無題:13スレ目212


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「・・・京介?」
「・・・ベランダでなにしてんのあんた?」
「んー?」

背後から声を掛けられ、俺は肩越しに真っ暗な部屋の中を振り返った。

「星を見てた」
「星?」
「ああ」

桐乃にそう答えてまた目の前の空に顔を向ける。
目の前には満天の星空が広がっていた。


俺が大学を卒業してすぐ。
今俺は、桐乃と黒猫とで郊外のマンションに住んでいた。

「・・・そんなによく見えるの?」
「ああ。部屋を暗くしてるとなおさらな」

カラカラと窓を開けつつ黒猫が出てくる。
自然と隣にスペースを作ってやると、ちょこんとそこに収まった。
そして、「へえ」と楽しそうな息をもらす。

「すごいわ。松戸のアパートでもこんなに良くは見えなかった」
「ここが最上階ってのがあるんだろうな。周りを遮るものや街灯の明かりが邪魔にならないから」
「よく気付いたわね?」
「引っ越しから1週間。やっと粗方片付いた今日、ふとベランダに出たら偶然」
「へえ、さすがね」

なにが流石なのかわからなかったが、とりあえず、ありがとうと言っておいた。

そしてまた星を見上げる黒猫。
でも俺は、星に目を移さず、そのまま黒猫の綺麗な横顔を見続けた。
あの頃と違い、もう猫耳をつけていない彼女の顔を。

「・・・見惚れてるとかチョーありえないんですけど?」
「げ」

耳元でいきなり声を掛けられて、ビクンと体が跳ね上がる。
今ので何か月か寿命が縮まったな。

「・・・どうしたの?」
「今こいつ、あんたの顔にポーッと見惚れてたの」
「あらまあ」
「あー・・・桐乃?とりあえず気配を絶って背後に立つのはやめなさい」
「ぼーっとしてるあんたが悪いだけでしょー?」

言いながら俺がすでに、黒猫とは反対側に作ったスペースに腰を下ろす。

「わ!ほんとに綺麗!」
「すごいわよねえ」

桐乃の忌憚ない賞賛に、黒猫も素直に同調する。
      • こんな風に二人がいがみ合うことなく一緒に居られるなんて、当時のこいつらは思ってもいないだろうな。
俺は知らず微笑んでいたらしい。


気が付けば桐乃が俺の顔を覗き込んでいた。

「・・・どしたの?締りの無い顔がもっと緩んでるよ?」
「・・・」
「あらほんと。なんというか不謹慎な顔になっているわ」

桐乃に続き顔を覗き込んだ黒猫が困ったわ、といった表情を形作る。

「・・・お前らはよ・・・」

左右からひどいことを言われて、少しだけ当時を思い出す。。
まだまだガキだったあの頃、それでも俺たちは、ガキはガキなりに必死だった。

『だからっ!京介が大学に受かったら、あんたは黙って一緒に住めばいいのよっ!』
『訳が分からないわ!!私に同情でもしているつもり!?無様にも振られてしまったこの憐れな私をっ!?』
『黒猫、もう一度同じこと言ったらお前でもぶん殴る。俺の大切な人を憐れとか言ってんじゃねえ』
『っ!・・・くっ!な、ならどうしてこんなこと言うのよ!?』
『決まってんでしょっ!あんたと一緒にいたいからよ!!』
『!』
『桐乃が言ったんだ。あの黒いのは、高校卒業と同時にあたしたちの前から姿を消す。絶対に。だから京介お願い。あいつを絶対に離さないでって・・・な』

思わず苦笑が漏れる。
なんて身勝手な言い草だ。

黒猫の心情そっちのけで、俺たちの思いだけぶつけるなんてよ。
バカだったと思う。
ガキだったと思う。
それでも・・・俺たちは必死にあがいていたんだ。
今・・・こうしているために。

「・・・まったく可愛い奴らだよ」
「や、ちょ・・・!」
「ど、どうしたの急に?」

両手で抱きよせてクシャクシャと頭を撫でてやると、言葉とは裏腹に、一切抵抗せずに二人ともされるがままになっている。
そう。
こうして三人笑いあっているために。

「いや・・・このままずっといられたらいいなあって、急に思ってさ」
「このまま?」
「・・・そうね」

めいめいの呟きに、心の中で、わかってるよ、と呟く。
このままずっとなんて無理なことぐらい。
俺はあの時、桐乃を選んだんだ。
それなのに黒猫をつなぎとめてるのはただのエゴに過ぎない。
だけど・・・と、俺は星に願わずにはいられない。
どうかできるだけ長く、俺達がこのままでいられますように・・・と。
続いて黒猫side

