勝利の女神:7スレ目688


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688 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2011/02/14(月) 20:44:05.45 ID:gzfXY4Br0 [2/6]
「ふぁ…くうぅぅぅ~~~………っっ」
「お疲れ様、きょうちゃん」

退屈な一日がやっと終わった…。

この時期の三年は三学期早々に学年末試験が終わり、正直言って授業らしい授業も無く、実に退屈な毎日になっている。
俺と麻奈実は目前に迫っている本命校入試の為に、登校日以外は全て受験勉強に費やしている。

そして今日は卒業式前最後の登校日で、この日は三年のみ午前中だけとなっていた。
あとは卒業式まで登校免除になっているので、各自私物を持ち帰っている。
とは言っても、俺や麻奈実は私物らしい私物は殆ど無いけどな。

「きょうちゃん、今日は『ばれんたいんでー』だったよね」
「おお、そうだったな」

今日は2月14日。
所謂バレンタインデーだった。
俺も昼近くまで忘れてたが、黒猫が休み時間にわざわざ持ってきてくれたので、それで思い出した。

「はい、きょうちゃん」

と、麻奈実は俺に包みを渡してくれた。

「この一年の感謝を込めて、わたしからのちょこれーとだよ」
「お、サンキュ。 毎年ありがとうな。 感謝してるぜ」

麻奈実からは、毎年確実にチョコを貰えている。
いつも『この一年の感謝を込めて』と言ってくれるが、本当に感謝しているのは俺の方だ。
黒猫にもそうだが…麻奈実にもいつか、ちゃんとしたお礼をしてやらなくちゃな…。


「じゃあきょうちゃん、わたしはここでね」

いつもの分かれ道で麻奈実と別れた。
今日は田村屋でもバレンタインフェアをやるそうだが…和菓子屋でバレンタインフェアって何をやるつもりだろうか…疑問だ。

「また明日、図書館でね」
「ああ、また明日な」

俺は麻奈実に手を振って、自宅へと向かった。

689 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2011/02/14(月) 20:45:06.02 ID:gzfXY4Br0 [3/6]
「ただいまー…って…あれ?」

自宅に入ると、見慣れた靴と見慣れない靴が数足…。
誰のだろうかと思いながら玄関を上がりリビングを覗く。

「あれ? なんで桐乃たちがいるんだ?」

そう。
平日の昼間だというのに、桐乃とあやせと…何故か沙織がいた。

「おお、これは京介氏。 お帰りなさいでござる」
「こんにちはお兄さん、お邪魔してます」
「お帰りー」
「ああ、ただいまって…お前ら学校はどうしたんだ?」

俺は素朴な疑問を口にした。

「あたしとあやせは学校閉鎖。 インフルエンザで全校生徒の2/3が休んだから今日から1週間休校だってさ」
「拙者はきりりん氏には前以て伝えてありましたが、創立記念日でお休みでした」
「だから折角の機会だし、沙織を呼んで色々と話をしてたってワケ」
「なるほどな」

インフルエンザ流行ってるからなぁ…。
俺も気をつけなきゃな。

「沙織、わざわざ遠いところありがとうな」
「いえいえいえ、とんでもござらん。 今日は一日何して過ごそうかと思っておりました故、きりりん氏のお誘いには拙者も感謝しております」

沙織が住んでる横浜からここまでかなり時間がかかるはず。
なのにわざわざ桐乃の誘いを受けて遊びに来てくれた事に礼を言わずにはいられなかった。

「京介氏、折角ですので京介氏も一緒に談笑の輪に入りませぬか? 受験勉強も大事ですが、偶には息抜きも肝要ですぞ?」
「そうですよ、お兄さん。 気分転換だと思って一緒にどうですか?」

沙織とあやせから誘いを受けた。
大学受験を目の前に控えて、受験勉強が大事だというのは当然だが、二人が言う事も尤もだ。
ここ暫くはずっと勉強ばかりだったし、桐乃も遊びの誘いを自重してくれていた。

