仕事見学:7スレ目841


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841 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2011/02/23(水) 12:39:24.81 ID:LHnEsdFc0 [1/5]
「はーいOK、お疲れ様でしたー」

スタッフさんのOKサインが出た。
今日の撮影はこれで終わり。

「はぁ…疲れたぁ…」

撮影を終えた桐乃が汗をかいてベンチに戻ってきたので、俺は用意していた物を準備する。

「よ、お疲れ。 タオルとスポーツドリンクな」
「ん、サンキュ」

俺は桐乃にそれらを渡し、受け取った桐乃は汗を拭って喉を潤していく。

何故俺がこんな事をしているのかって?
そりゃあ…いつも通り、この妹様の突然の発言が事の発端だ…。



昨晩の事だった…。

「あんた、明日あたしのマネージャーやって」

いきなり部屋にやってきた俺の妹様は、本っ当に突然、何の前触れもなく言い放ってきやがった。

「はぁ? 唐突に何を言い出すんだ、お前は…」

当然だが、俺は訝しって桐乃を見た。
突然こんな事を言われりゃ誰でもそうするよな。

「あたしだってあんたにこんな事頼みたくないわよ。 だってしょーがないじゃん…」

一体何がしょうがないのか分からんが、頼みたくなければ頼まなきゃいいじゃねーか…と心の中で文句を言う。
口に出さないのは、しょーもない争いを回避する為だ。

「で、何でそうなったんだ? 説明してみろよ」

俺は桐乃に経緯の説明を求めた。
こんな事を頼まれるんだから、当然知る権利ぐらにいはある…はずだ。

「何その上から目線…ムカツク…」
「嫌ならいいんだぞ、聞かなかった事にするだけだから」
「ぐ…っ…」

桐乃はものすご〜く悔しそうに俺を睨む。
初めてじゃねーか? 俺が桐乃を言い負かしたのって…。
それはそれで後が怖いけどな…。

「で、真面目な話…経緯を説明してほしいんだけどさ」

俺は改めて経緯の説明を求めた。
経緯が分からなければ、協力のしようが無いからな。
俺の求めに対し、桐乃は「チッ…」と舌打ちをして、渋々ながら口を開いた。

「今度さ、雑誌で『モデルの家族』を特集するんだって。 で、あたし…一応表面上は『お兄ちゃんと仲良し』で通してるからさ…その…」
「で、俺がお前の撮影に付き添って、仲良くコミュニケーションをとっている所を取材したい…ということか?」
「…よく…分かったわね…。 と…とにかく明日、絶対に付き合ってよ!!」

なるほどね。
それならそうと、最初から素直に言えばいいのによ…こいつは。

「りょーかい。 そういう理由なら断るわけにはいかないな。 協力してやるよ」
「…絶対だかんね…?」

ま、要は以前に加奈子達の偽マネージャーやってた様にすればいいだけだろ。
そう考えた俺は、桐乃の誘いを了承した。

842 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2011/02/23(水) 12:40:01.11 ID:LHnEsdFc0 [2/5]
という事で、俺は今朝からずっと桐乃の撮影に同伴させてもらっているのだが…。
正直言って、桐乃を見直した。
撮影中のポーズの取り方や真剣さ、カメラマンやスタッフとの打ち合わせなどを一通り見ていると、どれも真剣で…既にプロ意識が芽生えていた。
以前あいつが全てにおいて本気で取り組んでいるような事を言っていたけど…正に有言実行。
本気の姿勢で取り組む桐乃を、恥ずかしながら俺は初めて目の当たりにした。

「桐乃、お前ってやっぱすげーよ」
「は? 何よいきなり」
「いや…俺さ、初めてお前の仕事を見物したけど…正直…お前の姿勢に感服した」

俺は桐乃に本心を伝えた。

「ポーズや打ち合わせ、服装や化粧に至ってさ…全て…その…綺麗に見せようとする意識っての? …凄いと思ったよ」

「………うん…ありがと…」

桐乃は俺の言葉に照れたのか、顔を赤くしてそっぽを向いた
そしてゆっくりとこっちに向き直り、ポツポツと口を開いた。

「あたし、兄貴だから…仕事の同伴を頼んだんだよ…? 兄貴に…あたしの仕事を理解してほしくてさ…」

やべ…こっちが照れるじゃねーか…。
こんな可愛い笑顔を向けやがって…。

「桐乃…」

俺は桐乃の頭を優しく撫でた。
幼い頃に、泣いていた桐乃をあやす様に…。

「ん…」

桐乃もそれを甘受して、俺にゆっくりと凭れ掛ってきた。

とその時。

「桐乃ちゃん、お兄さん、お疲れ様でした」

桐乃の雑誌の担当さんがこっちにやってきた。

「お二人の写真は、自然さを見せる為に遠くから撮影させていただきました」

何ぃ…!?
咄嗟に俺が振り向くと、少し離れた位置にいた撮影とは別のカメラマンさんが大きく手を振っていた…。
い…いつの間に…!?
うおおおおぉぉぉ………めっちゃ恥ずかしいいいいぃぃぃ…!!!

「先程のお二人のやりとりを遠巻きに見ていましたけど…まるで恋人同士みたいでしたね。 優しいお兄さんで、ちょっと羨ましかったなぁ」

担当さんが笑顔でとんでもない事をのたまった…。
こ…恋人同士って…。

その時、桐乃は自分の腕を俺の腕に絡めて、引っ張った。
俺はバランスを崩して、桐乃と密着するような体勢になる。

そして…桐乃は満面の笑みで、担当さんに答えた。

「はい、あたしの自慢のお兄ちゃんですから!!」





後日。
掲載見本誌が桐乃と俺のところに届いた。

特集のうち、俺たちのは2ページにわたって割り振られ、最初に訪れた場面、撮影を見守る姿、撮影が終わって労うところ、頭を撫でているところ、そして…桐乃が腕を絡めて笑顔で応える姿が掲載された。
しかも、桐乃の解説付きで…。

でもまあ…あの時、恋人同士に見られた事も満更でもないな…と思ったね。
この本に載っている桐乃の笑顔を見ているとさ…。

さてと…今日はこの前の慰労を含めて、お姫様をデートに誘うとしますかね。

俺は意気揚々と自室を出て、桐乃の部屋のドアを叩いた。



END
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