俺の妹が身長180cmなわけがない:第十二話


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353 名前: ◆5yGS6snSLSFg[sage saga] 投稿日:2011/02/24(木) 19:22:36.53 ID:4wpeXllNo [1/8]
2月が過ぎようとしていて、日ごとに暖かくなっていくのを実感する。
来年の今頃は俺も受験で忙しくなっていることだろう。俺としても、残り少ない高校生活ってやつをを有意義に過ごしたい。
沙織たちと一緒にわいわい騒ぐのも決して嫌いじゃないし、むしろ楽しいのだが、やっぱりたまにはのんびり過ごす時間が欲しい。
そんなわけで、俺は休日の朝から幼馴染の家で日向ぼっこと洒落込んでした。
空には雲ひとつなく、気温はほんの少し肌寒いくらい。日向ぼっこには最適だ。
暖かい春の日差しの中の日向ぼっこも悪くないが、こんな季節の日向ぼっこの方が太陽の暖かさを感じることができて俺は好きだ。

「きょうちゃん」

縁側に座り、足を投げ出すような恰好で仰向けに寝転んでいた俺に、幼馴染が声をかけてきた。
ゆるい喋り方が特徴のこいつは田村麻奈実。俺の幼馴染にして、和菓子屋・田村屋の娘である。

「お茶入ったよ」
「さんきゅー。ちょうど喉が渇いてたんだよ」

急須と二つの湯呑が乗ったお盆を持ってきた麻奈実が俺の隣に腰を下ろす。そして、こぽこぽと湯呑にお茶を注いでくれた。
こいつが淹れてくれるお茶って妙に美味いんだよなあ。こいつの腕がいいのか、田村家のお茶葉が良質なのかは知らないけどさ。
身体を起こし、麻奈実から湯呑を受け取り、ずず……と音を立てて茶を飲む。

「……ふう」

本当に落ち着く。こんな時間がいつまでも続けばいいのにと思ってしまう。
と、俺はにこにこと笑う麻奈実に気が付いた。いや、こいつがにこにこしているのはいつものことなんだけど、ただのにやけ面とは違ったんだ。
多分、この違いがわかるのは世界で俺一人だろう。

「どうした?」
「んふふ~。きょうちゃん、おじいちゃんみたいだなあって」
「……悪かったな、爺臭くて」

そういうお前は婆さんみたいなくせに。俺もおまえにだけは言われたくないよ。
今まで何度繰り返したかもわからないやりとり。だけど、だからこそ俺の最も落ち着く場所はここだと断言できる。
湯呑を一旦お盆に戻し、再び仰向けに寝転がる。
今日は昼まで日向ぼっこして、昼からは気温も上がるだろうし公園にでも散歩に出掛けて……
脳内で今日一日のんびり過ごすための予定を立てる。こんな平穏な休日は久しぶりだ。

『SECRET×2 OF MY HEART I SHOW YOU IT なう。 だ・か・ら 人生相談っ!ちゃんと 責任持って聞いてよね~♪』

唐突に俺の携帯の着信メロディが流れる。
黒猫風に言うならばそれは、俺を平穏な休日から引きはがす悪魔の呼び声だった。


354 名前: ◆5yGS6snSLSFg[sage saga] 投稿日:2011/02/24(木) 19:23:35.46 ID:4wpeXllNo [2/8]
「おまえら……そんなことで俺を呼んだの?」
「はあ? そんなことって何!? せっかくあんたも誘ってあげてんのに」
「まあまあ、きりりん氏。お兄様にも今日はご予定があったみたいですから」

怒り狂う桐乃を鎮める沙織。これはこれで何度繰り返されたかわからないやりとりだ。
だが、こっちは落ち着くといった雰囲気はかけらもない。
先ほどかかってきた電話は沙織からのものだったのだが、すぐさま桐乃が電話を取って代わり「今すぐ帰ってこい!」とだけ俺に告げると、そのまま電話を切ってしまった。

