無題:10スレ目177


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カチカチ。
机上のPCを操作し、荷物の配送状況をチェックする。
そこには一昨日(9日)から全く変わらない“配送センターを出荷しました。お近くの配達店まで輸送中です”の文字が表示されている。

「……チッ。どうなってんの? いつになったらあたしのエロゲは届くワケ!?」

念のため表示された問い合わせ番号を佐○の荷物追跡サービスのサイトに打ち込んでみるが――

“お問い合わせのデータは入力されておりません”

こちらも相変わらずの文言が並ぶだけである。

「なんなの!? ふざけてんの!?」


―――――――――――

兼ねてから目をつけていたエロゲの予約解禁の報を受け、実に発売日の1ヶ月前から予約を入れたあたし。
そして昨日ようやく発売日当日(10日)を迎え、あやせ達の誘いを泣く泣く断り、それでもルンルン気分は衰えることなく帰宅したというのに、我が家にAm○zonからの貢物は届いていなかった。
一応表示されているお届け日は発売日の翌日(11日)になってはいるのだが、以前別のゲームを注文した時はちゃんと発売日当日に配送されてきたので今回もそうなのだと油断していた。てっきり今日届いてると思ったのに……。

しかし、こんなことでキレるほどあたしは短絡的じゃない。
お届け日が発売日翌日(11日)となっているのだから、その日までは大人しく待っていてやろうじゃない。
ふん、あたしの心の広さにせいぜい感謝しなさい。これがもしあの黒いのだったら、今頃Am○zonの社員は呪いをかけられていたはずだから。


―――――――――――

そしてそれからさらに翌日(11日)。つまり今日(11日)。発売日の次の日(11日)。表示されたお届け日当日(11日)。

“配送センターを出荷しました。お近くの配達店まで輸送中です”
“お問い合わせのデータは入力されておりません”

未だ変わらぬこの文言。当然だが一言一句変化がない。

「なんなの!? ふざけてん…………あれ?」

いや、別のところに変化はあった。
出荷元とされる配送センターの所在地が最初は東京だったのに、今は千葉になっている。

「なあんだ、出荷元の方が近づいてくれてんじゃん。しかも千葉とかテラ地元だし。これで安心………………なわけがあるか! どういうこと!? 出荷元はどうでもいいんじゃボケェェェェェ!!」


―――――――――――

<ボケェェェェェ!!

今日も妹様の雄叫びが俺の部屋にこだまする。正直こっちとしてはおちおち寝て……勉強してもいられない。
見てろ? その内俺の部屋の扉が壊れんばかりの勢いで開かれ、眉を吊り上げ阿修羅と化した桐乃が乗り込んでくるから。

バァン!

ほらな。

「ちょっと兄貴! 人生相談があるんだけど!」
「怒りながら言う台詞かよ……」
「なに? 文句あんの!?」
「……ないっす」

どうだい? 最高にかわいい妹だろ?
へっ、あまりのかわいさに涙が出て来るぜ。

「で、人生相談ってなんだ?」
「ちょっとAm○zonの配送センターってとこまであたしの荷物取りに行ってきて」
「ただのパシリじゃねえか!」
「いいじゃん。どうせ家にいても寝てるだけなんだし」
「ぐっ……お、俺には受験勉強という大事な使命がだな」
「その割には机の上が綺麗なんですケド?」
「……今回だけだぞ!」
「初めからそう言えっての」

くそっ、少しは兄を敬えっての。
口に出すと怒られるから言わないけど。

「……でもさ、Am○zonって通販サイトだろ? いきなり配送センターってとこに行って荷物受取に来ましたって言ったらくれるのか? くれねえだろ」
「そ、それはそうかもだけど」

ネットの知識にうとい俺でも、さすがに通販サイト最大手であるAm○zonくらいは知っている。
その配達の仕組みも、そして、時々“konozama”と呼ばれる珍事を引き起こすということもだ。
だから、桐乃がご立腹である原因もなんとなく察しがついた。
昨日は桐乃が心待ちにしていたエロゲの発売日(と言ってた。俺がチェックしてるわけじゃないぞ)。そして俺が知る限り、昨日桐乃宛てに届いた荷物はなかった。
この二つの符号が意味するものは一つ。
ずばり、配達の遅れだ。
だが、それがわかったからと言って俺にはどうすることもできない。

「Am○zonが注文された品の配達を提携してる配達業者に頼んで、それで各家庭に届けられるんだろ? それなら俺たちには待つことしかできない。違うか?」

桐乃は無言で首を横に振る。違わない、という意味だろう。
こんな時はいつも、子供みたいに唇をとがらせて不満顔をするのが年相応でかわいいと思う。

「でも――」
「ん?」
「でも、なんか変なの」
「変って何が?」
「いつもと違うんだって。いつもはちゃんと“荷物が今どこにあるか”ってのが表示されるのに今回は表示されないの」
「いや、お前さっき配送センターにあるって言ってたじゃねえか」
「そうじゃないんだって! あ~もう、察し悪い~~!」
「……じゃあ、一体どういうことなんすかね?」


―――――――――――

「つまりおまえはちゃんと発送されたか心配ってわけね」
「だから最初からそう言ってんじゃん」

言ってねえよ。もしも、あの説明でおまえの真意を読み取れる奴がいるならそいつは間違いなくニュータイプだ。

「じゃあ電話でもして確認したらいいじゃねえか」
「できるわけないでしょ! この馬鹿!」
「なっ……ば、馬鹿とはなんだ! こっちは相談に乗ってやってるってのによ!」
「あんた、あたしが何買ったか知ってて言ってんの!?」
「すまん。俺が馬鹿だった」

そりゃあ問い合わせもできねえよな。女の子がエロゲの配送についての問い合わせとか気まずすぎる。
それに下手したら年齢詐称して買ってるのがばれちゃうわけだし。
仕方ねえ。ここは俺が一肌脱いでやるとするか。あくまでも、一刻も早く俺の平穏な時間を取り戻すためにだけどな。

「じゃあ、俺が問い合わせしてやっから。とりあえずそのエロゲのタイトル教えてくれ」
「うっ……」
「あん? 何詰まってんだよ。早くしろって」
「お……い………き」
「なんだって?」
「お兄ちゃん大好き!!」
「うおっ!? いきなり大声出すんじゃない!」
「もう二度と言わないかんね! さっさと問い合わせしろっ!!」

俺に蹴りの連打を浴びせた後、来た時と同じように勢いよく扉を開け放ち部屋を出ていくと、今にもドアをぶち壊しかねない勢いで閉める桐乃。

「くそっ……なんなんだあいつ。エロゲのタイトル言うのがそんなに恥ずかしいのかよ。……それにしてもいてえ」

いつもはこれでもかとエロゲ自慢してくるくせにな。
それにあんな大声で叫びやがって。お袋に聞こえてたら一大事だぞ。

「…………もう一回くらい言わせとけばよかったな、タイトル」


おわり



おまけ

「京介、桐乃。おまえ達に言っておくことがある」
「なんだよ。改まって」
「俺は桐乃の趣味には口を出さんと決めたが、現実とゲームとを混同することは認めておらん」
「ん? そりゃ、どういうことだ?」
「兄妹間での恋愛は認めんと言っているんだ!!」
「お、おとうさん!? 何言ってんの!?」
「違う! それは誤解だ!!  お袋おおおお! あれは誤解だってちゃんと説明したろ!?」


今度こそおわり
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