I've fallen in Love with Lovely my holy-fallen Angel


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364 : ◆36m41V4qpU [sage]:2012/03/31(土) 00:54:39.79 ID:ieKxmdcF0





    "I've fallen in Love with Lovely my holy-fallen Angel"


付き合い初めて、数ヶ月



本当に一歩間違えると即Game overなトラップをやり過ごし、耐え難き暴言、
暴力、虐待を何とか堪え忍んだ。


俺の彼女の名前は新垣あやせ、俺が大学生になった時、
同時にあやせが高校生になった時、俺たちは付き合う事になった。

あやせに429回+α"ぶち殺しますよ"と言われ
23回+α"死んでるやる"と絶叫され、
2回"好きです"と言われて俺らは恋人になった。
物理的に52回+α殴られて、5回以上は死にかけた。

俺が大学に行く様になったのをきっかけに一人暮らしを始めた
俺の部屋に、あやせが遊びにきてエロDVDを発見されて
罰せられてたのだが、何とか仲直り出来た
                    
                が

その後、突然桐乃が訪ねてきて、あやせを無理やりクローゼットの中に隠し
桐乃との恋人の様なやり取りを見せつけた後、
風邪を引いて怒ったあやせの命令で、あやせの家に俺が深夜に侵入して
何とか仲直りをした
          
               けれど

その後、今度は俺が風邪を引いたのをあやせが看病しに来てくれたが、
あやせが突然泣き出して、またもや危機になったのだが
何とか仲直りした直後の話だ。




そんなわけで


「はぁはぁ」
俺は息をきらせて、走っていた。

今夜あやせは加奈子の家に泊まると親には嘘をつき
俺の部屋に泊まる事になっ(てい)た。
あの真面目で優等生でお嬢様のあやせがまさかこんな門限破りの
大胆な行動を取るとは………
本当に女って生き物は、全く分からんもんである。


今は別に、また喧嘩して居なくなったあやせを探してるわけではない。
(そうそう、俺の可愛い彼女は怒り出すと失踪するなどと脅したりする。
さっきもそうやって脅されたが、実はクローゼットの中に隠れてた)

って事で俺の可愛い彼女は良い子にして部屋で待っている事だろう。


俺はドアを開けるとすぐにあやせに自分の思いを伝えて、抱き締める


     「――――ただいま、あやせ」


     「京介さん――――おかえりなさい」



さきほどの俺(男)のロマン
(あやせを自分の家で待たせて『おかえりなさい』
と出迎えて欲しかったのだ。
家に帰れば可愛い嫁がいる―――男なら誰でも分かる野望だと思う)
は無事に終わり、

いよいよ後生大事に、守り続けてきた童貞を
放り投げようとしたのだが………


あやせが本日2回目の泣き顔だったので
ずっと抱きしめたまま、優しく頭を撫でていた。

「しっかし…………おまえ、最近よく泣くよな」



「ふ、ふんっ………誰かさんだって、
さっきは赤ちゃんみたいに号泣してなかったですか?」


「あ、あれ~そ、そうだっけか?」

実際、そうだったのだが…………。


「『あやせが居ないと死ぬ、あやせ別れないでくれ、あやせが居ないと
ダメなんだぁ』」


「おい!んなことぁ言ってねぇだろ、捏造してんじゃーね」


「へぇ~違うんですか?ふぅ~ん、違うんですね?
あ~あ、しょうがないですね
―――あなたが違うと言うなら……わたしにも考えが。
だって、だって違うんですもんね? 京介さんっ!」

「……………」

「だ、だって、だって……………ち、違うんでしょう?!!」

「ZZZZ」

俺は獰猛な熊に襲われた登山者のつもりで狸寝入りをかます。
しかし猛り狂っている俺の彼女は………

「『光っちゃう 蓄光+蛍光 プレーンタイプの薄型 
うるおいゼリー加工による潤滑作用』」

そうなのだ、熊に寝たふりするのは間違った知識なので、解決する筈もなく
あやせは俺がドラッグストアで風邪薬と共に大量に入手してきたブツを
―――物色しながら大きな声で読み始めた

「ZZZZ?ちょ、ちょっと待って」

「『スゴうす うすうす オカモトのコ……』」

「だぁぁあ゛……あやせさん……だ、だから、ちょっと待って」

「小芝居に付き合ってくれとか言ってっ!
あーあ、わたしにお留守番させておいて、
何でこんな物を大量に買い込んできっちゃってるんですか?
あなたという人は、本当に………いつも――いつも、まったく
――はっ!ま、まさか………?!」


