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***SS59 ***たよりない 「だーかーらー中学の同窓会に行くだけなんだから、そんなにむくれんなよ」 「だって、絶対澪ちゃんも来るもん」 「同じ中学なんだから来るに決まってんだろ。お前未だに澪と私の事疑ってんのか?」 中学のクラスメイトから同窓会の知らせが届いた。 24歳になった私は、約10年ぶりにもなる旧友達との再会の日を楽しみにしていたのに。 「とにかく、私の知らない所で澪ちゃんに会っちゃダメ!」 当日になって伝えた私も悪いけど、唯の我儘には困ったもんだ。 「何だよそれ?じゃあ、唯も連れてったら良いのか?桜高の同窓会じゃないんだぞ…いちいち私の友達の唯って紹介するのかよ」 「それなら良いけど、友達じゃなくて夫でしょ?」 「冗談じゃない!そんな両方の意味で恥ずかしい事できるかよ」 「なら行っちゃダメ!」 確かに、同窓会には澪も来るだろう。澪から今日参加するよな?っていうメールも来たから間違いない。 だからって、心配するような事はおきないのに…なんで解ってくんねーんだよ。 「唯だって同窓会があったら行くだろ?昔の友達会いたいって思うだろ?」 「行かない。りっちゃんの方が良い」 こんな状況じゃなかったら嬉しいと思えるような事言ってくれるけど、やっぱり納得できない。 「頼むよ唯…早目に帰ってくるから…な?」 「ダメったらダメ。行ったら別れる…」 「お前…それ自分で言ってて間違ってると気が付かないか?凄い矛盾してるぞ」 だんだん唯の言うことが無茶苦茶になってきて、私も疲れてきてしまった。 唯が私のこと心配してくれてるっていうのは解るけど、あまりにも信用されてないってのも辛い。 「とにかく、私は行くからな。別れたいって言うならどうぞ。なんなら帰ってこない方が良いか?今夜は澪のマンションに泊めてもらおうかな?」 「りっちゃんの馬鹿!うわぁぁぁん」 ちょっと意地悪が過ぎたかもしれない。でも、なにも泣くことないのに。 時計を見たら、六時を過ぎていた。 七時から始まるから、もうそろそろ出ないと間に合わない。 「泣くなよ。別れたりしないって。今日だけ大目に見てくれよ?」 「りっちゃんは私の事なんて嫌いなんだ…」 一度泣き出した唯は手が付けられない。 「もしもし、澪?」 「!!」 困り果てて澪に電話したら、わんわん泣いてた唯が猛犬みたいに睨みつけてきた。 お前実は嘘泣きだったな。 「うん…そう、七時からだ…ごめん、私やっぱり欠席だ。ん?唯が熱だしちゃってさ…うん。会費だけはマキちゃんに渡しておくから楽しんで来いよ」 「りっちゃん愛してる~!」 私が行かないと告げると、唯はネコみたいにすり寄ってきた。 「これで満足だろ?さてと、私はマキちゃんの家まで行って会費払ってくるから。30分で熱出せよ?」 「うん!」 「こらこら、熱出す人はそんなに走らないだろ?」 嬉しそうに寝室に走っていく唯を見て、私の旦那はダメだなって思ったけど。 それを嫌いになれない私も同じなんだろなって…何だか笑えた。 帰りに合挽き肉買わなきゃな。ダメな奥さんだけど、せめて美味いハンバーグくらいは食わせてやらないと。 end

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