無題:10スレ目583


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583 ◆y8MRojr2/6 [sage saga] 2011/05/27(金) 22:42:06.56 ID:2Jys0UNn0

「あやせ!結婚してくれ!!!」
「この…変態ッ!!死ねぇぇぇぇぇ!!!!!ドゴォ!」
「うげぇっ!」

ハイ、また蹴り飛ばされた~。
いや、俺だって、いっつもこうなる度に『そろそろ学習するべきだ』とは自分でも思ってるんだぜ?
でもよ、あやせに会うとどうしても止められないんだな、これが。

「どうしてだあやせ!!どうして俺に毎度毎度こんな酷い仕打ちをするんだ!?俺はこんなにもお前を愛しているというのに!!!」
「またそんなこと言って………わ、私は、お兄さんの告白なんて信じられません!」
「お、俺の告白が信じられない!?何でだよ?」
「だって…お兄さんの告白はテキトー過ぎるじゃないですか!全ッ然気持ちが伝わってきません!
 はっきり言って、今まで受けた告白の中でも最低です!!」
「な、なっ……………」


なんだとぉ!?俺の告白がテキトー?最低クラス?納得いかん!納得いかんぞ!!
『結婚してくれ』なんて最上級の告白文句じゃねえか!こんなに直球且つわかりやすい告白の何がいけないってんだよ!?

俺は少しだけムッとしてあやせに問い掛けた。

「あやせ、俺の告白のどこがテキトーなんだよ?」
「こ、これだけ言ってもまだわからないんですか………」

相変わらず頭に?マークを浮かべる俺を見て、あやせは溜息をつきながら、やや呆れ気味な様子で黙ってしまった。
ほらな?きっと、いざ理由を言おうとしたら浮かんでこなくて困ってるんだぜ。
そりゃそうだ。なんせ俺の告白に非の打ち所なんて存在しないんだからな!

…なーんて俺が余裕ぶっこいていると、あやせはようやく何かを決心したように口を開いて……………


「それじゃあ…仕方がないので、具体例を示します!
 例えばですよ?い…今から言うのは、例えばの話ですからね!」

あやせはやけに“例えば”の部分を強調している。そんなに非現実的な例なのか?
そして―――。


「も、もしもその……わ、私とお兄さんが………つ、付き合っていたとして―――って、何でそんな気持ち悪い顔してるんですか!!この変態!!!」

俺のニヤケ顔(というか変質者顔)に気が付き、慌ててこっちを睨みつけるラブリーマイエンジェルあやせたん。
怒った顔もまた可愛いなぁ。

「ぐへへ………あっ!いや!すまんすまん………げへへ」
「もう!お兄さんはホントに気持ち悪いです!
 こうなるのが嫌だったからわざわざ『例えば』って強調したのに…。」

はいはい、悪かった悪かった。
でもさ…お前らも、『自分がもしもあやせと付き合ったら』なんて想像してみろよ。しかもそれを本人から言われるんだぞ?俺みたいな顔になるのは当たり前だと思うぜ!
ちなみに俺はこの短時間でキスまで妄想したね。ホントはその先までいきたかったんだが…。

「それで?このまま話を続けても大丈夫なんですか?」
「あ、ああ。大丈夫だ、続けてくれ」
「それじゃあ続けます。もしも私とお兄さんがそんな関係だったら―――だから、そんな顔しないでください!通報しますよ?
 も、もしも私たちがそういう関係だったとしたら……………お兄さんは、私に対してあんな感じで“プロポーズ”するつもりなんですか?」


…え?な、なんか、話が意外な方向に…。



「プロポーズ?」
「そうです。だって、『結婚してくれ』は告白というよりはプロポーズでしょう?」
「まあ、言われてみればそうだけど………」
「それで?どうなんですか?お兄さんにとっては、本当にあれが本気のプロポーズなんですか?」

俺のプロポーズが本気かどうか?
う~む…いやな、さすがにそんなこと言われるとちょっと考えちまうけどよ…。
…だが、さっきあんなこと言っちゃった以上はもう後には引けねえし……………。

「…ほ、本気だけど?そ、それがどうしたってんだ?」
「へぇ。私を見つける度に雄たけびをあげながら抱きつこうと飛びかかってきて…お兄さんの中ではそれがプロポーズって言えるんですか?
 そんなの、夏場になったら大量発生する変質者となんら変わらないと思いますけど?」

…ぐぅっ!?痛いとこを突かれた!
た、確かに、客観的に聞かされると『そんなやつ今すぐ通報しろ!』って感じだぜ…。

思わず一瞬ひるんでしまった俺に対し、あやせはすかさず攻撃をしかけてくる。

「次に、その格好がダメです」
「格好…?」

え?まだ続くの?
ちなみに今の俺の服装は制服姿。まあ学校帰りに偶然あやせを見つけたんだから当然だろ?