「な、なんだよ?」


「"男のロマン"って、これの事だったんですかっ?
こ、これの事だったんですね!!」


「(ギク)ち、ちげぇ……違うから!
ほ、本当に家に帰った時におまえが居て、出迎えてくれたら嬉しいと
思ってたんだって、本当の本当だからさ」


「(ジー)ふ~ん、信じて良いのかなぁ?さっきは凄く素敵だと思ったのにぃ
何だか………京介さんが単なるマニアに見えてきちゃいました、わたし」

「あやせ手を出してくれ………良いもんやるから」

「良いモノって何です?」

「良いから――良いから」

「ま、まさかいかがわしい性具とか………?
わ、わたし――そっ、そんなモノ要りませんからねっ!」

「おまえは俺を何だと思ってるんだよ? せーの」


「『ドスケベのセクハラ野郎(巻き舌)』だと思ってるんです!」

「『ドスケベのセクハラ野郎(巻き舌)』だと思ってるんだろ?」


「ってシンクロして一緒に言わないでくださいっ!」

「はいはい、これ――いらないなら捨てて良いからさ」

「カギ……ですか?」

「ここの部屋のな。
あやせが来たい時に、いつでも遊びに来て良いから。
いいや違うな―――俺がいつでも会いたいからあやせに渡しておくよ」

「……コクリ(大きく肯く)」

「あやせが居ないと、俺は淋しい」

「え?」

「あやせ………絶対にぃ居なくならないでくれ!!!」

「………わ、分かりました」

「あ・や・せが居ないと、お、俺はダメなんだぁ!!!」


「もうぉ!分かったからっ
………わ、わたしだって……そうなんだ…………もん」


世の中のバカップルがやりそうな痴話喧嘩と仲直りだった。
まぁしょうがない、馬鹿な事も情けない事もあやせの為に
やるってちゃんと決めたのだから。

こいつと付き合って分かった事がある。
それは、要するにあやせの愛に応えるにはそれ以上の思いで
受け止めてやるって、考えてみりゃ当然のことだ。


あやせに嘘をついたり、誤魔化したり、恥ずかしがったりしてはいけない。


あやせが不満なら
ちゃんと横にならんで、満足するまでこいつの声を聞いてやる。
    
あやせが不信なら
ちゃんと向き合って、納得するまで眼を見つめて話す。
    
あやせが不安なら
ちゃんと後ろから抱きしめて、安心するまで言葉をかけてやる。


そうやって―――本当にかなり遠回りして、何とかやっとこ俺たちは
"ちゃんとした"恋人同士になれたんだ。



俺たちは

告白された時、あやせが突然した稚拙なファーストキスではない
喧嘩した時に、あやせに嬲られながらやられた乱暴な二度目のキスでもない
仲直りした時に、俺があやせの口を塞ぎながらやった用心の為に
何度もしたキスでもなく
さっき別れそうになった時に、俺があやせを引き留めようとした
懇願のキスでもなくて


どちらかから導いたわけでもなく、とても自然に思いを込めて唇を重ねた。


「なぁ…………あやせ?」

自然な流れで、あやせの首筋を愛撫して服を脱がそうとしたのだが………

「ちょっと待って―――ください。わたし、あ、汗かいてるし……
えっと………お、お風呂に入っても良いですか?」


「え?ああ…………もちろん良いぜ」

覚悟を決めて迫った筈なのに、あやせに軽くいなされて拍子抜けする俺。

「後、もうひとつ……お願いがあります。
えっと着替えるお洋服がないので、そちらもお借りしても大丈夫ですか?」

あやせは高校の制服のままの格好で―――それはそれで可愛いのだが
流石にそのまま寝るわけにはいかないだろう。

「え、えっと………かなりベタだが……着替えは俺のシャツと短パンで
良いか?」

あやせのお泊まりは、突然の思いつき(多分)なので
当然用意なんてしなかった。

「大丈夫ですよ、もちろん。
逆に女物のパジャマなんか有ったら………テヘ♪
ふふ………どうなるか分かってますよね?~ね♪」

「ねぇから、安心しろ(汗)大体、俺の部屋泊まろうとする奴なんて
恋人のおまえ以外に居るわけねぇだろ?
自分の彼氏を信用することをそろそろ………」


「でもでも、京介さんの部屋に遊びに来たのって
桐乃だけじゃないですよね?」

ニコニコしながらあやせが俺に聞いてきた。

「え?゛」

あやせの笑顔
これも付き合ってから、最近ようやく実感した事なのだが
あやせの笑顔には―――あやせと言うか多分、女の子の笑顔には
いつかの種類があるのだ。

「あれあれ……おかしいなぁ。
お~い、京介さん……わたしの言ってる事聞こえてますかぁ?」

所作はあくまで可愛らしく、俺に近づきヒソヒソ話をする感じで
優しく耳元で囁く

で、これは『素直に言いなさい、さもないと………』って笑顔だな。

「…………………………………………………………………………………
…………………………………………………………………………ウン」

「ねぇねぇ………京介さんの声が聞きたいのになぁ……聞こえないですよぉ、
あなたの声を聞かせて欲しいのにぃ……もう意地悪さんですねっ(ぷい)」

これは『言い訳してみてください』って笑顔だな………

「や、やましい事は何も無いんだ。」


「そうなんだ。わたし、適当に言ったら当たっちゃいました。
ちょっと……………わたしってエスパーみたいじゃないですか?
偶然ってこわいです(棒読み)」

これは普通に怒ってるな………やれやれ


「だ、黙っててごめん。か、か、か、隠してる……つ、つもりは………」

「ちょっと京介さん相変わらず、卑屈すぎますよね。ドン引きです、わたし。」


「お、怒ってないの?」

「ぜんぜん……怒ってないですよ。ただ聞いただけですし」

「そ、そうか……あはは、そうだよなぁ」


「でも次からはちゃんと教えてくださいね?
会っちゃダメなんてわたし、言いませんから、分かりましたか?」

「ああ、もちろん分かったよ」

あやせは小指を俺の小指にかけて………

「じゃぁ約束してください………指切りしましょう?」

意外に(やっぱ)可愛い所があるなと思ったのもつかの間


「指切りげんまん、嘘付いたら――嘘付いたら、嘘付いたらっ………
針千本、必ず、絶対、確実に、有無を言わさず、問答無用で飲~ます、
指切った♪」

そう、あやせには絶対に嘘をついてはいけない、だって死ぬから。


「………………し、しかし何で知ってたの、おまえ?」

「…………何ででしょうね?気になりますか?」

「そりゃちょっと気になるけどよ」

「ふ~ん、聞いちゃった後で後悔しても知りませんけど………実は盗……」


「やっぱ良いです……と、とにかく本当にやましい事はないからな!」

「はいはい、分かりましたよ。着替えるんだからあっち向いててください。
京介さんのエッチっ!」


「へいへい……んじゃ俺は風呂沸かしてくるわ。」

先にあやせが入る事になり、と言うか今日一日随分長かったから忘れていた
が俺は風邪を引いてて、あやせに看病してもらっていたんだった。

「ねぇねぇ京介さんっ…………もしかして一緒に入りたかったりしますか?」

「俺は病人だぜ、入りたくたって風邪引いてるから無理だっての。」

「それは残念です………でも一緒に入れないからって覗かないでください
ね?」

「もし覗いたら?」

「指切りげんまん♪」

あやせの風呂を覗こうなんて思ってはいけない、だって…………


「フンフフフ~フフフ♪」

あやせはどこぞの風呂好きの女の子よろしく鼻歌?を口ずさみながら
身体を洗ってる様子

「あやせ……バスタオルはここに置いておくからな。」

「はい……有り難う御座います。あの………」

正直、あのあやせが自分ンちの風呂に入ってるのだ。
しかも今は自分の彼女なんだから、カギはかかってるだろうが悪戯で
風呂のドアを開け(るふりし)ようかな?なんてとちょっと迷ったが、
針を千本持って追っかけてくるあやせの姿を想像をして辞めた。


