無題:8スレ目853


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853 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福井県)[sage saga] 投稿日:2011/03/23(水) 22:40:47.42 ID:3bR2WwCzo [12/17]
「むぅぅぅぅぅ……」

コレを読んでる諸君等は、「おいおい、またかよ」なんて思うだろうが、一応自己紹介させてくれ。
毎度のことで申し訳ないが、「お約束」というのは大事なんだ。こうやって積み重ねていくことで「様式美」へと発展する。
CMでも言ってるだろ?「まほうのことばで、たのしいなかまがポポポポォォォォンッ!!」ってな。
俺の名前は高坂京介。今年の春から大学生となった19歳。
自分で言うのもなんだが、ごく平凡な大学生で、所属しているサークルはないし、趣味だって特筆するようなもんはない。
そんな俺がPCディスプレイを睨みながら奇声を発してたら、普通だったら心配するところなのだが……。
まあ、なんだ。ウチのお袋様の場合はちょっと違う。

「京介ぇ~、買い物行くのめんどくさいから、あんた代わりに行ってきてぇ~」

相変わらずノック無しで息子の部屋に入ってくるこのオバサン。以前までは口を酸っぱくして言い聞かせてたんだが、今ではそれもやめてしまった。
だっていくら言っても聞かねえんだもん。俺でなくても嫌になるわ。
そんなお袋の理不尽な要求に耳を貸さず、俺はディスプレイを見続けている。

「あ~ら~?あんたまたエロサイト見てたの?」
「なんで俺がPC使ってる=エロサイト鑑賞ってことになってるんだよ!?」

なんて嫌な方程式だ。それもこれも、ウチの妹様がこのお喋り女に告げ口したのがきっかけだ。
まぁ……ね。俺の自業自得とも言えなくはないが……。
俺は体を少しどけて、お袋にもディスプレイが見えるようにした。

「あんたの趣味なんてわかってるんだから、今さら見せられてもねぇ~」
「エロサイトじゃねえっつってんだろ!!」

ちくしょう……。実の母親をこんなにブン殴りたいと思ったのは久しぶりだぜ。
俺の必死さが伝わったのか、お袋は渋々といった体で、今表示されているサイトをやっと見た。

「自動車免許?な~に、あんた免許取るつもりなのぉ?」
「そうだよ。無いより有った方がいいからな」

そう、俺は今、普通自動車免許を取得しようと考えているわけだ。
ただ、自動車学校に入校したことのあるヤツならわかると思うが……金が掛かるんだよ、結構な。
けど、俺が悩んでるのはそのことじゃない。いや、それもあるけどな。
自動車免許と一緒に「二輪免許」を取ろうかと思ってるんだ。
ただ、それには一つ問題がある。……資金である。
高坂家の長男の扱いは、非常に悪いからな。
これが桐乃だったら、二輪免許取得料金まで親父達が出してくれるんだろうが……。

「ま、あんたの好きにすればいいんじゃない?それより、ほら。早く買い物行ってきてよ」

はぁ~~~~~。人使い、いや息子使いの荒い母親だぜ。
桐乃は常々親父似だと思ってたが、あの理不尽さはお袋似だな。

854 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福井県)[sage saga] 投稿日:2011/03/23(水) 22:41:17.42 ID:3bR2WwCzo [13/17]
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散々悩んだ結果、俺は大型二輪まで取ることに決めた。
時間があるときに取っちまった方が楽だしな。
当然、料金も大いにかかったさ。全部で四十万近いお値段だ。
これでも、多少は割り引いてくれたんだぜ。おかげで、俺の貯金でなんとかまかなえたってわけだ。
免許取得後に買う予定のバイクは、ローン組んで、バイトでもしながら払っていくしかないけどよ。
ちなみに今は、大学近くの自動車学校で教習までの待ち時間を潰しているところだ。
度重なる出費で気が滅入っているところに、聞きなれた声が耳に入ってきた。

「あれ?高坂じゃねえか」
「なんだ、赤城か」
「相変わらず連れねえなぁ」

一応紹介しておこう。
たった今、俺になんの断りも入れず隣に座ってきたこの爽やかイケメン野郎の名前は赤城浩平。
高校時代から親交のある友人で、妹のことで頭を悩ます兄貴仲間だ。違う点は、コイツは最高純度のシスコンであるが、俺はそうじゃないという点だな。

「お前も免許取りに来てるのか?」
「それ以外の理由で、こんなトコに来るヤツがいるのか?」
「はは、そりゃそうだな」

そういうコイツも、自動車免許を取りに来ているのだろう。んで、車を買ったら最初に乗せるのは妹の瀬菜だな。うん、間違いない。
そう言えばコイツ、アキバのアダルトグッズショップに行ったとき「バイク買うために貯金してる」って言ってたな。

「なあ赤城。お前、二輪免許持ってるんだっけ?」
「おお、持ってるぞ。それがどうした?」
「いや、俺も取る気でいるからさ、良いバイクショップを知ってるんなら教えてほしいと思ってよ」
「ほ~ぅ。お前が二輪ねぇ」

なんだ、その意外そうな面は。そんなに似合わないか?

