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***SS47 ***ギー太も首ったけ 高校・大学と進んで、私が社会人になって3年目になった。 HTTのみんながそれぞれの道に進む中、私だけ就職先も決まらず、とりあえずバイトでもしようと思ったら偶然小さな楽器店から求人が出ていたのがすべての始まりだった。 「ああもう!これってピックアップ断線してないか?中はぐるの苦手なんだよな」 楽器屋さんで働けば“好きなドラム”と関われると思っていたけど、実際はギターの調整がメインですごく苦労した。 「田井中さん、中はぐるのは僕がやるから。スタジオのドラムのペダル見てくれないかな?」 「あ、マスター。ドラムなら任せてください。じゃあ、これお願いします。リアが極端に音が小さい症状です」 でも、店の主人は良い人だし、最近はドラム関係の仕事も増えてきてなんとか続けられている。 「マスター。スタジオの確認終わりました。あれ?どうかしましたか?」 スタジオでの仕事を終えて戻ると、マスターがぼ~っと立っていた。 「あ、ご苦労様。たいしたことじゃないんだけど…やっぱりたいしたことかな・・・」 「何かあったんですか?」 「さっきからあのギター持った人が店の前を行ったり来たりしてるんだけど、もしかしてあの人“平沢唯さん〝じゃないかな?」 マスターが指さした店の入り口に目をやると、帽子を深くかぶった小柄な人がギターを手にウロウロしていた。 「ああ、平沢唯ですね」 10年近く友達なんだから間違えるはずがない。 「うちみたいな小店に何か用かな?プロのミュージシャンなんて来たことないよ…田井中さんに任せた」 マスターはオロオロしながら修理中のギターを抱えて作業室に消えていった。 「そう言えば、マスターにまだHTTのこと話してなかったな…で、お客さん、いらっしゃいませ」 対応を任せられた私は自分から店の扉を開けて唯に話しかけた。 「りっちゃん?わ~りっちゃんだぁ!」 「ぐぇ…」 唯は私だと解るとギターごとタックルしてきた。 「しかし、いきなりどうしたんだよ?あ、この前出たアルバム良かったぞ」 大学卒業後、HTTは活動休止になったけど唯だけは積極的に音楽活動を続けて、遂に昨年メジャーデビューを果たしていた。 「ありがとう。りっちゃんも正社員になったんでしょ?おめでとう」 「ありがとさん。澪やムギと比べたら安月給でフル稼働してるけど、毎日楽しいよ。それで、今日はどうしたんだ?」 お互いに近況を報告し合ってから本題を切出した。 「うん。ギー太の調子が良くないみたいで、修理お願いしたいなって」 唯が手に持っていたギターを私に手渡した。 「そういう事か。うちのマスターはギターのリペア上手だぞ。大至急頼んでやるからちょっと待って・・・」 「りっちゃんにお願いしたいな」 ギー太を持ってマスターの居る部屋に行こうとしたら、唯がそう言った。 「いやいや、私電装関係苦手だし、ネック調整とか弦交換しかできないぞ?」 「それで十分だよ。お願いします!」 りっちゃん隊員ごっこを思い出したかのように唯が敬礼する。 「おいおい、それだけならそろそろ自分でできるようになろうぜ…プロのミュージシャンが泣くぞ?」 「いやぁ~ギー太がりっちゃんじゃなきゃ嫌だって言うから」 「ハイハイ」 唯を軽くあしらいながらギ―太の状態をチェックしていく。 電装関係はガリやノイズも無く完璧だったが、ネックが反っていたのとオクターブチューニングがずれていた。 「唯、お前弾いた後弦どれくらい緩めてる?ちょっと逆反りしてたから緩めすぎかもしれない」 「逆反り?」 「ごめん。聞いた私が悪かった…とりあえず、ペグ一巻半くらい緩めとけば良いから」 「わかった。一回と半分回せば良いんだね」 「そうそう。良し、オクターブチューニングも完璧!弾いてみろ唯」 調整が終わったギー太を唯に渡すと、懐かしいメロディが店の中を包み込んだ。 「U&Iだなそれ。懐かしいなぁ」 「完璧だよ。りっちゃん!ギー太も喜んでる」 「そりゃ良かった。私も平沢唯のギターを調整したっていう経歴ができて嬉しいよ」 「ねぇりっちゃん…これからもギー太の面倒見てくれる?」 HTTの曲に耳を傾けていると、ぽつりと唯が呟いた。 「おう。楽器屋店員りっちゃんに任せとけ。何時でも無料で見てやるよ」 私は得意げに返す。 「じゃあ、奥さんになって私の面倒も見てくれる?」 「任せと・・・え?」 end

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