( ∵) もう終わるようです その1

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( ・∀・) 「やぁや、また会ったね」 ( ∵) 「……」 流れる川のせせらぎを聞きながらぼーっとしていた時、その中に全く別の音が混ざる。 首だけで確認をすると、全身を緑色で包みヴァイオリンを片手に持つ青年がいた。 彼とは何度か面識があったので、ひとまずは手を振ることで挨拶をする。 ( ・∀・) 「相も変わらず静かだね、君は」 ( ∵) 「……」 そして軽い笑い声を上げながら、青年は一方的に話し始めた。 あの森にいたら酷い目にあった、空からも幾度も命を狙われただとか。 甘い甘ぁい場所があったから向かったら罠で、危うくその命を落とすところだっただとか。 そんな話を、幾つも幾つも。 僕が退屈してる理由はと言えば、彼の話が内容は違えど、中身が常に一緒だからだ。 ( ・∀・) 「とと、話し過ぎて随分と時間が経ってしまったな……うぅむ」 ハッとなってから空を見上げると、慌てた口調で――その様子はないが、それではと話を締めた。 相も変わらず、彼は随分とお喋りなようだ。 ( ∵) 「……ゴェ」 あぁ、僕も喋りたいのにと呟けど、そんな勇気はもちろんなくて。 誰にも聞かせたことのないその声を、夜空に向かって投げつける。 静寂は、その声さえも押し潰してしまった。 ( ∵) 「……」 空は、広い。 僕が飛んだところで、僕が鳴いたところで、いったいどれだけの存在が認識してくれるのだろうか。 それなのにみんなは自らを撒き散らし、その存在を誇示しようとする。 しかし、その気持ちは全くわからないと言うワケでもない。 どうせならば、意地でも自分を押し付けてやりたいのは、僕も一緒なのだから。 ( ∵) 「……」 ふぅと息を吐くと、小さな自分が更に小さくなった気がした。 どれだけの時間をあの闇の中で過ごしたか、正確な時間は思い出せないし、思い出したくもない。 ゆっくりゆっくり、何も出来ずにただ耐えることで育んできたこの命。 ( ∵) 「……ゴェ」 たかだか自己顕示の為に使うなど下らない。 そんな欲で磨り減らしてしまうのなんて、愚かしいとすら思えてしまう。 なんてことは、昨日も一昨日も今日もずっと考えている。 まだわからないけれど、たぶん明日もだ――。 ◆◇◆◇◆ ( ∵) 「……」 いつの間にやら寝ていてしまっていたことは、頭から被る日の暑さで気付いた。 今日もジリジリと真上から照り付けやがって、コンガリ焼くつもりか。 しかし焼いたところで、いったい誰が僕を食べるのだろう。 そんな空想に時間を割いていたが、下らないと気付いた僕は近くの川へと喉を潤しに行った。 それから朝ごはんを食べて、自然の音に耳を傾けながら近辺を徘徊する。 いつも通りの日常だ。 出来る限り木陰を通り、日に当たらないようにひたすらに進む。 空も広いが、地面も十分に広い。 この僕の短い命を賭して、回りきれるだろうか。 ( ∵) 「……?」 今日も今日とてせかせかと歩き回っていたのだが、しばらくすると何やら怪しい音が聞こえた。 面倒なことには首を突っ込みたくはないのだが、悲しいかな僕は好奇心を抑えられる程に大人ではない。 ついついその音の出所を探してしまった。 キョロキョロと辺りを見回しながら探り、自分よりも背の高い草たちの合間を縫って移動する。 音はその距離が縮まる毎に大きくなり、草を一枚隔てたところで、ようやくたどり着いた。 さぁ、何があるのだろうかと、首だけ出してみる。 ミセ*;д;)リ そうして見つけたのは、ポロポロと涙を流す僕の同族だった。 (;∵) (どうしたの?) 