「大方、ベルフェゴールと一緒にうだうだしながら茶でも飲んでいたのでしょう? いいじゃない、暇だったのは間違いないのだから」
「ぐっ……」

……確かにそうだけどさ。俺には俺なりの休日の楽しみ方ってのがあるんだよ……。
こいつらに説明したところで理解してもらえないだろうから言わねーけど。

「申し訳ありませんお兄様、エントリーの受付が今日までだったもので……」

ぐるぐる眼鏡を装備し、オタクファッションに身を包んだ沙織が頭を下げた。
なんでも、こいつらが俺を呼びだしたのは、近々シスカリの大会があり、それのエントリーを済ませたいからとのことだった。

「なんでその大会に俺が参加する必要があるんだよ。おまえらだけじゃ駄目なのか?」

確かに、アーケード版とはいえあのゲームの大会に女の子だけで参加するってのは勇気がいるのかもしれないけどさ。
俺なんていたところで戦力的には何の役にも立たないぞ? この中で一番弱いのは間違いなく俺だしな。

「実はこの大会、タッグ戦なのでござる」
「タッグ戦だあ?」

どういうこと? タッグ機能なんてついてたっけこのゲーム?

「この大会だけの特別ルールよ。特設の筐体を使うらしいわ。ダメージこそないけれど、味方への当たり判定があるみたいだから、タッグを組む相手とのコンビネーションが重要になるわね」

俺の疑問に対してご丁寧に解説をしてくださる黒猫。
当たり判定――ゲームをしない人にとってはあまり聞き覚えのない言葉だろう。
まあ、おおざっぱに言えば味方にも自分の攻撃が当たるってことだ。攻撃が当たると、攻撃を受けたキャラは吹っ飛んだり、怯んでしまって動きが一瞬止まる。その結果、せっかくのコンボが途切れたりするってわけだ。
最悪の場合、仲間同士で足の引っ張り合いになってしまうってこともありうる。

「で? あんたは誰と組むの?」
「えっ?」
「そう、それこそがお呼びした理由なのです。お兄様」

そう言って、したり顔で俺の鼻っ面にずいっと指を突き出してくる沙織。

「先ほど黒猫氏が申した通り、今回は味方にも当たり判定が存在します。よってパーティー構成こそがこの大会において、最も重要な戦略となるのです! そして上位入賞のあかつきには、豪華賞品が贈られるのでござるよ!」
「……だったら余計俺が呼ばれた理由がわからんのだが」
「はて? どういうことですかな、お兄様」
「その豪華賞品? がなんなのかは知らないけどさ、勝ちに行くんならまずおまえらの中でチーム組んで、その後で俺とあまりで組めばよくねえ? こん中じゃ俺が一番下手くそなんだしさ。チーム構成考えるときに俺がいてもややこしくなるだけだと思うぞ」


355 名前: ◆5yGS6snSLSFg[sage saga] 投稿日:2011/02/24(木) 19:24:53.88 ID:4wpeXllNo [3/8]
別に参加することが嫌なわけじゃない。要は一軍と二軍にわけようってことだ。
ま、黒猫がダントツで上手いのは今さら言うまでもないし、一軍の片翼は黒猫で決まりだろう。そしてもう一人は……沙織か?
以前、ネット対戦で桐乃をカモにしてるってのを聞いたことがあるしな。恐らく腕前的にはこの二人のペアがベストなはずだ。
相性的に桐乃と黒猫はまずそうだが、その点沙織ならばどんな相手がペアでもやっていけるだろう。桐乃と黒猫は仲はいいんだけど、ことゲームやアニメになるとすぐ熱くなっちゃうからなあ。

「ちっ……あんたが下手くそとか、今さら言われなくてもわかってるっての」
「下手くそのあなたを大事なパーティー編成の場に呼んだのは、もっと別の意味があるからよ」

別の意味? なんじゃそりゃ。今回は勝ちに行くのが目的じゃないってこと?

