**概要

 さくらんぼに次ぐ、山形特産の果物。山形が全国生産量の80%を占めている。山形のなかでも特に内陸部に産地が集中しており、主な産地は東根市、天童市など。wiki*1

**歴史

 ラ・フランスはその名の通り、フランス原産の果実である。1864年、フランスのクロード・ブランシュ氏が発見し、そのおいしさに「わが国を代表するのにふさわしい果物である」と賛美され、国名を冠した名前がついた。しかし、栽培の困難さwiki*2から、本国での栽培はあまり行われなくなっていった。
 日本には明治36年、山形県には大正初期に入った。しかし、当初はそのおいしさが知られておらず、また栽培に手間がかかる事から、当時主流であったバーレットwiki*3の受粉樹wiki*4として育てられていた。
 しかし、昭和40年代には缶詰より生のフルーツに需要が移り、ラ・フランスのおいしさも注目されるようになった。当初は高価な果物としてわずかに出回っていたが、グルメブームの到来で、広く一般に入手できるようになった。
 昭和60年には生産体制が安定し、これ以降は、栽培面積・収穫量ともに飛躍的に伸びている。

**栽培方法

  • 平棚作り栽培
 上山で多く行われている栽培方法。棚仕立てにしてラ・フランスの枝を這わせることで、太陽の光が均一に当たる、農薬の散布がし易くなるなどのメリットがある。

  • 立木栽培
 枝を這わせずに垂直に伸ばす栽培方法。東根ではこの方法で育てられている。


**収穫時期

 ラ・フランスはおおむね10月中頃に収穫される。短期間で全ての実を収穫し、収穫した実は冷蔵庫で保管れる。冷蔵中は細胞の活動が停止し、実の成熟が抑えられているため、出荷は1月頃まで行われている。出荷する都度、冷蔵庫から出すという方法が一般的である。
 なかには、食味向上のため、1週間程度遅らせて収穫される「遅もぎラ・フランス」も生産されている。

**食べ頃

 ラ・フランス特有の香りと味は食べ頃の時期でなければ味わえず、おいしく食べるためには食べ頃の判別が不可欠である。
 食べ頃になるまで熟させる事を追熟と言い、18℃から20℃位の所に置くと、ラ・フランスは追熟がはじまりやわらかく甘くなる。
 以下が、食べ頃になったラ・フランスの特徴である。
  • 手に持った時にごつごつとした感じがなくなり、しっとりする
  • 軸の周りの盛り上がった肩の部分がやわらかくなる
  • 甘い匂いがする
 他の洋なしと異なり、表面の色は変化しないので注意が必要である。

 また、大量に購入した場合、全部室内に放置すると一度に追熟が始まり、食べ頃になってしまうため、一部は冷蔵庫に入れるか、冷暗所で保管すると長い期間楽しむことができる。一方、適温を超える暖かすぎる場所に置くと、急激に熟し腐敗の原因になる。

 ラ・フランスは追熟させなかった結果、実際の食味より低く評価されることもある。これが、ラ・フランスの販売が伸び悩む要因のひとつであると思われる。この食べ頃時期のわかりにくさは、ラ・フランスの消費拡大の大きな課題となっており、JA東根では購入者の質問に答えるコールセンターが開設された。wiki*5


**食べ方

  • 2時間程冷やし、チーズや生ハムを添える
  • アイスクリーム乗せ
  • ヨーグルト添え
  • ラ・フランスのタルト


参考文献

  • 「そこが知りたい ラ・フランス講座 山形県上山市南果連協同組合 2010年10月」
  • 「山形新聞 ラフランス美味追求あの手この手」2010年11月22日
  • 「山形のうまいもの 改訂版」おいしい山形推進機構発行 田宮印刷㈱ 2008年
最終更新:2011年01月09日 21:14

*1 自治体別統計がある2006年度産では、東根市は天童市に次ぐ全国2位の生産量であった

*2 ラ・フランスは西洋なしの中で一番開花が早く、実がなるまでに時間がかかる。そのため、病害虫や台風の影響を受けやすい品種である。

*3 18世紀のイギリスで発見された西洋なし。日本には明治初期に入り、山形県では、古くからのなし産地である東置賜郡屋台村(現在の高畠町)で、明治8年に栽培を始めたとされている。

*4 果樹は単一品種だけでは結実しにくいため、異なる品種を受粉樹として畑に入れ、結実の確率を高める栽培方法をとる。

*5 産地直売所「よってけポポラ」