで、桐乃が俺の帰りを待ち伏せしている理由は何なのかというと(俺への嫌がらせ、というなら答えは簡単なんだがそうじゃない)、
「…………今日はどこに行ってたの?」
これである。お前は過保護な母親か。因みに俺はこの台詞を母親から言われたことがない。桐乃が言われているのを見たことはあるが。泣きたい。
「朝も言っただろ?今日は部活だって」
そうなのだ。こいつは朝にも同じ問いをしてくる。その時に予定通りのことを答えているので結果は変わらない。そんなに記憶力が悪いのか?
「……ふーん。………………」
後半何か言っていたようだが、よく聞こえなかった。



「ただいま……って……またか桐乃」
「………………おかえり」
こないだ、ひよりん達から兄貴がス、ステキだという話を聞いてから兄貴の帰りを待ち伏せしている。ちょっとヤンデレっぽいし、嫌われたら元も子もないけど、やっぱり心配なのだ。あたしの知らない間に……彼女とかできてたら絶対嫌だし。もう少しだけでもあたしだけの兄貴でいて欲しい。せっかく仲良くなれたんだ。もう少しだけ夢を見ていたい。
「…………今日はどこに行ってたの?」
これを聞けば誰と居たか大体わかる。
「朝も言っただろ?今日は部活だって」
もちろん朝聞いたことも覚えている。それでも不安だから、もう一度聞く。大事なことだから二回ってやつだ。
「……ふーん。……部活ってことはあの黒いのと一緒かぁ。最近態度があからさまだし、最重要危険人物だよね。黒髪ロングだし。……どうしよう」
ああもう!あいつと同い年なら一緒に部活して牽制出来るのに!
「……じゃあ俺部屋行くな?」
「え?あ、うん。……いつもごめんね」
「お、おう」
これ、安心は出来るけど気分的にはプラスになんないなぁ。兄貴も迷惑してるみたいだし……明日からはもうやめよう。


「ふぅ~」
俺は何故かしおらしい桐乃に別れを告げ、部屋のベッドに寝転がった。
「それにしてもあいつどうしたんだ?こんな意味のわからないことして……何かあったのか……って」
俺は何でこんなに真剣にあいつのこと考えてるんだ?大嫌いなはずなのに。そりゃ確かにあいつの頼みで深夜のアキバにエロゲー買いに行って痛チャリで帰って来たり、辛い思いをしているであろうあいつのためにアメリカまで向かえに行ったこともあったけど。それとこれとは話が別だ。やめだやめだ。時間の無駄だ。……でもあいつのあんな姿見たことねぇな。あそこまでなったら心配するよな普通。普通の人でも心配するのに俺は血の繋がった兄だぞ?心配して当たり前、なんなら義務だ。様子のおかしい妹がいたら原因を探って解決する。それが兄の義務だ!そうだろう全世界の妹を持つ漢たちよ!
「というわけで……どうするか」
こういうときは……そうだ、俺より桐乃に詳しい奴に聞いてみよう。
「マイラブリーエンジェルにラブコールっと」
バン!!
ん?桐乃の部屋から物音が。何か落としたのか?
プルルル、プルルル、ピッ
「はいもしもし新垣です」
「あやせか?ちょっとはな――「ただいま留守にしております。御用のある方はピーという発信音の後に御用件をお伝えするとブチ殺されますよ?ピー」明らかにお前の声じゃねぇか!出ているだろう、電話に!ごまかされねぇぞ!」
「間違えました。御用のあるお兄さんはこのまま電話を続けるとブチ殺されます」
「俺限定に、しかも疑問から断定に変えやがったな!……あやせ、割りと真面目な話なんだよ」
「お兄さんがわたしに真面目な話というと、桐乃のことですか?」
「そうなんだよ。実は――
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――というわけなんだ」
「桐乃が最近妙にソワソワして、授業が終わるや否や誰よりも早く帰っていたのはそういうわけだったんですね」


158 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[] 投稿日:2011/01/23(日) 08:27:04.36 ID:7SvVmAfV0 [6/8]
「学校でもそんなんだったのか……。なにか心当たりはないか?桐乃がおかしくなったのは四日前からなんだが」
「四日前ですか?え~と……あっ。もしかしてアレかな?」
「わかったのか!?」
「でも……これを言ったらお兄さんがつけあがっちゃう……」
「おい!つけあがるって言ったか今!?俺は年上だぞ!」
「そうでしたっけ?」
「お兄さんって呼んでるじゃねぇか!」
「そういう名前かと」
「んなわけあるか!」
「ていうか、お兄さんって名前なんでしたっけ?」
「きょ・う・す・けだよ!高坂京介!初めて会った時に名乗っただろ!?」
「ああ、そうでした。着信拒否にする時に見たのを思い出しました」
「それは思い出すな!」
それは俺の中でもトップ5に入る嫌なことなんだぞ!人のトラウマを思い出させるなこの小悪魔め!
「じゃ、じゃあ次から忘れないようにお兄さんのことを……きょ、京介さんと呼びましょうか!?」
「ん~。いや、それはいいや。急に呼び名を変えられても困るし。これからもお兄さんと呼んでくれ」
「……あっそうですかわかりました。とにかくお・に・い・さ・んに言っても仕方がないことなのでいいません!自分でなんとかしてください!それじゃ!」
ブツ、ツー、ツー……
「うお!本当に切りやがった……。なんで最後怒ってたんだ?そういえば今日は言葉の棘が鋭かったし。機嫌でも悪かったのか?」
しかし結局何もわからなかったな。こうなったら……
「次は黒猫にでも聞いてみるか」