「じゃあ、その別の意味ってなんなんだ?」
「えっ!?……そ、それは」

急にまごつき、おろおろと慌てだす黒猫。これが漫画なら、「あわわ」という書き文字がついていたに違いない。
まあ、黒猫の表情を普段から観察してない人間には、このわずかなリアクションを感知することはできなかっただろうけどな。
しかし……この慌てよう。確かに何か裏があるみたいだな。

「お、お兄様! これには深いわけがありまして!」

沙織が慌てて助け舟を出す。

「じ……実は、拙者たちでも話し合ったのですが……話が平行線のまま一向に決まらなかったのです。ですから、ここはお兄様にパートナーを選んでいただこうということに……。決定後はお互いに文句は言わないという条約も取り決めております」

ここまで言われて俺はようやく気が付いた。
そりゃそうだ。誰も好き好んで下手くそと組みたくないわな。それこそ勝ちに行きたいなら当然の話だ。なんでそこまで頭が回らなかったのか。

「要は、不幸な人身御供を一人選べと。そういうことだな?」
「不幸? よくわかりませんが……まあ、そういうことでござる」

三人を見回してみれば、沙織は自分の指を絡ませながらなにやらもじもじとしている。
桐乃は桐乃でいつものように腕を組み不機嫌そうにそっぽを向いているし、今日は黒猫まで桐乃と同じポーズを取っている。向いてる方向は正反対だけど。
誰かを選べと言われてもな……。正直選びかねるよなあ。
俺が足を引っ張ることになるのが目に見えてて、いたたまれない。せめて俺にそれなりの腕前があれば話は違ったんだろうけどさ。
……いつまでも悩んでいても仕方ない。ベストな答えがない以上、ベターな答えを探すしかないだろう。
そして、こういうときは消去法にしてしまうのが一番いい。


356 名前: ◆5yGS6snSLSFg[sage saga] 投稿日:2011/02/24(木) 19:26:14.80 ID:4wpeXllNo [4/8]
まず、沙織と組むのはない。俺が沙織と組んだ場合、必然的に桐乃と黒猫が組むことになるわけなのだが、それはまずい。
桐乃と黒猫は友達としては相性抜群なんだろうが、ゲーム中においては足の引っ張り合いになってしまうのは想像に難くない。
こいつらが昔モンハンやってたころ桐乃が「黒猫に嫌がらせプレイされた」って愚痴ってたくらいだからな。
そして俺と組んだ沙織も、俺が足を引っ張った結果、二組仲良く共倒れ。そんな未来しか見えない。

では、桐乃or黒猫と組んだ場合はどうか。
黒猫と組んだ場合、二組の力量は確かに釣り合いが取れたものになるだろう。あるいは、俺というハンデがあっても黒猫の方が上手かもしれない。
だが大会と銘打ったものである以上、腕に覚えのある猛者が続々と集まってくるはずだ。生半可な戦力では太刀打ちできないだろう。
黒猫はゲーマーで、なおかつゲームに関して妙なプライドを持っている節がある。なるべくゲーム中で最弱キャラを使って勝つ……だったか?
そして、せっかく大会に出る以上、俺と組むよりは沙織と組んで勝ちを狙いたいと思っているはずだ。
桐乃に関しては……なんというか、こいつ自身がプライドの塊みたいなやつだからなあ。
俺と組んで負けるのも嫌だろうし……かといって黒猫と組ませるのもなあ。
ああ、なんて厄介なやつらなんだ。

……なんで俺が監督業みたいなことをせにゃならんのだ。この中じゃ俺が一番門外漢だろうが。
まあ、オタク知識の薄い俺がいくら悩んでも仕方ない。実際、その大会がどの程度の規模なのかすら知らない有様だからな。
ここは素直に自身のフィーリングとやらを信じることにするか。

「じゃあ、桐乃と組むわ」

俺たち四人を一つのグループとして見て、勝ちにこだわるのならばこの配置以外ありえない。
まあ、理由はそれだけじゃないんだけどね。
……なんだか見てて危なっかしいんだよな、桐乃って。気を抜いたら自分の親や友人の前でオタクグッズをぶちまけちまいそうな感じがして。……あくまでもイメージだぞ。
沙織と黒猫は妙にしっかりしてるから、そんなこと感じないんだけどさ。沙織と黒猫は俺の二つ下だが、桐乃だけは三つ下ってことも関係しているんだろうか。
……俺がロリコンだとかそういう意味じゃないぞ、決して。

