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SS2りっちゃんと両想いになった。

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yuiritsu

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りっちゃんと両想いになった。
つきあって、ちゅーもしている。
本当は、付き合って、手をつないで、ぎゅってして、それからちゅーをしたかったんだけど…。
でも、ちゅーをすることで、見えてこなかったものっていうのもあるし。
何より、いまとっても幸せ。
ずっとかなうはずのない思いだって思っていた。
りっちゃんは、別に誰かと付き合わなくても、一緒にいなくても、きらきら輝いていたから。
だから、私の思いなんて、余計だよね、って。
でも、なるべく、りっちゃんと一緒にいたかった。同じ時間を共有したかった。
だからりっちゃんが来るまでお弁当を待っていたり、たくさんスキンシップしたり。
それで、よかった。
ちょっと心が苦かったけど、それでもりっちゃんから光をたくさんもらえたから。

「唯ーちゅーしようぜー」

私はこの日を一生忘れない。
一瞬、何を言われたのかと思った。それでも、確かにりっちゃんの口がちゅー、と動くのを見て、ああ、本当なんだ、って。
うまく、反応できなかった。だって。りっちゃんに申し訳なく思いながらも、ずっと想像していた、憧れのカチューシャの子とのキスシーン。
私は、ぼそっと、しようよ、っていった。
したかったのは本当。でも、聞こえなければいい、とも思った。
それで、また明日から普通の日常が始まればいい、って。
でも、りっちゃんは、聞き取ってしまった。

りっちゃんのあったかい手。
りっちゃんのあったかい匂い。
りっちゃんの――あったかい唇。

私が想像していたキスシーンなんて、子供だましとしか思えないほど。
気持ちよくて、なんだか刺激的で。
そして、とびっきりの嬉しさとどきどきがこみ上げた。

スキンシップだよ。
りっちゃんは、慌てながら言った。
じゃれあい、みたいな。
りっちゃんは言った。

私の心臓の鼓動はまだやまないのに。
くすぐったい気持で、いっぱいなのに。
りっちゃんの熱に、溶けてしまいたい、って思ったのに。

りっちゃんは、そんな私をおいていった。

りっちゃんは悪くないよ。
悪いのは、ちゅーをスキンシップと思えない私。
でも、辛そうな顔をしたら、りっちゃんを心配させてしまう。

だから、いつもどおりの私で。
普段の私を装って、りっちゃんに合わせた。
ちゅーはスキンシップ。
じゃあ、りっちゃんとのちゅーにどきどきしていた私は、変なのかな。
仲いい女友達はする、みたいにいっていたし。
私が、おかしいのかも。
じゃなかったら、りっちゃんはもっとどきどきしている素振りを、見せただろうし。

スキンシップ、だもんね。
りっちゃんへの裏切りじゃない。
りっちゃんと付き合っているわけでもないのに、何考えているんだろう、私。
じゃあ、あずにゃんにしても、りっちゃんのときと、変わらないだろうし。

あずにゃんに、ちゅーしよー、って言った。
あずにゃん、最初は堅かったけど、次第に柔らかな顔つきになっていった。
反対にりっちゃんは、だんだん、こわばっていった。
どうして、りっちゃん。
スキンシップだって、いっていたじゃん。
なのに、どうして、私を切ない目で見るの。

あずにゃんのほっぺにちゅう。
りっちゃんのうそつき。
あずにゃんとちゅーできたのは嬉しかった。でも……
りっちゃんのちゅーと、全然違う。
りっちゃん。
私は、もう、スキンシップじゃいられない。

知らず知らず、りっちゃんとのスキンシップを避けた。
いいんだよね、これで。
中途半端になら、しないほうがいい。
私も、りっちゃんも、
気楽、でしょ?
私はあずにゃんとじゃれあっていた。
りっちゃんは、苦笑していた。
平和、だった。
どきっとした。この前の、踊り場。
でも、終わったことだもん。
私とりっちゃんとの間に、スキンシップの線引きがされたあの日。
振り返りたくない、っていう思いで、素早く駆けあがろうとした。
でも。りっちゃん。ずるいよ。
唯、って声をかけられるだけで。
ほら、こんなにも気持ちが溢れだすんだから。

頭を下げるりっちゃんに忍びなくて。
もう、私とのスキンシップで悩むりっちゃんを見たくなくて。
私は、不格好な思いを、伝えた。
ごめんね。ごめんね。好きになって。困らせて。
そんな思いでいっぱいだった。

その瞬間。りっちゃんの熱が、あのときのどきどきが、
私の唇に、よみがえった。

唇から、あのときの甘い、どきどきの気持ちが、体全体に染みわたっていった。

りっちゃんから、好きという単語が聞こえた時。
例えようもない喜びが込み上げた。

いいの? りっちゃん。
りっちゃんも、同じ気持ち、なの?
ちゅーで、こんなふうに、熱くなるの?