「は~。もう落ち着いたし、あたしも部屋に行こう」
今日は加奈ちゃんで泣こう……
「パソコンを起動してっと。ん?」
「…………………………」
兄貴の部屋からなんか聞こえる。でもよく聞こえない……。
そうだ!こういうときはベッドに座って壁に耳を……って!なにやってんのあたし!?
これは流石にまずいでしょ!?
「マイラブリーエンジェルにラブコールっと」
バン!!
マ、マイラブリーエンジェルぅ!?誰よそれ!?
あたしは思わず投げてしまった枕そっちのけで壁に当てた耳に全神経を集中させた――
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「なんだ。あやせのことだったんだ!」
あやせはこの前の件で怪しくなったけど、いまのを聞く限り大丈夫そうだし、兄貴も本気じゃないだろうし。それにしても……
「もうちょっとで名前で呼べるようになりそうだったのに。かわいそう」
兄貴のあまりのフラクラっぷりに思わずあやせに感情移入してしまった。
「次は黒猫にでも聞いてみるか」
黒いのに?一応聞いておこう。
驚くべきことに、あたしはこの短時間で盗み聞きへの躊躇いを一切しなくなっていた。



プルルル、プルルル、ピッ
「はい、もしもし」
「黒猫か?京介だけど」
「どうしたのかしら先輩?良い子はもう寝る時間よ?」
「まだ19時前だぞ!こんな時間に寝るのは良い子じゃない!年寄りだ!」
「クスクス……。流石先輩。突っ込むのがお上手ね」
「……その言い方は他意を感じるからやめろ」
「で?一体何の御用かしら?」
「ああそうだ。最近桐乃の様子がおかしくないか?」
「あの子の?……ああそういえば」
「何かあったのか」
「一昨日会った時にまるで親の仇を見るような目で睨まれたわ」
「何やってんだあいつ!?」
「その鬼気迫る表情に流石の私も防衛呪文を唱えざるを得なかったわ」
「防衛呪文?」
「周囲に満ちるマナを闇の力で集めて光を屈折させる――「簡単に言うと?」……目を逸らすのよ」
なるほど。確かにそんな目で睨まれたら逸らしたくもなる。
「で?そんなことされる理由に心当たりはあるのか?」
「心当たり?……そういえばあの子があなたの……」
「俺の?」
「話そうかと思ったけれど、あなたが調子に乗りそうで不愉快だからやめるわ」
「お前もかよ!」
俺の見方について問うべきか話の内容について問うべきか、どっちかわからん!


159 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[] 投稿日:2011/01/23(日) 08:28:03.75 ID:7SvVmAfV0 [7/8]
「お前もってどういうことかしら?」
「ん?いや、お前に電話をかける前に桐乃の友達のあやせ……ほら、コミケの帰りに会った子なんだけど」
「コミケの帰り……ああ、あの愛が重そうな子」
「お前のあやせに対するイメージは置いとくとして、そいつにも電話したんだけどさ。心当たりはあるけど俺に言ったらつけあがりそうだからとか言って教えてくんなかったんだよ」
「プ……クク……ク」
「ん?」
「年下の女の子にぃ、つけあがりそうとか言われたですってぇ!?あは、あはは、あははははははははは!!!!!」
「笑うなよ!!」
「だ、だって……あはははははは!!!」
「くっ」
なんたる屈辱!年下の女の子に馬鹿にされたことを別の女の子に馬鹿されるとは!!
「あはは、あは、は……は~ぁ!あ~面白かったわ。……まぁその子が言わないのなら私も言わないわ」
「そうか……」
「どうせ言ってもあなたじゃ解決できないし」
「マジかよ……」
「というか、これはあなたの問題じゃなくてあの子の問題なの」
「桐乃の?そうなのか?」
「ええ。だからあなたは何もしなくていい。近いうちに元通りになるから」
「そうか……サンキューな、黒猫。おかげで楽になった」
「……それ」
「え?」
「何故、今黒猫と呼ぶの?」
「は?だって、お前は黒猫だろ?」
「そうだけど。今はオフ会で会っているわけじゃないのだから……あなたは私の仮の名を知っているでしょう?」
「ああ。五更瑠璃だろ?」
「なら今は、そっちで呼んで」
「……わかったよ……五更」

「え?ちょっ!嘘でしょ!?そっちじゃない!!」
「はぁ?やっぱり黒猫の方がいいのか?」
「違っ!!……だから……もう、いいわ、黒猫で」
「いいのか?」
「ええ……」
「……じゃあ、また今度」
「ええ……」
「じゃ、じゃあな?」
「さよなら……」
ピッ、ツー、ツー……



「最後元気なくなってたけど、大丈夫か?あいつ」
きっとゲーム作りに熱中し過ぎてあまり寝てないんだろうな……
「さて、何もしなくていいとは言われたが。それはそれでモヤモヤするな」
ガチャ!!
「き、桐乃!?どうした?」
やけに晴れ晴れとした笑顔だが……まさか解決したのか!?
「ごめんね兄貴!心配かけさせちゃったみたいで!」
「いや、別にいいけど……ていうか!何で俺が心配してたこと知ってんだ!?」
「この部屋壁薄いでしょ?だからちょっと聞こえちゃった」
「マジかよ!!」
くあ~~!!すげぇ恥ずかしい!!どうしようこれ!どうすればいいのこれ!?
「そうだよね~!いくら敵が多くても、城壁が堅いなら問題ないよね~!!」
「……何の話だ?それ?」
「こっちの話、こっちの話!えへへ~!今日はぐっすり眠れそう~!!」
「???」



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