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SS58ここにいて

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yuiritsu

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SS58

ここにいて


「唯、今日はおとなしくしてろよ。祭りなら来週隣りの町でもあるから」

頭がガンガンと痛んで体が熱い。りっちゃんがなんて言ってるのかわからない。


軽音部の皆で夏祭りに行こうって事になって、私は一年ぶりに浴衣を着てはしゃいでいた。

お祭り当日までまだ二日もあったのに…


お祭りの日になって、私はベッドから起きることができなかった。

体に力が入らなくて、声も出にくい。

―――38度4分―――

起こしに来てくれた憂に熱を測られて、私はお祭りに行けなくなった。

「お姉ちゃん…薄着だったから。熱が下がるまで安静にしないとダメだよ。私お薬見てくるから」

今日着る予定だった浴衣が憎らしく見えた。

「みんなと一緒に行きたいよ…」

普段なら絶対憂と喧嘩なんてしないけど、お祭りに行きたいって言ったら喧嘩になった。

「絶対ダメ!熱が38度もあるんだよ?病院に行った方が良いくらいなのにお祭りなんて絶対行っちゃダメ!」

「大丈夫だもん!…ゴホッゴホッ…夕方には治るもん!」

「軽音部の皆さんも心配するから今日は休んだ方が良いの」

「憂のバカ…なんで解ってくれないの?」

一時間くらい言い合った後、憂はりっちゃんを呼んだ。

「唯、憂ちゃんに心配かけたらダメだろ。今日は安静にしてろ」

りっちゃんなら解ってくれると思ってたのに、なんで解ってくれないの?

りっちゃんなんて大嫌いだよ。

来週もお祭りはあるなんて言ってたけど、今日じゃないと意味なんて無いのに…


「…37度6分か…」

皆がお祭りを楽しんでいる時、私は結局ベッドの上に居た。

熱は少し下がったけど、まだ頭も痛いし喉も痛い。

「ムギちゃん、焼きそば食べられたかな?あずにゃんは私も憂も居ないけど平気かな?」

目を閉じて想像してみる。

澪ちゃんと楽しそうにしているりっちゃんが出てきた。

「りっちゃんのバカ…ズルいよ…」

「誰がバカだって―」

「うわぁ!!何しに来たの?」

りっちゃんの悪口を言ったらりっちゃんが部屋に入ってきた。

「まったく、心配になって見舞いに来てやったのに…ほら、リンゴ飴と綿アメ。お前甘いの好きだろ?」

りっちゃんは髪を下していて、薄いオレンジ色の浴衣がよく似合ってた。

「い…要らないよ……ごめんなさい
、やっぱりください」

「うむ、素直でよろしい。憂ちゃんがうどん作ってたから程々にな」

「ムギちゃんは焼きそば食べてた?あずにゃんはどう?」

「食べてた食べてた。3人前もな。梓は鈴木さんとヨーヨー釣りで勝負してた」

「澪ちゃんとりっちゃんは?」

頭の中で浮かんだ澪ちゃんとりっちゃんは楽しそうだった。

多分、澪ちゃんとりっちゃんはお互い好きなんだなって思う。

「私と澪?澪は怒ってるかもしんないな…ジュース買って来るって言って抜けてきたからさ」

「わざわざ来てくれたんだ…」

澪ちゃんが『遅いぞ!どこ行ってたんだ?』って怒ってる所が想像できて、ちょっとだけ嬉しくなった。

「まぁ、これでも部長だし、みんなのアイドルりっちゃんだから部員には平等に接しないとな!!」

くるんと一回転してポーズを決めるりっちゃんはとっても可愛くて、ちょっとだけ私の心を温かくしてくれた。

「さてと、あんまり澪待たしてもアレだし帰るか…うん?」

「りっちゃん、大嫌いって言ってごめんね。ありがと」

背中を向けるりっちゃんの袖を掴んで言う。

「そんなの気にすんな。早く治せよ。で…袖は離してくれ」

「ああ、ごめん」

りっちゃんが帰った後にもう一度目を閉じると、りっちゃんの隣に居たのは澪ちゃんじゃなかった。

end

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