「意外そうな面すんな。ムカつく」
「はは。そう邪険にすんなって。でも、またなんでいきなり二輪取ろうと思ったんだよ」
「男の子ならバイクに憧れてもおかしかないだろうが。それに、取るなら時間があるときに取っちまった方が楽だからな」
「そうだな。んで、同時進行で教習中なのか?」
「いや、先に車の免許を取ってからってココのオッサンに言われた」

そう、予定としてはまずは自動車免許を取ってから二輪に移行することになっている。
なんでも、二輪は路上教習が無いからこういう流れなんだとよ。それに、自動車免許があれば筆記は無くなるからだとも言われた。
大学の帰りや休日に来る予定だから、免許取るまでにどのくらいかかるんだろうな。
ちなみに「合宿免許」という制度もあるらしいが、それはやめといた。

「そうか。じゃあ、二輪取るまでは結構あるんだな」
「そうだな。なるべく来るようにはするが、結構かかるだろうな」
「希望の車種とかはあるのか?」
「具体的には決めてないが、250ccのヤツを買おうかと思ってる。基本、街乗りだろうしな」
「んじゃ、時間あるときに連れてってやるよ。そこで色々見てみようぜ」
「わかった。じゃ、頼むわ」

こうして、俺のライダー化は着々と進んでいった。

855 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福井県)[sage saga] 投稿日:2011/03/23(水) 22:41:55.66 ID:3bR2WwCzo [14/17]
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自動車学校に通い出してから一ヵ月半が経った。
時間を見つけては教習を受けた甲斐があり、普通自動車免許の方はすでに取得済だ。今は普通二輪の教習を受けている。

「ねえ」
「……あん?」

休日の教習を受け終わり、帰宅後リビングで麦茶を飲んでいると、我が家の誇りである妹様が雑誌を読みながら話しかけてきた。

「ここ最近、帰りは遅いし休日も出かけてるけど、なにしてんの?」
「自動車学校行ってる」
「はぁ!?聞いてないんですケド……」

そりゃ、言ってねえからな。そもそも、お前に言う必要がどこにあるというんだ?
そして、何故不機嫌そうな顔をしている?あれか?最近付き合いが悪いからか?そりゃ悪かったな。

「いつから通ってるワケ?」
「一ヵ月半前からかな……」
「そんだけ通ってて、まだ行ってるの?なに、アンタ免許も一発で取れないほど馬鹿なの?」
「車の方はもう取ってるよ。今は二輪の教習受けてんだ」
「はあ!?それも聞いてないんですケド……」

そりゃ、言ってねえからな。そもそも、お前に言う必要がどこにあるというんだ?
そして、何故不機嫌そうな顔をしている?ワケわからん。

「そっちの教習はいつまでかかんのよ」
「さあな。始めたばっかだから、また一ヶ月半くらいはかかるんじゃね?」
「二輪って、そんなに時間かかるの?」
「大型二輪の教習もあるからな。かかると思う」
「大型まで取る気なの!?聞いてないわよ!!」

そりゃ、言ってねえからな。そもそも、お前に言う……いや、もうやめよう。

「そういうわけだから、お前や黒猫、沙織には悪いけどよ。しばらくは一緒に遊べないわ」
「べ、別に。アンタがいようがいまいが、こっちには関係ないっつうの!」
「へーへー。さいですか」

まったく、怒りっぽい妹様だぜ。
俺はこれ以上の怒りを買う前に、そそくさと自室へ退避した。

856 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福井県)[sage saga] 投稿日:2011/03/23(水) 22:42:20.59 ID:3bR2WwCzo [15/17]
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さて、また時間は過ぎて二ヶ月後。つまり、俺が自動車学校に通い出して三ヵ月半が経ったわけだ。
途中、大学の方が忙しくて教習を受けられない期間もあったが、なんとか人が混み合う夏休み前には大型二輪免許まで取得できた。
そして今日は、俺が注文したバイクが届く日である。
大型二輪を取る少し前にバイクショップで注文し、今日の午前中にバイクショップの兄ちゃんが届けてくれる予定となっている。
俺が自室でソワソワしていると、机の上に置いていたケータイが震えた。

「は、はい。高坂です」
「高坂様ですね?バイクショップ○○の高橋と申します。あと三十分ほどでそちらに着くと思いますので、よろしくお願いします」
「は、はい。お待ちしてます」





