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SS8ああー、やっぱりバスは苦手だよぉ。

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yuiritsu

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SS8


ああー、やっぱりバスは苦手だよぉ。
せっかくの修学旅行なのに・・・揺れと独特の匂いは私に容赦なく襲い掛かる・・・
うーっぷ・・・ぎもぢわるい・・・
「・・・おい、唯大丈夫か?」
意気消沈してる私に、隣に座るりっちゃんが声をかけてくる
心配かけるのはやだけど・・・そんな体裁が吹き飛ぶくらいに気持ち悪い・・・
「りっちゃんん・・・死んじゃう~・・・」
「だいじょーぶ。えーと・・・うん、もうすぐサービスエリアで10分休憩あるぞ!」
修学旅行のプログラムを読みながら教えてくれた
バスの中でそんなちっちゃい字読んで平気なんだ・・・りっちゃんのくせにずるい
…でも、今日のりっちゃんちょっと優しい

「それじゃあ皆さん、10分休憩に入ります。トイレとかちゃんと済ませておいてね」
さわちゃん先生が休憩の始まりを告げる・・・チャンスと思いバスを降りると、
りっちゃんが後ろをついてきた
「大丈夫かよー、唯」
「ん・・・んぅ・・・」
できたら背中とかさすってほしいけど・・・いくらりっちゃんでもそんなこと頼んじゃ悪いかな・・・
「うん、だいじょうぶ・・・」
「大丈夫には見えないなあ。ほら、肩かすから」
そういってりっちゃんは私を少し抱えながら、一歩踏み出す
本当に・・・なんかいつものりっちゃんじゃない。
「りっちゃん・・・」
「ほら唯、みんな来ないうちに・・・」


ああ・・・少しすっきりした。けど、りっちゃんに悪いことしちゃった。
個室でずっと背中をさすってくれて、そのあとうがい用に水まで買ってくれて・・・

私が先にバスに戻ると、澪ちゃんとムギちゃんも心配してたみたいで、バスの前で待ってくれていた
「唯ちゃん大丈夫?」
「うん・・・りっちゃんのおかげで」
そういうと澪ちゃんが、少し納得したような笑顔で頷く
「あいつなー、あれでも凄く優しいんだ。意外だったろ?」
「うん・・・」
本当に意外だった。その意外な一面に・・・
酔いとは違った、不思議な感情が押し寄せているのに気づいた
「おーいみんな!」
そんなことを思っていると、当の本人が手を振りながらこちらにやってくる
「ほら唯、効くかわかんないけどこれ!」
りっちゃんの手に乗っていたのは酔い止め・・・まさか買ってくれたの?

バスに乗り込んでから、りっちゃんは窓際の席を替わってくれて、
それからいろいろ話を振って酔いを紛らわせてくれた。
まさかここまで優しいなんて・・・ああどうしよう・・・
「でさー・・・ん、唯?なんか顔赤いぞ」
「え?えへへ、なんでもないよぉ」
もしかしたら私・・・りっちゃんのことを・・・

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