「だ、だって、今は学校帰りだし………」
「お兄さんは、学校帰りにプロポーズするなんてアリだと思ってるんですか?
 そんな行き当たりばったりなタイミングで言われても、私は全然嬉しくありません!」
「うっ……」

そんないきなりガチレスされても困るだろ!今日はどうしちゃったの、あやせたん!?
俺の心の叫びを他所に、あやせのダメ出しは更に続く。

「しかも、告白文句だっていっつも『結婚してくれ』とかありきたりなのばっかり。そんな単調なのは今時流行らないと思いますよ?」
「新垣さん、結婚してください!!」
「お断りします!って、言い方の問題じゃなくて………もうちょっとロマンティックな口説き文句とか持ってないんですか?」
「あやせ、空を見てみろよ。キレイな星空だよな~!
 …でもなあやせ、俺はもっとキレイで光り輝いている星を知ってるんだぜ?それは今、俺のすぐ隣にいる―――」
「や、やめてください!どうしてこんな所でそんな気持ち悪いこと言えるんですか!?
全ッ然ロマンティックじゃないし、だいたい今は夕方ですよ?星なんて見えないじゃないですか!!」

そこまで言うか!?即興にしては結構頑張った方だと思うぜ!?
しかも、まだダメ出しは続くようだ。

「それにこういう大事な話は、普通は高級なレストランとか、二人の思い出のお店とかで……」
「あやせ、お前に大事な話があるんだ。明日の午後、駅前にある俺たちの思い出の喫茶店に来てほしい」
「ほらまたいきなり!そういうところがテキトーだって言ってるんです!
 ………っていうか、いつから駅前の喫茶店が私たちの思い出の場所になったんですか!?」
「今からだ!………ダメ?」
「ダメに決まってるじゃないですか!それに、まだ言いたいことは山ほどあります!だいたいにしてお兄さんは……………」


…この後も、あやせは延々と俺の告白方法にガチなダメ出しを続けた。
いや、それだけだったらまだよかったんだが…………………………


「…あの時あんなところで『俺は妹が大好きだ!』なんて叫ぶなんて非常識すぎだと思わないんですか!?
 お兄さんみたいな兄を持った桐乃がかわいそう………っていうか、お兄さんは女の敵・社会の敵・人類の敵です!」
「………。」

…最初はプロポーズについてのダメ出しだったはずなのに、いつの間にか俺個人に対するダメ出し、というかもはや悪口になっていた。
うう……好きだった年下の女の子にこんな道端でこっぴどくこき下ろされるなんて、さすがに俺の心も折れかけだぜ………orz


「あ、あやせ…。もうわかった、もうわかったからそろそろやめ………」
「だ、だいたい!」

もう聞きたくない!聞きたくないよあやせたん!!
それなのに………あやせは容赦なく俺に致命的な一撃を浴びせたのだった。


「物事にはちゃんと“順番”があるんですよ!
 そもそも私とお兄さんは恋人同士でもないのに、いきなり結婚なんてするわけないじゃないですか!!
 だから…今のお兄さんに、『結婚してくれ』って言われてもタチの悪い冗談にしか聞こえません!!!」




『そもそも私とお兄さんは恋人同士でもないのに』。
そうだよなぁ…よくよく考えてみりゃ、彼氏でもない男から求婚されるなんて、女の子にとっちゃあ迷惑極まりないよなぁ…。
じゃ、じゃあ、俺の今までの決死のアプローチは、あやせにとっては『タチの悪い冗談』だったってこと!?
俺の青春は何だったんだよ!?まずい、なんか心が泣けてきた!!

