無題:9スレ目683


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683 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福井県) [sage]:2011/04/27(水) 02:02:59.09 ID:nM3F6G8yo

「ところで皆の衆。来週の日曜は何かご予定がおありですか?」

日曜のアキバ、いつものメイドカフェ。
そこで先程入手した戦利品をお披露目している中、沙織がこう切り出してきた。
いきなりなんだ? とは思いつつも、俺達は素直に答える。

「俺は何もないけど」
「あたしも特には」
「私も、今のところ何もないわ」

揃いも揃って予定がないとは、なんともさびしい気もするが、それは今気にすることではない。
俺達の答えは沙織にとっては都合が良かったらしく、口をωにしながら、沙織はある提案をしてきた。

「それは重畳。では、来週の日曜、皆様のお時間を拙者にいただきとうござる」
「それはいいけどよ、なにをするんだ?」
「実は、皆様にはある実験に参加していただきたいのです」
「実験?」

学校の授業以外ではなかなか聞くことの出来ない「実験」という単語に、桐乃が顔をしかめた。
顔には出さないが、俺と黒猫も内心では不安を覚えている。
それを察知してか、沙織はすかさず説明を開始した。

「実験とは申しましても、危ないことをするわけではありません。皆様には、三時間ほど眠っていただくだけでござる」
「眠るだけの実験……というわけではないのでしょう?」
「黒猫氏の仰るとおり。実験というのは、皆様が睡眠中に見た『夢』の内容を記録する、というものでござる」
「『夢』の記録?」

ーーーーーーーーーーーー

そして次の日曜。
俺、桐乃、黒猫は都内某所にある研究機関にやってきた。
門前にある警備員の詰め所に氏名を伝えると、程無くして厳めしいゲートが開かれ、中へ通された。
訪問者のための待合室に通され、しばらく待つように言われた俺達は、備え付けのソファに座り、思い思いに時間を潰し始めた。
それから二分ほどして、清楚なワンピースを纏った美女と研究員らしき白衣の男性がやってきた。

「皆様、よくお出でくださいました」
「ま、友達の頼みだからな。無下にはできねえよ」
「そうそう。それに、なんか面白そうだしね」
「人間如きの力を見るには、いい機会だっただけよ」

言葉は違えど、俺達が言いたいことは同じだ。要は、「気にするな」と言いたいだけである。
沙織は柔らかな笑みを浮かべながら、俺達に静かに頭を下げた。
それから、一緒にやってきた研究員に指示を出し、今日行う実験の説明を始めた。
前回集まったときにも大まかなことは説明されたが、今回は専門家による詳しい説明だ。
インフォームド・コンセントというものらしく、俺達はこの説明を聞いた上で、この実験への参加を決められるらしい。
つまり、拒否することも可能だということだ。

これから行う実験は、沙織が言っていたとおり「『夢』の記録」をするというものだ。
被験者は、睡眠に入る前に記録に必要な器具(ヘッドギアみたいなもの)を装着し、三時間ほど眠る。
その器具を使い、レム睡眠中に発する脳波から夢の内容を映像化し、外部記憶装置に記録するらしい。
すでに5,000人ほど実験に参加してもらい、これまで事故は起きていないので比較的危険性は低いと説明された。

大体はこんな感じだ。沙織から聞いていたのと大差はない。
あとは、この器具にはアメリカのなんとか大学で研究されているVR(Visual Rebuilding)技術が使われてるだの、
ゆくゆくは遷延性意識障害(俗にいう植物状態)の患者の治療に使うだのという説明もあったが、専門的過ぎる上に興味がないのでほとんど覚えていない。
研究員による説明が終わると、俺達に一枚の書類が手渡された。実験参加への同意書である。
参加に当たって、色々と誓約事項があるのだ。
普通だったら「事故が起こってもこちらは責任を取りませんよ」なんて書かれたりするものだが、この同意書には書かれていなかった。
逆に「事故が起こった場合は、いかなる賠償にも応じます」なんて書かれてやがる。余程、安全性に自信があるのかね。
あとは、この実験に関する出来事をいかなる企業にも口外しないこと、なんてことが書かれてるくらいだ。
これは技術流失を防ぐための措置だろうな。と言っても、俺達のような学生にはあまり関係ないように思えるが。
俺は同意書に名前を記入し、用意された朱肉を親指に塗って判を押した。隣を見ると、桐乃と黒猫も同じようにサインし、判を押していた。