「えっ!?」

この決定に一番驚いたのは桐乃本人だった。
まあ、貧乏くじひかされたわけだからそういうリアクションとっちまうのもわかるけどさ。もうちょっとオブラートに包もうぜ。泣いちゃうぞ、俺が。
案の定、沙織と黒猫は桐乃を憐れむような目で見ている。

「桐乃、すまない」

桐乃の肩に両手を置き、謝罪する。
手を置いた瞬間びくっと体を震わせたかと思うと、俺の顔を見てぱくぱくと口を動かしている。
だが、言葉が上手くでてこないようで、何かを言うでもなくそのままぷいっと顔を背けてしまった。
言葉も出ないほどとは……恐らく、相当キレているに違いない。
俺は沙織たちの方に向き直り、こう続ける。

「上位入賞への水先案内人はこの高坂京介と桐乃が引き受けた! これは死ではない! 沙織たちが生きるための!」

完全に、いつものスイッチが入っている俺だった。
そんな俺を冷めた目で見つめる黒猫。沙織はぐるぐる眼鏡のせいで目元はよく見えないが、恐らく黒猫と一緒のリアクションをしていることだろう。
ちょ、そんなリアクションされるとこっちが恥ずかしいんだけど。


357 名前: ◆5yGS6snSLSFg[sage saga] 投稿日:2011/02/24(木) 19:27:42.99 ID:4wpeXllNo [5/8]
大会当日。俺たちはシスカリ大会に参加するため、秋葉原に集まっていた。
ふっふっふ、俺だってこの一週間、ただ漫然と過ごしていたわけではない。実は、沙織や桐乃に教えてもらいながらシスカリの特訓をしていたのだ。
劇的に上達したってわけではないが、それでも幾分かはましになっているはずだ。
ちなみに黒猫にも講師をお願いしたのだが、レベルが違いすぎて全く参考にならなかった。

「そういえば、大会ってどこでやんの?」
「会場はso○map内のイベントフロアとなります。すぐそこですな」

沙織たちの後に続き、会場へと移動する。
会場は既にオタクたちで埋め尽くされており、イベントが始まるのを今か今かと待ち構えていた。

「……結構な人数来てんな」

まさか全員が参加者ってわけじゃないだろうが、それでもざっと見回して100人以上はいるように見える。
こいつらとやりあって勝てるんだろうか、黒猫たちはともかくとして。なにせ相手は沙織や桐乃、そして黒猫よろしく本気でこのゲームを愛しているような奴らなのだ。
俺、すっかり自信なくなってきたぜ。

「ちょっとなに冴えない顔してんの?」

俺の不安を見抜いたのか、桐乃が声をかけてきた。

「大丈夫だって、あんだけ練習したんだしさっ」

そして、ぱんっと背中を叩かれた。

「……そうだな。ありがとよ」

まったく、こいつは……。普段は横暴なくせに、たまに見せるこういうところがずるいと思う。
俺が礼を言うと、桐乃は「にひひ」とくすぐったそうに笑ったのだった。

結果から言うと、俺と桐乃は2回戦負けだった。
決してコンビネーションは悪くなく、むしろ良かったくらいなのだが、如何せん、付け焼刃の俺では地の力量に差がありすぎた。
俺が集中攻撃でKOされると、桐乃一人ではどうしようもなくあえなく敗退となった。
ちなみに黒猫と沙織はあれよあれよと勝ち進み、今から決勝戦が行われるところである。
沙織が相手の一人を足止めして、その間に黒猫がもう一人をぼこぼこにし、それから二人でもう一人を片付ける。二人はそんな戦法で順調に勝ち進んでいった。

「あいつらすげえな」
「黒いのもこういうのだけは上手いからね~。人間、なにかしら一つくらいは才能があるってことじゃない?」

友達に向かってひどい言い草である。
これが額面通りの意味ならば一言言ってやらねばならないが、こいつらの関係においてはそうではない。
桐乃も黒猫もお互いに素直じゃねえからな。こいつはこれでも一応黒猫のことを褒めているのだ。
訳すなら、「さすが黒猫。やるじゃん」ってところだろうか。
当初こそ戸惑ったものの、こいつらのやりとりは端から見ていてとても微笑ましい。もっとも、沙織は初めからわかってたみたいだけどな。