「・・・京介?」
「・・・ベランダでなにしてんのあんた?」
「んー?」

桐乃との話しが一段落して飲み物をとりに来たリビング。
ベランダにいるあの人を見つけ、声を掛けた。

「星を見てた」
「星?」
「ああ」

桐乃にそう答えてまた夜空に顔を向けるあなた。
その横顔はあの頃と変わらず愛おしくて・・・。

『星に誓うわ』

彼が大学を卒業した翌4月。
今私は、彼と桐乃と一緒に郊外のマンションに住んでいた。

「・・・そんなによく見えるの?」
「ああ。部屋を暗くしてるとなおさらな」

カラカラと窓を開けつつ彼に話しかける。
自然と隣にスペースを作ってくれるあなたの横に、私はちょこんと腰かけた。

「へえ」

思わず感嘆の声が漏れる。

「すごいわ。松戸のアパートでもこんなに良くは見えなかった」
「ここが最上階ってのがあるんだろうな。周りを遮るものや街灯の明かりが邪魔にならないから」
「よく気付いたわね?」
「引っ越しから1週間。やっと粗方片付いた今日、ふとベランダに出たら偶然」
「へえ、さすがね」

素直に感心して見せると、ありがとうと返してくれた。
思わず笑みが漏れる
そしてまた星空へと目を向ける。
降ってきそうな空とはこういうのを言うのだろうか?
美しさとともに、どこか寂寥感を覚える私の耳にふと彼女の声が飛び込んだ。

「・・・見惚れてるとかチョーありえないんですけど?」
「げ」

何事かと目を向けると、そこには彼の耳元に口を寄せている彼女・・・桐乃の姿があった。

「・・・どうしたの?」
「今こいつ、あんたの顔にポーッと見惚れてたの」
「あらまあ」

呆れたような声音にくすりと笑みを漏らす。

「あー・・・桐乃?とりあえず気配を絶って背後に立つのはやめなさい」
「ぼーっとしてるあんたが悪いだけでしょー?」

言いながら彼女は私とは反対側の位置に腰を下ろす。

「わ!ほんとに綺麗!」
「すごいわよねえ」

桐乃の忌憚ない賞賛に、私も素直に同調する。
      • こんな風に私たち、がいがみ合うことなく一緒に居られるなんて、当時の私たちは夢にも思ってもいないでしょうね。
ふと気が付くと彼が微笑んでいた。
先に気が付けいたらしい桐乃が、彼の顔を覗き込んでいた。

「・・・どしたの?締りの無い顔がもっと緩んでるよ?」
「・・・」
「あらほんと。なんというか不謹慎な顔になっているわ」

桐乃の言葉に、すかさず私も言葉を重ねる。
覗き込んだ彼の顔は、なんともいえない表情を形作る。

「・・・お前らはよ・・・」

私たちにひどいことを言われて、それでも彼は笑っていた。
それだけの年月を過ごしてきたのだと、少しだけ当時に思いを寄せる。
まだまだ子供だったあの頃、それでも彼らは私を救ってくれた・・・必死に捨て身で。

『なんで・・・?私が離れようと離れまいと、あなたたちに関係ないでしょう!?』
『あんたそれ・・・本気で言ってんの?』
『ほ、本気よっ!卒業してしまえばもう関係なくなるじゃない!それのどこが・・・』
『俺たちが嫌なんだよっ!』
『っ!?』
『・・・あんたが一緒に居たくないってんならそれでもいい・・・なんて絶対に言ってやらない!!あたしはっ!あんたと京介と・・・一緒に居たいの・・・』
『!』
『ねえ・・・お願いだから・・・一緒にいてよう・・・』

思わず苦笑が漏れる。
なんてバカな娘だ。
そのままでいれば一人占めできるものを。
本当に馬鹿で・・・優しい娘。
自分の心情そっちのけで、私のことだけ思いやるだなんて。
バカだったと思う。
子供だったと思う。
それでも・・・私はそれに縋り付いてしまった。
今・・・こうしているために。

