あたし、高坂桐乃は、今お風呂に入っている。
髪を洗おうと自分専用のシャンプーに手を伸ばそうとしたところである物が視界に入った。
京介の使っているコンビニでも売ってるような普通のシャンプー……。
「ゴクリ……」
数日後──
「おい桐乃。お前シャンプー変えたのか?」
「そ・それがどうしたの? 妹のお風呂の事まで気にして。あ─ヤダヤダ、これだからシスコンは~」
「ちげーよ。俺のと同じだから間違えて使いそうになっただけだ」
京介の言う通り、あたしは同じシャンプーを買ってきていた。
区別するため、マジックで大きく『桐』と書いている。
「それにしても、どういう風の吹き回しだ? こんなシャンプー、モデル様のお前には合わないだろ?」
「っさいなー。シャンプーした後リンスとかコンディショナーとか使うから、とりあえず洗うってだけならこんな安物でもいいの!」
「だったらわざわざ買ってこなくても、俺のを使えばいいんじゃないか?」
「ハッ? 兄妹でシャンプー使いまわしってマジキモいんですケド~」
言える訳ないって。
興味本位で京介のシャンプー使ってみた、なんて。
でも、なに、アレ。
京介補正を抜きにしてもマジ快感、みたいな?
冷やっこいというかスースーするというか、今まで感じたこと無い感触、やみつきになっちゃったんですケド。
そうだ、今度あやせや加奈子、黒いのや沙織にも薦めてみようかな、『トニックシャンプー』。
天の声「ランちんには薦めないのか?」
最終更新:2012年12月05日 23:40