「沙織、黒猫! 頑張れよ!」

素直になれない桐乃の分も合わせて、大声で声援を送る。
俺の声を聞いて、沙織はこちらに向かって手を振る。黒猫はちらりとこちらを一瞥して、そのままステージへと向かっていった。


358 名前: ◆5yGS6snSLSFg[sage saga] 投稿日:2011/02/24(木) 19:29:32.23 ID:4wpeXllNo [6/8]
「おしかったな。あとちょっとだったのにさ」
「黒猫氏、申し訳ありません。拙者がもっとしっかりしていれば……」

しょぼーんと、項垂れる沙織。

「あなたのせいではないわ。私が相手を処理するのに手間取ったせいでもあるのだから」

決勝戦も今までの戦法で挑んだ二人だったのだが、さすがに決勝戦だけあって黒猫の相手も中々沈まなかった。
積極的に攻撃してこず、守りに比重を置いた相手を攻め崩すというのは黒猫の腕をもってしても難しいらしい。しかも決勝戦まで残るような腕前のやつが相手だ。
そしてついに沙織がこらえきれずKOされると、さしもの黒猫も2対1では厳しく、そのまま敗北と相成った。
いわば、今まで二人がやってきた戦法でやられたようなものだ。

「ま、賞品は手に入ったんだし。よく頑張ったよおまえらは」
「……そうですな。お目当ての物は手に入りましたし、早速戦利品の分配と行きましょう!」

沙織はそう言って、ごそごそと賞品の入った袋を漁りだす。
事前に確認したところ、3人のお目当ての賞品は被ることはなかった。ただ一つを除いては。

「……さて、問題のこれの処遇ですが…………」

沙織が最後に取り出したのは、3人が3人とも欲しいと言っていた、ゲーム内でキャラに着せることができるコスチュームのデータである。
悲しいことに、このデータを使用できるのは一人だけらしい。タッグ戦の大会のくせに、なんてもんを賞品にしとるんだと突っ込まずにはいられない。
沙織曰く、何人でも使えるようにすると希少価値が下がるとかなんとかって理由かららしい。
こりゃあ、盛大な争奪戦が勃発しちまうな……。そう思っていたのだが、一番意外な人物が真っ先にその争奪戦からドロップアウトした。

「あ、あたしはいいや」
「えっ!?」

真っ先に争奪戦を降りたのは桐乃だった。

「だって、それはあんたらが頑張って勝ち取って来たんだから、何もしてないあたしが貰うのは筋違いでしょ」

き、桐乃が至極まともなことを言っている!?

「いてえ!?」

露骨に“驚愕を禁じ得ない”という表情をしていたせいか、桐乃に脛を蹴られてしまう。

「ふんっ……ま、あたしはもっといいものもらったしね。それについてはあんたらで決めて」

そう言って桐乃はくるっと振り返り、上機嫌に歩いていく。
いいもの? ……他の賞品のことだろうか。


359 名前: ◆5yGS6snSLSFg[sage saga] 投稿日:2011/02/24(木) 19:30:52.28 ID:4wpeXllNo [7/8]
「いてえ!?」

桐乃の言葉の意味を考えていると、黒猫にふくらはぎを蹴られ、沙織に脳天にチョップをかまされた。

「な、なんなのおまえら!? 俺に一体なんの恨みがあるの!?」 

黒猫はともかく沙織まで!
両人とも、びきびきとこめかみに力が入っているのがわかる。

「ああ、呪わしい。魔界に送ってやろうかしら」
「今日の正座は20分で許して差し上げますわ」

黒猫は何か変な電波を受信しちゃってるし、沙織はなにやらご立腹なようだ。沙織はなんでそんなに俺を正座させたいんだ。
あまりの怒りのためか、いつものお嬢様口調に戻っている。あるいは、俺を怒る時はその口調と決めているのだろうか。
丁寧な口調で怒られるのって怖いし、俺としてはござる口調で怒ってくれた方がいいんだけどな。

「あんたら何してんの? ほら、さっさと帰るよ!」

少し離れたところで俺たちがついてきていないことに気付いた桐乃が、大きな声で俺たちを呼んだのだった。



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