「・・・まったく可愛い奴らだよ」
「や、ちょ・・・!」
「ど、どうしたの急に?」

両手で抱きよせてられてクシャクシャと頭を撫でられる。
私は一切抵抗せずにされるがままになる。
そう。
この優しい手に身をゆだねて。

「いや・・・このままずっといられたらいいなあって、急に思ってさ」
「このまま?」
「・・・そうね」

あなたの呟きに、心の中で、ありがとう、と呟く。
でも、このままずっとなんて・・・無理。
あなたはあの時、桐乃を選んだんですもの。
それなのに私がここにいるのは・・・ただのエゴに過ぎない。
だから・・・と、私は星を見上げて誓う。
できるだけ早く、この幸せな空間にサヨナラを告げようと。
私の心が、完全に囚われる前に・・・。

ラスト、桐乃side。

「・・・京介?」
「・・・ベランダでなにしてんのあんた?」
「んー?」

瑠璃と二人、飲み物をとりに来たリビング。
ベランダにいるあのバカを見つけ声を掛けた。

「星を見てた」
「星?」
「ああ」

あたしにそう答えて、また夜空を見上げる京介。
      • なにが楽しいのかわかんないけど、寒くないの?

『星になど祈るもんか』

京介が大学を卒業して翌月。
今あたしは、京介と瑠璃・・・黒いのと一緒に郊外のマンションに住んでる。

「・・・そんなによく見えるの?」
「ああ。部屋を暗くしてるとなおさらな」

カラカラと窓を開けつつ、瑠璃が京介に倣って出ていった。
薄着なのに平気かな?
京介の横にちょこんと腰かけた瑠璃は、「へえ」と感嘆の声を上げた。
そんなに綺麗なのかな?

「すごいわ。松戸のアパートでもこんなに良くは見えなかった」
「ここが最上階ってのがあるんだろうな。周りを遮るものや街灯の明かりが邪魔にならないから」
「よく気付いたわね?」
「引っ越しから1週間。やっと粗方片付いた今日、ふとベランダに出たら偶然」
「へえ、さすがね」
「ありがとう」

二人の背中を見ていたあたしだったが、

「あれ?」

星空を見上げる瑠璃をみつめている京介に気付き、そろりとベランダに出る。

「・・・見惚れてるとかチョーありえないんですけど?」
「げ」

突然声を掛けてやると、京介は飛び上がるようにして驚いた。
いい気味だと内心で笑う。

「・・・どうしたの?」

瑠璃の声に、わざとらしい渋面を作って答えてやる。

「今こいつ、あんたの顔にポーッと見惚れてたの」

十分わかっているのだろう。
瑠璃は頬に手を当て「あらまあ」と笑って見せた。

「あー・・・桐乃?とりあえず気配を絶って背後に立つのはやめなさい」
「ぼーっとしてるあんたが悪いだけでしょー?」

べっと舌を出しながら、あたしも京介の隣に腰を下ろす。

「わ!ほんとに綺麗!」

思わず声が出てしまった。
だって本当に綺麗だったから。
降ってくるような星空ってのはこういうのを言うんだろうな。

「すごいわよねえ」

あたしの言葉に、瑠璃も素直に同調する。
      • こんな風にあたしたちが、いがみ合うことなく一緒に居られるなんて、当時のあたしたちなら考えられないだろーな。
      • あれ?京介が笑ってる?
なーに嬉しそうに笑ってんのよ?

「・・・どしたの?締りの無い顔がもっと緩んでるよ?」
「・・・」

あたしの言葉に、予想通り複雑な表情を浮かべる京介。

「あらほんと。なんというか不謹慎な顔になっているわ」

勝手知ったる何とやら。
瑠璃がすかさずあたしに続く。
この辺の呼吸はすでに阿吽だ。

「・・・お前らはよ・・・」

どんな反応するかな?と思っていたら・・・それでも京介は笑っていた。
それだけの年月を過ごしてきたのだと思うと、少しだけ感慨深い。
それもこれもあの時に諦めなかったからだ。
ううん、ちがう。
あの時のあたしは、諦めるなんて微塵も考えてなかった。