流石に僕でも、同族の女の子が泣いてるのを見てさようなら、なんてことは出来ない。 慌てて駆け寄り、地面に文字を書いて彼女に問い掛ける。 飛び出した僕の姿に驚いたのか、一度大きく目を開いてから、またわんわんと泣き出した。 ヾ(;∵)ノシ ミセ*;Д;)リ 「うぁぁぁぁ! うぐ、あぁぁぁぁぁぁ!!」 僕が何かしたのだろうか。 もしもそうだとしたら、本当に申し訳なく思う。 ミセ*;Д;)リ 「よかった、よかったぁぁぁ……」 (;∵) (落ち着いて、大丈夫だから) くすんくすんと鼻を鳴らしながら、先までの大声はようやく収まる。 しかし、よかったとはどういうことで、何があったのだろうか。 少し経って落ち着いた彼女に、また僕は問い掛けてみた。 ミセ*゚‐゚)リ 「さっきまでね、友達と一緒にいたの……」 彼女の話は、こうだ。 つい先ほどまで友達と一緒に遊んでいたらしい。 楽しく談笑をしていたのだが、急に捕獲網が降ってきてその友達が拐われたのだ。 ミセ*゚‐゚)リ 「彼らは、私たちよりもずっとずっと大きいから恐いし、私じゃあの子たちを救えなくて……」 それで泣いていたそうな。 話の間、僕は適当なところで頷いて、相槌を打って聞いていた。 ( ∵) (大変だったね) 話を聞き終えたところで、さらさらと文字を書く。 それに対して頷いてから、今度は彼女が僕に質問をしてきた。 ミセ*゚‐゚)リ 「アナタ、話せないの?」 きょとんとしながら訊ねるその姿に、思わず笑ってしまう。 ( ∵) (笑ってゴメンね。僕は話せないんじゃなくて、あまり話したくないんだ) 疑問符を頭に浮かべながら、くりくりとした目で彼女が僕を見る。 その大きな黒目は僕を吸い込んでしまいそうで、何だかドキドキして目を反らしてしまった。 少しの間そうしていたが、ふぅんと言ってから彼女は笑った。 ミセ*゚ー゚)リ 「ま、いいや! アタシはミセリ、アナタは?」 ( ∵) (僕はビコーズ) お互いに自己紹介をすると、彼女は質問をマシンガンの如くぶつけてきた。 いつこちらに出てきたのか、どこから来たのか、下にいた時はどうだったのか。 他にもいろいろ聞かれたが、途中で疲れてしまったのであまり覚えていない。 ミセ*゚ー゚)リ 「そっか、アタシとあまり変わらないね!」 ( ∵) (そうなんだ) ニコニコとしている彼女の質問責めを何とか返して、やっと一息吐くことが出来た。 と、思ったのも束の間、また新たに彼女から質問が飛んでくる。 ミセ*゚ー゚)リ 「どうして、話さないの?」 ( ∵) 「……」 答えてもいいものだろうか。 正直な話、僕は自分の思想が正しいと思っているし、みんなの考えが愚かだとも思っている。 それでも同族にその話をするのは、何となくいけないとも思っている。 どうしたものかとうんうん唸っていると、何かおかしかったのか彼女が声を上げて笑う。 ミセ*゚ー゚)リ 「変なのー、ビコーズって変わってるね」 ( ∵) 「……」 そう言われるのも無理はないだろう。 正しいとは思っていても、その考えは同族からして見れば明らかに異端だ。 だから彼女の言葉に怒りは湧かないし、そうなのかもと一言書いて、僕も笑った。 ミセ*゚ー゚)リ 「それじゃあ、そろそろ行くね」 楽しい時が過ぎるのはあっという間で、気づけば太陽がその身を隠し始めていた。 もう少し話していたかったのだが、仕方がない。 コクリと頷いて手を振ると、ニコリと笑って彼女は言った。 ミセ*゚ー゚)リ 「もしよかったらまた明日ここで遊ぼうね、それじゃあ」 そう言って一方的に約束を結んで、去っていった。 沈んだ夕日に溶け込むように、サァッと彼女の姿が消える。 仕方がない、また明日ここに足を運ぼうか。 