163 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県)[sage] 投稿日:2011/06/26(日) 00:36:34.33 ID:27/dsp0d0 [1/11]
俺は以前、桐乃たちのオフ会で行ったあのメイド喫茶にきていた。俺は別にメイドがよかったとか・・・
いや、そのまあ・・・メイドの人自体は可愛いですよ。だけど俺がここに来たのはメイドをみるためじゃない。
「お帰りなさい、ご主人様」
メイド喫茶お決まりの文句で出迎えられ適当な席に案内される。そこでメニューを開き、注文するのを探す。
ま、このサンドイッチと紅茶でいいか。
注文の品を決めると呼び鈴を鳴らす
「は~い」
鳴ってすぐにあるメイドさんが走ってきた。
「ご注文はなんでしょう?お兄ちゃん」
「このサンドイッチと紅茶をお願いします。・・・あとこの前かしてもらったこのハンカチを返しにきました」
俺の本当の用事はこのハンカチを返すことだ。桐乃のオフ会についていって沙織の名前に思わず水を吹いてしまった時に
ここのあるメイドさんに借りていたものだ。
メイドさんは気にしなくてもいいのにと笑顔で言ってくれた。
それから俺はちょくちょくこのメイド喫茶に来るようになった。
「へー妹さんとお父さんが、大変だったね~」
「まあ、最後は親父が折れてくれて一件落着だったけどな」
「頑張ったね、お兄ちゃん」
「お、おにい・・・そういやそうだったな」
ここでは俺はなぜかお兄ちゃんと呼ばれているのだった。理由が知りたい気もするがさして気にしない。気にしたら負けだ。
164 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県)[sage] 投稿日:2011/06/26(日) 00:37:27.95 ID:27/dsp0d0 [2/11]
「この前の夏コミは楽しかった?」
「ブフッ!!・・・俺が行ったって何で知ってるの?」
注文して少したつとお客が少なくなった頃を見計らってあのメイドさん、名前は『星野きらら』と言うらしい。
きららさんが、夏コミのことを聞いてきたのだ。行くなどとは一言も言っていないのになぜ知っているのだろう。
「妹が参加していたので、聞いたんですよ」
「妹さんが・・・もしかして、あのメルルの同人誌売っていた」
「そうそう、その娘が私の妹なんですよ」
あのきららさんに似ていると思ってたら・・・以外に世間は狭いものだなと感じた。
「すごいな、あいつ」
俺は加奈子のコスプレに純粋に驚いていた。正直なとこ桐乃の興奮状態も頷ける。
桐乃の興奮からちょっと目をそらすと一人の女性が目に入った。あの人は・・・
「桐乃、ちょっと知り合いがいたんで話してくる」
「はいはい、ちょっと話しかけないで」
こいつ、まったく話を聞いてないな。・・・まあいいか。
「きららさん?」
「あっ、京介・・・君?」
そういえば今、変装してるんだった。すっかり忘れていた。
「そうですよ」
グラサンをはずすとようやく気づいてくれた。
165 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県)[sage] 投稿日:2011/06/26(日) 00:38:20.76 ID:27/dsp0d0 [3/11]
「きららさんもメルルのファンなんですか?」
「それもあるんだけど、妹がでるから見たくて」
もしかしてコスプレ参加者のなかに?
「あっ、妹っていうのはメルルの声優のくららのことだよ」
「ええ!?・・・そういえば似てますね」
よく見なくてもそっくりなのはわかる。
「それにしても、今の娘は似てたね~。私も耳と目を疑ったもん」
「俺もびっくりしましたよ」
そう俺たちが話してると1人の少女が近づいてきた。あやせだ。
「お兄さん・・・何をしているんですか?」
あの光彩の消えた目で俺に話しかけてきたあやせ。なんで怒ってるんだよ、俺がなんかしたか?