「実験へのご協力、感謝します。係りの者が来るまで、しばらくお待ちください」

研究員のおっさんは俺達がサインした同意書を集めると、部屋を後にした。

「急なお願いで申し訳ありませんでした。今回の実験、父からわたくしの友人にも参加してもらえないかどうか聞いてくるように頼まれたもので……」
「沙織が気にすることじゃねえよ。それに、こう言っちゃあなんだが……ちょっとだけ楽しみなんだよな」
「楽しみ……ですか?」
「おう。だってよ、普通はすぐに忘れちまう『夢』の内容が見れるんだぜ。考えただけでワクワクしねえか?」

俺の話しぶりがおかしかったのか、沙織は柔らかく微笑んだ。いつもとは違うお嬢様モードだから、不覚にもドキッとしちまったのはここだけの秘密だ。
研究員のおっさんが出て行ってから十分後、違う研究員の人が部屋にやって来て、俺達を案内してくれた。

ーーーーーーーーーーーー

案内された部屋には、簡素なベッド、その周囲には仰々しい機械とコード。その先にはこれまたゴツい機械が設置されていた。
その機械の近くには、研究員が数名作業をしていた。
ちなみに桐乃と黒猫は、俺とは違う部屋に案内されている。何でも、夢の内容を他者に知られないための配慮だとか。個人情報保護ってヤツかね。

「では、そちらのベッドで眠っていただけますか。時間になりましたら起こしますので」
「あ、はい。わかりました」

部屋に案内してくれた研究員に促され、俺は上着を脱いでベッドに横になった。
手首に脈拍を測るためのバンドを巻かれ、あらかじめ説明されたヘッドギアを装着された俺は目を閉じた。
睡眠を促進するためのアロマでも焚かれているのか、程無くして俺の意識は深く深く落ちていった。



「……さん。こ……かさん」
「ん……」

なにやら声が聞こえる。けど、俺は眠いんだ。もう少し寝かせてくれよ。

「こう……さん。高坂さん、起きてください」
「……んあ」

体を大きく揺さぶられ、俺の意識は強制的に覚醒された。
周囲を見渡すと、見慣れない白衣の人物が数人。それとゴツい機械群が目に入った。

「おはようございます、高坂さん。ご気分はどうですか?」
「へ……? あれ……?」
「実験は無事終了しましたよ。どこか優れないところはありますか?」
「い、いえ! 大丈夫です!」

「実験」という言葉で、俺は今の自分の状況を思い出した。
俺の言葉を聞いた研究員は笑顔を浮かべ、眠気覚まし用の熱いハーブティーを差し出してくれた。

「今見た夢の内容、覚えてらっしゃいますか?」
「え……と、ぼんやりとは」
「結構です。その内容を忘れる前に、記録した内容を確認していただけますか?」
「はい、わかりました」

ハーブティーを飲み終え、意識が完全に覚醒した俺は研究員に連れられ、夢の内容を記録した機械が設置してある場所に向かった。
大きなモニタには、様々なデータが映し出されていたが、それぞれが何を意味しているのかは俺にはわからない。
そのモニタに、新たなウィンドウが表示された。

「ここに高坂さんの夢の内容が表示されますので、確認をお願いします」
「わかりました」

俺は夢の内容を思い出しながら、指示されたウィンドウを見つめた。え~と、確かあやせが出てきた気がするんだよな。
場所は……俺の部屋だっけか?

『お兄さん、今日は大事なお話があるんです』
『メールにも書いてあったな。それで、どうかしたのか?』

俺の記憶は正しかったらしく、ウィンドウには俺とあやせが映し出されていた。
場所は俺の部屋。服装は互いに制服。俺は椅子に座り、あやせは俺のベッドに腰掛けていた。現実ではお目にかかれない光景だ。


『その、ですね。えっと……』
『どうした? 言いにくいんなら日を改めるか?』
『い、いえ! どうしても、今日伝えたいんです!』

あやせはなにやら切羽詰った様子だ。というか、俺は夢の中でもあやせに相談をされてるのかよ。あれか? 俺って実は相談されるのがすごく好きなのか?
そんなとりとめもない事を考えていると、ウィンドウ内のあやせはなにやら決心した様子で立ち上がり、椅子に座る俺に近付いていった。