「ゆっくり湯につかってさ……今日の疲れを取ってくれよ」

「あ、あの………はい」


早々に風呂場近くから退散すると、俺はベットに身体を横たえた。
壁にはあやせの制服がかかっていた。

何だかんだで、あいつはまだ15歳の女の子なんだよな………
そう考えると取り留めのない漠然とした感情が俺の頭の中を通り過ぎる。


マジで今日一日長かった。
本当に色々有ったが、取り合えず状況は落ち着くべき所に
落ち着いたのだろう。

マッタリおかゆを食べてあやせの膝枕を楽しみ、いきなり泣かれて
俺は混乱し、別れるとか失踪するとか大事(おおごと)になったが……
今はちゃんと側に居てくれる。


桐乃の事だとか、黒猫の事だとか、麻奈実の事だとか
……………これも色々有ったのだが
仮に今日をもう一度やり直す事になっても、俺のする事は何一つ変わらない
(筈だ)。


そろそろ………いい歳なのだから自分が選んだ選択に責任を持つ。
責任と言うよりも、誇りや自信と言うべきなのかも知れない。


『人生はセーブデータがひとつしかないエロゲーみたいなもの』なんだ。


そして俺はあやせを好きになり、お互いを求め合い愛し合ってしまった。
もう……都合の良いマルチエンドのハーレムルートは存在しない。

その事に気付かされるキッカケ―――部屋にすみに置かれた
あやせが普段持ち歩いてる大きなバックに、俺は眼をやった。


あやせが"儀式"だの"魔法"だの言って実行しようとした残骸がその中に
封印されていた。

ブラウンのウィッグに、メイド服、メガネ………あやせは俺の為に、
俺の全てを自分に向けさせようとして………
"妹"になろうとし、"後輩"にもなろうとし、"幼馴染み"にさえなろうとした。

そんな馬鹿な真似までさせるほど、俺はあいつを追いつめて傷つけていた。


だから、俺はあやせを受け止めると覚悟した時に、
ひとつしかないセーブデータをチートで弄る様な真似は
絶対に出来ない(してはいけない)んだと心に誓った。

自分の選択を中途半端に放り出して逃げ出せば
結局、自分やあやせだけじゃない………周りも傷つける事になる。


散々あやせを泣かせて、やっと分かった当たり前の事実
おそらく同じくらい周りも傷つけてようやく導き出した真実


桐乃とデートした事、黒猫と遊んだ事、麻奈実と下校した時の事
―――いまでも全てが懐かしくて、愛おしくて……大切な思い出。
絶対に忘れないように、記憶から失わないように、何度も何度も心に
刻み続ける。

戻れない過去が永遠になり、今(現在)を精一杯生きる…………
これが色々、残念で力不足で鈍い俺がなんとかやっと手に入れた
未来へと続く答え


そんな事をぼんやり考えていた。
少し感傷的になっていたが、あやせには今の俺の顔は見せられないなぁ……と。


俺は風邪薬を飲むと、風邪と疲労のせいで…………
…………いつのまにか眠っていた。


『あ~んもう……全然起きませんね』

声がして俺が目を覚ました時、意識はまだ混濁していたのだが
………目の前には何やらちょっと様子が変なあやせが佇んでいた。
俺は何となくぼんやり薄目を開けて、あやせを眺める。

あやせの姿は風呂上がりで、身体にはバスタオルが一枚だけ。
体勢は何故か四つんばい―――と言うよりも何故か四足歩行でこちらに
そろり――そろりと近づいてくる。

幾分おどけた口調のあやせは唄うように(でも多少小声で)云った。

「ワンワン♪
お兄さん、お兄さん―――あっじゃなくって、京介さん、京介さん
くんくん」

直接触れられたわけじゃないが、鼻先が何となくこそばゆい
無意識に俺はまだ目は閉じたままでやり過ごす

何かどうやら犬のつもりらしい
確かに最初の頃、俺はあやせに睨まれるわ、呻られるわ、吠えられるわ、
噛まれるわの恐怖の連続で―――立派なトラウマだったのだが
付き合って馴れると(懐かれると?)あやせは従順そのものだったし、
俺が無意識にあやせに初めてプレゼントしたモノが"チョーカー"ってのは
今考えると、我ながらナイスなチョイスだったと思う。

あやせが今『お兄さん』から言い直した俺の名前も
俺が呼んで欲しいってお願いしたし

『『お兄さん』の呼び名は禁止な、ルール破ったらお仕置きだぞ』

って一方的で俺の理不尽な要求も、嬉々として受け入れてくれるのが
俺の可愛い彼女である―――多少一途過ぎて、時として心配になるくらい
(もちろん彼氏の惚気と取ってくれて全然構わないのだが)

で俺のお願いは大抵は聞いてくれる ラブリーあやせたん
だととしても

―――流石に『雌犬』とか呼んだ事はないし、そんなプレイを
強要した事実はないことを予め断っておく(する予定もないよ)


―――更に"黒髪"で"犬"だから『○犬』なんて
言ったことも―――言うつもりも(絶対に)全く無いことも
予め断っておく

(さっき修羅場で別れる――別れないのハードな話をしていた時、
あやせは俺の過去に嫉妬?したという理屈で、ゴスロリ風のメイド服
という何とも恐ろしい格好をしていたのだが、
今は別にそういう状況では―――全くないので)
あやせがやってる おふざけは俺に取っては微笑ましいだけ

の筈だったが――――――

「クンクン、ハァハゥ……これが京介さんの匂い
―――はっ?え?………あれれ?これ………あぁあぁ
あの――あの女の匂いがするっつ!!!!」


え?ええぇぇ?うっそ~ん

『おい、おい、おい、おいっ!ちょっと、待ってくれ』

一㍉も本当に身に覚えもないが、
俺は反射的に弁明しようと起きあがろうとした―――


「―――なーんてね、えへっ
ふふん♪わたしが京介さんにこんなコト言う機会なんて無い
絶対――絶対にないもん♪」


か・ま・を・か・け・ら・れ・て・る・?
―――俺の寝たふりに、こいつ気付いてないよな?