その日の夜は、珍しくいつもと違った。 頭を回せど回せど、出てくるのは彼女のことばかり。 また明日とは言っていたが、どのくらいの時間に行けばいいのだろうか。 ( ∵) 「……」 あぁ、この身に詰まる何かを吐き出したい。 愚かなことだと笑っていたが、僕もその分類にされていいから大声でぶちまけたい。 だけれど臆病者の僕が、またひょっこりと顔を出す。 大切に大切にしているその命、感情の為に磨り減らしていいのかい? と――。 彼のおかげで、少しだけ頭が冷えた。 そうだ、僕はこの一生を長く長く謳歌していたいのさ。 下らない感情のせいで棒に振って、たまるかってんだ。 ( ∵) 「……ゴェェ」 それに、こんな汚い声を彼女に聞かせられるものか。 思考の渦に飲まれていると、突然後ろから声がかけられた。 ('、`*川 「あらあらあら、どうしてこんなところにまぁまぁ」 ぽわぽわと儚げに光を放ちながら、その存在を見せつける女性に会った。 美しいとは思うけれど、彼女もまた愚かだ。 ( ∵) (こんばんは、はじめまして) ('、`*川 「うふふ、はじめまして。どうしてこんなところにいるの?」 彼女が何を聞いているのか全く理解出来なかったが、しばらく頭を回して合点が合うと一度大きく頷いてみせる。 ( ∵) (特に、理由はないかな) ('、`*川 「あらあら……それも声を出さずに答えるなんて、不思議な方ね」 言ったところで、どうせ理解してもらえやしないさ。 そう思った僕は、とりあえず困ったように笑ってみせた。 そう言えばこの種族に、どうしても聞いてみたいことがあったのだ。 せっかくだから彼女に聞いてみることにしよう。 ( ∵) (貴女たちは、どうして光るの?) ('、`*川 「……んん? ごめんなさい、ちょっと質問の意味がわからないわ」 目をパチクリとさせながら、理解できなかったことが伝えられる。 無理もない、彼女たちには僕の考えなんてわからないのだろうな。 ( ∵) (だって、その命がどんどんと削られるんだよ? 貴女たちは特に) 文字を書き終えると、あぁと呟いてからクスクスと笑われた。 やはり僕の疑問はおかしいのだろうな。 ('、`*川 「見てほしいから、その生を謳歌したいから……じゃダメかしら?」 ( ∵) (どうして見てほしいの? 長く生きた方が、謳歌出来るじゃないか) ('、`*川 「それじゃあ、生まれてきた意味がないとは思わないの?」 はて、彼女は何を言っているのだろうか。 ('、`*川 「誰にも見てもらえない一生なんて、幾ら長くてもつまらないじゃないの」 ( ∵) 「……」 ('、`*川 「それに、私は地味だから。光ってないと誰も見てくれないから……」 見られることに、認識されることに意味があるのだろうか。 どうせどんなに頑張っても、たかが知れてるのに。 ('、`*川 「ふふ……それじゃあ土の中にいるのと一緒。綺麗じゃないわ」 私は女だから、綺麗でありたいのと告げると、彼女は軽やかに踊りだした。 ('、`*川 「光って消えるだけ、その命の灯火を一瞬だけ燃え上がらせて消えるだけ、そう知っているのに」 光っている私は綺麗でしょう? そう聞かれる。 たしかに彼女の舞いは、息を飲むほどに綺麗だ。 彼女が通った道を辿るように、光の粒が追いかける様は何と言い表せばいいのだろうか。 ('、`*川 「ただただ生きるだけ、そんなのは生きてるだなんて言えないわ」 そう言って彼女は笑い、去っていく。 心なしか、その笑顔は寂しそうに見えた。 ◆◇◆◇◆ またも太陽は上から見下ろしてきやがる、憎々しい。 あまりの暑さに随分と早い時間に目を覚ましてしまった。 ( ∵) 「……」 昨日あの女性に会った場所へと、ノドを潤す為にのそのそと向かう。 