「なっ!?」

あやせの次の行動を見た俺は、つい大きな声を上げてしまった。
だが、待ってほしい。あやせの行動を知れば、俺が驚いてしまったことも理解できると思う。
その……なんだ。夢の中のあやせはな……俺に近付いて……いきなりキスしてきたんだよ。しかも口に!
わかってくれるだろっ!? いくら夢の中とはいえ、あやせが俺にキスしてきたんだぜ!? そりゃ大声も出るってもんだ!
っていうか、これって俺が見た夢の内容なんだよな? なんて夢を見てるんだよ、俺!!
たっぷり十秒はあっただろうか。あやせはようやく、唇を離した。現実の俺同様、夢の中の俺も驚いている。

『あ、あやせ。一体何を……』
『わたし、お兄さんが好きなんです。必死でそれを隠してきましたけど、もう無理なんです。もう、この気持ちを抑えられないんです』
『いや、だからってよ、いきなりすぎるだろ』
『それについては謝ります。でも、もう抑えられないんですよ。だから……今日は、お兄さんにわたしの全てを奪ってほしいんです』
『は? そりゃどういう意味……』

夢の中の俺があやせの真意を聞こうとしたが、それは出来なかった。
なぜなら、あやせはいきなりスカートに手を掛け、ファスナーを降ろし始めたからだ。
ファスナーが全て降ろされ、灰色のスカートがあやせの細い腰から落ち……る前に、映像が終了した。

「え?」
「ここから先は、性的な内容が多分に含まれる映像となっていますので、この場ではお見せすることが出来ません」

間抜けな声を上げてしまった俺に、研究員の一人が優しく語り掛けてきた。
そう言えば、これって実験だったんだよな。それで、ここにいる人達は俺の夢の内容を……。
うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!! 今すぐ消えてなくなりたい!!

「それで、夢の内容はどうでしたか? 覚えていたものと変わりありませんか?」
「……はい。詳細は覚えていませんけど、出てきた人物と場所は合ってました」
「そうですか」

俺の回答を聞いた研究員は、手に持っているボードの上の紙になにやら書き留めている。
今すぐこの場を立ち去りたいが、どうしても、どうしても聞いておきたいことがあった。

「あの……」
「はい、どうかされましたか?」

手元の書類に何かを書きながら、研究員は俺の声に反応してくれた。
俺は意を決して……どうしても聞きたいことを口にした。

「この映像って、もらえるんですかね?」

ーーーーーーーーーーーー

翌週の日曜。
俺達はいつものようにアキバに集まり、いつものカフェで他愛のない会話に花を咲かせていた。
最初は今期のアニメや新作ゲームの話だったが、ふとした瞬間に先週の実験の話になった。

「そういえば、皆の衆。先週はいかがでしたかな?」

沙織は他愛のない会話の延長として、この話題を振ってきたのだろうが、俺の内心は穏やかなものではなかった。
だってよ、内容が内容なだけに、あまり口にはしたくないんだよ。
桐乃や黒猫、沙織に知られるのもよろしくないが、あやせに知られるのはもっともよろしくない。最悪、俺はこの世とおさらばするかもしれんからな。
とか言いつつも、あの時見た夢の内容は、DVDに焼いてもらったんだけどな。ベッド下の秘蔵コレクションとは別の場所に大事に大事に仕舞ってある。
俺の内心とは裏腹に、桐乃と黒猫は楽しげに話し始めた。

「あれはすごかったよね。最初は胡散臭いなぁって思ってたけど、あとで映像見せてもらって驚いたもん」
「そうね。人間風情が、あのような魔具を造り出すとは、さすがの私も驚愕したものよ」
「はっはっはー。驚いていただけたようで何よりです。こちらとしても、大いに助かりましたからな。改めて御礼を言わせてくだされ。ありがとうございました」

沙織は快活に笑うと、体躯に比べて小さな頭をぺこりと下げた。

「ところで、京介氏達はどのような夢を見たのですか?」
「それって、こんなところで話してもいい内容なのかしら? 確か、無闇やたらに話すなと言われていたと思うのだけれど」
「心配には及びませんぞ、黒猫氏。夢の内容だけなら問題ないでござるゆえ」
「そう」