「ワンワン、起きろっ起きてっ」

……………………やっぱバレてはないのか?
でも俺は居たたまれなくなり、結果起きるに起きれない


「けど寝顔も子供みたいで……可愛ィ♪(ガウガブ)」

耳たぶと頬を、軽く噛まれちゃってる俺である


『あっ♪』

あやせは何か思いついたように弾む声をあげた(ような気がした)

「ほ~ら、あなたの好きな 太ももぉ 足ぃ 見えます?」

―――み、見えねぇ
残念ながら目を閉じていた俺には、
あやせがポーズを決めて強調しているであろう
あやせのしなやかな肢体を、捉えることは出来なかった

でも次の瞬間、あやせはおもむろに背を向ける。
義務(権利?)とばかりに、一瞬も 一㍉も見逃さないように
彼女を凝視する俺

「それに………ホラっほらァ
大好きな おっぱい(俺はあやせの口からこの言葉を初めて聞いた)
と 一番好きな お・し・り・ がすぐ目の前にあります……よん♪」

恐るべきあやせたん
バスタオル一枚ほぼ半裸の状況で四つんばいになり、
こちらにお尻を向けて、フリ~フリ~してらしゃいます

「でもでも、彼女を放置して寝てる不届き者だから、
やっぱり見せてあーげないっ♪」

俺はバッチリ、『エロせたん』を頂戴した
ごちそうさま でした(-人-)

驚愕する事に、あのあやせが純粋に誘惑していた。
でも童貞小僧のしがない俺には、次に自分がどうすれば良いのか?
がよく分からない―――こういう時の正解が全く分からなかった。

それに俺自身も不思議なことに、性的興奮と言うよりも、
胸がキュンキュンする可愛らしいな、こいつ的な感覚になっていた。
微笑ましいと言うか、 吹き出すのを耐えるくらいちょっと面白い
声を出さない様に我慢してると、プレッシャーで心臓が凄くドキドキする
鬼ごっこして隠れてる気分か―――これも興奮してるって事なの……か?


あやせは一通りやり終えると幾分満足した様子?
で大きく肯く。

そろそろ寝たふりをやめようと思っていると、
俺がさっきドラッグストアで買ってきたビニール袋から
ガサゴソと音がする

薄目を開けてあやせの様子をうかがっていると
俺の彼女が一心不乱に例の箱の説明書を熟読している
何ともシュールな光景

苦笑しつつ聞き耳を立てていると、またあやせの声が聞こえる。

「もしもし………加奈子……うんえっとね……わ、わたしのお友だちの話
なんだけどさぁ」

あいつ、何やってんだ?

「だ、だから畜光のなの……え?関係ない?そ、そうなの?(汗)
で、でもさ……蛍光とか書いてるしぃ……ご、極薄なんだよっ?!
え?違う、違うよ?何でわたしの事なわけないじゃん。
ちょっと本気で怒るよ?(動揺)」

俺の予想を斜め上、鋭角に超えるシュールを通り越して不条理な光景が
展開されていた。

「へぇ~分かった、そうなんだ。明るいとダメなんだね。
だから超極薄って――言うのは…………え゛?
わたしじゃないって何度言ってるでしょっ!いい加減にしないと
ぶち殺いや……も、もちろん感謝してるってば………分かったから(汗)
あ、有り難う。うんじゃぁ………またね」


茫然とあやせの異常行動を眺めていたのだが………
薄目を開けていた筈なのに、視野が急に暗くなり何も見えなくなる。

暫くすると、違和感がして下半身を軽く触られているのが分かったの
だが……あやせさん―――俺の"ナニ"で何かしていた

「え?――きゃっ」

流石に俺も――俺のオレも、刺激されれば寝たふりは出来ないし、
色々な意味で立って起きるしかない。

「ちょっ………おまえ、な、な、何やってる……ん………のだ?」

「(ビクっ)ち、、違うんです、これは違うんです………ち、違うの……」

「ぎゃぇぇぇぇ、あ、あ、あやせ……ちょっと……い、痛いから、痛いから!!」


動揺したあやせが、まさに曲芸飛行しているパイロットが操作する
(俺の)操縦桿を乱暴で酷く扱かったせいで………もげそうになり、
俺は堪らず大声を出した。

「…………………ち、違うんで……す………」


よく見れば、あやせは風呂からあがったばかりで、上気した顔に
赤い頬(まぁバツが悪そうな表情だから、それも原因かも知れないが)
結い上げられた髪はまだ幾分濡れていた。

普段はそんなに気にしてないが、まぁ超美人な事だけは確かなのだが
化粧も何もしてないあやせの顔は幾分幼く見えて……………可愛いと言うか
普段のあやせとは違う種類の美少女に見えた。


「なんだよ、やる気満々ならそう言えっての。俺は…………いつでも……」

「…………ち………違う……もん………」

「照れなくても良いんだぜ?
 コレは、そもそも半分はおまえが所有してる様なもんなんだからさ、すでに」


「い、ぃ、い、いつから、お、起きてたんです………か?」

「『ワンワン♪
お兄さん、お兄さん――』の辺りからかな?」

「!」

あやせは俺を押しのけると、布団にくるまってしまった。

「あの………あやせたん?」

「わ、わ、わたし、もう何も知りませんっから!」

「べ、別に………全然良いんだぜ?
全然と言うか、むしろ――すごく良かった!色々な意味で
俺は萌え死にそうなくらい可愛かったぞ!」

俺はそう全力で言うと、ゆっくり布団をめくる。

あ~この流れで俺もついに大人になるんだと期待していたのだ
が……………


「ふんっ(ぷい)」

再び、めくった布団に隠遁する俺の彼女。

あやせさん……何やらご不満のご様子である。


"あやせが不満なら
ちゃんと横にならんで、満足するまでこいつの声を聞いてやる。"


俺は―――半ば強引にあやせの布団を剥いで、無理矢理あやせの隣に座る。
そして、なるべくエロい感じがしない様に気を付けながら
あやせの肩を抱き自分の頬をまだ濡れているあやせの横髪につけた。

「どうした?あやせ、ほらほら………俺ら相性抜群のカップルなんだろ?」

俺は右手であやせの肩を抱いて、左手であやせの髪を撫でながら言った。

こういう事やっても"セクハラですよっ!"とか"ぶち殺しますよ!"
などと言われなくなったんだなぁと思うと、やっぱり感慨深いもんだ。


と思っていたら………流石はあやせ、
俺の予想外、想定外、奇想天外な答えが返ってきた。


「せ、セクハラしなかった癖にっ!」 

「え?それ……ってどういう………」

「わ、わたしが…………彼女がお風呂に入ってるのに全然気にしないで
寝てるなんて、いつもエッチな癖にっ、セクハラする癖にっ………
わたしが期待……し……て……」

「あの…………あ、あやせさん?(ぽか~ん)」

「本当はカギだって掛けてなかったんだから!
わたし……ドキドキしてずっとぉ~待ってて、ふやけるまで待ってて
……むくむまで待っててっ
京介………きょう(※あやせがデレたり、甘える時の京介の呼び方)の馬鹿!
鈍感!シスコン!」

