無題:8スレ目447


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447 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2011/03/10(木) 21:51:13.63 ID:J1JIBD7Vo [4/6]
京介が田村家で安眠に浸っているころ……。



「クソッ!クソックソッ!!」

あたしは今、誰もいないリビングで一人、悪態を吐いている。シスカリで思うようなプレイが出来ないからだ。
いつもはしないようなミスでCPUにヒットポイントを削られ、繰り出した技は避けられ、あたしの可愛い妹があられもない姿にされていく。
今日だけで何度辛酸を舐めただろう。兄貴とプレイすれば幾分かは溜飲を下げられるのだが、今日に限ってはそれもうまくいかなかった。
兄貴みたいなヌルゲーマーにいいようにされるなんて、今までじゃ考えられないことだった。
原因はわかっている。学校のバカ男どものせいだ!
中学生男子というのは、世の中で一番下世話な生き物だ。時間場所を問わず、下種な話に花を咲かせている。それ自体は良い。あたしのいないところでする分には。
だけど今日は違った。とあるバカグループが隠し撮りしたあたしの写真を片手に、そんな話をしていたのだ。それが不運の始まりだったのだろう。
あたしは外面もなにもかなぐり捨てて、烈火の如く怒った。あたしのそんな姿を見たこと無いあのバカ共は大層驚いていた。
ほかの女子も味方につけたあたしに詰め寄られ、バカ共は素直に謝り、件の写真データを削除した。けど、それだけじゃあたしの怒りは治まらなかった。
家に帰ってからもそれは続き、あたしは不機嫌オーラを放出しまくりだったのだ。
あの鈍感なバカ兄貴も気付いたらしく、機嫌が悪い理由を訊ねてきた。
言い訳させてもらうと、そのことを聞いてくるタイミングが悪かった。兄貴に対戦で何度も負け続け、あたしの不機嫌度はMAXだったのだ。
それに、兄貴にそんな話をしたくなかった。「同級生に性的な目で見られてました」なんて、家族には話したくない。特に、兄貴には。
だから言ってしまった。「アンタに心配される筋合いは無い」って。完全な八つ当たりだ。
そこからは売り言葉に買い言葉。自分で突っ撥ねておきながら兄貴に優しくされたくて、でも口からは憎たらしい言葉しか出なくて……。
あたしは兄貴の顔が見たくなくて、強引に家の外に放り出した。ご丁寧に鍵まで掛けて。

「バッカみたい……」

ホント、あたしはバカだ。なにしてるんだろ……。
いくら兄貴に言いたくなかったからって、あんな態度は無いじゃん。素直に甘えるなり、言葉を濁すなり、方法はいくらでもあるのに……。
冷静になってくると、あとからあとから罪悪感が湧き上がってくる。
時計を見ると、もう日付は変わり午前0:30を過ぎていた。
いくら夏とは言え、夜は思いのほか寒い。あたしはゲームの電源を切り、玄関に向かった。
このドアを開けたら謝ろう。素直に謝るんだ。そう心の中で唱え続け、意を決して鍵を開けた。

「……兄貴?」

けど、その決心は無駄に終わってしまった。兄貴の姿が無かったからだ。まったく、こんなときに何をしてるんだか。
あたしは外に出て、家の周辺を探した。でも、兄貴の姿は見つけられなかった。
え?どうして?どこにいるの!?
あたしの頭の中がパニックになるのに、そう時間はかからなかった。
部屋着のまま、夜の住宅街を走り出す。行き付けのコンビニや、兄貴の通学路にも行った。結果は同じだった。
……そうだ、ケータイ!なんですぐに気付かないのよ!!
あたしは来た道を駆けて家に帰ると、リビングに置いてある自分のケータイを手にし、電話帳から兄貴の番号を見つけてコールした。

『お掛けになった番号は、電波の届かない場所にあるか、電源が入って……』

うそ……。なんで繋がんないのよ!
さっきまであたしの心を支配していた怒りは霧散し、今は不安と罪悪感で満たされていた。探すにしても時間が時間だ。
あたしは急に重たくなった体をなんとか動かし、リビングを片付け、部屋に戻った。
ベッドに入って、もう一度兄貴のケータイに掛けてみる。

『お掛けになった番号は、電波の届かない場所にあるか、電源が入って……』

結果は同じだった。
あたしはいつ連絡が来ても良いようにケータイを胸に抱き、体を縮こまらせて目を強く瞑る。
一人の家は音がしなくて、あたしの不安をより一層膨らませる。瞑っていた目から自然と涙がこぼれた。