黒猫の質問にきっぱりと答えた沙織は、某有名女優と同じサイズである立派な胸を張り、自身の見た夢の内容を話し始めた。

「ちなみに拙者は、百式で宇宙(そら)を駆ける内容でしたぞ。いやはや、本物のバジーナになったようでしたな」
「私はこの仮初の器ではない、本来の器と力を取り戻して、この世を闇に沈める内容だったわ。あの感覚、ずいぶんと久しぶりだったわね」

沙織も黒猫も、なんともコイツ等らしい内容の夢を見たようだ。
一方、桐乃は……。

「どうかされましたか、きりりん氏? なにやら、お顔が赤いですぞ?」
「へ!? な、なんでもない! 大丈夫だから!!」

何を慌ててるんだ、コイツは。もしかして、俺みたいに恥ずかしい内容の夢だったのか?

「どうせ、貴方の大好きなメルルが出てくる夢でも見たんでしょ?」
「う、うん! そうなんだぁ~。メルルとアルちゃんがあたしの妹でさぁ~。うへへ……」
「きりりん氏、よだれが垂れておりますぞ」

夢の内容を思い出しているのだろう。桐乃はだらしない笑みを顔の貼り付け、半開きの口からよだれを垂らしていた。
ったく、これでティーンに人気の読者モデル様だってんだから、大したもんだよ。

「しょうがねえな。ほれ」
「んぅ……」

俺はポケットからハンカチを取り出し、桐乃の口を軽く拭いてやった。
桐乃は顔を赤らめたまま、俺にされるがままだ。黒猫と沙織はそんな俺達を、ニヤニヤしながら眺めている。

「おし、取れたぞ」
「ん……。ありがと」

ありゃ? 文句の一つでも言われると思ったが、礼が返ってきたぞ。コイツ、調子でも悪いのか?
俺がそんな失礼なことを考えていると、黒猫が声を掛けてきた。

「ねえ、さっき聞いた夢の内容。本当にメルルが出てくるものだったのかしら?」
「な、何言ってんのよ!? 当然でしょ。そんなことで嘘つく理由なんかないじゃん」
「本当にそうかしら?」
「あんた、何が言いたいワケ?」

さっきまで和やかな空気だったのに、なんでいきなり一触即発な状態になるわけ? 全く訳がわからないよ。
どうしてこの二人はすぐに口論になるんだい?
桐乃は黒猫を射殺さんばかりに睨みつけているが、黒猫の方はそんな桐乃の視線はどこ吹く風という感じだ。

「別に。ただ、貴方が見た夢の内容に、まだ登場してない人物がいるのではと思っただけよ」
「はん。妄想も大概にしときなさいよ、クソ猫。ま、一応聞いてあげるわよ。その出てきてない人物って誰よ?」
「決まってるじゃない。貴方の大好きな大好きな……お兄さんよ」

黒猫は桐乃に質問に答えて、俺に意味深な視線を寄越してきやがった。
おい、そこで俺に振るな。沙織も口元をωにしてニヤけるんじゃねえ。で、桐乃はと言うと……。

「ふ……ふ……」

なにやら小刻みに震えてやがる。
ヤバイ。何がかはわからんが、とにかくヤバイ。とりあえず、今は桐乃から距離を取った方がいい。俺のゴーストがそう囁いている。
桐乃から離れるため、俺が席を立とうとした瞬間……、

「ふざけんなぁぁぁぁっ!! そんなことあるワケないでしょうがぁぁぁぁぁぁっ!!」
「あいたぁぁっ!!」

桐乃が振り降ろした拳が、俺の脳天にクリーンヒットした。



おわり


~~~~~~~~


おまけ

――深夜 桐乃の部屋――

桐乃「ふへ……ふへへ……」←イヤホン装備中

桐乃『おにぃ~ちゃん♪』

京介『ん? どうかしたか、桐乃。いきなり抱きついてきて』

桐乃『ん~ん。なんでもな~い♪』

京介『そうか』ナデナデ

桐乃『んん~。お兄ちゃんの手、きもちいい~』

京介『そりゃよかった』

桐乃「ふへへ……おにぃ~ちゃ~ん……」

ガチャ

京介「お~い、桐乃。渡されたゲーム、コンプした……」

桐乃「ふにゃあああああああああああああああっ!! いきなり入ってくんなぁぁぁっ!!」ブォン!

京介「うごぉっ!」ゴンッ!



おわり
ツールボックス

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