シスコンは関係なくねぇか?と思いつつ


"あやせが不信なら
ちゃんと向き合って、納得するまで眼を見つめて話す。"


「あ・や・せ…………ごめんな。針千本にビビってへたれちまった」

肩に回した手に力を入れてそのまま抱き寄せる。
あやせは何も言わなかった、ただ何となくせわしくて不安気な息遣いだけが
俺の耳に届いていた。

シャンプーの香りが(それは俺が普段使ってる筈ものだけど)
不思議と俺の鼻腔をくすぐって……あやせの息遣いと混ざり合って、
俺の心音も同時にせわしなく速くさせた。


そして突然、雷に撃たれたような衝撃を知覚する。
耐え難いほどの欲望―――そして呼び方が違うだけで、
多分同じものである筈のあやせを愛しいと思う気持ちが俺を縦に貫いて
全身の神経を刺激する………。

でも俺は段々分かり始める
それは雷みたいに突然降りかかった物じゃない

それは………こういう事だ

ただ優しく抱いてるだけでは全然足りない……
もっと強く、きつく抱きしめたい願望……
この欲望も忘れさせるほど、神経も麻痺させるほどただ痛いほど抱き寄せたい
部屋に戻ってきた時から、俺がずっと耐えていた渇きであることに


何とか理性を保ちつつ、俺は

「このままだと、また風邪引いちまうだろ……だからまず着替えよう、な?」

「誰かさんのせいで、お風呂で酔って……身体に力入らないから………。
怠くて……もう動きたくない……ン…です、わたし」

「ならさ……俺が着替え手伝ってやるからさ………」

いささか気が引けたが、着替えさせる為にあやせのバスタオルを
脱がせようとしたのだが
当然と言うか予想通り、あやせに強く手を掴まれて静止させられる

「そ、そうか……いくら何でも子供じゃないんだから、自分で着替えるよな。
うん……んじゃ俺はコーヒー煎れてくるわ。おまえも紅茶飲む…だ…ろ……」

立ち上がろうとしてもあやせは手を離さず
―――それどころか、その手に力を込めた。

「あなたが、わたしのスキンケア……手伝ってください………。
わたし……お仕事してるから、ちゃんと気を付けて時間かけてやってるの。
それに今日は、お風呂にずっと入ってたし……………」

「あの………?え、えっと……」

「これがお風呂上がりの習慣なんです……………。
それとも京介さんはエッチだけど意気地ないから…………
わたしがずっとこのままの格好の方が嬉しいンですか?
だって――だって、むっつりスケベで、ヘタレさんですもんねっ!」

今はその"意気地"とやらを何とか押さえるのに必死なんだけどな………

「はいぃ………喜んで。手洗ってきます………」


あやせの指示通りにバックからケースに入った
スキンケアセットなるものを取り出す。
こいつ、着替えは用意してないのに……何でスキンケアセットは
一式用意してるんだ?
と疑問が口から出そうになったが、結局そのまま飲み込んだ。


"あやせが不安なら
ちゃんと後ろから抱きしめて、安心するまで言葉をかけてやる。"


俺はバスタオル一枚のあやせの後ろに回り込み……ぎこちなく
(もちろん心も身体もだ)動揺したが……取り合えず、
余計な事は言わないようにして、手にたっぷり化粧水をつけて

あやせの表情を鏡越しに見ながら……しっかし俺は何やってるんだろう?
あのまま風呂場を襲撃してたからこんな変な感じにはなってないだろう
に………

あやせの言葉を素直に受け取らずに怒られる時……
素直に受け取り過ぎて怒られる時……
お互いに気持ちは通じてるとは言っても、やっぱ女の子の考えてる事は
さっぱり分からない


「こ、こんな感じで良いんでしょうか?あ、あやせ様………」

あやせの肌は俺が今までの人生の中で触ったモノの中で何よりも柔らかく、
弾力があり瑞々しく、、あ~あ、、情けない、俺。
掌や指先に意識を集中させればさせるほど、
自分の下半身もアレ?な感じになってくる。

そうなのだ。
要するにあやせの肌は"気持ちいい"と表現するのが一番適切で、正確なのだと
理性と言うよりも、俺の身体と本能が分かり易く反応していた。


「もっとちゃんとやって………こうじゃなくて……こうっ……です。
ほら……優しくでもちゃんと力は入れてください………」


あやせは知ってか知らずか、上半身は俺の方にバスタオル一枚だけの
ほぼ裸体をあずけ、下半身は明らかに臀部やら太ももをピンポイントに
狙い澄ました様に俺のアレ?になったアレに押しつけてくる。

下半身に気を取られて茫然としていた俺の手を、俺の指と指の間に
自分の指を重ねて

「ほら………こうするンです
こうやって、ちゃんとあなたの愛情込めてください……ね?」

「…………こう………だ……よ……な………?」

鏡の中のあやせと眼が合った。

媚態に満ちた、明らかに誘惑している表情の鏡の中のあやせ………
俺の知っているあやせの笑顔の種類の中で………もっとも魅惑的で、
もっとも危険なその表情を……笑みに吸い込まれる様にあやせの顔を
愛撫していると……


俺はシスコン野郎だし、セクハラ先輩だし、俗物の破廉恥なオスって事は
自覚している。
それでも自分では温厚で、それなりに?常識人で、自分の欲望は合法の
範囲内で押さえられると思っていた……

しかし俺は無意識に、本当に前後の記憶がなく……あやせに
襲いかかろうとしていた。

「フフ……ダメ……です…よ。まだ……途中なんだからァ京介さん。
わたし………あなたの為にずっと綺麗で居たい。
だから……ダメっ……今はちゃんと最後までして……ください……ね?」

そうあやせが言ったのと同時にあやせの胸を鷲づかみにしようとしていた
化粧水まみれの俺の手に―――あやせは手錠をかけた。


あ~そういや………随分、久しい……この感覚………。
喧嘩して、あやせの家に深夜行った時
―――ずっと手錠されるのは、逮捕されるのは(性犯罪の)犯人役は
俺だったのだ。

(が)あの時を境に俺が刑事役になってた気がする。

あやせの俺への初めてのプレゼントが手錠だったとしたら、
俺の初めての贈り物は、俺がずっとあやせを受け止めると宣言して
渡したのはいささか風変わりなチョーカーだった。

バスタオル一枚のあやせがそれを身につけている筈もなく…………


「ご、ごめん………あやせの為に一生懸命にするから……さ」

と言いつつ茫然自失………もう心は繋がってる、
だから次は身体で繋がりたいとあやせは言ったけど……
手錠はプレイなら使っても良いなんて事も言ってた気がする。


って事はこれはプレイなのか?