「こんにちは、もしかして・・・彼女さん?」
「ええええ!!わ、私がお兄さんの彼女なわ「違う!!」
とんでもない勘違いをされた。あやせが激昂するまえに勘違いを直さなければ。
「むう・・・お兄さん、あとで入り口でまってます」
そういうとあやせは離れていった。俺の彼女と勘違いされたのがかなり嫌だったのか、かなり不機嫌な様子で
去っていった。
166 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県)[sage] 投稿日:2011/06/26(日) 00:38:52.92 ID:27/dsp0d0 [4/11]
「あの娘をいかせちゃっていいの?」
「妹に一緒にいるの見られるとまずいからいいんですよ」
「そっか・・・」
「ちょっと用事あるんで、このへんで」
「じゃあね~」
そして俺は加奈子のいる楽屋にいくとメルルフィギュアを受け取りあやせに渡した。
あやせは満足してくれたようだった・・・桐乃が大喜びするのは目に見えてるしな。
「お兄ちゃんは今日も頑張ったの?」
声がしたほうを向くときららさんがニコニコしながら立っていた
「俺はたいしたことはしてないですけど」
そして俺は今日のことを話した。きららさんはニコニコしながら聞いてくれている。
「あの京介君、ちょっとお話があるんだけど時間いいかな?」
「いいですよ」
そして俺たちは近くの喫茶店に向かった。
「あのね、京介君」
きららさんはいつものように、ニコニコしておらずどちらかといえば緊張しているように見える
「その、お話っていうのはね・・・わたしは京介君のことが好きなの。付き合ってください!!」
きららさんは頬を紅潮させながら真剣な目で見てくるきららさん。
「えっと、気持ちは嬉しいですけど俺なんかでいいんですか?俺っていいとこあんまりないし・・・知人には
変態シスコン兄貴と罵倒されたりしてるような人間ですよ?」
「そんな京介くんだから惚れたんだよ・・・」
こんなに優しい笑みを浮かべる人を俺は他にしらない・・・それくらい穏やかな笑みだった。
「俺なんかでよければ、よろしくお願いします!!」
「・・・ありがとう、京介君」
そしてきららさんと俺は付き合うようになった。・・・お店の口癖なのかたまに
お兄ちゃんと街中で呼ばれて周りから白い目で見られることもあるがいまとても幸せだ。
179 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県)[sage] 投稿日:2011/06/26(日) 03:03:14.90 ID:27/dsp0d0 [9/11]
後日談
「おかえり、おにいちゃん!」
俺たちがであったメイド喫茶では俺はもうすでに顔なじみとなってるので来店時にはお兄ちゃんと呼ばれる
ようになった。なんでもこんな風に顔を覚えられるのはオタクにとっては光栄なことらしい。
まあ気持ちは分からなくもない、顔なじみの店ができると嬉しいしな。
「こっちだよ、お兄ちゃん」
1人のメイドさんに奥の席に案内された。いわゆるVIP席だ。
そこにはきららさんとそっくりな3人の女性がいた。星野姉妹だ。
「えっとこんにちは、きららさんの彼氏で高坂京介です」
「「「こんにちは~」」」
流石姉妹である。息ぴったりであいさつを返してくれた。
今日はきららさんが妹たちに俺を紹介したいとのことで姉妹全員があつまる場を用意してくれた。
その中にはあの星野くららもいるわけで・・・たいしたメルルファンではないが妙に感動した。
「京介君はお姉ちゃんのどこに惚れたの?」
くららさんがニコニコしながら聞いてくるがなんだか気恥ずかしい・・・が
「優しいところですかね・・・妹思いで、誰に対しても誠意があって」
「は、恥ずかしいから言わなくていいよ」
顔を真っ赤にそめながら言ってくるきららさん、めちゃくちゃ可愛い。
180 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県)[sage] 投稿日:2011/06/26(日) 03:03:56.89 ID:27/dsp0d0 [10/11]
「そうそう、どうして京介君はメイド喫茶に?話にきくとメイド喫茶とかそんな興味なさげな感じだったんだけど」
くららさんの下の妹さんが聞いてきた。ちなみになぜ姉妹のどの娘か分かるかと言うとくららさんが耳打ちで教えてくれてるのだ。
「それはですね・・・」
そして桐乃の人生相談のことを簡単に説明した。
「そんなことが・・・シスコンさんだね」
一番したの妹さんに物凄い笑顔で言われた。俺はシスコンではないというのに・・・そして5人でしばらく談笑し。
「で?どう?私の彼氏は」
「うん、素敵な人だと思うよ」
「私もそう思う」
「お姉ちゃんが選んだ人だもん、間違いなんてないよ」
俺の評価は上々のようだ。素直に嬉しい。
「・・・次の冬コミは純愛ものと寝取られものに・・・しかも実の妹。それとハーレム本もいいかも」
3番目の妹さんが不吉なことを言っている。
「何を描こうとしてるのかな?」
笑顔のきららさん・・・だけど物凄く怖い。圧力が半端じゃない。
「タダノネタダヨ、キニシナイデオネエチャン」
余程怖いのか片言でしゃべる妹さん、助けないとな・・・ちょっと怖いけど
「俺はそんなことしないですから、安心してください」
「う、うん分かってるよ」
一転して照れながら言うきららさん・・・それからも俺たち5人はしばらく談笑していた。
いつか桐乃も紹介してやらないとな
仲の良い姉妹をみながらそう思った。
最終更新:2011年06月26日 12:47