101 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[] 投稿日:2011/03/05(土) 12:44:03.45 ID:wKeUpGvK0 [2/5]
う……ん
私はまだ完全に覚醒していない体にムリヤリ命令して、気持ちのいいベッドの中から抜け出した
「まだこんな時間か…」
こんな時間なら兄貴は起きてないだろうな……
最近の私はどうかしている
何かといえばあの間抜けな顔が浮かんでくるのだ
喜んでいる顔、照れている顔、微笑んでいる顔
どれもかっこいいとは言えない間抜けな顔、だけど何故か安心する顔。そして思い出すと何故か胸がドキドキする……そんな顔
こんな事はただの思い過ごしだ
私はそう思い込むと頭をブンブンと振って、顔を洗いに行こうと自室のドア開いた
ガンッ!!
開いたのはいいのだが勢いがあり過ぎたらしい
今、目の前には泣いているのか怒っているのか、とにかく微妙な顔をして鼻を押さえている兄貴がいるのだから
…………
「あーー……、遺憾だわ」
「遺憾だわじゃねぇ、ゼロ〇の真似してんじゃねぇ!!」
悪かったわよ
「うるさいなぁ、こんな朝早くに起きてるあんたが悪いんでしょ」
「なっ…」
でた、私の悪い癖、いつも思っている事と違う言葉がでてしまう
なんでなんだろう
だけど今更謝れるわけもなく、私はフンッ、と言うと再び洗面所へと歩き出した
「ふぅーー………」
透明な水が流れ出ている蛇口を見ながら私はため息をついた
兄貴を罵った後に来る後悔が私を蝕んでいた
102 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[] 投稿日:2011/03/05(土) 12:45:49.81 ID:wKeUpGvK0 [3/5]
―――嫌われたかな?
そんな考えが私の脳裏に浮かび上がり、いっそう憂鬱な気分になってしまう
―――いや、元々好かれてなんかないか
ここまでくると自分のマイナス思考が止められなかった
どんどん湧き上がってくるマイナスな言葉や思いに潰されて目からは涙が流れ出た
「ひっく…ふぐ………」
いつもはこんなに酷くないのに
なんで今日はこんなに溢れてくるの?
なんで止まらないの?
「うぅ…ああぁー…」
ついに声まで漏れてしまった
止まれ!!
いくら命令しても私の体は言う事を聞かず、ただただ溢れてくるだけだ
途中で私は断念して感情の赴くままに涙を流し声を出していた
………………ポスン
真っ白
私の視界も、頭も、一瞬で真っ白になっていた
「桐乃……」
そこに、まるで真っ白いノートに書いていくように、優しい声が聞こえてきた
「我慢すんなよ、泣けよ……俺の前で無理してんじゃねぇよ」
ずるい。
そんな事言うなんて反則じゃない……
私は何か悪口を言おうと口を開くが出てきたのは全く違う言葉だった
103 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[] 投稿日:2011/03/05(土) 12:48:20.87 ID:wKeUpGvK0 [4/5]
「兄貴ーー……、兄貴…ありがと…ひっく……」
出た、私の悪い癖
思った事の反対を言ってしまう悪い癖
だけど今回は……………ちょっといい癖
・・・・
「あ、ありがと………、もう大丈夫」
そう言うと私は兄貴の胸から顔を離した
「そ、そうか、そうつは良かった。あ、えと、その……わ、悪かったな、その……いきなり抱きしめちまって」
いや…いいよ、全然。えと…その……、私も嬉しかったし。
「ほんとよ!!、このシスコン変態兄貴!!、もう私、学校行く準備するんだからさっさとどっか行ってよ!」
でた、私の悪い癖。でもこの癖で私がこれから悲しむ事はないだろう
だってこの兄貴が私をそんな事で見捨てないってわかってしまったから
だって兄貴はシスコンなんだもんねぇーー
兄貴は私の表情を見て、一瞬笑ったかと思うと、またいつもの表情に戻って「へ~へ~、分かりましたよ。妹さま」、と言いながら自分の部屋に戻っていった
なんで私の顔を見て最後笑ったんだろう?
きになったが私は見ない
何か今、鏡をを見たら負けてしまいそうだからだ
誰にかって?、そんなの決まってるでしょ?
兄貴に、だ。
「へへ………」
私はそんな声を漏らしながら
二階の兄貴がいるであろう部屋に向かって目一杯 『笑った』 のだった
おわり
最終更新:2011年03月05日 12:59