一晩寝て起きたらノドがカラカラになる季節なんて、僕は嫌いだ。 だからこそ、長く生きたいと言う思いが強くなる。 少しばかり歩けば、目的地。 水面へ顔を近づけて、ゴクリゴクリとノドを鳴らす。 あぁ、生き返る――。 ( ∵) 「……?」 少し離れたところに、コロンと転がる黒い影。 何なのだろうと少し気になり、短い足で地面を掻く。 ( ∵) 「……」 ( ー 川 見なければよかったかな、とちょっぴりだけ後悔が浮かぶが、蹴り飛ばす。 その気持ちは、持っちゃいけないんだ。 しかし、何だろう。 もう光ってないし、黒いその体は綺麗なんかじゃないハズなのに。 その満足そうな顔を見て、少しだけ綺麗だと思ってしまった。 どうしてそんなに満たされた顔をしているのと聞いてやりたいが、彼女はもういない。 少しだけ、寂しくなった。 いつもより早い朝ごはんを終えると、ミセリと約束した場所まで向かう。 心なしかいつもより歩くスピードが速いが、気のせいだろう。 ミセ*゚ー゚)リ 「あ、来た来た」 ちょっと早いかなぁと思っていたが、そんな僕よりも早く彼女はここで待っていた。 随分と早起きなのだなと感心しつつ、謝罪文を地面に書いた。 ミセ*゚ー゚)リ 「おいおい君ー、そんなのは誠意が伝わらんなぁ」 (;∵) (何か随分と軽くなったね……) ミセ*^ー^)リ 「だって、友達が相手だから」 彼女が笑うと、体が軋む。 押さえ付けている衝動が、本能が、飛び出してしまいそうになるのだ。 今までこんなことはなかったのに。 ( ∵) 「……」 ミセ*゚ー゚)リ 「ん、どしたどしたー?」 朝も早いのに元気な彼女は、僕の気持ちなんかお構い無しにずいずいと顔を覗いてくる。 心まで見透かされそうなその瞳は、僕なんかが見ていていいのかと不安になってしまう。 ( ∵) (ミセリは、長く生きたいと思わないの?) ミセ;*゚ー゚)リ 「んあ、なんだそりゃ」 僕の質問に、彼女はポカンと間抜けな顔で返す。 つい訊ねてしまったが、不味かったか。 しかし既に彼女には伝わってしまったのだから、もうどうしようもないか。 ( ∵) (ミセリは、お喋りだ) ミセ*゚ー゚)リ 「ビコーズも口にはしないだけで、お喋りよ?」 ( ∵) (だから僕は、声を出さないんだ) ミセ;*゚ー゚)リ 「……? ゴメン、よくわからない……かな?」 ( ∵) 「……」 やはり理解されないだろうか。 そう思い不安になった僕は、やっぱりいいやと地面に書いて、彼女へ笑ってみせる。 無理に聞くことはないし、無理に話すこともないさ。 そのまま他愛のない話を続けていたのだが、なかなかどうして、ヴァイオリン弾きと話すよりも楽しいではないか。 会話と言うものは、こんなに楽しかったのかと心の中で驚いていた。 しばらくするとミセリは手を叩き、散歩に行こうと提案をする。 ( ∵) (いいね、行こうか) ミセ*゚ー゚)リ 「どっちが高いところまで行けるかな?」 その言葉を聞いてハッとする。 そうか、彼女たちにとっての散歩は――。 ヾ(;∵)ノシ (待って待って!) ミセ*゚ー゚)リ 「ん、何? 風は待っちゃあくれないんだぜ?」 (;∵) (何そのキャラ……) [[戻る>http://www43.atwiki.jp/boonshousetsu/pages/141.html]]  [[次へ>http://www43.atwiki.jp/boonshousetsu/pages/143.html]] #comment(nsize=40,vsize=10,size=40)

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