「うふ……素直で……良い子です。
ほらぁ、次は乳液……これも滴るほど手につけて
優しくマッサージしながら………」

確かに俺はあやせに手取り足取り、傀儡人形の如く……操られながら
スキンケアをしている筈なのだが………反対に、バスタオル一枚の薄皮に
包まれた柔らかいあやせの肢体こそ……全身をつかって
俺が愛撫されてる様な錯覚……でもなく

「ねぇ………あなた、、の、、、が……当たって痛いんですけど?」

「こっ…これは……違うんだ………ち……違う……」

まぁ何も違わないわけだが………

「『なんだよ、やる気満々ならそう言えっての。俺は…………いつでも……』」

さっき俺が言った台詞をそのまま再生するあやせ………


「……………あ、あやせ?」

「『照れなくても良いんだぜ?
コレは、そもそも半分はおまえが所有してる様なもんなんだからさ、すでに』」

ったく……俺が今まで経験した中で一番艶めかしくて、興奮する
意趣返しなんだろ、コレ。


あやせは最初に出会った時は清純なお嬢様で
次は例の桐乃のヲタバレでヤンデレ化し、
あやせに好きと言われた時は、極(ハイパー)超(スーパー)ヤンデレで、
お互いに気持ちが通じた途端にデレデレの最初は戸惑うくらいの、
Mッ娘になったと思っていたのだが………

そうなると………そうそう

『お尻が紅葉色になるまでぶっ叩かれましたけど
……それもして欲しいコトですけど』
  
とかすら言ってた様な気がする。
    
まぁでも………今日は今は……久し振りのドS女王様の帰還なのかも
知れない。

「ごめん……あやせ様……お、俺……もう我慢出来そうもない…から……
なぁ?」

「きょう……は、わたしの事好きですか?」

「もちろん……滅茶苦茶好きだぜ……だ、だから………」

「だったら………わたしの事褒めてください……沢山、すごっぉ……くぅ…
たくさん………」

「すごく…可愛いよ……」

「全然………ダメダメっ!
わたしの顔を見ながら、、ちゃんと乳液は塗ったままで…です……よ?」

「すごく……可愛い……」

「『すごく……可愛い……あやせ』、ちゃんと名前つけて呼んで」

「あやせ……すごく可愛い……よ。
初めておまえのすっぴん見たけどさ………心からそう思う」

「可愛いだけ……ですか?」

「普段の(おま)あやせは大人っぽくて……美人でさ……モデルって
感じだけど……
今のあやせは、自然と言うかちょっと幼い感じが可愛らしいと言うか………」


「ふぅ~ん。きょうって………やっぱりロリコンだったんですねっ。
これって……普段よりも硬いですよね?変態……さっきも襲おうとした
でしょ?」

「今日初めて、おまえがロリっても可愛いって分かったけどさ………。
あやせが膝枕してくれたり……寝てる時にずっと側に居てくれた時にさ………
正直に言うわ……ちょっと母親みたいな感じで安心した……」

「……な゛………べ、別にそんなこと……言われても……う、嬉しくなんて」

「俺は…………みなさんご存知、超のつくシスコンだけど…さ………
おまえと一緒に居ると、あやせの事を見てたり、話してたり、考えてたり……
想ってると……ロリコンでもマザコンでも良い様な気もしてくるんだよ」

「はァー何なんですか?それぇ…………単に、シス・ロリ・マザコンさんの
変態カミングアウトにしかなってないですよ?」

「確かにそうだな、はは………でももう、俺はおまえを
何か……上手に言えないなぁ……
とにかく、ロリコンやらマザコンとしてあやせが好きだ!」

「シスコンで、ロリコンで、マザコンの三重苦って………ふふ
そっか……だったらしょうがないですよね?
だってあなたみたいな変態さんの相手は、わたししか………居ないから。
だから京介さんが犯罪者にならない様に、わたしがずっと逮捕してて
あ・げ・る・」

「ああ………有り難う。でそろそろ………」

「あん…ぅ………ま、まだ……ダメ…です…………
ヘアケアもボディケアも残ってるしぃ」

「んじゃ、俺が…………ボデ……ィ……」

「はいっ……髪の方お願いしますぅ♪
あっ………お目々は閉じててくださいね」


よっぽど押し倒そうかと考えたが……辞めた。
多分、俺が強引にすれば……言いなりになるのが分かっていたから。

純粋に可愛いから、あやせの自主性を重んじると言うと言葉は変だが
あやせの思い通りにしてやりたい愛情みたいなものが自分の中に
拡がるのも分かる。

あやせの髪も肌同様……つるんとしていて……とても高そうな陶磁器の
表面を撫でている様な感触がした。

「それ椿オイルなんですよ。ジャンプーしてるみたいに指で……ァン………
京介さん……意外に上手で……素敵です」

例によって薄目を開けて、どういう状況なのか覗こうか思ったのだが
視線の先の鏡にはあやせが挑発的な表情で待ちかまえていたので、
あわてて眼を瞑る。

「しっかし女って本当に面倒くさいもんなんだな。
風呂入る度にこんな事やってるんだよな?」

「そうですよぉ……だから、簡単な気持ちで可愛いとか綺麗とか
言わないでください。
言うなら本気で、照れずに、全力で言ってください……」

「ふぅむ………肝に命じておくわ」

「鏡見るのがお仕事みたいなものなんですけど……自分で可愛いとか
綺麗って思ってわざと声に出すんです……そうすると"言霊"じゃない
けど、ちゃんと良い影響があるって話聞いたから………」