どちらとも知れない笑いが、踊り場を包んでいた。
いつのまにやら、暗黙の了解で。
毎回昼休み、お昼ごはん食べる前に、踊り場で。
りっちゃんと私、二人だけのスキンシップをしている。
りっちゃん、前は私からする、とかいっていたのに。
なんか、最近おねだりするようになっちゃって。
唯から、されたいんだよ、って。
そんなこといわれたら、断れないじゃん。
大好きなんだもん。

今日も、りっちゃんと連れだって踊り場へ。
昼休みが始まるたびに二人で教室を出たら、いくらなんでも不思議に思われるだろう、って思っていたけど。
なんか、澪ちゃんも慣れたみたいだし。ムギちゃんは…読めない。というか、読むのが恐い。

「…ゆーい」
「りっちゃんっ…」
今日は、同時に顔を近づけた。
りっちゃんのぬくもりに包まれて、体がふわふわしてくる。
ゆっくり唇を離して、見つめあって、もう一回。

「そーれ、そーれ」

もう一回……。できなかった。
階段の陰から、ムギちゃんがにこにこと見つめていたから。
一瞬の沈黙。そして。

「ムギいいいいいいい!?」

りっちゃんの叫びがこだました。

「あ、私のことは気にしないで。さあっ」
「さあっ、じゃねえ!教室にいるんじゃなかったのか!?」
「トイレ、っていってきたから」
「そんなこと聞いているんじゃねえっ!!」

りっちゃん、つっこみさえているなあ。でも、ムギちゃんは、少しもへこたれていないけど。

「だって、お昼になるたび、二人とも教室を出るじゃない?」

やっぱり、気にしてたんだね、ごめん。

「お昼ご飯を食べる前だから」

いっつも、一緒に食べられなくて、ごめんね。

「唯ちゃんもりっちゃんも、ちゅーっていうオードブルを食べていたのね」

ムギちゃん、ごめん。ついていけない。

「たっ、食べていたっていうか、あ、味わっていたっていうか」

りっちゃん、そのまま受け取らなくても。

「いいなあ、私も、ちゅーしてみたいわ」

ムギちゃんが、ぽわぽわ言った。よかった。ムギちゃん、私たちのこと、変に見なくて。
顔をほころばせると、いきなり、ぐいっと体を引き寄せられた。
よく知っているぬくもり。
りっちゃんが、後ろから私を抱き、ムギちゃんに向かい合っていた。

「さ、させないからな!唯と、ちゅーなんて、絶対に!」

ムギちゃんがいったのは、相手が私、っていう意味じゃなかったと思うけど。
でも、りっちゃんのあったかさと言葉が嬉しくて。
何も言わずに、りっちゃんに体を寄せた。
「となると、りっちゃんからちゅーしているのね」

ムギちゃんがすがすがしいほどの笑顔を浮かべた。
りっちゃんは、しまった、っていう顔をして、後ろから、私の肩にあごを乗せて、うつむいた。
ムギちゃんは、私に目を向けた。

「唯ちゃんからは、しないの?」

なんだか私も恥ずかしくなって、うつむいた。耳元で、りっちゃんがいうな、いうな、ってささやいてくる。
そういえば。初めてのちゅーの時。
私は恥ずかしくて真っ赤になっちゃったけど。りっちゃんは、そうでもなかったなぁ。
あのときから唯を意識していたかも、ってりっちゃんは後から言ってくれたけど。
でもね、やっぱり、私だけっていうのは、悔しいから。

「りっちゃんがおねだりしてきたときは、するんだよぉ」
「ゆ、ゆいいいいいいいいいいいっ!?」

ムギちゃんは、恍惚、とした表情になって。
りっちゃんはたぶん、真っ赤になって、後で覚えてろ、って耳元で囁いて。
私は、満足げな表情になっていた。
えへへ、私をやきもきさせた、しかえしだよっ。

そのうち、澪ちゃんがやってきて、ムギちゃんが暴露して。
みんなで、りっちゃんを見て、笑い合っていた。
これからも、想い合っていこうね。
りっちゃんに笑いかけると、返事、といわんばかりに、回された腕が、ぎゅっと強くなった。

おわり

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