『一緒にいてよぅ・・・黒猫ぉ・・・瑠璃ぃ・・・』
『な、なんで泣くのよあなた・・・』
『あんたが離れるとかいうからじゃんー・・・やめてよーそんなこと言うのぉ・・・お願いだからさぁ・・・』
『・・・』
『・・・俺からも頼むよ、く・・・瑠璃・・・』
『・・・ああ、もうっ!信じられない!なんだってこうあなたたち兄妹は・・・もう!わかったわよっ!』
『!』
『・・・どこにもいかない。一緒に居てあげる』
『・・・ほんとに?・・・嘘じゃない?』
『ええほんとよ。・・・ああもう!可愛い顔が台無しじゃない!ほらこっちきなさい!』
『うえーん。うれしいよー』

いやー思い出すと恥ずかしいなー。
なんてバカな娘だあたし。
友達引き止めるのに、泣き落としとかマジありえないし。
でも後悔なんていっこもない。
あたしはそれだけ真剣だったし、瑠璃も真剣に受け止めてくれた。
バカだったと思うし、子供だったとも思う。
でも今こうしていられるのは、大袈裟じゃなくあの時選択肢を間違えなかったからだ。
あの時瑠璃は言っていた。

『・・・桐乃。一つだけ確認させて?私が京介と住むということは・・・間違いが起きるかもしれないということを含むのよ?』

そのことは何度も考えた。
そしてあたしは、それでもいい、としっかり答えた。
瑠璃は驚いていたようだけど、実際あたしは本当に平気だと思っていた。
あ、腰の軽いあのバカのことじゃなくて、あたしの気持ち的にね。
もし京介と瑠璃がそういう関係になったとしても・・・絶対にあたしを蔑ろにするはずないって信じてたから。
むしろ、大好きなあいつと、大好きなこいつが、そうなるなら嬉しいとさえ考えた。
あはは。あたしバカだねー。

「・・・まったく可愛い奴らだよ」
「や、ちょ・・・!」

そんなことを考えてたらいきなり京介に抱き寄せられて、クシャクシャと頭を撫でられた。
見ると反対側では瑠璃も同じようにされている。
思わず笑いがこぼれてしまう。

「ど、どうしたの急に・・・?」
「いや・・・このままずっといられたらいいなあって、急に思ってさ」

京介が笑顔のままそう言った。

「このまま?」
「・・・そうね」

瞬間ぴくんとあたしの耳が動く。
瑠~璃~?一瞬口ごもったのわかってんだかんね?
あーもーったくぅ。
どーせまた、『いつかは・・・消えなくてはならない身だわ。たとえ煉獄の炎に包まれようとも・・・』とか、わっけのわかんないこと考えてんでしょあんた?
そうは問屋が卸すかってーの。





      • 三人でいることが歪だってのはよくわかってる。
他人の目から見たらどー見えるのかってのも。
でも・・・だからどーした!
他人なんか知ったこっちゃないっつーのっ!
大事なあんたの気持ちすら無視したあたしに、怖いもんなんかあるかっての!
ずっと前に、沙織に見せてもらったアニメですっごくいいこと言ってた。

『そんな道理っ!私の無理でこじ開けるっ!!』

ひゃっはーっ!グラハムさんカッケーッ!
そうよ。
どんな道理も、あたしの無理でこじ開けてみせる。
そのための秘策もあるしね~。
これはこないだ見たアニメで言ってたんだけど、等価交換てやつ。

『等価交換だ!俺の人生半分やるから!お前の人生半分くれ!!』

うっひょーっ!エドワード君カッチェーッ!
そうよ。
等価交換で人生貰っちゃえばいいのよ。
しかも!
エドワード君は一人だけだけど、こっちはなんと京介と二人!
つまり、あたしの人生半分と、瑠璃の人生半分。
そんで、京介の人生半分と、瑠璃の人生半分。
やったー!瑠璃の人生すべてゲットーッ!
あんた一生ウチの猫ー!
      • なーんてね。
そんな簡単にうまくはいかないだろうけど、あたしは絶対に諦めない。
そしてあたしは星を見上げる。
よく星に願いをなんていうけど、そんなもん気休めだ。
だからあたしは不敵に笑う。
見てなさいよあんた?
あんたなんかに祈らなくても、あたしは必ず欲しいものを手にしてみせる。
そこにどんな障害があろうとも、必ず乗り越えてみせる。
だってあたしは、欲張りな女だから。
すべて手に入れるまで、諦めたりなんかしてやんないから。
だからあたしは。
星になんて祈ってなどやらない!
ツールボックス

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