「じゃぁさ……時々、俺がこんな風にして……可愛いって言って良いかな?
さっきのも、その為だったんだよな?」

「アレは……単に言って欲しかっただけです。
でもそれって………わたしをお風呂上がりにして、バスタオル一枚にして
後ろからセクハラしたいって意味で間違いないですか?」


「セクハラしたいし、可愛いって言いたいんだよ、俺」

「ふぅ~ん……ふふ」

「?」

「わたし、ちょっと寒くなってきちゃいました……ブルブル(自分の声で)」

「あ~そうだよな。よし、大体終わったから……俺あっち向いてるからさ。
着替えようぜ。」


「京介さん、あたためて………ください」


「あたたたたためてて?」

「京介君……イイ子だからバンザイしましょう…ねぇ~ほらほら」

あやせにされた手錠を左側だけ外された………俺は言われたとおりにする。

「はい、はい………」

別に咎められたわけでもないのに、俺は何となく眼を閉じたまま
あやせが脱がす自分の服の衣擦れの音を、耳をそばだてて聞いていた。

「はい……よく出来ました。
暖かくなる様にギュッとしてくださいね……ギュゥ~っと……ですよ」

あやせが言い終わるよりも早く………俺はあやせを後ろから抱きしめていた。

「あやせ……何か色々良い香りがするなぁ………椿の匂いだけじゃない
何だろ?」

「薔薇の香りのボディーローション…………好きですか?」

「もちろん……あやせ、好きだ………」

「それは…もう知ってる…からァ…はぅ…そうじゃなくって…薔薇の……
………(はむ)……」


そろそろ我慢の限界だった俺は、強引にあやせの唇を奪う。


『あむ……はぅ……クチュ……ァ……』

必死にお互いに一つになろうとし……俺(あやせ)のたてた音が、
唾液が、意識が全部、融け合ってシンクロしながらお互いに
知性を麻痺させ、理性を奪う。

何も考えられず、思い浮かばず―――ただお互いの肌と肌を重ねて……
あの時の渇きが全てを支配して、本能だけでお互いがお互いを
だだひたすら激しく求め合った。


「ねぇ…ァ……きょうっ……ずっと…キスだ……け……キスだけで良いの?」

あやせの声が凄く遠くから聞こえた様な気がしたが、一瞬ぼんやりして
自分の欲望がしたい事がそれだけじゃなかった事を今更思い出した。

「あやせ……あやせ……あやせ」

その言葉以外……全て忘れたように、何度も何度も愛しい彼女の名前を呼ぶ


「あなたに呼んで貰える自分の名前が………その響きが一番好きです。
だから凄く安心して、ホッとする…………今日はごめんなさい………。
わたし……ちょっと不安だったんです……だから今日、ちょっぴり意地悪した
の。」

「どうして?俺がまた何かしたのか?」

「ううん……そうじゃない。
多分……あなたに飽きられちゃうのがわたし……怖い」

俺は本当にあやせが何を言っているのかさっぱり理解出来なかった。
当然、俺の顔もそういう表情をしていた………に違いない。

俺の顔を見て、安堵した後、あやせは少し淋しそうに笑った。



きっとわたしの方が………………

『「あなたが居ないと、わたしは淋しい」』

『「きょう………絶対にぃ居なくならないで!!!」』


『「き・ょ・うが居ないと、、わたしはダメなんだからぁ!!!」』

なんです、きっと……


「じゃぁ俺と全く同じだ………やっぱり俺ら気が合う最高のカップルだな」

暫く、あやせは俺の胸の中で黙っていた。
本当に寒いのか、それとも違う理由なのか……怯えた小鳥の様に、
身体が震えていた。

憐憫と愛情………あやせと付き合うと決めた時……
最初は単なる同情(の筈)だった。
でも今……凄く愛しくて、胸が締め付けられるこの気持ちはあの時と
何が違うのだろう?

抱きしめるだけじゃ、どうしても足りない気がして俺は左の手錠を
あやせにかけた。

心は繋がってる………でもやっぱり……まだまだ全然足りないんだ。
あやせが嫉妬したり、独占したりしたくなる気持ちがやっと分かった。

まるで重大な啓示でもあるかの様に荘厳で重苦しい雰囲気が辺りをつつむ
往々にして、あやせが思い詰めた後に出てくる言葉は、
恐ろしいものばかりだった。


俺は微かに深呼吸する……
大丈夫だ、あやせが何を言っても絶対に受け止める。

俺の人生がこの一瞬の逡巡とその刹那の覚悟の為だったと思えるくらい
俺の想いは堅牢で、決意は強固だった。

「あやせを愛してる。もう何があっても離さないから……だから安心しろ」

俺の言葉に促された様に、やっと、あやせは決心して口を開いた。


「わ、わたし、、もしかしてMかもしれません……」

「はい?」

「だ、だから……わたし……Mかも……Mだったりしたらどうしますか?」


「いや……知ってるけど?……あやせさん……ドMじゃないですか?」

「え゛?な、なんで……どっ、どうして知ってるんですかっ?」

「いや………だって」

『だって、尻叩かれて恍惚然な顔してたし、チョーカーを渡されて
ウットリしてたし言葉攻めされるのも好きで、焦らされるのが
大好きじゃないですか?』

って言おうとしたが、あやせが真剣そのものなので言うのは辞めた。


「べ、別にあやせがMッ娘でも何の問題もないぜ………」

「でも、でも………わたし……すごく不安で………イジメラレ…るのばっかり…
だと………」

「へ?」

「飽きられてちゃうんじゃないかって…………心配で………怖くて………」

「だから………今日はちょっと女王様モードだったのか?」

コクリと一度大きく首を縦にふったあやせ


「だから俺がそれ以上しようとしても、拒否したとか?」

一瞬左右に振りそうになって、結局また肯いた。


「馬鹿野郎、俺があやせに飽きるわけねぇだろ!」


「だって……男の人って、一回手に入れたものは…………」



『……………………………………』

ある言葉をすぐに……直感的に思いついたけど、全く、ちっとも、一㍉も
言いたくないな、これは。

やれやれ…………相変わらず、俺の発想は品性の欠片もない。

でもしょうがない………これが俺のあやせへの愛情なんだから。
これがきっと俺の正直な偽らざる心の声なんだ。


思いっきり息を吸う………俺は出来る限りの大声を出して


「最初の一回だけなわけあるか!!!
あやせと一回やっただけで満足して、全部終わるわけないだろ!!!!
その後、何度も、何度も、何度もするに決まってるだろ!!!!
俺はあやせとずっと一生離れないんだ、文句あっか!!!」

「はぁー京介さん、わたしが今まで聞いた中で最低で最悪の
愛の告白です………。
デリカシーもセンスも全然無いし…………………」

「悪りぃ…………ごめん」

そりゃそうだ………これであやせが怒り始めても何の疑問もない。


でも…………わたしの答えも同じ…………だから…………

だから……覚悟してくださいね?