よし、もう帰ろう…。このままここにいたらホントに涙が出ちまいそうだ……。


「よ、よくわかったよあやせ…。今まで悪かった。も、もう、馴れ馴れしく話しかけたりしないから許してくれよ…。じゃあな………」
「あっ!ちょっとお兄さん!」

俺は失意のあまり肩を落としながら、あやせに背を向けてフラフラと歩き出した。
これでいいんだ、これで。本人が嫌がってるのにアプローチ続けてたって意味ねえよ。
さてと、帰ってエロゲの妹にでも慰めてもらって……「お、お兄さんの意気地なし!」………!?

突然後ろから聞こえてきた叫び声に驚いて振り向くと、あやせがこっちを睨みつけながらズカズカと近付いてくるところだった。
今度は何言われんだよ?とにかく、これ以上の暴言はやめてくれあやせ!俺のライフはもう0だ!


「お兄さんは、私のことをそんなに簡単に諦めるんですか?」

…はい?

「あや…せ………?」
「あんなに普段私に対してセクハラしてくるくせに、ちょっとダメ出しされたらもう諦めるんですか!?
 そ、そんなの、ただの意気地なしじゃないですか!!」
「そんなこと言われたって、お前がさっき……」
「私がさっきお兄さんに言ったことをもう一回考えてみてください!」

あやせがさっき俺に言ったこと…?

『物事にはちゃんと“順番”があるんですよ!
 そもそも私とお兄さんは恋人同士でもないのに、いきなり結婚なんてするわけないじゃないですか!!
 だから…今のお兄さんに、『結婚してくれ』って言われてもタチの悪い冗談にしか聞こえません!!!』

…ん?『結婚してくれ』って言われてもタチの悪い冗談にしか聞こえません、だとぉ?
も、もしかして……………


「あやせ……結婚…しようぜ?」
「だからそうじゃなくて………も、もういいです!お兄さんのバカ!!」

今度はあやせがくるっと俺に背を向けて歩き出してしまった。
なんだよ…お前が『諦めるなんて意気地なしだ』って言ったから、わざわざ言い方変えてもう一回挑戦したんだぞ?
もういいよ…人をからかいやがって………。


俺は再びローテンションで俯きながら家に帰ろうとしたが―――あやせの去り際に放った言葉が、ついに俺をハッとさせたのだった。


「お兄さんがそんなんだったら……私、他の男の人と結婚しちゃうかもしれませんよ?
 …っていうか、絶対にします!こう見えて私、意外と結婚願望強いんですからね!!」


…あ、あやせが他の男と結婚!?
この時俺の頭の中には、(何故か)赤城とあやせの結婚式に呼ばれ、二人の誓いのキスを呆然と見つめている自分の映像が浮かんでいた。
自分で想像していてアレだけど………こ、こんな未来、耐えられねえ!!


「ま、待てあやせ!行かないでくれ!俺はお前が他のヤツと結婚するなんて絶対嫌なんだ!!」
「お兄さん………ハッ!…い、いいえ!私は他の人と結婚します!お、お兄さんみたいにふざけた人のいうことなんて聞きません!」

一瞬だけ嬉しそうな顔をしたような気がしたのに、あやせはすぐにまたそっぽを向いて歩き出していく。
このままあやせたんを行かせたら、何だかもう二度と会えないような感じがして。
気が付くと俺は、あやせに向かって大声で叫んでいた。

「あやせ!お前がどんなに信じてくれなくても、俺がお前を思う気持ちは本物なんだ!お前が大好きなんだよ!!
 あやせが他のヤツの物になるなんて許せねえんだ!!!
 つまりその…あやせ、俺と―――俺と付き合ってくれ!もし付き合ってくれるなら、俺が責任持ってお前のこと一生大事にする!!!
 だから頼む!いや、お願いします!!!」
「!?」

…ヤベ。勢い余って普通に告白っぽいこと言っちまった。しかもご丁寧に頭まで下げて。
いくら人気がないとはいえ、こんな路上で超恥ずかしいじゃねえか!あそこにいるジィちゃん、なんかこっちガン見してるぞ!?
あやせ、お前も黙ってないで、早くいっつもみたいに罵倒するなりハイキック食らわせるなりしてこの空気を―――って、何でそんなに顔赤くしてんだ!?




