日向に眼鏡が届いたら:13スレ目125

それはある家庭教師の日のこと。

「ねえねえ高坂くん?」
「ん?どした?」
「これどう?」
「ん?」

なん・・・だと?
言われて顔を上げた視線の先。
そこには眼鏡をかけた美少女が座っていた。

『日向に眼鏡が届いたら』

「ねーねーどうかな?」

日向はクイクイッと、つるの部分を弄くりながら楽しそうに聞いてくる。
無邪気に笑いながら聞いてくるんじゃねえ・・・。

「あ、か、可愛いよ」
「ほんとに?えへへ」

うおお照れた!
やべえ・・・可愛いなんてもんじゃねえ。
元々日向の小さい顔には眼鏡は似合うだろうと思っていたが、これは予想のはるか上をいくクオリティーだ。
正直今まで見たどの眼鏡っ娘よりも可愛いかもしれん・・・。
い、いかん。見惚れてる場合じゃない。
と、とりあえず疑問点を晴らさないと。

「きゅ、急に眼鏡とか、どうしたのそれ日向ちゃん?」
「ん?これ?こないだあたし宛に送られてきた」
「だ、誰から?」
「んーと・・・『スレ住人』さん?」

なんで疑問形なんだよ?
それにスレ住人?HNかなんかか?

「だ、誰なのそれ?」
「知らない人」
「受け取ってんじゃねーよ!」

思いっきりツッコんじまったじゃねーか!
危なっかしいなお前!!

「いやー軽かったしさ。危ないもいんじゃないと思って」

アハハと笑いながら答えてくる日向。
笑いごっちゃねーよ。

「だとしてもだ。不用意に過ぎるぞお前。今後はやめとけよ?」
「はーい」

悪びれた様子もなく、軽く返事する日向。
大丈夫かこいつ・・・。
しかし内心ではこう思いつつも、あえて俺はこう言わせてもらおう。
スレ住人さん、GJ!

「でもさ、実際のところどう?嬉しい?ねえねえ嬉しい?」

うりうりと俺の頬を指でクリクリしながら、日向が悪戯っぽい笑顔で聞いてくる。
相変わらず聞き方うざいなお前。
あと顔近い!
      • ま、まあ実際?嬉しくないと言ったら嘘になりますけどね!!
      • ん?嬉しい?

「・・・日向ちゃん?」
「ん?なに?」

日向はかくんと首を傾げて答えてくる。
だからお願いだからそれやめて。
いつも可愛いのに、今日は眼鏡の破壊力が付与されてんだぞ?
はっきりいって心臓に悪い。
いかん。冷静に冷静に・・・。

「・・・なんで、『似合う?』でも『可愛い?』でもなく・・・俺に嬉しいか、聞いてくるのかな?」
「え?だって高坂くん眼鏡フェチなんでしょう?」

ばれてるーーーーーーーーーーーーーーっ!?

え!?なんで!?どうして!?
なんで俺の秘密の嗜好が小学生女子にダダ漏れになってんの!?
ちょ、ま、これどんな罠な訳!?
お、落ち着け俺。
まずは息を整えろ。
そして素数を数えろ。
クールだ。クールになれ高坂京介。

「だ、大丈夫高坂くん?なんかすごい汗だよ?」

日向が驚いたような顔で俺に声をかけてきた。
だからそのままで顔を覗き込むなー!!
可愛すぎるんだよ!
俺の心臓はもうさっきから臨界点突破してんだよ!
お前俺を萌え[ピーーー]気か!?

「ひ、日向ちゃん・・・お、お願いだから、その眼鏡外してくれるかな・・・?」
「なんで?気に入らなかった?」
「い、いや大いに気に入ったんだけど・・・その、正直俺の身がもうあんまし保ちそうにない・・・」

息も絶え絶えにそれだけをお願いしてみる。
下手すると理性も保たねーかもだしね・・・。

「ふーんそっか。なんかよくわかんないけど、高坂くんがそういうならもう掛けないよ」

日向は残念そうな声で眼鏡をはずそうとする。
慌ててフォローに入る。

「あ、いや・・・か、掛けないでくれとは言ってないんだけど・・・」
「?」
「あー・・・つ、次来たときは・・・掛けててくれていい」

俺も心の準備をしてくるしね。
って何言ってんだ俺は小学生相手に。

「うーんやっぱりよくわかんないけどわかった。次は最初から掛けてるね」

首を捻らせながらも、なんとか理解してくれたようだ。
よかった。
この眼鏡美少女を二度と見れないのは、正直勿体無いからな。

「あ、ああ。ありがとね日向ちゃ・・・」

ちゅ

「じゃ次までのマーキング」

ペロッと舌を出して、はにかむように微笑む眼鏡日向。
はい俺死んだー。今死んだー。
油断したところにメガネ美少女のドアップktkr。
日向ちゃん。俺のライフはもう0よ・・・。

その後数分間気を失った俺を、日向ちゃんが真っ青になって介抱してくれたとかなんとか。


「じゃ、帰るな。悪かったな気絶なんかしちゃって」
「ほんとだよ。あたし気が動転してルリ姉に電話するとこだったもん」

ふうっ、と苦笑いを浮かべて日向が言う。
      • よかった俺気がついて。
だって黒猫とか来てたら、気絶の理由話さなくちゃいけねーじゃん。
      • 地雷どころの話じゃねーからなマジで。
ちなみに今日向はもう眼鏡は掛けていない。

「っとそうだ、日向ちゃん」
「ん?なに?」

そうそう。
帰る前にこれだけは聞いておかねばなるまい。

「えっとさ、その、日向ちゃんに教えたの誰?」
「へ?なにが?」

頭にはてなを浮かべて聞き返す日向。
あーやっぱはっきり言わなくちゃダメかー・・・。

「俺がその・・・メガネ好きって・・・」
「ああ。キリ姉」
「やっぱりかあの野郎!!」


その後家に帰り、早速桐乃を問い質したところ、『いろいろ葛藤はあったけど、リアル妹ができるならって納得した』とのこと。
なんのこっちゃ。
後日、俺のもとに少女物の薄い本が届いたりしたのだが、それはまた別のお話。

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最終更新:2012年11月19日 00:36
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