京介さんが、わたしを本気にさせたこと………
わたしを夢中にさせたこと…………
京介さんが、わたしの全てになってしまったってこと…………

全部、全部………キッチリ、責任取って貰いますから!



「ふむ………じゃぁ早速、覚悟決めて…………責任取るかな。
ほら………あやせ、こっちに来て………くれ」

「あ、はい……京介さん……照明消してください…やっぱり……
は、恥ずかしい…ので」

「お、おう」


1時間後


「ハァハァ…ぅ……ン……き、京介さん、そこじゃない…ン…か……ら……」

「え゛?あぁぁ、う、う、う、うん」

「あ、焦らないで大丈夫…だから…ねぇ……だから…違う……もう少し…
下……」

「……………?…………!」

「そっちじゃない…です……痛っ…ン……だから…下過ぎるからっ……」

「わ、分かってるよ!分かってます……………………」

「き、京介さん………そこ……おへそです……ちょっと……入らないか
らっ!!」

「!」  「もっと下!」  「!?」  「もう少し上!」  「??」

「だ、だからっ……どんだけマニアなんですか?!
わ、わたし初めてなのにぃ(怒)
そ、そんな所にいきなり無理やり入れようとしないでくださいっ!!!!!」

「(´・ω・`)」

「ハァハァハァ…………ちょ、ちょっと落ち着きましょう…ねぇ?」

「・ω・`)」

「焦らなくても、ゆ、ゆっくりすれば……必ず出来るから…ねぇ……だから」

「・`)」

「京介さん?」

「)彡サッ 」

「ちょっと!
何………逃げようとしてるんですかっ!どんだけヘタレなの、もうっ!」

「す、すまん……ちょっと萎えちまった………」


「…………わ、分かりました。
もう明かりを消さないで……良いです……から」

「へ?」

「男の人は視覚で興奮するんでしょう?
恥ずかしい姿、いっぱい――いっぱい見せるから……全部
ぜんぶ………見て良いから……もう全部許して………あげるから
だから逃げないでっ逃げちゃ……ダメ…ダメ……だめなんだからっ!」

「あやせ………俺、多分、おまえのその声でも興奮出来ると思う」

と言いつつ、俺はあやせの耳元で何事か囁いた………


「はぅ……うぅ……今日だけですからねっ!
もう絶対に――絶対にィ言わないんだから!
こ、こんな美少女に……そ、そんな卑猥な事言わせて…………
きょうの変態!馬鹿………エッチ……鬼畜!!!」

「分かったから、早く言ってみてくれよ
………焦らしプレイはもう良いからさ」

「き、京介さんの―――」

「あ!―――ち、ちょっと待った、あやせたん」

「な、な、何です?」

「さっき俺が寝たふりしてた時に、あやせが挑発的に誘惑してた
あの動き―――こっちに尻を向けてフリフリをしながら
言って欲しいかな………と思いまして」

「ハァ、本当に――本当に、京介さんって
いえ――もう別に何も言うコト無かったかもです、わたし」

「やっぱダメか………残念」

「勝手に早とちりして、勘違いしないで」


「へ?」

「もちろん、言ってあげますよ
しっかり見て、ちゃんと聞いて――とっとと興奮してください」

「お、おう」

「京介さんの……………オチンチン………わ、わたしの……あん(フリ)
やっぱり………も、もう言えません(フリフリ)(汗)」

「あーあやせ可愛いな………ダメだ……猛ってきた……」


あやせの心と身体に――あやせの全部に触れて
やっぱり、俺はこう思う―――なんて



     俺の彼女は、こんなに健気で――こんなにも可愛い



―――だろう って

その後、俺の中であやせに隠語を言わせる+αの一大ブームが
来るのだが(そして一生続くのだが)それはまた別の話だったりする


一夜明けて


「お早う御座います、京介さん」


「おはよう………あやせ………ちゃんと眠れたか?」


「はい………す、少し違和感はあ、あるんですけど………
ぐっすり眠れました」


「おまえ、普段の俺の呼び方は"お兄さん"だってのが
"京介さん"になっただろ?その後に、甘えるときは"きょう"だよな?」

「何が言いたいんでしょうか?」

「昨日は、特にあの時はさ―――普通に呼び捨てたじゃん?」

「そ、そうでしたっけ?」

「『京介、もうイク』とか『京介にブチ殺されちゃうぅ』とか
あやせ言っ―――い、痛てぇ」

途中で殴られて、最後まで言えなかった。


「ごちゃごちゃうるさい!京介の馬鹿!
わ、わたしに何か………文句あるの?」

「そうそう………それそれ!
俺ら恋人同士なんだし………年上、年下とかは関係ないと思うんだ」

「つ、つまり?」

「あやせに、名前をちゃんと言って欲しいなぁってさ。
ついで敬語も辞めて………タメ口でも、俺としちゃ全然良いんだけどな」


「…………京介の馬鹿、変態、シスコンのロリコン、ついでにマザコン
別れようとしたら、わたしを捨てようとしたら……ぶち殺すし…ま…………
必ずぶち殺すんだから!息の根を止めるてやるんだからっ!」


「う、うん……大体合ってるんだけど……内容が…アレだよね?
せっかく恋人同士が結ばれたのに、新しい朝を迎えた時に
言う台詞じゃなくないか?」



あやせは暫く何事か考えていた様子だったが……最後には
俺が知る中でもっともチャーミングで、もっとも眩しい笑顔でこう言った。
    



    
「ねぇ……京介」
   
     
「な、何でしょうか? あやせさん」

やっぱり俺の天使には泣き顔よりも笑顔が似合うんだ。







「もう一回しよう♪」







おわり
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