「そうだな…気分転換も大事か…。 分かった、迷惑じゃなければ御一緒させてもらうわ」

俺は二人の誘いに応えて、輪の中に入れさせてもらった。



遊んでいると時間が経つのは早いもので、もう夕方になっていた。

「さて…そろそろお開きにいたしましょうか」
「そうですね、時間が時間ですし」
「まだ遊び足りないけど、沙織は横浜だもんね…しょうがないか」

三々五々にそれぞれ帰り支度や片付けに入った。

「あ、そうだ…桐乃、冷蔵庫からあれ持ってきてもらっていい?」

桐乃があやせの言葉に応えて、冷蔵庫に向かった。
桐乃は冷蔵庫から小袋を3つ出して、こっちへ持ってきた。

「ゴホン、では先ずは拙者から…」

沙織は小袋の1つを手にして、眼鏡を取って俺に近づいてきた。

「京介さん…いつも色々お世話になりまして、本当に感謝しております。 これは私…槇島沙織から感謝の意を込めて…そして…御受験…頑張って下さいね」

「お兄さん…、いつもキツイ事を言ってしまってごめんなさい。 こんなに迷惑を掛けているのに…色々と相談に乗ってくれたり、優しくしてもらって…本当に感謝しています。 ありがとうございました。 入試、頑張って下さい」

「兄貴…この1年半、迷惑を掛けっぱなしでごめんなさい。 兄貴の優しさには…本当に…感謝しているから…。 その…ありがとう…」

三人は、それぞれ感謝の言葉と共に、俺にチョコを手渡ししてくれた…。
不意打ちかよ…お前ら…。
くそ…涙が出るじゃねーか…。

「あー、兄貴、泣いてんの?」
「るせー、てめーらが不意打ちしてくれるからじゃねーかよ…(ぐすっ)」
「あらあら、京介さんたら…」
「お兄さん…くすっ…」

690 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2011/02/14(月) 20:46:27.81 ID:gzfXY4Br0 [4/6]
そしてその晩…。

夜も更けて俺は受験勉強に区切りをつけて、今日貰ったチョコを少しずつ食べていた。

麻奈実からは小豆チョコ。
黒猫からはビターチョコ。
沙織からはホワイトチョコ。
あやせからはミルクチョコ。
桐乃からは抹茶チョコ。
チョコはどれも手作りで、とても美味しかった。
特に桐乃のは去年のとは比べ物にならないくらいに美味しかったな(てのか、去年のが悪すぎたよな…)。

そしてチョコとは別に、黒猫からは塩田天満宮の、あやせからは大野天満宮の、沙織からは川崎大師のそれぞれのお守りも一緒に入っていた。
みんな住んでいる場所からは離れた神社なのに…俺の為にわざわざ行ってくれたのかと思うと、本当に嬉しくなった…。


チョコを堪能してお守りを眺めていたその時…

コンコン

「兄貴、入っていい?」
「ああ、いいぞ」

桐乃が訪ねてきた。

「はい、これミルクコーヒー」

どうやら、俺に気を遣って飲み物を作ってくれたらしい。
わざわざ悪いな、桐乃…。

「あ、食べてくれたんだ」
「おう、お前の…本当に美味かったぜ。 ありがとうな」
「…うん!」

俺の感謝の言葉に、桐乃は顔を真っ赤にして…満面の笑みを浮かべた。

「あ、そうだ…兄貴、これ…渡し忘れてたけど…お守り…」

と、桐乃はお守りの入った袋を渡してくれた。
袋には「成田山新勝寺」と書かれていた…。
ここから成田山なんて遠いのに…わざわざお守りを買いに行ってくれたのか…。

「わざわざ遠いところまで…ありがとうな、桐乃」
「あたしには…その…これぐらいしか…兄貴にできないからさ…その…せめて…有名な所のお守りでもって…」

俺は嬉しくなって…思わず…桐乃を抱きしめた…。

「本当にありがとう、桐乃…。 お前も受験…頑張れよ」
「………………うん……」


暫くして、俺は桐乃から手を離した…。
ふと桐乃の顔を見たら…茹でダコみたいに真っ赤になっていた…。

「…あ…兄貴…」

俺は桐乃の声に顔を上げると…

「……………!!」

俺の唇に何か温かいものが触れた…。
って…こ…これって…キキキ…キス…!?

「兄貴…これ…あたしの…ファーストキス…。 あたしが兄貴の勝利の女神になるからさ…、受験失敗したら…許さないからね…」

き…桐乃…お前…

「それじゃ、おやすみ…」

パタン…

691 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2011/02/14(月) 20:47:10.54 ID:gzfXY4Br0 [5/6]
桐乃が出て行った後…俺は人差し指を自分の唇に当てて、さっきの言葉を反芻した…。

『あたしが兄貴の勝利の女神になるからさ…』

桐乃のヤツ…自分のファーストキスを捧げてまで…俺を応援してくれるなんてな…。
これは…絶対に失敗出来ねーな…!

「よし…もう少しやるか…!!」

俺の事を応援してくれる、勝利の女神様に報いる為に…絶対に合格してやるぜ…!!


END
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