「……か…ました」
「…え?」
「……わかり…ました」
「な、なんだと?」
「わかりました!」

き、聞き間違い!?聞き間違いだよな!?
でも念のため、念のためもう一回聞いてみてもいいよな!?


「あやせ!?今なんて!?」
「だから、先から『わかりました』って何回も言ってるじゃないですか!お…お兄さんは、どこまで私に恥をかかせれば気が済むんですか?」
「ほ、本当に?ホントに俺と付き合ってくれるのか?」
「し、しつこいです!別にお兄さんがそんなに嫌なんだったら………」
「嫌じゃない!嫌なわけないだろあやせ!その……嬉しい!俺、めちゃくちゃ嬉しいぜあやせ!!!」


キタ━━━━━━(゚∀゚) ━━━━━━ !!!!!
何で突然OKされたか知らねえけど、あのラブリーマイエンジェルあやせたんが俺と付き合ってくれるらしいぜ!!!イヤッホゥゥゥゥゥ!!!!!

…確かあやせは言ってたな?『物事には“順番”がある』と!
よーし、ここまでを整理しよう。
あやせに告白した→OKされた→さて次は?…ってとこか。
次はもう……………これしかねえだろ!!今すぐ抱き締めてやるぜマイエンジェル!!!


「あやせぇぇぇぇぇ~~~!!!!!」
「!?きゃっ………いやぁぁぁぁぁ!!!ドゴォ!」
「ぐあぁ!?な、なん…で………」

俺は冒頭のシーンと同様に蹴り飛ばされて宙を舞い、ドサッと地面に着地した。
いくらなんでも酷すぎる!俺はただ、めいいっぱい両手を広げて愛しい恋人のもとへ走っていっただけなのに!!


「あ、あやせ…?俺たち………付き合ってるん…だよ、な?」
「そうですけど…だ、だからって調子に乗らないでください!さっきあれだけ言ったのにまだ懲りないんですか?
 恋人になったからって、私の中でのお兄さんの評価は、“ヘタレでKYで変態の最低男”で変わりませんから!」


ええっ!?そんな最悪な評価で固定なのか!?つかそれでいいの!?俺一応お前の彼氏なんだよ!?
まあ、あやせらしいっちゃあやせらしいけどさ…。

…なーんて思っていたら、恋人になったあやせたんは一味違ったようだ。




「…そ、そんな最低なお兄さんを100%受け入れられるのは私だけなんですからね?
 だ、だから、『浮気しよう』なんて考えない方が身のためですよ?」


ツンデレキタ━━━━━━(゚∀゚) ━━━━━━ !!!!!
ヤバイ!恋人あやせたんヤバすぎるだろ!!マジ天使!!!


「それで…私はそろそろ帰らなくてはいけないので、その前にお兄さんにお願いがあるんですけど………」
「なんだ?何でも言ってくれマイエンジェル!!」

俺はお前のためなら、死ぬ以外のことは何でもやってやる!!いやマジで!


「その呼び方は恥ずかしいからやめてください!それにそんな大袈裟なことじゃなくて…。
 明日、学校が終わったら駅前の喫茶店に来てほしいんです。」


なんだ、そんなことか。了解了解。要するに初デートってわけだな?積極的で可愛いやつだぜ。
…って、駅前の喫茶店………?


「あやせ、そこって………」
「お兄さん、明日はちゃんと正装で来てください。私も着替えてきますから。
 それと…明日も会うのは多分夕方ですから、『星が~』の文句は使えませんよ?ちゃんと新しいの考えておいてくださいね?」



俺は今、さっきあやせに言われたアノ言葉を思い出していた。

『そもそも私とお兄さんは恋人同士でもないのに、いきなり結婚なんてするわけないじゃないですか!!』

コレ言われた時はショックだったなぁ…。まあ確かにあの時に『結婚しよう』って迫ってたのは俺が悪かったのかもしれないけどさ。
…だが、今の俺たちは紛れもない恋人同士だ。
それってつまり―――。



「あやせ、もしかしてお前―――」
「それじゃあ、私はもう帰りますね!お兄さん、また明日会いましょう!!」


あやせは俺の言葉を遮って走って帰ろうとしたが…………………………最後の最後に、最高の笑顔で、とんでもないことを言い出したのだった。


「お兄さん!指輪……忘れちゃダメですよ♪」


(終わり)

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