「それじゃ、確かにお届けしましたんで。ありがとうございましたー」
「はーい。ご苦労様でしたー」

バイクの簡単な説明と、マニュアル、付属パーツを渡し終わると、高橋さんはバイクを運んできたトラックに乗り込み、我が家の前から去っていった。

「ついに……。ついに、来たか」

俺が購入したのは、HONDA VTR B-STYLE。もちろん新車だ。
赤城とショップに行ったとき、展示されていたコイツを見つけた。
赤と黒で構成されたカラーリング、バイクらしいフォルムに惹かれ、こいつにしようと即決した。一目惚れと言ってもいい。
こうやって目の前にすると、なんとも言えない満足感と高揚感が俺の心から湧き上がってくる。
その代わりと言っては何だが、しばらくはローン生活なんだけどな。
俺は一旦自室に戻り、あらかじめ買っておいたフルフェイスメット、ライダースジャケット、皮手袋を持ち、踝までガード出来るショートブーツに履き替えて外に出た。
装備を適当な場所に置き、バイクにキーを差してシリンダーを回す。
ヘッドライトが点き、エンジンの始動準備が整う。
俺はよく知らないんだが、今のバイクは昔に比べるとエンジンの始動がずいぶんと楽なんだとよ。
クラッチを握り、スタータースイッチを押すと……力強いエンジン音が轟き始めた。

「おお!」

たったこれだけのことなのに、俺は感動しちまったよ。この気持ち、わかるかな~。
俺は暖機のためにエンジンを点けたまま、ジャケットを着て、手袋をはめた。あと数分で、俺は公道を初めて走行する。
ワクワクしながら暖機をしていると、家の玄関扉が開き、桐乃が出てきた。

「ちょっと。朝からうるさいんですけど」
「あ、すまん。あとちょっとしたら移動すっからよ。悪いけど我慢してくれ」
「あっそ。へぇ、バイク届いたんだ」
「おお、ついさっきな」

文句を言ってきたときは、思いっきり眉を顰めていた桐乃だが、今はなにやら興味深そうにバイクを眺めている。
女の子なのに、こういうモノに興味があるのかね。珍しい。

「これから乗るの?」
「おう、初ライドだ」
「キモ。なにイキイキしてんの」

フハハハハハッ!悪いが桐乃よ、今の俺にはお前の罵倒なんぞ通用せんぞ!まるでそよ風のようだ!
そんな俺の様子が気に入らなかったのか、桐乃はぷいっとそっぽ向いてしまった。フッ、可愛いやつめ。
だが何か言いたいことがあるのか、顔を背けつつも視線はこちらに向けられていた。

「どうした?なんか言いたいことがあるのか?」
「せ、せっかくバイク買ったんだから……その……」

ん?何を言い淀んでるんだ、コイツは。顔もやや赤いし。
俺がそんなことを考えていると、桐乃はやっと言いたいことを口にした。

「こ、今度!私を後ろに乗せなさい!」

大声でそう言った。
は?なに言ってんだコイツは?ああ、そうか。コイツ、道交法なんて知らないもんなぁ。
しょうがない、ここはお兄ちゃんがキチンと教えてやるか。

「そりゃ構わないけどよ。二人乗りするには、免許取得して一年経過しないと出来ないぞ」
「え……?」
「だからよ、最低でも一年は無理だ」

俺がそう言うと、桐乃はずいぶんと間抜けな顔をしていた。やっぱ知らなかったんだな、コイツ。



おわり

857 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福井県)[sage saga] 投稿日:2011/03/23(水) 22:42:53.52 ID:3bR2WwCzo [16/17]
おまけ


どうやら、考えることはみんな一緒のようです。


-黒猫の場合-

「あの女から聞いたのだけれど、二輪免許を取ったそうね、兄さん」
「ああ。つか、兄さんはやめろ」
「いいじゃない。そんなことより、私はいつ、兄さんの後ろに乗せてもらえるのかしら?」
「最低でも一年は駄目だ。法律でそう決まってる」
「え……?」


-沙織の場合-

「聞きましたぞ、京介氏。なにやら二輪免許を取得し、すでにバイクも購入済だとか」
「おお。耳が早いな」
「きりりん氏からの情報でござる、して、京介氏。拙者、京介氏にひとつお願いがあるのでござるが……」
「大方予想はつくが……言ってみろよ」
「ええ。拙者を後ろに……」
「二人乗りは免許取得から一年経過しないと出来ないから駄目だ」
「ちょ!まだ言い切ってないでござるよ!」


-麻奈実の場合-

「きょうちゃ~ん。ばいくを買ったの?」
「おお。誰から聞いたんだ?」
「赤城くんだよ~。でも、意外だな~。きょうちゃんがばいくに興味があったなんて」
「男の子だからな。あ、二人乗りなら一年間は出来ないからな。法律で決まってるんだ」
「え!?わ、わたし、まだなにも言ってないよ~」
「いや、最近その話題になると同じことを聞かれるんでな。先に言っておいた」
「も、もう~。(なんでばれたんだろ?)」


-あやせの場合-

「お兄さん、バイクを購入したそうですね」
「二人乗りしたいなら一年待ってくれ。真っ先にあやせを乗せるから」
「……まだ何も言ってませんし、お断りします」


-赤城の場合-

「お~い高坂~。バイク届いたんなら後ろに……」
「なんで免許持ってるお前までそう言ってくるんだよ!!」


おわり
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