「どこにいるの……。あにきぃ……」

448 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2011/03/10(木) 21:51:49.12 ID:J1JIBD7Vo [5/6]
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翌早朝。
俺は家に戻っていた。昨夜は気が立っていたとはいえ、妹一人を残しているんだ。常識的に考えて、この対応は良くない。
田村家の面々は朝食に誘ってくれたが、俺はそれを断り、朝靄が立ち込める中、玄関扉の前に立っていた。
すくみそうになる心に鞭打ち、大きく息を吐いて、俺はドアノブに手を掛けた。

「あん?」

さっきまで俺にプレッシャーを与え続けていたドアは、ノブを回すとあっさりとその役目を終えた。
鍵を掛けずに一晩過ごしたのかよ。不用心すぎるぞ、妹よ。
俺がドアを閉め、靴を脱いでリビングに入ろうとすると二階から、
バターンッ!ドタドタドタッ!
そんな音を立てながら、ウチの天上天下唯我独尊妹様が降臨された。

「…………」

ううっ!無言のプレッシャーが怖い。俺、逃げ出していいかな?いやいや、ダメだろ!
俺は一度を喉を鳴らすと、かすれながらも何とか声を出すことに成功した。

「お、おはようきりぶふぉおぅっ!!」

だが俺の健闘も空しく、朝の爽やかな挨拶を言い切る前に桐乃からスーパー頭突きを食らった。
本来なら床に叩きつけられるところだが、幸か不幸か俺の体は近くの壁に支えられ、なんとか立っていられた。背中は痛いんですけどね。

「お、お前!いきなりなに……」

俺は桐乃に文句を言おうとしたが、それは出来なかった。だってさ、俺の胸に頭をこすり付けて泣いてるんだぜ。あの桐乃がだよ!そりゃなんも言えねえって!!

「バカ!どこ行ってたのよ!ケータイも繋がんないし、あたしがどんだけ心配したと……」

そこからは桐乃の罵倒は泣き声に変わり、俺の着ていたシャツは涙と鼻水で汚されていった。
俺は何も言わず、ただ桐乃の頭を撫で続けていた。


ーーーーーーーーーーーー


さて、時間は過ぎて夜。
俺は自分の部屋で正座させられていた。誰がそんなことをさせるんだって?んなもん、一人しかいねえじゃねえか。

「で、アンタ。昨日はどこ行ってたのよ?」
「だ、大学の友達の家です」

俺に正座させている張本人は、今は俺のベッドに鎮座し、絶賛尋問中だ。ああ、視線が痛い。なんなの?コイツの目はナイフなの?
桐乃さん、そんなにまっすぐ見つめないでもらえませんか?お前の視線で俺の心がヤバイ。

「ふ~ん。地味子のところか」
「おい、地味子って言うなっていつも言ってるだろうが」
「うっさい!アンタに口答えする権利なんて無いんだからっ!!」

怖ぇーーッ!!今日の桐乃さんはいつにも増して怖えよ!そして俺に謝る気なんざさらさらナッシング!いや、予想通りだけどね……はぁ。

「悪かったよ、心配掛けちまって。それに昨日は言い過ぎた。本当にスマン」

俺は桐乃の剣幕に圧倒され、ついつい頭を下げちまった。べ、別に桐乃の視線から逃げたかったわけじゃないんだからね!!
まぁ、昨日のことを謝るのは当初の目的だったしな。これで俺の任務は終了だ。さて、女王様の反応は……。

「き、昨日のことは……そ、その。あ、あたしも悪かったっていうか……」

おや?普段の桐乃らしくないぞ?どうやら俺の謝罪のこうかはばつぐんだ!

「だ、だからと言って!あんたがあたしに心配掛けさせたのは許してないんだからっ!」

ええ~~。それは無くね?だって、元を正せばお前が俺を締め出したことが……いや、何も言うまい。
こういう時の桐乃は何を言っても無駄だ。触らぬ桐乃に祟りなし。

「だ、だから罰として……」
「罰……?」

おいおい、この上罰まであるのかよ。理不尽過ぎるのにも程があるぞ、妹よ。まあ、付き合ってやるけどさ。
それより妹よ。さっきから何をもごもご言ってやがる?聞こえないぞ。それに顔も赤いぞ。お前も夏風邪か?

「ば、罰として!今夜はあたしと一緒に寝なさいっ!」
「……は?」





おわり
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